デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門
DX(デジタルトランスフォーメーション)がブームのようになっていて、類書も多いが、どの本もシステム導入事例、ペーパーレス化事例、海外事例、大企業事例ばかりで、DXが企業経営を根本から変えるものであるという指摘が少ないように思う。また、DXを成功させるには、経営者がデジタル化のビジョンを示せだの、デジタル人材を確保せよだのと、そもそもデジタル人材などいない、採用したくてもできない中小企業に出来るわけがないだろ!というような提言ばかりが目立つ。そこで、デジタル人材がいない中小企業のために特化して書かれたDXの入門書が本書である。
DXなどという言葉が生まれる前から企業経営のデジタル化に取り組んで来た経営コンサルタント(私のことだが)による経営改革の書。資本金1億円未満、従業員数300名未満の中小企業経営者必読の一冊。
大企業やIT企業がやっていることを中小企業が真似をして、後追いをしているだけでは、競争優位性を築くことはできない。大手にはできない、中小だからこその戦略をデジタルを活用して実現して行くことを考えるべきである。そのためには、デジタルのことだけでなく、限界費用、無形資産、人的資本といったことも理解しておく必要がある。そうしたことも網羅したDX入門書。当然、おすすめです。