代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2022年版

デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門

 DX(デジタルトランスフォーメーション)がブームのようになっていて、類書も多いが、どの本もシステム導入事例、ペーパーレス化事例、海外事例、大企業事例ばかりで、DXが企業経営を根本から変えるものであるという指摘が少ないように思う。また、DXを成功させるには、経営者がデジタル化のビジョンを示せだの、デジタル人材を確保せよだのと、そもそもデジタル人材などいない、採用したくてもできない中小企業に出来るわけがないだろ!というような提言ばかりが目立つ。そこで、デジタル人材がいない中小企業のために特化して書かれたDXの入門書が本書である。
 DXなどという言葉が生まれる前から企業経営のデジタル化に取り組んで来た経営コンサルタント(私のことだが)による経営改革の書。資本金1億円未満、従業員数300名未満の中小企業経営者必読の一冊。
 大企業やIT企業がやっていることを中小企業が真似をして、後追いをしているだけでは、競争優位性を築くことはできない。大手にはできない、中小だからこその戦略をデジタルを活用して実現して行くことを考えるべきである。そのためには、デジタルのことだけでなく、限界費用、無形資産、人的資本といったことも理解しておく必要がある。そうしたことも網羅したDX入門書。当然、おすすめです。

著 者:長尾一洋

出 版:KADOKAWA

金 額:1500円


“デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門

“正しい”を疑え!

 「ハゲタカ」で有名な小説家、真山仁氏による情報読解力指南本。岩波ジュニア新書で、10代の若者たち向けに書かれたものだが、大人も読むべき内容だと思う。高校生や大学生のお子さんを持つパパママはまず自分が読んでから子供にも読ませてみるといいだろう。
 情報社会の今、世の中には情報が溢れている。しかしその情報の中身は玉石混交であり、発信者それぞれが正しいと主張している裏には何らかの意図がある。SNSの情報は鵜呑みにはできないと思っていても、マスコミで流れる情報や有識者と言われる人の発言はつい信じてしまうこともあるだろう。10代の若者であれば尚更だ。
 正しいかどうかも、立場が違い、目的が違い、背景となる文化や環境が違えば、判断は異なるだろう。世の中に「絶対」はなく、常に「正しい」とされることを疑ってみる目を持たなければならない。そんなことを分かりやすく教えてくれる一冊。
 ラジオの番組に真山仁さんがゲスト出演してくれて、その時に紹介された一冊。ジュニア新書だから、そのご縁がなければ読むことはなかっただろうが、読んで良かったし、多くの大人に読んでもらいたい。“正しい”を疑う力をつけるために、アガサ・クリスティーのミステリー小説を読むことを推奨しているのが興味深かった。本書を読んだ人はきっとアガサ・クリスティーを読みたくなるだろう。ジュニア新書ですが、おすすめです。

著 者:真山 仁

出 版:岩波書店

金 額:860円


“正しい”を疑え!

最強知名度のつくり方

 「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」で知られる著者が、まさにその知られている秘訣である知名度のつくり方を開陳した一冊。「イモトのWiFi」を「人気タレントの知名度にあやかって名前をつけただけじゃないか」と批判的に見、「にしたんクリニック」を「コロナ禍に便乗して畑違いのPCR検査で大儲けした怪しい会社」のように感じた人に是非読んで欲しい一冊。
 著者の経営する会社の名称は「エクスコムグローバル」で、「イモト」でも「にしたん」でもない無名な会社だが、海外渡航時のレンタルサービスであった「イモトのWiFi」がコロナ禍で98%の」売上減となった時、コロナ禍を逆手にとって「にしたんクリニック」で起死回生の逆転打を打った。その決め手が知名度なのだと著者は訴える。「便乗だ」「インパクトだけだ」「奇をてらっている」「節操がない」などと批判するのは簡単だが、98%売上減という苦境に陥った時、全く無名のベンチャー企業が何とか生き残ろうとする時に、綺麗事など言っていられないのではないかと、自分がその立場に立ったらどうするかを考えてみるべきだろう。
 実際、本書の主張は知名度アップに偏っており、その中身も突飛なもので尖っていて、やると失笑を買いかねないものである。だからこそインパクトがあり、知名度向上につながる。多額の広告費を注ぎ込んで大量のTVCMを流せたから出来たことだろうという指摘もあるだろうが、コストをかけずに知名度を上げる方法も紹介されている。その方法を知っても実行するのには躊躇してしまう人も多いだろう。それで立ち止まる人はそこで終わり。やる人だけが知名度を上げ、勝ち残っていく。
 本書はマーケティングの本ではなく、やるかやらないかを経営者に問う泥臭い経営論である。著者の半生についても書かれていて、恥も外聞も気にせず結果を求める反骨心の種も垣間見える。そのストーリーをチラ見せするところがまた知名度アップのための策だと思うと、読んでいて楽しくなる。生みの苦しみを知らない後継者、起業したけど芽が出ないベンチャー経営者には必読の書。カッコいいマーケティング手法を学びたい人はコトラーでも読みましょう。

著 者:西村誠司

出 版:KADOKAWA

金 額:1500円


最強知名度のつくり方

合戦で読む戦国史

 戦国時代を象徴する、桶狭間、川中島、長篠、賤ケ岳、関ケ原など12の野戦の経緯を解説し、勝因・敗因を徹底分析する一冊。 なぜ戦わざるを得なかったのか、なぜ戦いに引き込んだのか、といった背景も分かり、武将の性格がどう意思決定に影響したのかといった解説もあるので、現代のビジネスリーダーにも大いに参考になる内容だ。勝つためには、武力や兵力だけでなく、諜報力、人心掌握力、胆力なども必要だということが良く分かる。そういう意味ではやはり桶狭間の戦いや長篠の戦い辺りが面白いかな。となると、やっぱり信長か!ということか。
 作者は、小説家の伊東潤氏。やはり歴史小説に強いだけに情報が細かいし新解釈もあり文体も読みやすくて、ついつい先を読んでしまう。「最近、伊東先生の本ばかり紹介しているじゃないか」と突っ込みが入るかもしれないが、伊東先生の本ばかりを読んでいるわけではなく、他の本も読んでいるのだが、おすすめしたい本になかなか出会わない結果であることをご理解いただきたい。なので、最近はおすすめする本の冊数自体が減っている。「横着して本を読んでいないのか」と思われるかもしれないが、そうではない。面白そうだなと思う本を選んでそれなりに読んでいるのだが、紹介するほどではないことが多いのだ・・・。
 大隈重信が主人公の「威風堂々」も面白く勉強になったが、本書もまた学びの多い一冊。新書で安いし移動のお伴に最適。おすすめです。

著 者:伊東 潤

出 版:幻冬舎新書

金 額:1000円


合戦で読む戦国史

マンガ 孫子の兵法 百戦不敗の十三篇

 孫子の兵法をマンガで解説すると言えば、「まんがで身につく孫子の兵法」(あさ出版)が一番なのだが、孫子の作者と言われる孫武についてマンガで知ろうと思うと、本書はなかなかおすすめだ。呉王闔閭とのエピソードやその縁を作ったとされる伍子胥との関係なども描かれ、孫武がイケメンの大将軍として活躍するマンガになっている。そもそも孫武は謎多き人物で記録も大して残っていないので、漫画家さんの創作部分も多いのだろうし、孫武がイケメン過ぎるが、楽しく読めた。
 但し、孫子の兵法そのものを解説しているわけではないし、タイトルに「百戦不敗の十三篇」とあるが、孫子十三篇を取り上げているわけでもないので、そこは要注意。孫子の兵法って聞いたことがあるけどいったいどんなものだろう、孫武って人が書いたらしいけどどんな人物なの?といった孫子入門者は本書を読んでみると良いだろう。そこから、この孫子を現代のビジネスに応用するにはどうすればいいのかと思ったら、「まんがで身につく孫子の兵法」を読み、その上で、もっと勉強してみたいと思ったら、古典として孫子の兵法を解説している本を読んでみるという順番で孫子の道に入ってもらうと良いと思う。
 孫子兵法家としては、マンガでもイラストでもアニメでも何でも、孫子に興味を持つ人が増え、兵法を活かして仕事や人生にプラスを生む人が少しでも増えてくれると嬉しい。

著 者:ももなり高

出 版:飛鳥新社

金 額:1200円


マンガ 孫子の兵法 百戦不敗の十三篇

イノベーションの競争戦略

 早稲田大学ビジネススクール教授を2022年3月で退官された、元BCG日本代表の内田氏が指導した「イノベーション研究会」による一冊。内田氏は編著者。イノベーションとは、世の中になかった商品やサービスを生み出すことではなく、それを顧客の行動変容にまで至らしめるかどうかの戦いであると指摘する。
 これは本当に大事な指摘だと思う。一般に、イノベーティブな会社、革新的なビジネスを展開する会社だと思われている企業が、実は先行していた企業の後追い、模倣、買収をしているに過ぎず、巨額のマーケティング投資によって凌駕しただけなのではないかと思うことが多かったのだが、それをビシッと指摘してくれてスッキリした。
 独自のアイデアや研究開発で、他にない革新的な商品やサービスを生み出すことは重要だが、それが出来たからといってビジネスとして成長し、成功を収めるとは限らない。その商品が革新的であればあるほど市場に浸透し、顧客の行動変容にまで結び付けるのに時間とコストがかかるとも言えるだろう。逆に、最初は他社の模倣から始まっても、継続的な改善を加え、マーケティング努力を行うことで、そのマーケットを押さえることも可能である。
 世界を席巻している巨大企業も、後追いや模倣をしていると思えば、一般の企業にも希望が持てるが、いくら独自のアイデアや商品があっても、市場を押さえるくらいまでやり切らないとトンビに油揚げをさらわれてしまうと思えば、さみしい気分にもなる。いずれにしても経営者や経営企画をする人は読んでおくべき一冊。

著 者:内田和成

出 版:東洋経済新報社

金 額:1800円


イノベーションの競争戦略

威風堂々(上・下)

 大隈重信を主人公とした幕末から大正期までの風雲録。上巻は「幕末佐賀風雲録」下巻は「明治佐賀風雲録」となっている。上下2巻の大部ではあるが、主人公に引き込まれついつい次が読みたくなる。重たくて持ち運びが辛いという人には電子版もある。
 幕末や明治維新と言えば、どうしても薩摩、長州、土佐あたりの人物にスポットライトが当たることになるが、本作では肥前、佐賀からの目線で動乱の時代が描かれる。主人公の大隈重信を知らない人はいないだろうが、どういう功績を残した人なのか詳しく知る人は少ないのではないか。私も早稲田大学の創設者という程度のイメージだったが、本作を読んで大隈重信の印象が大きく変わった。まさに威風堂々たる人物であり、明治大正の日本になくてはならなかった人である。
 ビジネス書でもないのに、本作をおすすめする理由は、リーダーとしての在り方、組織を動かす胆力と粘り強さを学べると考えるからだ。藩や国を動かし諸外国とも交渉しながら、あるべき姿を実現しようと努力を続ける精神力を学びたい。何度も下野したり解任されたりしながらも、2度も総理大臣を務めた実績は伊達ではないということだろう。同時代の人としては渋澤栄一が好きなのだが、本作を読んで大隈派に宗旨替えしそうになった。
 本作を読むと、あまり知られていない大隈重信を知ることができ、幕末維新を別の角度から見直すことができる。その点だけでもおすすめなのだが、本作で描かれる大隈重信の人柄に惹き付けられ、自分も頑張らねばと動機づけられると思う。

著 者:伊東 潤

出 版:中央公論新社

金 額:各1800円


威風堂々(上・下)

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