トヨトミの野望
覆面作家が愛知県の世界的自動車メーカーを題材に、99%は真実ではないかと言われる生々しさで書いた企業小説。「失われた20年を、高度成長期並みに駆け、世界一となったあのトヨトミ自動車が潰れるときは、日本が終わるとき。日本経済最後の砦・巨大自動車企業の真実を伝えたいから、私は、ノンフィクションではなく、小説を書きました」ということだそうだ。
ほぼ、あの会社と特定でき、99%が真実だと言うくらいだから、企業経営のドロドロした部分も含めて学ぶケーススタティーには最適だ。おまけに文庫化されて安いし読みやすい。最初の単行本は講談社から出ているが、名古屋の書店から一瞬にして消えたらしい・・・。
どうにも表紙の絵に違和感があって、トヨトミとかいうわざとらしい名前にもピンと来なくて読んでいなかったのだが、ある人に勧められて読んでみるとたしかにリアリティがあって面白い。特に米国との関係やロビイングについての記述はなかなか知ることの出来ない内容で興味深かった。
企業経営者や後継者、世界進出を狙う企業に属する人は是非読んでみるといいだろう。