代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2002年版

ビジネス・シンク

著 者:マーカム&スミス&カルサー

出 版:日本経済新聞社

金 額:2000円


 「7つの習慣」の続編、という触れ込みにつられて買ってみたら、スティーブン・R・コヴィーは序文を書いているだけで、コヴィー博士の教え子(弟子?社員?)の書いた本だった。7つの習慣の要領で、8つのルールにまとめて、それぞれの内容はエピソードや比喩で紹介されている。しかし下手にエピソード化されているために、回りくどく分かりにくくなっているようにも感じた。仕事で成功する人の8つのルールというのが副題で、確かに納得のルールが整理されている。ビジネスの成功、失敗はほんの些細なことの積み重ねだと思うが、その差はちょっとした考えの違い、THINKの差によってもたらされると思う。何をするかではなく、どう考えるかが大切なのだ。

ザ・プロフィット

著 者:エイドリアン・スライウォツキー

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 大企業のビジネスマンである主人公が「利益」を知る男チャオからレッスンを受ける物語。毎回のレッスンで利益モデルを学び、23のモデルを習得するというもの。ストーリー仕立てが最近はやっているようだが、ストーリーがあるから分かりやすいのか、却って余計なことが書いてあって読みにくいのか判断しにくい一冊ではある。内容は参考になるし、ビジネスマンは是非読んでみるとよいだろう。毎回のレッスンで宿題が出て、本を読むことになるのだが、それらの本をすべて読破するとかなり理解が進むのではないか。参考書リスト付き。

60分間・企業ダントツ化プロジェクト

著 者:神田昌典

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 エモーショナルマーケティングというかピンク色の本で一躍有名になった実践マーケッター神田昌典氏による戦略構築論。「経営って簡単なのに、なぜみんな成功しないのかなぁ?」なんてことが書いてあって、小生意気な本で腹も立つが、そこが感情を揺さぶるエモーショナルマーケティングの真骨頂か。書いてあることは基本的なことであるが、それを分かりやすく実践的に噛み砕くところが著者らしい。要するに成功するには頭を使え!ということであり、それも小難しく理論理屈で考えるのではなく、シンプルに考え、実践に移すところに価値があるということだろう。面白い本です。

ビジネスウエポン

著 者:勝見 明

出 版:プレジデント社

金 額:1200円


 イトーヨーカドー、セブンイレブンを率いる鈴木敏文氏に密着し、インタビューした経営指南の金言集。鈴木流経営の真髄を理解するのに役立つ内容だと思う。特に毎週全国からOFC(スーパーバイザー)を集めて行なわれるFC会議の内容は、多くの企業にとってヒント満載の内容だ。量販店や百貨店を対象にした営業活動を行なっている企業は必読だろう。セブンイレブンの仮説検証は有名だが、ここまで考えているのかと考えさせられる良著。経営は心理学だ。おすすめ。

ネクスト・マネジメント

著 者:マイケル・リーサック+ヨハン・ルース

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2200円


 複雑系理論による経営論。サブタイトルは「創発型マネジャー12の心得」。古い常識を捨て、次なる常識を持てと言う内容で、多少難解である。それを補うために、巻頭に田坂広志氏の特別解説が一章付けられている。この部分は分かりやすい。複雑系マネジメントが今後の企業経営に求められることは間違いないだろう。しかしこの難解さを克服しなければ、多くの企業を救うことはできない。何とかこの複雑系マネジメントを日本人にも分かりやすく伝えることができないかと日夜思案しているところである。ちょっと難しいけれども読んでみていただきたい一冊。

潰れない会社の条件

著 者:石倉 潔

出 版:日本実業出版社

金 額:1400円


 元信用調査マンが教える「潰れない」方法。当たり前と言えば当たり前の内容であるが、やはり倒産とは必然的に起こるものであって、景気変動や運、不運によって起こるものではないことを痛感させられる。大企業ですら危うい状況の中で、企業の与信リスクも高まっているが、そうした意味でもビジネスマンは読んでみると良い一冊だろう。企業経営者にとっても素直に読めば、戒めになるヒントが多い。経営とは、TKCのCMではないが、創業は易く守成は難し。ベンチャー起業礼賛で、創業は簡単になっているが、その企業を成長させ、継続させることはなかなか難しい。成功すれば成功したで、魔が忍びよるし、成功しないと潰れるだけだ。企業経営者の辛さ、大変さを実感できる本である。

生涯顧客が生まれる101のマジック

著 者:角田識之

出 版:明日香出版

金 額:1500円


 CRM実現のヒント満載の一冊。システムを導入しただけでCRMをやっているつもりになっている企業に是非読んでもらいたい。著者は文明法則史学に基づく東洋ルネッサンスに取り組むコンサルタント。実は以前からの知り合いで、素晴らしい人です。普段はちょっと小難しい話が多くて、私には理解しづらい面もあったのだが、この本はかなり分かりやすくまとめてある。分かりやすく噛み砕きすぎかな?と思うくらい。理屈をこねくり回し、システム導入に無駄な時間をかけるばかりでなく、感動経営に取り組んでみよう。それがこれからの時代の究極の差別化だろう。

吉本興業から学んだ人間判断力

著 者:木村政雄

出 版:講談社

金 額:1300円


 人間判断力というタイトルではあるが、吉本興業のビジネスのあり方を紹介した本。お笑いの会社なんて普通の会社には参考にならないと考えてはならないだろう。社員個々人の力を発揮させ、生かしたい企業経営者は読んでみるといいだろう。お笑いの世界をビジネスに置き換えると新しい企業経営や人事が見えてくると思う。社員が売り物だという考え方も良いだろう。芸人だけでなく、ビジネスマンも売り物であり、その人でなければならないできない芸が求められる。あなたの売り物は何か?芸を磨こう。

チェンジ・ザ・ルール

著 者:エリヤフ・ゴールドラット

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 「ザ・ゴール」のゴールドラット博士が書いた最新刊。ITを導入したけれども成果が出ないという企業への処方箋。IT導入は人間の限界を超え、今までできなかったことをできるようにしてくれるが、それを使う人間が旧来のルールで仕事をし、思考していてはせっかくのツールが生かせないという指摘。まさにその通りである。我々が行っているSFAやCRMの導入でも、いろいろなことができるようになるが、従来やっていた仕事の進め方を続けていては大した成果を出せない。ITを経営に生かしたいすべての企業が読むべき一冊。非常に参考になる。

営業支援・顧客維持システム~知恵で売るナレッジマネジメント~

著 者:長尾一洋+村上勝彦+本道純一

出 版:中央経済社

金 額:2300円


 「売るためのIT化」であるSFAやCRMを経営改革の観点から分かりやすく解説。単にシステム導入するだけでなく、いかに組織を変革し、人の意識を変えていくかといった面まで深く切り込み、従来のシステム解説書を超えた経営書。私とNIコンサルティングコンサルティング事業部長の村上、NECソフトウェアの本道氏による共著。絶対おすすめの一冊。なぜ売れないのか、どうしたら売れるのか、どのようにITを活用すればよいのか、どうしたらうまく運用できるのか、といったヒントが、600社を超える導入実績から導き出されているので、空理空論ではなく実践的内容になっている。必読。

強い会社はこうしてつくれ!

著 者:堀 紘一

出 版:PHP研究所

金 額:1400円


 ボストンコンサルティングを辞め、ドリームインキュベータ社を設立してベンチャー育成に取り組む有名コンサルタントの経営指南書。本書で堀紘一氏を見直した。これまではついつい大前研一氏と比較してしまい、どうも浅くて好きになれなかったが、本書を読んで熱い心を持つ人であり、実践の人であることが分かって少しは好きになった。ボストンコンサルティングの看板がはずれ、ゼロから会社を立ち上げる中で、新たな気付きもあったのではないか。やはりベンチャーを支援する人は熱い心がないといけないと思う。大企業中心のコンサルティングをやっていた人がどんなアドバイスを起業したばかりのベンチャーにするのかと批判的に考えていたが、さすがボストンのTOPに昇りつめただけのことはある。相変わらず深くはないが、熱い本である。是非指導してもらいたいと思う一冊。

5年後

著 者:船井幸雄+小山政彦

出 版:ビジネス社

金 額:1500円


 船井総研の小山社長を売り出すための世代交代を意識した船井本。対談形式で船井会長と小山社長がいかに同じような考えを持っており、小山社長が船井会長に劣らず優秀であるかを示そうという内容と感じた。内容的には、5年後の日本、世界を見据えて今何をすべきかというもので、参考になる。資本主義は終焉を迎え、新しい時代がくることをいろいろな側面から示唆している。足許の資本主義経済を生きながら、資本主義が終った時のことを考えておくということは難しいことではあるが、必要なことであることは間違いないだろう。ポスト資本主義の在り方は日本が示すべきだと思う。

あのブランドばかり、なぜ選んでしまうのか

著 者:ブーフフォルツ+ボルデマン

出 版:東洋経済新報社

金 額:2000円


 6年間にわたり1000を超すブランドの研究を行い、成功した法則を導いたというブランド本。「便益」「規範」「認識」「アイデンティティ」「感情」の5つの枠組みの中で更にその中で複数の法則が紹介されている。多くの事例を紹介して具体的に説明してくれるのでわかりやすく、参考になる点も多い。ただ事例は米欧企業が中心で日本企業は「たまごっち」くらいか。モノでの差別化が難しくなっている昨今、ブランド、イメージによる差別化は重要度を増している。どんな企業であってもブランドに対する認識は重要だろう。ただどうもイメージで実体を誤魔化すようなニュアンスがあってあまり好きになれない取組みでもあるが・・・。数多く出ているブランド本の中では具体性もあって参考になる一冊だろう。

社長は腹をくくれ!

著 者:大竹一雄

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 タナベ経営新潟支社長が書いた「乱世に生きる“悪”の経営」がサブタイトルの経営論。悪とは、強く激烈であることを指すそうだ。経営者は善い人ぶらず、腹をくくって、厳しく社員を指導し、この乱世を行き抜けという内容。この中で紹介されていたイスラエル軍アロン将軍の言葉が良い。「もし、指揮官に部下を愛する誠意があるなら、最も激烈な環境に対応できるという自信を兵士に与えることである。それは兵士に失敗と危険を数多く経験するような訓練を与えることだ。精神的、肉体的苦痛を味わわせないような教育・訓練はあり得ない」いやー厳しい。多くの指導事例に基づき、中小企業の経営実態に照らした内容で参考になるが、原理原則的な指摘が多い。どうしても精神論的になってしまうのが、タナベ流か・・・。中小企業の経営者、特に二代目三代目の方にはおすすめの一冊。

社長!それは「法律」問題です

著 者:中島 茂+秋山 進

出 版:日本経済新聞社

金 額:1500円


 この本はタイトルが悪い。社長だけでなく、全てのビジネスマンが読むべき本である。確かに内容には株主代表訴訟などの話があるので、取締役以上の方にはより切迫感があるだろうが、そうではない一般の社会人にとっても必要な法的な知識が、読みやすい対談形式の文章で理解できる。今、大きく時代は変化し、企業にはコンプライアンスが求められ、情報開示の義務を負う。一般社員においても法令遵守は絶対だ。こうした本がベストセラーになること自体、時代の変化を感じさせる。具体的な事例も多く紹介されており読んでいて面白い。必読の書。

日本資本主義の哲学

著 者:木村 剛

出 版:PHP研究所

金 額:1700円


 クールな内容かと思ったらかなり熱かった。熱い主張がこもった一冊。著者は62年生まれで東大卒後日銀へ進んだ人であり、「また賢い人の小難しい経済論か・・・」と多少やっかみ半分で引き気味で読み始めたが、HOTな内容だった。日本の経営者を「ムラヲサ」と表現したのは言い得て妙。納得共感できる内容も多い。ただこの人、金融機関を対象にコンサルティング業務を行なっているだけに「こんなこと書いて大丈夫か?」と多少心配もした。が、本書でも著者自ら触れているように、多少ビジネスでマイナスがあってもミッションのために敢えて書いたそうだ。こういう姿勢がこれからの日本企業には必須となるだろう。御本人は、「洟垂れ小僧が偉そうなことを」との批判があるだろうと書いているが、40歳だから書けた熱い本だと思う。日本企業の新しいあるべき姿を「米国の物真似」から導くのではなく、我々日本人自身が智恵を出し、日本の良い点を活かして創り上げていく必要があるだろう。良著。ニッポン・スタンダードを創り出そう。

理念経営のすすめ

著 者:田舞徳太郎

出 版:致知出版社

金 額:1800円


  自己啓発セミナーで有名な日創研の田舞氏がスタンフォードに留学し、ビジョナリ-カンパニーのジェリーポラス教授の影響を受けて書いた本のようだ。過去の氏の著作に見られるような経験則的な「あるべき論」ではなく、理論的にも裏打ちされた提言がなされているところに好感が持てる。松下やトヨタ、ジョンソン&ジョンソンなど大企業の事例を使ってしまうあたりは米国MBAカブレのようでもあるが、参考になる。今、日本では企業経営の開示、情報開示が求められており、こうした理念に裏打ちされた真摯な経営姿勢が求められている。その点で時機を捉えた出版であると思う。自社の理念に合わない人材は、いかに優秀であったとしても用うるべきではないし、絶対に上に引き上げてはならない。経営に近道はないのだということを改めて知る一冊。良著。

コーポレートゲノム

著 者:野口悠紀雄ー

出 版:日本経済新聞社

金 額:1600円


 超整理法で一躍有名になった野口先生の日本経済再生論。副題は「大組織から小組織へ」。大が小を制す時代が去り、小が大を飲み込む時代が来たと説く。そのためには、企業の変革、そしてその企業を経営する社長の意識改革が求められる。小泉構造改革に頼っていても国にはその力がないと言う。大から小へ、というのは最近よく聞く議論であり、目新しさはないが、日本経済の現状をユニークな視点で切り出して見せてくれる点で参考になる。企業というのは元々リスクをとるための仕組みであるという主張には共感した。指摘されているように、日本企業においてはいかにリスクを減らし分散させるか、ということを考え過ぎなのかもしれない。とは言え当事者になれば、自分のところが潰れてしまっては元も子もないわけで、なかなか難しい問題でもあるが・・・。良著です。

勝者の代償

著 者:ロバート・B・ライシュ

出 版:東洋経済新報社

金 額:2000円


 ザ・ワーク・オブ・ネーションズで「シンボリック・アナリスト」というコンセプトを掲げ、クリントン政権の労働長官を務めた著者が問う、ニューエコノミーにおける人生の選択。成功者はその成功ゆえにより一層努力し、家庭を犠牲にしてフルスピードで走らなければならない。反対に敗者は、ますます厳しい環境におかれ、将来の不安に悩まされ、勝者と敗者の差は一層広がっていくという。経済成長や技術革新が絶対視され、少し景気が悪い、成長率が鈍化した、というだけで騒ぎ立てる現在の社会のあり方に疑問を呈する一冊。確かに著者がいうように、勝者といえども、それで安泰なのではなく、次なる競争に駆り立てられるわけで、どこまで行ってもゴールが見えないエンドレス・レースとなることは確かだろう。ではどうすれば良いか、という答えは、自分で選択するしかなさそうだ。

成毛式マーケティング塾

著 者:成毛眞と日経MJ

出 版:日本経済新聞社

金 額:1200円


 マイクロソフト日本法人の前社長と日経MJ編集部によるマーケティング実践論。マーケティングのマイクロソフトらしく、参考になる視点、指摘も多い。マイクロソフトという会社は個人的にあまり好きではないが、確かにマーケティングというか二番煎じでも強引にビジネスを進めるところは凄い。(結構失敗もあるが・・・)その手法の一部が紹介されていると考えると理解し易いだろう。日本人は一般に真面目に商売をし過ぎということだろうか。どうもマーケティングという言葉を聞くと胡散臭さを感じてしまう。胡散臭さたっぷりの一冊。なかなか面白い、のではないか?

オープンパートナーシップ経営

著 者:根来龍之+桑山卓三

出 版:PHP研究所

金 額:1400円


 CRMで言われる「顧客の囲い込み」について、一方的な囲い込みは顧客の利害に反するという提言をした一冊。顧客との関係は、オープンで対等な「オープンパートナーシップ」に基づくものでなければならない、と説く。書店で見つけ、「売り手と買い手の利害を超越し、顧客を価値創出のパートナーにすること」がCRMの基本であると提唱している私は「わが意を得たり!」と早速買い込んだが、そのオープンパートナーシップ戦略をとるためには、セグメントNo.1の商品力を持つ企業にならなければならない、という下りでがっかり。学者の空論であった。ナンバーワン商品があれば顧客を囲い込まずにつなぎ止めておけるというのは、商品戦略なり商品開発の問題であって、すべての企業がそうではないからCRMも必要なのだ。そこのところが物足りないが、従来のとにかく顧客情報を入手して囲い込めという論調のCRM本よりは発見がある。概念的にCRMを再考するには良い問題提起をしてくれるでしょう。

不撓不屈

著 者:高杉 良

出 版:新潮社

金 額:1700円


 最近TVCMをよくやっているTKC全国会を作った飯塚税理士を取り上げた経済小説。とはいえそのほとんどは、国税当局との法廷闘争と国家権力の弾圧に如何に抗したかを克明な議事録や当事者への取材を通して明らかにしている。一介の官僚が、ここまでできるものなのか?と驚くほどの不当な措置と弾圧に対し、自らの信念を押し通した主人公の稀有な資質が、税理士の結集と言う成果をもたらしたのだろう。私の個人的興味で言えば、国家権力との闘争よりもTKCを作り上げるプロセスこそ取り上げて欲しかったが、そちらは大した苦労ではなかったのだろうか。いずれにせよ、ただ者ではない迫力を感じる大部である。会計人、創業経営者は読んでみるといいだろう。

経営の自己組織化論

著 者:牧野丹奈子

出 版:日本評論社

金 額:2800円


 自己組織化という切り口から企業と社員、全体と個の関係を解き明かした経営論。複雑系のややこしい概念を分かりやすく企業経営に落とし込む一冊。著者は桃山学院大学の助教授で少々アカデミックなため、一般ビジネスマンには難解な感じもあるだろうが、類書と比べるとかなり分かりやすく書かれていると思う。良著。私が提唱する「ネットワーク・アイデンティティ」「ナレッジ・コラボレーション」「全個一如」「リンクソーシング」などの概念を理論的に論証してくれたような素晴らしい本。企業の創発性は個人と個人の知のネットワークによって生み出され、企業と個人は人体と細胞のように、相互作用によって自己組織化していると言える。生命体経営というのか有機体経営というのか分からないが、これからの企業経営を考えようと思う人は必読。

売る力を2倍にする「戦略ガイド」

著 者:水口健次

出 版:日経ビジネス人文庫

金 額:619円


 日本のマーケティングコンサルタントの第一人者とも言える著者の最新マーケティング論。語り口調で読みやすくなっているが、少々語りがくどい。が、現場で「いかに売るか」を考えている実務家らしく、分かりやすく、なるほどと思わせるヒントが満載。特に消費財のメーカーや問屋の人にはお勧めの一冊。頑張っても売れない時代には智恵を使い、ITを使い、現場を歩いて、自分なりの解を見つけるしかないのだろう。ちょっと前の単行本を文庫化することの多い日経ビジネス人文庫には珍しく、文庫版書き下ろしです。

非常識な成功法則

著 者:神田昌典

出 版:フォレスト出版

金 額:1300円


 エモーショナル・マーケティングで一躍売れっ子になった著者の成功哲学。かなり儲けたそうだ。常識的成功法則を否定し、敢えて悪の感情をエネルギーにせよと説く。凡人が年収を10倍にするにはどうすればよいか、という視点で書かれている。自らの成功体験を元にした率直で正直な本。非常識という程非常識ではなく、常識的成功哲学に通じる部分も多いが、「嫌な客には頭を下げず断る」など変わった視点の気付きがある。「いい人」で終りたくない人にはおすすめの一冊。

カリスマ経営塾

著 者:関 廣義

出 版:中経出版

金 額:1500円


 著者が言うカリスマ経営術とは、要するに中小企業の経営は社長次第ということ。社長の人生観が経営観となり、社長の器が企業の器となる。内容的には大きく異存はないが、それをカリスマと呼ぶのはちょっと違うような気がする。中小企業経営者の中には勘違いをしてカリスマだと思っている人も少なくないので、あまりその気にさせると問題があると思うが、社員全員が社長を向いて仕事をしていることは間違いないだろう。良きにつけ悪しきにつけ、中小企業の社員は社長を絶対視し易いものだ。それによってやり易いこともあるが、だからダメだということもある。カリスマからの脱皮が難しい壁であろう。

金儲け哲学

著 者:糸山英太郎

出 版:かんき出版

金 額:1600円


 フォーブスの調査で4150億円の資産を持つと言われ、国会議員なども務めた著者の人生哲学。デフレでも資産が増え続けていると言うが、デフレだから資産(現金)を持っている人にとってはいくらでも儲けるチャンスがある訳で、ある意味当然と言えば当然の内容でもある。国として潰せない企業(大型株)に投資し、長期保有する。そして株価が下がればナンピンで買い増す。それでJALや三菱重工の筆頭株主になったそうだ。それは資産がある人にできることで、これから儲けようと言う人には少し大き過ぎ、また遅過ぎる気もしなくもない。しかしその当たり前じゃないかと言いたくなるようなことを現実に実行するところに素晴らしさがあると思う。世の中に簡単な金儲けはないし、楽して儲かる方法もない。あるのは当たり前のことを当たり前にしてしまう、ということだろう。ほとんどの人にとって当たり前のことが当たり前にできない、のが現実だろう。本書の書名は金儲けだが、儲けた金の使い方も指南してある。そちらの方が楽しい。

アンタがやったら、もっと儲かる

著 者:桂 幹人

出 版:講談社

金 額:1500円


 前著「儲からんのはアンタのせいや」の続編。前著は(私は読んでいないが)けっこう売れたようだ。私は経営コンサルタントであり、経営のプロなので、通常はこうした素人向けのドギツイ書名の本は読まないのだが、先月の業績が思いの外悪かったので、少し弱気になって読んでみた(苦笑)。要は社長の心構え、営業姿勢で企業の業績はどうにでもなるという内容。著者は、20代で上場寸前の会社を作り、倒産を経験し再起してきた人。関西人的なノリで泥臭い内容が書かれている。確かにもっともなことであり、ただ「業績が悪い」「社員が悪い」と嘆いているだけの経営者には是非読んでもらいたい内容だ。やはり中小企業の経営者は厳しくなければならないのかと改めて痛感した。本の帯には「儲かってしかたない会社のつくり方」とあったが、そんな簡単な方法はないわけで、地道なことの積み重ねによって儲けるしかないだろう。こういう本に救いを求める経営者の事例が冒頭に紹介されているが、経営者の弱さが企業の弱さになっているようだ。

企業生命力

著 者:アリー・デ・グース

出 版:日経BP社

金 額:2000円


 企業を機械的な存在と見るのではなく、生命体として見て、あるべき姿を論じている。その基本サンプルはロイヤル・ダッチ・シェルだ。確かに、企業は機械的な性質よりも生命体的な性質をより多く持っている。それは企業の実体が人間の集合体であるということからも当然ではあるが、多くの企業ではその人間までも機械の部品のような扱いをしているのではないだろうか。今後ますます個人が保有するナレッジ(知識や智恵)が重要となる中で、如何に生命体として活性化させていくかが求められる。そうした意味でも本書は多くの示唆を含んでいる。経営者、マネージャー必読。

ネクスト・ソサエティ

著 者:P.F.ドラッカー

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2200円


 ドラッカーの最新刊。経済の変化よりも社会の変化に大きな意味を持つと言う。特に注目しているのは少子化。世界中で少子化が進み人口構造が急速に変化している。また知識労働者(テクノロジスト)の台頭を指摘。企業の形態や雇用のあり方などが変化すると説く。内容的には、断絶の時代、ポスト資本主義社会、明日を支配するもの、といった近著の流れを汲むもので、大きな新発見はないが、最近の日米欧そして途上国までの動きをつかんだ上での提言は説得力を持っている。いずれにせよ、従来の経済、企業、国家のあり方が崩れ、新しい社会形態へのシフトが起こることは間違いなさそうだ。ただそれがいつどのような衝撃をもって起こるのかが問題だろう。ドラッカーにも分からないのだから、仕方ないと諦めて、いつその時が来ても良いように準備しておくしかなさそうだ。ビジネスマン必読。

孫子 勝つために何をすべきか

著 者:谷沢永一・渡部昇一

出 版:PHP研究所

金 額:1400円


 久し振りに孫子が無性に読みたくなって、かといって単に漢文に訓訳をつけたような訓詁学的なものではつまらないので選んだのがこの本。孫子の全編を取り上げているわけではないが、それぞれに日露戦争や太平洋戦争の実話と関連して解説してくれているので読みやすく、参考にもしやすい一冊。やはり孫子は企業経営者に必須の古典であり、特に現今のような乱世においては体得すべき智恵が多く含まれている。人と人、企業と企業、国と国が戦いながら生きているこの世の中の道理を考えるためには兵法の教えが必要なのだろう。日本はどうも儒教的、倫理的な教えを建前にして、裏では何をやってもバレなければいいじゃないかといった風潮があるように思う。勝つか負けるか、生きるか死ぬかの戦場で、戦わずして勝つことを考えた孫子に学んでみたい。

三流

著 者:長嶋一茂

出 版:幻冬舎文庫

金 額:571円


 出張の供をさせる本をわざわざ買い込んでおいたにもかかわらず忘れてしまい、仕方なく博多の本屋で面白そうな本を探したのだが見つからず・・・と文庫コーナーへと歩いていって目に入った一冊。2001年に出た単行本の文庫化。単行本が出た時にも話題になったので知っていたのだが、どうにも長嶋一茂は親の七光りというイメージがとても強くて好きではなかったし、「三流」というタイトルがまた自虐的で陳腐な負け犬論だろうと思って興味はなかった。恐らく博多でも他に読みたい本があれば買わなかったと思うが、なぜか手に取ってつい買ってしまった。子供にとって父親は多くの場合、ヒーローであり鉄人であると思うが、それが本当にヒーローで国民的英雄であったらどうだろうか。その英雄と同じ道を歩もうとした子がプレッシャーに負けてしまっても文句は言えまい。子を持つ父には読んでもらいたい本。子供がファンになってくれるような父親になろう。

ONとOFF

著 者:出井伸之

出 版:新潮社

金 額:1400円


 ソニー会長が社内向けホームページに書き綴ったメッセージの再編集。私は一日24時間をONとOFFに分けることはできないと考えているので、タイトルを見ただけで読みたいとは思わなかったのだが、その割に売れているので、どんなことを天下のソニーが考えているのか、何が世間の関心を集めているのか確かめるために読んでみた。まず前半のON部分では、あのソニーでさえこれだけの危機感、時代認識を持っているのだなと関心した。後半のOFF部分では、仕事だけでなくとても広い交遊、趣味があって、やっぱり創業社長と天下のソニーのサラリーマン社長は違うなと感じた。良い意味でエスタブリッシュされた企業及びそこに勤める人のための本。そういう企業でも危機感を持って今の時代変化に取り組んでいるということを学ぶには良い本だろう。但し、OFF部分をそこら辺の中小企業の経営者が真似をしていては存続が危ぶまれるだろう。

頑張っても売れない時代の営業システムづくり107のポイント

著 者:長尾一洋

出 版:実務教育出版

金 額:2200円


 中堅・中小企業が「売るためのIT化」を進めていくためにはどうすればよいのか、分かりやすく解説している。CRMやSFAといったITキーワードを解説するのではなく、営業の在り方を変え、経営のあるべき姿を追求していくと、SFAやCRMが必然的に出てくるというコンセプト。米国からITのキーワードを持ち込んで日本流にアレンジするのではなく、今わが国の企業が置かれている環境からIT化について考える一冊。2200円とちょっと高いが、二色刷りで分かりやすいし、読者には著者のセミナーに無料で参加できる権利が付く。実はお買い得な一冊。実は私の書いた本。絶対おすすめ、必読です。

社長のための失敗学

著 者:畑村洋太郎

出 版:日本実業出版社

金 額:1500円


 21の実例を紹介し、失敗の本質に迫るという内容。失敗を研究するということで、事象、原因、対処、知識化などの項目で事例を整理しているが、それは今ひとつ。しかし紹介されている事例は、失敗から立ち直った経営者のものなので、それぞれ参考になる。やはり多いのは、成功によって失敗を招くというものだ。人はどうしても得意になるとそれによって目が曇る。社長のための失敗学とは、すべからく「勝って兜の緒を締めよ」というものだろう。そうしたことはいろいろなところで語られ、何度も聞かされていても陥ってしまうのはなぜだろうか。だから、こうした本を読んでも意味がないと考えるか、だからこそ、こういう本を常に読み、自戒しなければならないと考えるか。さて、貴方はどちらであろうか。

追われ者

著 者:松島 庸

出 版:東洋経済新報社

金 額:1500円


 東証マザーズと米国ナスダックの同時上場を果たしたクレイフィッシュの創業者が、社長の座を追われるまでの顛末を語る本。光通信の暴露本のような内容で、こんなことを書いていいのか、とも思うし、これが事実であれば、上場企業とは一体何なのか、上場審査とは何なのか、どうしてそのような企業が上場企業であり続けるのか疑問に思う内容。どうしてこんなに人は醜いのかと、読んでいて暗くなる。ただ、企業経営者、ベンチャー起業家には必読の書であろう。企業統治や上場について考えさせられる。端から見ていると、若くして上場企業の社長になっていい気になっていたのだろう、とも思っていたのだが、本書の内容が真実であれば、若くしてここまでの苦労によく耐えたなと感心する。是非とも再起して欲しい28歳だ。おすすめだが、悲しい一冊。

金ではなく鉄として

著 者:中坊公平

出 版:岩波書店

金 額:1400円


 朝日新聞に連載された弁護士・中坊公平氏の半生記。森永ヒ素ミルク事件や住専の問題で脚光を浴びた敏腕弁護士だけに、さぞや立派な経歴と立派な人間性が書かれていると思いきや、ここまで書くか?(朝日新聞の記者が取材して構成)という内容で、万人に勇気を与えてくれる。中学生以上は必読。ビジネスマンはもとより高校生、大学生、主婦など多くの人に読んでもらいたい。人生について、家族について、仕事について、信頼について、考えさせられ、多くのヒントをもらえる。私は鹿児島本線の車内で読んで泣きました。弱さが強さとなり、強さが弱さとなる、人生の機微を知った人が本当に強い人なのだろう。まだ四分の一しか過ぎていませんが、今年一番の本でしょう。恐らく。是非お読み下さい。~「この本に出遭えて良かった」~

やっぱり変だよ日本の営業

著 者:宋 文洲

出 版:日経BP企画

金 額:1500円


 中国からの留学生で、天安門事件を契機に日本でソフト会社を起こし、マザーズに上場した創業者の営業論。NIコンサルティングの競合企業でもあるのだが、営業支援システムを販売する中で気付いた点を指摘しており、なかなか的を射た指摘が多く面白い。営業マネージャーや経営者は読んでみると良いだろう。昔ながらの営業スタイルは、良い悪いではなく、時代に合わなくなっているということだ。ただ、「日報」に対する認識が偏狭で、大企業の実例に照らした指摘が多いように感じた。私から言わせると、「日報にもいろいろあるんだぞ」と言いたいし、「中小企業の実態もつかんで欲しいね」と言いたいところだ。いずれにせよ著者も指摘するように「営業のIT化」は必然である。是非著者にNIの「顧客創造日報」を紹介したい。ファンになってくれるのではないだろうか・・・。

成果主義は怖くない

著 者:高橋俊介

出 版:プレジデント社

金 額:1400円


 成果主義を「結果オーライ主義」と勘違いしないために、参考になる一冊。日米の多くの実例を基に、成果主義に関する誤解を解き、あるべき姿を明示している。著者は元・人事コンサルタントで、現在は慶応大学教授。著者も言うように、人事制度の改革は単に企業側の問題ではなく、そこで働く個人個人の生き方や仕事のあり方を考えるべき問題であり、成果主義の時代においては、個人の自立と自律がより一層求められるようになるだろう。経営者、人事担当者はもちろん、一般のサラリーマンにも読んでもらいたい本である。

柔らかい企業戦略

著 者:嶋口充輝 他

出 版:角川oneテーマ21

金 額:571円


 マーケティング専門の学者6名のプロジェクトレポート。副題は「マーケティング・アンビションの時代」。要するに大志をいだけ、という内容。本文にも書かれているが、ビジョナリ-カンパニーと近い考え方である。大きなビジョン、夢、理想を持って、企業戦略を考えるべきであると説く。「顧客をパートナーとして囲い込め」など、時代の変化を捉えた鋭い指摘も多いが、6名がそれぞれ書いているため、文脈がぶつ切りになっている面が否めない。顧客との新しい関係を構築することの大切さや、顧客が考えていないニーズを創出する役割など、ヒントは多い。新書であり、読みやすく、出張などにはお勧めである。

社員の幸せを追求したら社長も成果主義も不要になった

著 者:日下公人

出 版:ソニー・マガジンズ

金 額:1200円


 利益を残さない共同経営で業績を伸ばす安売りメガネチェーン「メガネの21」を取り上げた、新しい経営の在り方を問う一冊。日下先生の「人事破壊」を実践をしていることで縁ができ、折込チラシに登場したり、本書につながったらしい。既存の企業がこの21の経営を真似ることはいろいろなしがらみがあって難しいだろうが、新規起業をする際には実践してみても面白いだろう。もちろん既存企業であっても、参考にすべき点は多い。私もメガネやコンタクトを21で買っているが、確かに接客の感じも良いし、何しろ安い。(コンタクトはそうでもないかな?)経営者必読。起業家志望者おすすめ。今後の経営の在るべき姿の一端を垣間見ることができる。

勝つための「実学」

著 者:日下公人【監修】

出 版:あさ出版

金 額:1400円


 株式上場を経験した経営者7名の体験から「実学」を学べという一冊。企業の経営は理論や理屈ではなく、経営者の情熱と感動によって推進される。学者によるベンチャー論、中小企業論ではなく、実際にやった人、体験した人の智恵を学ばなければ、後付の理論に踊らされることになると警鐘を鳴らす。日下先生はこれを経営の小児科ではなく「産婦人科」であると称した。大人と同じようなものだがスケールが小さいというのではなく、同じ人間ではあっても扱いが違う、特別な存在であるという認識と、そこに飛び込んでいく勇気が求められる。そういう意味では、既に上場した企業ではどうかな?とも思うが、ソニーやホンダ、ソフトバンクや京セラをベンチャーと言われてもピンと来ないし、創業し立ての起業家には役に立たないことも多いだろう。読みやすく面白い本です。

ザ・ゴール2

著 者:エリヤフ・ゴールドラット

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 ザ・ゴールの続編、原題は、It's Not Luck。今回は問題解決のための思考プロセスがテーマである。ストーリー仕立てで、前作から10年後の設定。内容的には特につながりがあるわけではないので、ザ・ゴールを読んでいなくても読めるが、ストーリーがあるだけに、1,2を順に読んだ方が読みやすいだろう。業績不振で売却されそうな子会社を立て直す話であり、売上増を実現するための発想の転換を示唆する内容である。本来はストーリーの中から、思考法を習得することが狙いだろうが、販売不振にあえぐ企業が多い中で、そのまま販売策のヒントとして読んでも面白いだろう。手っ取り早く答えを教えて欲しい人には不向きな本。

脱所有社会の衝撃

著 者:水木 楊

出 版:PHP

金 額:1400円


 物余りの時代に人は所有を求めていないという。何を求めているかというと「五コウ一楽」。健康、旅行、学校、代行、不幸と楽はエンターテイメントだ。不幸とはカツラとか霊園とか葬儀とかを指す。要するに物ではなくサービスだ。そしてこれからの時代に最も重要なのは時間の使い方。一日24時間という限られた資源をどう使うかがこれからは重要になる。確かに物は余っているし、必要最低限の物はどんな家庭でも揃っているだろう。しかし物が売れない時代にますます物が売れないというのも困ったものだ。早く物売りからサービス提供、時間創出業にシフトすべきだろう。一読の価値はある。

断末魔の資本主義

著 者:船井幸雄

出 版:徳間書店

金 額:1400円


 個人のエゴから生まれた資本主義と共産主義は、共産主義の崩壊で資本主義が勝利したように思われたが、今やその資本主義が行き詰まり、矛盾を露呈している。著者は、資本主義が最後の悪あがきをして、世界経済社会はハードランディングし、新しい時代に変わると説く。戦争をし、多くの無駄を生み、環境を破壊し続ける資本主義は確かにその限界を迎えつつあるのだろう。早ければ数年、遅くても2020年頃には地球が破滅し人類が死滅するか、人々の価値観が変わり共生、協働の世の中になるというのだが、旧時代に生きる我々にはにわかにイメージしにくい将来像である。ただ、今のままではいけないことは間違いなく、一人ひとりが世の中を支える自覚を持ち、自分さえ良ければ良いというエゴを捨てて生きることを考える必要があるだろう。より多くの人に読んでいただきたい一冊。

「ニーズ」を聞くな!「体験」を売れ!

著 者:藤村正宏

出 版:オーエス出版社

金 額:1300円


 顧客の声を聞くだけでは、顧客満足を生み出せないという営業の極意を、イベントプランナー、店舗企画を行う著者に教えられる一冊。営業部門必読。今からの営業では、「顧客の考えていないこと」「顧客が予想も期待もしていないこと」を形にして提供できなければならない。顧客の声を聞くとは、顧客不満を無くすことであって、満足や感動を生むものではないということをしっかり理解しなければならないだろう。本書でも男女の関係に営業や販売を置き換えた話が出てくるが、まさに営業活動は恋愛関係に似た活動であると言えるだろう。「モテない男」になっていないか?

この指とまれ

著 者:南部靖之

出 版:講談社

金 額:1300円


 パソナの創業者南部氏の人生論、経営論に、本宮ひろ志氏の挿絵(というかマンガ)がコラボレート。南部氏の経営観は実践的かつ社会的で非常に参考になる。若手ビジネスマン、学生諸君には読みやすく、良い本だろう。著者が言うように「雇用」とか「労使」などといった言葉は今後死語になっていくことだろう。新しい時代の新しい仕事を考えることが必要だ。そうした使命感をもって人材派遣ビジネスに取り組んでいる著者の姿は素晴らしいと思う。ただ、「人材派遣」も死語になると私は思っているが・・・

時代が変わった

著 者:堺屋太一

出 版:講談社

金 額:1800円


 1989年に、規格大量生産に支えられた「近代」は終わった。90年からは著者が提唱する「知価社会」となり、90年代は世代交代の過渡期となったが、21世紀に入ってよりその性質が顕著になり、時代認識の変革が急務となっている、という。確かに、時代が変わったことを実感する毎日だ。しかしその変化を認識せず、20世紀型の生き方、仕事の仕方をしている人が多い。本書により、20世紀が非常に偏った短い期間であったことが分かる。しかし20世紀しか知らない我々はそれを当たり前と信じ、正しいと認識してしまっている。20世紀を捨てるべき時が来ている。歴史の転換点に生まれたことが良かったのか悪かったのか、この変化をチャンスとしたいものだ。歴史認識についての文量が多く、読むのに疲れたが、歴史観、時代観について見直すには良い本である。経営者、管理職は必読。

ビジョナリーカンパニー2

著 者:ジェームズ・C・コリンズ

出 版:日経BP社

金 額:2200円


 前作「ビジョナリーカンパニー」の続編。というよりも著者も言うように、2(原題「GOOD TO GREAT」)は、グッドカンパニーがグレートカンパニーになるには何が必要かを述べたもので、1(原題「BUILT TO LAST」)は、偉大な企業が永遠にその偉大さを持続するにはどうすればよいかを述べており、順序としては2が先である。前作は95年に日本で出版されているから6年を経ている。今回の続編の方が参考になると思う。それはまだ自社が偉大ではないからだろう。恐らく多くの企業にとってより参考になるのは続編の方であり、必ずしも前作を読んでいる必要はない。何より参考になったのは、冒頭の「良好(グッド)は偉大(グレート)の敵である」という一文である。売上が伸び、利益が増え、市場で一定の地位を得るとついそれで満足し、現状に甘んじてしまう。それが偉大な企業になるための最大の敵である。GOODで満足せずGREATになるための一冊。良著。

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