予想どおりに不合理
行動経済学の第一人者が書いた人間の行動研究書。普通の経済学では人は合理的であると考えるが、行動経済学では合理的ではないどころか、「はるかに不合理だ」と説く。「人々は、身近な環境から余計な影響を受けやすく、関係のない感情や浅はかな考えなど様々な形の不合理性にも影響されやすい」と言う。これらを数多くの実証研究によって証明している。プラセボ(偽薬)効果など有名なものから、性的興奮の影響などまで、確かに言われてみればそうかもしれないと納得することが多い。営業やマーケティングの仕事をしている人は必読。もちろん経営者も読むべきだろう。人がなぜ不正をするのかといった実験もある。企業経営が人で成り立ち、ビジネスが人を相手にしているとすると、人の研究は欠くことのできない重要テーマである。その点で示唆に富む一冊。