代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2021年版

デザイン思考の授業

 デザイナーがするデザイン思考とはどういうことなのかを一般ビジネスパーソンに教えてくれる入門書。文庫化されて内容も改訂されているので、軽い気持ちで読んでみるのに良いだろう。
 著者は、東京大学法学部卒で、イリノイ工科大学デザイン学科修士課程修了。P&Gにてファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけた後、ジレットのブランドマネージャーを務め、ソニーの新規事業創出プログラムの立ち上げなどにも携わったという人。元々がデザイナーというわけではなく、そもそもビジネスの世界でマーケティングをやっていて、普通はビジネススクールでMBAをとるところを、デザインスクールで学んだという経歴の持ち主だからこそ、デザイナーと一般ビジネスパーソンの橋渡しができるのだろう。
 留学帰りで何でもかんでも米国流最高!という話ではなく、日本が生んだアイデア創造メソッド「KJ法」の紹介やデザイン力でも世界をリードした日本企業ソニーの事例なども出て来て、納得感がある。
 デザイナーが経営コンサルティング領域に踏み込んで来るのは、経営コンサルタントとして与し難いが、企業経営にデザインの力が必要なことには同意する。経営が分かるデザイナーとデザインが分かる経営コンサルタントが揃うといいな。滅多にいないけど・・・。

著 者:佐宗邦威

出 版:日本経済新聞出版

金 額:950円


世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業

ソニー再生

 ソニーの元CEOによるソニー再生秘話。ソニーの経営についても当然触れているが、ご自身の半生記といった面が大きい内容。幼少期から海外経験があり、日本に帰っても「ここは日本だ」と海外流を否定されたという。本書の副題は、「変革を成し遂げた異端のリーダーシップ」なのだが、まさに異端として育ち、異端であるが故に本流を変えられるという事例だろう。ソニーにも、本体に入社したわけではなく、元々はCBS・ソニー入社。音楽の世界から、プレイステーションのSCEなどを経由して、ソニー本社のCEOになった人で、ソニーでも異端児であることは間違いないだろう。
 歴代のソニー経営者と比べて、地味な印象だったし、就任時には否定的な報道も多かったので、どうなることやらとソニーファンとしては心配していたが、しっかりとソニーを再生させ、まだ若いのにソニーの経営からは離れて、子供の貧困や教育格差の問題に取り組んでいるそうだ。本書の収益もその活動資金に充てられる。
 製品名を聞けば、「ああ、あれね」とイメージができるソニーという題材で、企業の盛衰を知ることができて経営に携わる人には参考になる一冊だろう。私は著者と近い年代でもあるし、ソニーのウォークマンが高くて買えずにサンヨーのウォークマンもどきを買ったソニーコンプレックスがあるので、とても興味深く読めた。但し、文章も読みやすく、さらっと読めたのだが、綺麗事が多いかなとは思った。企業再生やリストラの話なのだから、本には書けないようなドロドロとした事情もあるだろうが、それも乗り越えて結果を出したことは評価すべきだろう。

著 者:平井一夫

出 版:日本経済新聞出版

金 額:1600円


ソニー再生

ビジョナリー・カンパニーZERO

 あの「ビジョナリー・カンパニー」シリーズが書かれる前に、その原点とも言える名著があった。それが「Beyond Entrepreneurship」である。本書はその改訂増補版「Beyond Entrepreneurship 2.0」であり、「ビジョナリー・カンパニー」シリーズ1~4の前の原点だから「ビジョナリー・カンパニーZERO」という位置づけになっている。
 「Beyond Entrepreneurship」は1992年に出版されたもので、30年前の著作である。普通なら、そんな古い本が復刻されても時代が違うし、参考にはならないだろうとスルーするところだが、あの「ビジョナリー・カンパニー」の原点だと言われたら読まないわけにはいかない。読んで良かったし、まだお読みでない方は是非読んでみるべきだろう。
 共著者のビル・ラジアーは、ジム・コリンズの師匠のような人。ジム・コリンズを経営学者の道に導いた人だと言えるだろう。2004年に亡くなられている。その師匠との共著で「Beyond Entrepreneurship」は書かれ、その後の世界的ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」につながった。
 本書は、「Beyond Entrepreneurship」にジム・コリンズが新しく追記、補足して出来上がっている。事例は古いが、解説は新しいというか時代を超えた解説。「ビジョナリー・カンパニー」シリーズで訴える内容のエッセンスが詰まった一冊とも言えるだろう。偉大な企業を作りたいと考える企業家、起業家には必読。まぁそんな人はすでに「ビジョナリー・カンパニー」シリーズを読んでいるだろうが、この「ZERO」を読むことでしっかり復習ができるはずだ。
 「ビジョナリー・カンパニー」を知らない、読んだことがないという勉強不足な人は、至急本書を読んで全体観をつかんでから1~4のシリーズを読破すべし。ちなみに私は「ビジョナリー・カンパニー2 Good to Great」が好きです。

著 者:ジム・コリンズ+ビル・ラジアー

出 版:日経BP

金 額:2200円


ビジョナリー・カンパニーZERO

無理ゲー社会

 今の日本が置かれている社会の実情を「無理ゲー」になぞらえて解説した一冊。「無理ゲー」とは、攻略が極めて困難なゲームのこと。自分の全力を出し、工夫と努力を重ねたとしても課題をクリアできないとしたら、「どうせ無理」「やっても無駄」と諦め、途中で投げ出すことになってしまう。これが現在の日本の姿であり、特に若い世代にはそうした閉塞感が漂っているという指摘を、多くの調査やデータを元に読者に突きつける。
 個人的には、秋葉原無差別殺傷事件の経緯が分かりやすく整理されていて参考になった。なぜ犯人が歩行者天国にトラックで突っ込み、ナイフで襲い掛かって7名もの命を奪う凶行に及んだのか。親の躾や過去の挫折、ネット上での人間関係などを踏まえても、動機を理解するのは難しいが、「無理ゲー」に追い込まれて行く過程が実際のやり取りも紹介されながら書かれている。
 読んで気分が晴れる本ではない。日本の未来に対して暗澹たる気分になる本である。著者の解釈にすべて同意できるわけでもない。解決策が書かれているわけでもない。だが、今の世情や現実を新書で分かりやすく教えてくれる本としては有効であり、実際に売れているようだ。

著 者:橘 玲

出 版:小学館新書

金 額:840円


無理ゲー社会

失敗を語ろう。

 マネーフォワードCEOによる起業ストーリー本。著者は、1976年大阪生まれで、京都大学農学部を卒業後、ソニーに入社。そこからマネックス証券に転籍し、2011年ペンシルバニア大学ウォートン校MBAも修了したという人。2012年にマネーフォワードを設立し、2017年9月にはマザーズ市場に上場している。
 サブタイトルは、「わからないことだらけを突き進んだ僕らが学んだこと」で、上場までの足跡を綺麗事ばかりではなく失敗談も正直に書いていて好感が持てる一冊。
 学歴やソニーからマネックス証券に移ったあたりは「特別」な感じで一般人には縁遠いかもしれないが、起業時の苦労や資金集め、初プロダクトが大コケした話などは、起業を目指す多くの人に参考になると思う。上場後3年以上経っても赤字を出し続けているのは「資本の暴力」だと思うので気に入らないが、ITやクラウドサービスなどを手掛ける技術系開発系の企業および経営者は、学ぶべき点が多いだろう。私も、弊社の開発系のマネージャーには読ませようと思った。おすすめです。

著 者:辻 庸介

出 版:日経BP

金 額:1600円


失敗を語ろう。

アマゾン化する未来

 世界を席巻し巨大化するGAFAの中でも、最も恐ろしいのはAmazonである。ITやネットだけでなくリアルビジネスを持っているからだ。そして更にそれを安く提供しようとするからやっかいだ。ネット上で高く売ろうとする企業にはリアルな地上戦や低価格で対抗できる。だが、ネットもリアルも押さえられ、その規模を活かした低価格で攻められたら戦いようがない。だから「Amazonエフェクト」という言葉はあるが「Facebookエフェクト」や「Googleエフェクト」という言葉はない。Appleはリアルな製品を持っているが、高単価の高級品だ。私は使っていないし、使わなくても不便はない。FacebookやGoogleは使っているが、極力個人情報などは入れない。だが、Amazonには、プライムビデオで何を見て、どんな商品を買っているかをすべて握られ、それを住所やクレジットカード情報と紐づけられている。そうと分かっていても、他に置き換えられるサービスはなく仕方なくAmazonを使い続けている。更に言えば、気づかない内にAWS上でサービス提供されているアプリやシステムを使っている可能性も高い。
 Amazonは本当に怖い存在である。だからこそ彼らの考えやビジネスのカラクリを知っておく必要がある。本書は、「フォーチュン」などに記事を書いて来たベテランジャーナリストによるもので、Amazonに好意的ではあるものの、否定的な意見も書かれていて、Amazonの強みだけでなく弱みを知るにも有効な本だろう。あまり弱みはないが、Amazonが得意としないことはある。そこで細々と生き残るか、それともAmazonと戦うか。本書を読んで考えてみると良いと思う。ちなみに本書のサブタイトルは「ベゾノミクスが世界を埋め尽くす」である。

著 者:ブライアン・デュメイン

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1800円


アマゾン化する未来

サステナブルビジネス

 ミドリムシ(学名:ユーグレナ)で世界を救う会社、ユーグレナの社長によるソーシャルビジネス論。東京大学農学部時代にバングラデシュで出会ったマイクロファイナンスのグラミン銀行に影響を受け、ミドリムシでCO2を減らし食糧や燃料を生み出すサステナブルな事業を立ち上げたと言う。それが今や東証一部上場企業なのだから、立派なものだ。
 著者の創業の原点であるバングラデシュの子供たちにユーグレナ入りのクッキーを累計1000万食無料配布もしている。まさに社会の課題を解決するソーシャルビジネスであり、脱炭素で持続可能性を高める素晴らしい取り組みなのだが、私としては、上場企業として収益や配当も求められる矛盾をどう乗り越えて行くのかに興味がある。本書には「儲けを最優先するこれまでの資本主義、金融資本主義的な価値観から、サステナビリティ、持続可能性を重視する価値観へと転換することが、日本はもちろん、世界の個人や企業、社会において重要なことだと考えている」と書かれている。著者によると2025年にはその価値観の転換が起こり、新しい時代へとシフトして行くのだそうだ。
 本書を読むと、ユーグレナを応援したくなるし、著者の熱い想いも伝わってくる。是非綺麗ごとの夢物語で終わらずにバイオ燃料も実現させ、世界中にユーグレナのプラントでも作って食糧危機から地球を救ってもらいたいものだ。SDGsやESGを標榜している企業は必読。世のため人のために起業したいと考えている若者も読んでみると良いだろう。

著 者:出雲 充

出 版:PHP研究所

金 額:1600円


サステナブルビジネス

革命はいつも、たった一人から始まる

 元リクルート社フェローで、杉並区立和田中学校・奈良市立一条高等学校の元校長でもある教育改革実践家による、ビジネス創造、事業開発の指南本。義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長になったことで有名になった人だが、リクルートで、それまでなかったフェローという肩書をもらったりするほどの活躍をしたくらいだから、とてもユニークで、行動力がある人なのだろう。
 本書では、著者が手掛けたビジネス創造の事例が紹介されている。気に入った時計がないからと、オリジナル時計を作り、販売もしてしまう。1台300万円のかき氷機を作り、ラオスに学校も建てる。学校の制服をネット注文出来るようにしてコストダウンし、高校の講堂をあの新国立を作った隈研吾に設計させてしまう。アイデアを形にし、人を巻き込んでビジネスとしても成立させていくプロセスは面白いし参考になる。
 著者は、一般の個人とは言えないが、一人から革命を始めて一定の結果を出している。コロナ禍で自社のビジネスの将来に不安がある企業も、一からアイデアを形にしていく業態変革の革命を起こしてもおかしくはないだろう。「うちの事業は将来がない」「コロナが長引いたらどうしよう」と愚痴っているヒマがあったら本書を読んで新規事業の一つでも立ち上げてみよう。革命はいつも、たった一人から始まる。それなら中小零細企業であっても革命が起こせる。

著 者:藤原和博

出 版:ポプラ社

金 額:1600円


革命はいつも、たった一人から始まる

ページトップへ
製品、セミナー、弊社に関するお問い合わせはお気軽にご連絡して下さい。
0120-019-316