デザイン思考の授業
デザイナーがするデザイン思考とはどういうことなのかを一般ビジネスパーソンに教えてくれる入門書。文庫化されて内容も改訂されているので、軽い気持ちで読んでみるのに良いだろう。
著者は、東京大学法学部卒で、イリノイ工科大学デザイン学科修士課程修了。P&Gにてファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけた後、ジレットのブランドマネージャーを務め、ソニーの新規事業創出プログラムの立ち上げなどにも携わったという人。元々がデザイナーというわけではなく、そもそもビジネスの世界でマーケティングをやっていて、普通はビジネススクールでMBAをとるところを、デザインスクールで学んだという経歴の持ち主だからこそ、デザイナーと一般ビジネスパーソンの橋渡しができるのだろう。
留学帰りで何でもかんでも米国流最高!という話ではなく、日本が生んだアイデア創造メソッド「KJ法」の紹介やデザイン力でも世界をリードした日本企業ソニーの事例なども出て来て、納得感がある。
デザイナーが経営コンサルティング領域に踏み込んで来るのは、経営コンサルタントとして与し難いが、企業経営にデザインの力が必要なことには同意する。経営が分かるデザイナーとデザインが分かる経営コンサルタントが揃うといいな。滅多にいないけど・・・。