代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2001年版

新・資本論

著 者:大前研一

出 版:東洋経済新報社

金 額:2000円


 やはりこの人はコンサルタントとして別格である。ドラッカーやトム・ピータースなど世界的に著名なTOPコンサルタントにまったく引けをとらない。時代認識においてはトムを軽く凌いでいる。本書は全ビジネスマン必読の書である。これからの時代をどう乗り切るべきか、個人として企業として地域として国家として、解き明かしてくれる一冊である。大部であり読むのは大変だが、それだけの価値がある。私は大前氏の「新・国富論」を読んでコンサルタントの道に入った。「企業参謀」に学び平成維新の会にも氏を応援するべく入会した(何もしなかったが、会費は払った)。「インターネット革命」や「遊び心」など氏の著作はほとんど読んだと言って良いだろう。そして本書を読み、氏の凄さに改めて敬服した次第である。ボストン出身のH氏などとはまったく格が違う。単なるコンサルタントの領域を超えた人である。年末年始にじっくり読まれることをお勧めする。

やりたいことは全部やれ!

著 者:大前研一

出 版:講談社

金 額:1500円


 「遊び心」「サラリーマン・リカバリー」に続く、大前流「生き方論」。人生は長いとも言えるし、短いとも言える。長いと思っていたら、あっという間に終わってしまったり、短いと思っていたら結構長生きしたなんてことにもなりかねない。そうした人生において、やりたいことは先延ばしせず、すぐに行動に移せというのが著者の主張。早稲田からMITへ留学し、マッキンゼーのTOPコンサルタントまで経験した人だから言えることではないか、とも言いたいが、確かに、自分の人生に責任を持ち、自己の思いで自分の人生を生きることが必要であろう。会社勤めをすることが「他人の人生を生きる」ことで、自分のしたい遊びをすることが「自分の人生を生きる」ことだとは思わないが、やらされ気分でイヤイヤやっていては貴重な人生がもったいない。人生とは時間の積み重ねである。

IBMで学んだことアスキーで得たことセガで考えたこと

著 者:廣瀬禎彦

出 版:ワック

金 額:1400円


 現在CATVを利用してブロードバンド・インターネットを提供する会社の社長である著者のビジネス論。というか自伝的仕事観。著者も書いているが確かにIT業界にIBM出身の社長が多い。それだけ人材も豊富なのだろう。加えてアスキーとセガの経験があるというのは特異なケースかもしれない。とは言えアスキーとセガでの年数は非常に短いが。著者のようなIT業界の中心を歩んできた人がネットやITの未来をどう捉えているのかを参考にするには良い本だろう。ISPに対する考え方やインターネットの将来については、なるほどと考えさせられる内容である。

ルネッサンス

著 者:カルロス・ゴーン

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1840円


 ゴーン革命のルーツを探る半生記。誠実な語り口(と言っても翻訳だが)で、ゴーン氏の人柄や哲学が伝わってくる良書。いきなりルノーから日産に乗り込んで来た外国人といった認識しかなかったが、ミシュランやルノーでの実績があっての抜擢だった。日産が本当に復活し再生するのか予断を許さないが、たまたま運が良くてV字回復した訳ではないことは確かだ。本書で紹介されているクロスファンクショナリティは、一般の日本企業にも必要なことだ。どこの企業も程度の差こそあれ、部門間障壁にぶつかり分業の限界を超えられないでいる。部分最適を積み重ねるのではなく、全体最適から考える発想が今の企業には求められている。日産ルネッサンスに期待したい。

稲盛和夫の哲学

著 者:稲盛和夫

出 版:PHP研究所

金 額:1200円


 言わずと知れた京セラ稲盛氏の哲学書。宇宙から人間の煩悩まで稲盛氏の思想を説く。根本は仏教思想であり自らも得度した稲盛氏ならではの哲学書であろう。いきなり仏教の話をされても、今の日本人には受け入れがたいだろうが、実業家として名声を得た稲盛氏の実体験に基づく話であれば、聞く耳を持つ人も多いだろう。氏も述べているが、日本人に宗教心がなくなったことは大きな問題だと思う。宗教とはオカルトでもなく、現世利益を求めるものでもなく、生きる哲学であり、人間のバックボーンとなる価値観だ。そういう意味ではすべての人に宗教心は必要であるが、その宗教を分かりやすく説く宗教家が少ない。分かりやすいのはだいたい新興宗教だ。もっと普通の言葉で、普通の場で宗教について語ることが求められるのではなかろうか。その意味で稲盛氏の行動は素晴らしいと思う。

すべてを守ればすべてを失う

著 者:田辺昇一

出 版:プレジデント社

金 額:1600円


 神さま、仏さま、タナベさま、と呼ばれた名コンサルタント田辺昇一氏の最新刊。会社は決して不況では潰れないと説く。潰れる原因を作るのは常に人である。企業は人なり。事業は一人で始めなければならないが、一人では何もできない。著者の永年のコンサルティング活動から導き出された原理原則論。乱世、激動期には原点に帰ることが求められるが、まさにそのための一冊。しかしどうしても古臭さを感じてしまうのはなぜだろう。「IT」や「eメール」といった話題を取り上げているところに努力を感じるが、それらはすべてネガティブに扱われている。仰ることは良く分かるのだが、ではどうすれば役に立つのかを教えてほしい、と文句の一つも言いたくなる箇所もあった。とは言え、企業経営は常に基本に忠実であることが求められると思う。その点ではとても参考になる本である。ベンチャー経営者、若手経営者にはおすすめ。

企業価値の断絶

著 者:ジェフリー・ムーア

出 版:翔泳社

金 額:2300円


 米国のハイテクコンサルタントが説く、株主価値経営の解説書。単に株価を上げるにはどうするか、といった手法論ではなく、株価という指標を使いながら、ITとアウトソーシングによって企業を変え、優位性を構築する経営論である。非常に多くの示唆に富む。ベンチャー企業は必読。やはりこれからの企業経営はITとアウトソーシングによって、大きく変革することになるだろう。企業という枠を超え、ネットワークによって新しい価値を生み出す。私はこれを「ネットワーク・アイデンティティ経営」と呼び、その時のアウトソーシングを「リンクソーシング」という概念に昇華させるが、本書はまさにその指南書と言っても良い本である。ハイテクコンサルタントが企業文化のあり方に言及している点にまた共鳴できた。良著。

ビジネスの極意はインドの露天商に学べ!

著 者:ラム・チャラン

出 版:角川書店

金 額:1200円


 インドで生まれ、家業の靴屋を手伝っていた著者が、教育の機会を得、MBAを取得してノースウェスタン大学で教鞭をとるようになった中でつかんだ経営の極意。インドの露天商もGEのジャック・ウェルチも共通の極意を持っていると言う。その極意とは、キャッシュフロー、利幅、回転率、資産利益率、成長、顧客の6つだそうだ。経営の極意は難しいものではなく、MBAの理論など必要としない。それよりもむしろ経営感覚を持つべきだと説く。そう言われれば経営の神様ジャックウェルチも経営学を学んだ訳ではなく化学者だ。内容としては読みやすく、分かりやすい。ただインドの露天商にどう学ぶのかはハッキリしない。おそらく翻訳本のタイトルが悪いのだろう。原題はWhat the CEO Wants You to Know.

倒産長者

著 者:中嶋 隆

出 版:ソフトバンクパブリッシング

金 額:1800円


 ベンチャーブームに乗り、未公開株を売買することで大金を騙し取る手口を紹介している。そこでの驚きは、その詐欺行為が「合法的」だと言うことだ。個人投資家の自己責任という隠れ蓑によって、何ら責任をとることなく法の網をかいくぐる輩がいるらしい。その手口を紹介しているので、これを読んでチャレンジしようと思う浅はかな人がいなければ良いが・・・と心配になる。もちろん、それを推奨する本ではなく、そういう手口に乗らないようにという良書。ベンチャーブーム、ITバブルが弾け、公開熱にも冷や水が浴びせられているが、国として活力を維持するには新規公開、ベンチャー企業の台頭が必要となる。その裏腹にこうした犯罪(ではないのか?)行為が暗躍することは由々しき問題である。私としては、法的に制裁されないまでも、社会的に抹殺されるのではないかと思うが・・・

V字回復の経営

著 者:三枝 匡

出 版:日本経済新聞社

金 額:1600円


 実話を元にした企業変革のストーリー。非常に分かりやすく実践的な内容で、おすすめ。久しぶりにこのようなリアルで現実的な本に巡り合った。私も企業の現場で登場人物のような実在の人に良く出会う。そこで何をすべきかがドラマ仕立てになっているのだが、きちんと解説もされているので良い。単にストーリーになっている「ザ・ゴール」よりも価値があるのではないか?結局、難しい理屈をこねくり回すよりも、分かりやすいシンプルなやるべきことを、如何に人を巻き込んで進めていくかが大切だということ。大企業をモデルにしてあるが、中小企業でも充分使える内容。それだけ中小企業でも大企業病に冒されている企業が多いということだが・・・。

大河の一滴

著 者:五木寛之

出 版:幻冬舎文庫

金 額:476円


 大河の一滴が映画化されたというので、気にはなっていたのだが、出張の途中で丁度文庫本が目についたので読んでみた。親鸞、法然の阿弥陀仏信仰をベースにしたエッセイがどうしたら映画になるのか?映画を見た方が早そうだが、映画を見る時間がない。読んでいくと、思っていた以上に良い内容であったが、他力本願の思想にはどうしても納得できない点もある。人間は「生きている」それだけで値打ちがある、と言う。値打ちがないとは言いにくいが、それを読んでより退廃的、刹那的な生き方を肯定する人がいるのではないかと心配になる。しかしこの本がベストセラーになり、映画化までされるということは、世の中が癒しを求めている証拠だろう。普段頑張っている人が、人生をゆっくりと見つめ直したいという場合にはおすすめ。普段から「ただ生かされている」人は読む必要なし。

私でも事業家になれた!

著 者:松浦新吾郎

出 版:PHP研究所

金 額:1300円


 巨大大根などで有名な「万田酵素」の生みの親が書いた起業ドキュメンタリー。23年間の研究開発の末に生み出した「万田酵素」を世のため人のために広める理念と使命をつづる。研究に没頭する著者が事業家として歩む中でぶつかる数々のエピソードは笑いもあるが涙もある苦労物語である。著者は「熱意さえあれば事業は必ず成功する」と説く。苦労を苦労と思わない熱情が、思わず元気にさせてくれる一冊。国家破産・金融恐慌・戦争・テロが迫ろうとする現代において、食や農、健康に大きなプラス効果を持つ「万田酵素」を研究しておいて損はないだろう。私も飲みたくなった。お勧めです。

すべての答えは自分にあった

著 者:船井幸雄

出 版:徳間書店

金 額:1400円


 著者が「書きたくなって書いた」という書き下ろし。大変革の時代の中で迷走する日本および日本人に正しい心を持ち、正しい生き方をするように提言する一冊。正しい心とは、仏教における仏心でもあり、キリスト教の愛でもあるようだ。書名の「すべての答えは自分にあった」は仏教の一念三千に通じる。資本主義が行き詰まり、個人のエゴが剥き出しになっている現状を変えていくのはやはり個々の人間であり、人間の意識である。「自分さえ良ければ」という人間が多ければ、投機的金融が恐慌を生み、戦争によって御破算にするシナリオとなるだろう。「皆に良かれ」という人間が多ければ、共生協調の世の中となる。船井氏の本がこれだけ出版されて売れていても大勢は「自分さえ・・・」のようだ。もっと多くの人にこうした本を読んで欲しいものだ。

知の経営を深める

著 者:常盤文克

出 版:PHP研究所

金 額:1500円


 花王の元社長が書いた知的(ナレッジ)経営論。しかし一般に言われるITを使ったナレッジではなく、自然に学ぶ智恵を持てといった東洋的な内容である。西洋的なナレッジ経営のモデル企業として取り上げられることの多い花王の元社長が、西洋的なナレッジの限界を指摘し、東洋と西洋の融合を訴えているのが興味深い。船井氏の著書もそうだが、既に西洋的、資本主義的な価値観や社会構造は限界に達しており、大きなパラダイムシフトが求められているではないだろうか。政治家のパワーゲーム、官僚の腐敗と自己防衛、企業や個人のエゴが蔓延する日本を救う道はどこにあるのだろうか。本書は多少小難しく、教養をひけらかすような感じを受けなくもないが、現代を見直すには良い本だろう。

大金をつかめ

著 者:ケン・ブランチャード

出 版:小学館プロダクション

金 額:1300円


 大金をつかもうと教えを乞う主人公が仕事と人生の成功ノウハウを身につけていくストーリー。本のタイトルからは、金を儲ければ良いという、ありがちな成功ノウハウ書をイメージさせるが、人生について考えさせる良著。「楽しむこと」「目的を常に忘れないこと」「目標を明確にすること」といった内容は私の研修でも取り上げているテーマだが、寓話にすることで非常に読みやすく、納得しやすいのではないだろうか。しかし何といっても「大金をつかめ」というタイトルの印象がよくない。私も師と仰ぐ人から教わって読んだのだが、そうでなければ書店で見つけても素通りしただろう。第四のテストが秀逸。おすすめです。

インターネット的

著 者:糸井重里

出 版:PHP新書

金 額:660円


 超人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を主宰する著者が、リンク、シェア、フラットという3つのキーワードで、インターネットそのものではなく、「インターネット的」なものとは何かを解説。もはやインターネットはIT技術のテーマでもなく、未来物語でもない現実のインフラである。電気やガス、水道の仕組みが分からなくても使えるように、インターネットもその仕組みがどうか、技術がどうすごいかということから、どう使うか、どう楽しむかといった次元に移る必要があるだろう。インターネット的なるものは、企業のあり方や個人の生き方も変える可能性を持っている。ITと無縁だった人気コピーライターがITの世界で何を考え、何をしようとしているか、知っておいて損はない。

勇気の出る経営学

著 者:米倉誠一郎

出 版:ちくま新書

金 額:720円


 新進気鋭の経営学者が自らの熱い思いをぶつけた一冊。経営とは、企業とは、組織とは、ITとは、ベンチャーとは、それぞれの分野で日本人への警告とエールを送っている。確かに現在の日本は根拠のない閉塞感に覆われているように思う。物価も下がって世界一高い給与をもらって海外旅行に行き、ブランド物を持って高級車に乗っている国が「景気が悪い」と騒いでいるようではいけない。もっと日本の果たすべき役割があるだろう。著者は「モデルJ」を世界に提唱すべきと説く。インターネット的の糸井氏と米倉氏が共に、これからは企業の理念や価値観を訴えていく時代になり、消費者はそれに賛同する票を投じるといった趣旨の指摘をしているのが興味深い。経営のあり方が変わろうとしている。

経営論

著 者:宮内義彦

出 版:東洋経済新報社

金 額:1300円


 オリックスCEOが書いた経営書。アメリカ的経営と日本的経営の融合、もしくはバランスを取ることを訴える内容になっている。単なるアメリカ礼賛ではないのが良い。雇用や人事については特に参考になる。コア人材と周縁人材を分けて考えるのは私も賛成だ。智恵の勝負となる21世紀に一律の人事制度や雇用を維持しようと思っても難しいだろう。何しろ少子化、労働人口の減少で人材不足となる。如何に優秀な人材を確保するか、という命題と同時に如何に優秀な能力を雇用せずに利用するかという発想が必要になる。結局、事業は「人」である。その「人」が企業内にいても企業外にいても良い。経営者必読。ただちょっと大企業向けではある。

人口ピラミッドがひっくり返るとき

著 者:ポール・ウォーレス

出 版:草思社

金 額:1900円


 21世紀は人口減少社会になる。一時は人口爆発で食糧難が心配されたが、世界中で急速に少子化が進んでいるという。特に少子化と高齢化のバランスが悪いのが我が日本である。景気回復どころか、2007年以降は人口減少で同時に人手不足となる。仕事が減り、仕事があっても人が足りない。特に若い人が足りないから大変だ。今、日本人女性が生む子供の数は1.3人程度。人口維持レベルの2.1人にはほど遠い。そして女性の高学歴化、結婚年齢の上昇、初産年齢の上昇が続いている。21世紀のビジネスを考えるためには必読の書。人口ピラミッドがひっくり返るのと同時に、これから10年内に人間の価値観が転換することになるだろう。

もっと頭のいい「生き方」をしろ!

著 者:日下公人

出 版:三笠書房

金 額:1400円


 あの日下先生の最新作。やはりこの人には教えられることが多い。何気ない、分かりやすい事例を基に人生について教えてくれる。若手ビジネスマン必読。日本人に求められているのは、自分自身を深く見つめ、自己を確立していくことだと思う。「なぜそうなのか」を自分自身で考え、それを形にし表現していくことができなければならない。従来の常識や自分の経験だけを頼りに物事を判断することも問題だ。常に常識を疑い、自分の経験知を捨てて新しいものに挑戦していくことが、今の日本の閉塞感を打ち破るためには大切だろう。

考え方を考える

著 者:土屋喜一

出 版:オーム社

金 額:2000円


 早稲田の名誉教授が書いた創造性開発の本。分かりやすく読みやすい本である。どうしても人間は自分のパラダイムでしか情報を取り入れることができない。その弊害を打破するためには、考え方を考え直す必要がある。機械工学の先生が心のあり方について触れているのも面白い。やはり21世紀は機械論的な価値観や要素還元主義が通用しなくなるのだろう。常識を疑い、発想を転換することが必要だ。

インターネットは儲からない

著 者:橘川幸夫

出 版:日経BP社

金 額:1600円


 永年様々なメディアに関わってきた著者が書いたインターネット論。インターネットの本質を深く洞察している一冊。ネットに興味、関心のある人は是非読んでみると良いだろう。インターネットで大切なことはコンテンツだと言われているが、そのコンテンツはどんどんタダになっていく、と言う。儲かるつもりがネット自体では儲からないとなれば、どうやって儲けるか。世の中の変化を洞察しなければならない。インターネットで儲けよう。

それがぼくには楽しかったから

著 者:リーナス・トーバルズ

出 版:小学館プロダクション

金 額:1800円


 Linuxの産みの親が書いた、というか喋った自伝本。頭の堅い人には読みにくい本でしょう。しかしこれからのビジネスを考えるには必読の書。オープンソースという金のためではない仕事の仕方を知ることができる。人間には生活するための糧が必要であることを考えると、全てがそうなるとは思わないが、食うに困らない時代である以上、「楽しいからやる」という仕事は必然でもある。コンピュータの世界は「楽しいから」という極めて個人的な理由で貧乏学生が取り組んだことでも、世界的な仕事にすることができる世界である。まさに時代の変化を体現している。「お客様のために」「社会のために」と「べき論」をぶつのもそろそろ・・・

ザ・ゴール

著 者:エリヤフ・ゴールドラット

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円


 全米で250万部売れ、日本で出版されると世界経済が壊滅してしまうと著者に言わしめた一冊。要するに全体最適化の話。部分最適を積み上げても全体最適にはならないという指摘だ。これは分業体制の限界であり、業務プロセス改革の基本でもある。それをストーリー仕立てで分かりやすく説いたものだが、分かりやすい分、大部になって文量が多い。ノウハウ本に慣れた人は「いいから結論を言ってくれ」と言いたくなるだろう。しかしストーリーとしてもなかなか良くできている。企業の究極の目的を「儲けること」としてしまうのがどうも欧米的で気に入らないが、分業の矛盾と摩擦に苦労している企業は是非読むべきだろう。

学習する会社のナレッジ・コラボレーション

著 者:菊森淳文・竹中平蔵

出 版:かんき出版

金 額:1400円


 ナレッジマネジメントのノウハウ本はたくさん出ているが、コラボレーションによるナレッジ創出を指摘した点を評価。特におすすめではないのだが、書名にもなっている「ナレッジ・コラボレーション」は我がNIコンサルティングの登録商標であって、商標権の侵害をしているため取り上げてみた。ナレッジ・コラボレーションというコンセプトに気付いたのは素晴らしいが、商標権の侵害はまずい・・・。さて、「ナレッジ・コラボレーション」というコンセプトに興味を持たれた方は本書と拙著「グループウェア日報活用法」(中央経済社・平成10年発刊)を読み比べてみては?

マッキンゼー式 世界最強の仕事術

著 者:イーサン・ラジエル

出 版:英治出版

金 額:1500円


 同じコンサルタントとしてこういうコンサルティングノウハウ本やコンサル会社の内幕本には興味がそそられるが、大して役に立たないことが多いので本書も放っておいたのだが、結構売れているので仕方なく読んでみた。世界最強という割にはベーシックな内容で、「ああマッキンゼーも同じ人間だな」という感想。著者自身がパートナーになってもおらず、4年の経験しかないためか、掘り下げが浅いようだ。こうした本が売れているということは多くの人がマッキンゼーの仕事やコンサルタントの仕事の進め方について興味関心をもっているのだろう。先の見えない時代の現象だろうか。お暇なら読んでみられてもよいだろう。いくつか参考になる点もある。

五体不満足 完全版

著 者:乙武洋匡

出 版:講談社文庫

金 額:514円


 あのオト君が書いたベストセラーの文庫化。但し完全版であり、ベストセラーを書いてしまったが故に体験したプラスとマイナスを整理した出版後の気持ちを綴った加筆付き。五体不満足が売れ、話題になってオトタケ君がテレビに出たのを見て、家内は本を買って読んだ。「身障者らしくない明るい本だ」と。私にも読むように勧められたが、私はハンデを負う人がそのハンデを売りにしているのは気に食わない。五体不満足でありながら、元気に明るく前向きなのは素晴らしい。しかしそれだけでは五体満足な人間には参考にならない。とは言えなんとなく気になってテレビのキャスターをしたりしている姿を見ていたのだが、そこに完全版が出た。加筆部分は五体不満足だから書けた内容ではなく、乙武洋匡という人間だから書けた内容だと思う。綺麗事ではない、本音の部分だ。だから買ってみた。勇気付けられた。

知識資本主義

著 者:アラン・バートン・ジョーンズ

出 版:日本経済新聞社

金 額:2200円


 土地や貨幣など実物資本から知識や智恵といったナレッジが主体となる「知識資本主義」への移行を解説している。トフラーやドラッカー、サローなど著名な経済学者、社会学者が指摘するように、21世紀は知識をベースにした経済社会が実現することになるだろう。既に現在においても知的資産の価値、知的創造物の価値が高まっており、その移行は確実であろう。本書は知識資本主義への移行過程で企業や個人がどう対処すべきか、企業という枠組みがどう変化していくかを指摘しており、多くの示唆に富む。IT化においてデジタルデバイドが論議されるが、本質的にはナレッジデバイドであり、学ぶ人と学ばざる人との差がより大きなものとなっていくだろう。本書を読む人と読まない人との間にまず格差が生じることを確信する。

ユニーク・ポジショニング

著 者:ジャック・トラウト スチーブ・リブキン

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2000円


 独自化と差別化は違うと言う。差別化は同質なもの、似通ったものを前提にして差をつける。しかし独自化はオンリーワンであり、ダントツである。ではその独自化はめったにできない難しいことかというとそうではなく、いろいろな切り口がある。それを多くの事例で解説している。単なる拡大を目指すと同質化してしまうと言う。また単なる低価格化では行き詰まると言う。マーケットが成熟化しデフレスパイラルにある日本経済の中で今まさに独自化が求められていると言えるだろう。「独自化せよ。さもなければ死あるのみ」だそうだ。

スモールビジネスマネジメント

著 者:デブラ・クーンツ・トラベルソ

出 版:翔泳社

金 額:1600円


 小企業、ベンチャー起業家のための実践的マーケティング手法。笑えるくらい事細かく事例を挙げている。米国のSOHOを対象としているため日本ではちょっと違うなと思う点もなくはないが、全般的に参考になる内容であろう。私も創業時を思い出した。著者に負けないくらいいろいろやったが、小が大を制すのはなかなか難しい問題だ。お役所も口では「ベンチャー支援が大切だ」なんて言っているが実のところ実績主義でベンチャー起業家は相手にしてもらえない。そんな厳しい環境を乗り切るためのガイドブックである。スマートに見せるスマートではないやり方が満載。

バブル再来

著 者:増田俊男

出 版:アスキー

金 額:1500円


 国際金融のスペシャリスト増田氏が書いたバブル再燃論。「資本の意志」というコンセプトで金融の流れ、経済の動きを説明する氏の論理は説得力があり、かつ的中率も高い。2002年に日本にバブルが再来するという予測が出たからかどうか分からないが、日本の株は上がり始め、米国の金利は下げ始めた。本書は世界情勢、日本の経済環境を考える上で読んでおくべき一冊であろう。

失敗に学ぶゼロからの経営学

著 者:和田一夫

出 版:すばる舎

金 額:1600円


 言わずと知れたヤオハンの和田元会長が書いた経営論。内容はオーソドックスだが、失敗をした著者だからこそ言える言葉が説得力を持っている。私が一番勇気付けられたのは「どんなに失おうと思っても、失えないものがあることも学びました。それは、またゼロから出発しよう、復活していこう!といった考え方、つまり『心』の持ち方です」というくだりだ。どんなに失敗しようと、どんなに借金を背負おうと自分の心は失わない。失おうと思ってもフツフツと沸いてくる情熱を持ちたいものだ。

まず、戦略思考を変えよ

著 者:田坂広志

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1500円


 今、複雑系と経営論を語らせたら、この人以上に分かりやすく説明する人はいないだろう。但し、分かり易過ぎて、分かったような分からないような感じで終わってしまう危険性もあるので要注意。従来の戦略論に固執するのではなく、時代に合わせた戦略論を持たなければならないことは誰しも感じていることであり、また当然でもある。時代の変化に合わせて行くのが戦略であり、環境の変化に対応できないようでは戦略家とは言えまい。ところが実際には戦略構築手法屋さんや計画策定職人が多くて、戦略が定型化してしまっているのだろう。

生命体経営学

著 者:藤田史郎 飛岡 健

出 版:河出書房新社

金 額:2400円


 上記の田坂本と同じく複雑系を基盤とした経営論。企業を生命体として捉え、新しいマネジメントの枠組みを提唱している。田坂本と比べややこしくて分かり難いが良い本である。企業を生き物として捉える考え方自体はそう新しいものではないが、複雑系などそれを理論的にバックアップする学説が揃ってきており本書はそうした理論の整理に最適だ。ちなみに私はこうした経営のあり方を「リンクソーシング」や「ネットワーク・アイデンティティ」といったコンセプトで説明しているが、機械論的な経営や組織のあり方が通用しなくなったことは間違いないだろう。

人生を変える力

著 者:ジェームズ・レッドフィールド

出 版:角川書店

金 額:1800円


 「聖なる予言」「第十の予言」などのベストセラーで知られる著者の最新作。副題は「第十一の予言」。物語仕立てで、人間の持つ力とそれを価値あるものに生かす方法を説く。人は導かれ、また人を導く。人の持つイメージが現実を変え、環境を変える。多くの宗教で説かれている人間の霊的な力が科学的な研究によって明らかになりつつある現在、まずはそういう考えもあるのだということを知ることが大切なのではないだろうか。それ程現在の地球が切迫した状況であるということでもあり、人間がそこまで進化したとも言えるのかもしれない。ちなみにこの本も偶然の出会いによって引き寄せられた。偶然という不思議な力を見逃してはならないそうだ。

50時間で会社を変える!

著 者:水島温夫

出 版:日本実業出版社

金 額:1600円


 三菱総研主席研究員が書いた企業変革のための手法論。野中郁次郎先生が推薦文を書いており、「50時間で」というタイトルが刺激的だったため読んでみた。要は社内のエースを10名ほど集めて50時間のディスカッションというかコラボレーションを行なって戦略策定をしたら実務への落とし込みもスムースであるという内容。著者が指摘するように従来の分析的、計数的な戦略構築法ではなかなか差別化の効いた戦略策定は難しくなっている。社内改革の一手法として参考にはなるだろう。但し、中小企業には向かない方法だ。

チーズはどこへ消えた?

著 者:スペンサー・ジョンソン

出 版:扶桑社

金 額:880円


 ベストセラー1位を続ける人生論。言いたいことはシンプルで、「変革を恐れるな」ということ。それをまたシンプルな物語にしている。この本が秀逸なのは、物語を更に同窓生達の会話の中に位置付けて、物語の前と後で会話させている点だ。本論の物語をどう受け止めるべきか、どう解釈するべきかを上手に例示している。通常、こうした人生論やあるべき論は読んでいる本人の都合の良いように解釈されてしまい、ヘタをすると他者攻撃の道具に使われがちだが、本書ではそれをうまく回避している。880円と安いこともあるが、こうした本がベストセラーになるということが世相をどう表しているのか興味深い。是非ご一読を。

父性の誕生

著 者:鈴木光司

出 版:角川書店

金 額:571円


 「リング」「らせん」で知られる人気作家の父性論。日本においては、父性は失われたのではなく、元々存在しなかったのだ、という著者の指摘はなかなか鋭い。人気作家が父親について語っている本ということで、珍しさ、興味本位で読んでみたのだが、家族の中の父親の存在というよりも社会論であり、父性による日本社会の変革を訴えている本であった。一読されたし。

孫正義 掟破りの決断

著 者:大下英治

出 版:講談社+α新書

金 額:840円


 英雄は常に毀誉褒貶に晒される。天才は常に凡人に誤解される。成功者は常に一般人に妬まれる。普通の人であれば、「もうこれだけやればいいだろう」「ここまでくれば俺も満足だ」と考えてしまっても当然であるレベルを超え、更なる拡大と成長を目指すその意志力に敬意を表したい。ベンチャーの雄と呼ばれる孫氏だが、ただのベンチャー経営者ではなく、世の中を変える革命児であると思う。

財務がわかる人になれ

著 者:井原隆一

出 版:PHP文庫

金 額:476円


 名著「財務を制するものは企業を制す」の著者が書いた書下ろし文庫。単なる数字の話ではなく、企業の現場と金の動きを分かりやすく、またシビアに教えてくれる一冊。経営者、管理者必読。若手ビジネスマンも将来独立や幹部になることを目指すなら必読。

21世紀へ

著 者:盛田昭夫

出 版:WAC出版

金 額:1800円


 言わずと知れたソニーの創業者、盛田氏の遺稿集。60年代から晩年に至るまでに発表された著作や講演などを再編集し、企業経営から政治経済、国際社会のあり方まで取り上げている。60年代の経営観などは、今でこそ当たり前のように感じられるものもあるが、当時それを明言していたことが今日のソニーを創り上げた原動力であり、盛田氏の凄さであろう。しかし、昔の人は常に天下国家を考え、大所高所に立っていたんだなぁと改めて感心させられる一冊。必読です。

「無償(ただ)」の仕事

著 者:永 六輔

出 版:講談社+α新書

金 額:680円


 著名作詞家、構成作家のボランティア論。自らの実践とラジオ番組での聴取者とのやり取りをベースにした具体論でもある。中途半端な、却って足手まといになるボランティアへの苦言など、とかくきれい事として扱われるボランティアの表裏を教えてくれる一冊。仕事とボランティアは本質的に同一のものであると考えている私としては、現場の声を知ることができて非常に有益であった。経営者は必読。これからの仕事や雇用はボランティアを研究しなければならないだろう。

男冥利

著 者:谷沢永一

出 版:PHP研究所

金 額:1300円


 男冥利に尽きる男の人生を人間学の大家谷沢先生が書き下ろし。岩崎弥太郎、澁澤栄一、小林一三、西堀栄三郎、松下幸之助、と名だたる男達の人生は多くのドラマを残している。ただ少し残念なのは15人取り上げた関係か、一人ひとりに割く文量が少ないことである。21世紀のスタートに立ち、自らの人生について考えてみたい。

いまの時代が読めますか

著 者:邱 永漢

出 版:PHP研究所

金 額:1000円


 糸井重里のインターネットサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」における著者のコーナー「もしもしQさんQさんよ」で連載された内容を書籍化したもの。日々のちょっとした出来事や時勢などについて短文でまとめられており、まさに書名の通り、今の時代を読むには良い本です。サイトで読むこともできますが、まずは本で読んでみると良いでしょう。もちろん続きはサイトで読むことができます。コンテンツを無料にするか有料にするか考えるには最適な事例。

これでいいのだIT革命

著 者:久保田達也

出 版:インプレス

金 額:1300円


 人気プランナーの書いたIT革命論。超アナログ企業のための実践ガイド!と題されているインターネット活用入門書。しかしただの入門書ではなく、いかにITを商売に結び付けるかを考えた一冊。分かりやすくて良い本だとは思うが、本当にアナログ企業であれば読みこなせないかもしれない。自社のホームページくらいは持っている半デジタル企業に丁度良いだろう。そういう意味では、21世紀にもなってホームページも開設していないような企業に未来はないと言うことか。

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