鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス
敗戦後80年を迎える今、すべての日本人が読むべき熱く切ない戦艦大和ストーリー。歴史小説で有名な伊東潤先生の最新刊だが、昭和もすでに100年が経過して歴史として語るものになったようだ。多くの犠牲があって今の日本があり、敗戦国として骨抜きにされて来た80年を今こそ振り返るべきだろう。本作を読むことで、戦艦大和という世界最大かつ最強のモノ作りを成し遂げる力を持ちながら、敢え無く沈んでいった日本と日本人について改めて考えることができる。
500ページに迫る分厚い本だが、若者たちの友情あり恋愛あり苦悩あり葛藤ありサスペンスあり殉職ありの熱いストーリーに引き込まれる。そして戦艦大和を建造する詳細なやり取りに、造船の専門家が書いたのかと思うような伊東先生の調査力が光る。誰もが知る史実がありながら読者を飽きさせない筆力を充分楽しめる一冊。本が分厚くて重いし読み始めるのを躊躇していたが、読み出したら止まらなくなって一気読みした。重い本がイヤな人はKindleで。終戦記念日までに読むことをおすすめする。