代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2003年版

コスト削減で元気が出るか

 東大を出て建築家となり、そこからマッキンゼーに転じてコンサルタントとなり、現在は外資系金融機関の日本代表を務めるという変わった経歴の著者が書いた日本企業に喝を入れる一冊。後ろ向きな経営改革ばかりでなく、もっと破天荒な(オリジナルな)自らの仕事を楽しむような創造性を発揮できる経営をするべきであると説く。確かに、今の日本には生活のため、家族のため、給料を稼ぐため、と言いながら、イヤイヤ義務感で仕事をしている人が多いように思う。どうせ仕事をするなら、もっと前向きに楽しんでみてはどうだろうか。どうせ苦労するなら、その苦労を楽しむ心の余裕を持ってはどうだろうか。たとえ生活のために仕方のない仕事であっても、それが給料という成果を生むものである以上、何らの価値を世の中に創出しているはずである。その使命感を持って仕事に取り組むことが求められているのではないだろうか。分かりやすくて、前向きな気分にさせてくれる良著。

著 者:青木 淳

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1400円




一勝九敗

 あのユニクロの会長が書いた経営論。ファーストリテイリングのこれまでの軌跡を振り返り、その時々の経営判断を紹介してくれている。恐らく、実質創業者とも言える著者には、FR社が大企業になっていく危機感があるのだろう。本書の内容は一般の読者のためというよりも、FR社の社員に向けて創業の心を忘れるな、過去にいろいろな苦労があって今のFRがあるんだ、というメッセージを伝えようとしたもののように感じる。良い意味でそれが外部にも参考になるメッセージになっているし、熱い内容になっていると思う。非常に良い本です。ついついこの本を読んでユニクロの店に足を運んでしまったが、「うーん、どうなんだろう」買いたい物がない。FR社に危機感を持ってもらいたいと思います。必読。

著 者:柳井 正

出 版:新潮社

金 額:980円




戦略「脳」を鍛える

 ボストンコンサルティングのヴァイスプレジデントが書いた「BCG流 戦略発想の技術」。著者は、京大、ハーバード大を出て、日本航空を経てBCGへ入った人。単なる戦略論、戦略構築ツールの紹介ではなく、「インサイト」と呼ぶ心眼というか、洞察力というような感覚を持つことを提唱している。戦略「脳」を鍛えるという程高度なものではないが、戦略発想を分かりやすく解説した本ではある。BCGには珍しく日本的というか、米国理論の日本版ではなく、日本のコンサルタントが日本人向けに書いたという内容。若手ビジネスマンや経営企画部門の人たちには参考になる本だと思う。

著 者:御立尚資

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




営業引力の法則

 船井総研のナンバーワンコンサルタントが書いた営業論。リフォーム業界などを得意とするカリスマコンサルタントだそうだ。顧客のニーズを聞いたり、顧客を追いかけたりするのではなく、自らの理念や価値観をぶつけて、それに合う顧客と付き合うべきである、というのが主旨。要するに、これだけ成熟化し、物があふれる中で、ニーズを持っている人は少ないということである。だから顧客にニーズを聞いているだけでは商売にならない。私はこれを「顧客創造の営業」と呼んでいるが、顧客に新しい「あるべき姿」や「理想像」を持ってもらい、新たなニーズを作り出すことが、これからの営業の仕事となる。非常に共感できる内容であった。営業マネージャー、営業担当者には是非おすすめしたい一冊。

著 者:五十棲剛史

出 版:徳間書店

金 額:1500円




かもめが翔んだ日

 あのリクルート創業者、江副氏の回顧録。生い立ちまで遡った半生記である。リクルート事件の顛末もいろいろと書かれており、有罪が確定した著者が、世間に対して自分の思いを伝えたいという本だろう。アルバイトからの流れで始めた求人情報ビジネスが時代の流れに乗って、一大メディア企業を創り上げたわけだが、リクルートに関連する書籍や人たちの言葉から出てくるのは、如何に優秀な人材を集めるかということに尽きる。人材を集めるというビジネスを、もっとも人材を集めることに熱心な企業が行ってきたということだろう。偏執的とも言える人材への思い入れが、人材輩出企業リクルートを作ったということだ。晩節を汚してしまったのは残念なことではあるが、稀有な起業家であったことは間違いあるまい。

著 者:江副浩正

出 版:朝日新聞社

金 額:1800円




商売の創造

 「商売の原点」との2分冊セット。同じくセブンイレブンのFC会議の速記録を元に書き起こした内容。こちらは、時流に適応し、顧客のニーズに真摯に向き合うことを中心に内容がまとめられている。基本の徹底、原点に帰るといったことを言っていると、どうしても新しいものを取り入れたり、時代の変化を先読みするようなことから遠ざかりがちであるが、不易流行の言葉通り、変わらない原点を大切にしつつ、新しい流れを読むことが大切なのだろう。口で言うのは簡単であるが、それを30年続けてきて、1万店のチェーンを作り上げたのだから素晴らしい。2冊とも非常に良い本。もちろん私は、2冊セットの愛蔵版(ケース入り)を買いました。

著 者:鈴木敏文

出 版:講談社

金 額:1400円




商売の原点

 セブンイレブンが創業以来毎週続けている全体会議(FC会議)の内容を書き起こした内容。30年分、1300回の速記録をもとにしたそうだ。小売業界の勝ち組であるセブンイレブン、イトーヨーカドーの背骨となる思想を凝縮したものと言えるだろう。鈴木氏は、この原理原則、基本の徹底を毎週毎週、繰り返し説いたと言う。確かに同じことが何度も何度も出てきて、例えや事例が違うものの同じことを繰り返し説いていることが本書からも窺える。商売に王道なし。まさに儲けるためにはそれ相応の努力をすべしということを思い知らされる書。中小、零細企業の経営者、街のお店の親父に読ませたい一冊。「本気でここまでやっているのか?」と。

著 者:鈴木敏文

出 版:講談社

金 額:1400円




商売魂

 元リクルートで、現在ダイエーの福岡事業のTOPである著者が書いた経営論。ホークス小久保の無償トレード問題などもあり、興味本位で読んでみたのだが、なかなか説得力のある仕事術が満載で参考になる。経営者向けというよりは管理職や若手ビジネスマン向けだろう。個人が持つ力や可能性を最大限に引き出すにはどうすれば良いかという点が著者の基本姿勢のようだ。「あぁリクルートにいた人らしいなぁ」と思える内容であった。著者の、いろいろと批判、攻撃を受けながらも情報を発信し続ける姿勢と覚悟に感心させられた。魂を感じる一冊。

著 者:高塚 猛

出 版:サンマーク出版

金 額:1600円




商いはたねやに訊け

 近江八幡に本社がある、和菓子の「たねや」社長が語った経営語録。近江商人の商売哲学を体現する著者の実践論。毎日新聞の連載記事が元になって構成されているようで、後半は毎日新聞滋賀版に載ったドキュメンタリー。近江商人の伝統を重んじながら、ITなども駆使して新しい経営像を具現化している点は多くの企業で参考になるだろう。実際に近江八幡のお店に行ったことがあるのだが、これは本当に徹底した本物思考の和菓子店であった。店構えやお菓子そのものもそうだが、社員、店員さんの対応が違う。本を読んで現場を見てみると学びが大きいと思う。

著 者:山本徳次

出 版:毎日新聞社

金 額:1500円




経営の実際

 言わずと知れた、セコムの創業者飯田亮氏の経営論。日本初の警備保障業を確立し、セコムをここまでの会社に仕立てた著者は、類まれな戦略家であると同時に実践の人だと思う。私自身非常に参考にさせてもらっている経営者である。松下幸之助や本田宗一郎、井深大など伝説となった経営者たちとはちょっと毛色が違うタイプだと思う。ベンチャー創業者というよりもプロの経営者という感じだろうか。GEのジャック・ウェルチにも通ずる経営者ではないだろうか。8つのポイントに分けて、経営とは何かを語っているのだが、重点は企業としてのカルチャー。企業としての姿勢をどれだけ末端まで浸透させられるかが経営の要諦であるとお考えのようだ。是非お読みいただきたい。

著 者:飯田 亮

出 版:中経出版

金 額:1500円




量の経営から質の経営へ

 企業経営者、コンサルタント、学者のそれぞれの立場から、今後日本企業が進むべき方向性を示した共著。量から質への転換を果たし、価格競争ではない、新しい競争機軸を構築せよ!というが、共通した主張である。花王の元社長、ボストンコンサルティングの日本代表、慶応ビジネススクールの先生が書いているわけだから、当然内容は大企業向け。量を売っている大企業であれば、納得できるかもしれないが、量も売っていない中小企業には、遠い理想論のように感じられるだろう。奇麗事の書いてある本である。それは間違いないが、経営は「分かっているけど・・・」と言いながらやらないか、すぐには無理でも「そうするべきだ」とビジョンを描いて進むかによって、差が付くものだから、理想論を参考にしつつ、自らの方向性を明確にすることは意味のあることだと思う。

著 者:常盤文克+内田和成+小野桂之介

出 版:東洋経済新報社

金 額:1300円




リクルートという奇跡

 リクルートの初代フェローから中学校の校長に転じた異色の著者が書いたリクルートの内幕本。元リクルートにいた弊社の社員に薦められて読んだのだが、1年前の本であり、新刊チェックを基本としている私としては最初気乗りしなかったし、著者の他の本から来るイメージがあまり好きではなかったので、当コーナーに紹介することはないだろうな、と思っていた。が、読んでみると非常に内容の濃い、熱い本であった。リクルートという偉大な異色企業を内面からえぐった本である。単なる企業本ではなく経営指南書である。創業社長、二代目社長、ベンチャー経営者、若手ビジネスマンに読んでもらいたい。中間のサラリーマンは、読んでもつまらないだろう。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」というリクルートの社訓(事件後なくなったらしいが)は、多くのビジネスマンに参考となるものだと思う。

著 者:藤原和博

出 版:文芸春秋

金 額:1429円




福祉を変える経営

 ヤマト福祉財団理事長が書いた、福祉改革論。ヤマト運輸を退いた後、財団を作って福祉に力を注いでいる著者が書いた、福祉の経営改革。副題は「障害者の月給一万円からの脱出」。低賃金に甘んじる障害者に付加価値の高い仕事をさせ、自力で稼ぐ道を作ることが、ただ保護をして補助金を与えるよりも価値があると説く。まさにその通りの指摘だろう。そしてそれを言葉だけでなく、私財を投じ現場に立っているのは素晴らしいことだと思う。企業経営者が一線を退いた後、その経営手腕を使って福祉の道に入ることは好ましい道であると思う。老害を撒き散らして、会社に居座るよりも、余程価値を産む時間の使い方だろう。福祉施設の経営を分かりやすく説いた内容であるが、一般の企業においても参考になるものである。是非、高齢の経営者に読んでもらいたい一冊。若い人にも読んでみて欲しい。良著。

著 者:小倉昌男

出 版:日経BP社

金 額:1300円




ザ・ゼネコン

 人気経済小説家の最新作。「政官との癒着、消えぬ談合体質、闇社会との関わり--建設業界の暗部に迫った問題作!」だそうだが、思った程ひどいことは書かれていなかった。小説とは言え、ほぼ実名が分かってしまうような登場人物で、そういう意味ではここまで書いていいのかなと思う部分も多かったが、逆に実名が分かる設定だけに、書きたくても書けない部分が残ってしまったのではないかと推察する。ある銀行員がゼネコンに出向し、そこでドラマが展開されるのだが、ゼネコンがどうこうと言うよりも銀行員は大変だなという印象の方が残った。「金融腐蝕列島」を書いた著者だけに、銀行への批判が暗に込められていたのかも知れない。建設業界のことを知るにはお勧め。建設業界、金融業界を志望する学生さんは是非読んでみるとよいでしょう。

著 者:高杉 良

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1700円




イノベーション・マネジメント

 コンサルティング会社の若手コンサルタントが書いたHR(ヒューマン・リソース)論。事例研究やインタビューを通じて人事の将来像を描くとともに、日本LCA自身の人事に対する考え方を開陳している。サブタイトルは「個が活きる経営、個を伸ばす経営」。私が日ごろ提唱する「個を活かし全体を生かす経営」と近いものを感じ、ついつい買ってしまった。30代の若手コンサルタントだけに、過去の人事制度のしがらみがなく、新しい提案が心地よい。こうした世代が中心になっていくと、これまでの人事制度は通用しなくなるだろう。また本書でも指摘されているように、人事という言葉そのものがなくなり、HRとなるかどうかは分からないが、人材をどう採用し、どう育成し、どう活用するかという問題について、新しい理想像を模索する時代となることは間違いない。

著 者:日本LCA

出 版:PHP研究所

金 額:1400円




デフレ生活革命

 ミスター円と呼ばれた著者の最新刊。デフレが進行する中で、どう処するべきかを論理的に解説している。さすがに元官僚は理詰めで説得力がある。これからは常識が逆転する時代であり、これまでの発想、価値観が通用しなくなる「革命」が起こると指摘する。「資産は持つな」「借金はするな」「給料は上がらない」などマイホームを建てて借金を抱えている人にとっては気が滅入る指摘が満載だ。かく言う私も多額のローンを抱えており、決して他人事ではないのだが、いずれにせよ世の流れを知り、時代の変化を見据えた人生設計が必要だと言うことだろう。ビジネスマン必読。できれば家庭の主婦にも読んでもらうと良いだろう。

著 者:榊原英資

出 版:中央公論新社

金 額:1400円




「バカの壁」をぶち壊せ!正しい頭の使い方

 大ヒットとなった「バカの壁」の著者とご存知日下公人先生の対談本。目からウロコが3回は落ちる本である。政府や学者やマスコミなど、一般に信じられているものを疑えという提言が満載。表面的、一般的な情報によって分かったつもりになることこそが「バカの壁」なのだろう。売れ過ぎると読みたくなくなるという天邪鬼な性格によって「バカの壁」は読んでいないが、まだ読んでなくて読まなければいけないかな、と思っている人は、是非こちらの本を読むことをお勧めする。日下先生の発想によって養老先生の良さが引き出されているように思われる。なかなかの良著。おすすめです。

著 者:養老孟司+日下公人

出 版:ビジネス社

金 額:1400円




てっぺん

 モーニング娘。のプロデューサーとしてしられる、つんく♂と、AV(アダルトビデオ)の製作会社ソフトオンデマンドの社長の対談本。プロデュースについてお互いの仕事について語っているのだが、かなり熱い処世訓である。是非若手ビジネスマンに読んで欲しい。確かに彼らが指摘するように、自分から動こうとせず、ぶつくさ不平不満を言っているだけの人間が増えているように思う。つんく♂は多くの人がご存知だろうが、高橋がなり氏はTVプロデューサーのテリー伊藤氏の下で修行した人で今やセルビデオを60億以上売る業界ナンバーワン企業のオーナーとなった人物。従って対談の中に、アダルトビデオがどうした、SEXがどうの、という記述が多いため、女性にはおすすめしにくい内容になっています。モーニング娘。ってなんやねん?という年配の方もちょっと厳しいでしょう。若い男性向け。

著 者:つんく♂+高橋がなり

出 版:ビジネス社

金 額:1300円




顧客第2主義

 顧客第一ではなく、社員を第一とするべきだと言う驚くタイトル。しかし内容としては、顧客を大切にするためには、まず社員を大切にすべきであるとの主張。世界第三位の旅行代理店が取り組んでいる実践ノウハウの書。ちょっと日本企業では難しいかなという内容もあるが、概ね参考になる。これからの企業経営において考えなければならないテーマだろう。もちろん、社員第一主義といっても単に社員を大切にして甘やかせれば良いと言うものではなく、社員の選別や採用などについてはシビアな提言が盛り込まれている。まさに本書が言うように企業価値とは社員の価値の総和であり、社員こそが価値の源泉である。その社員を大切にすることこそが、顧客サービスの質を上げ、企業力を増すことになる。マネージャー、経営者必読。是非。

著 者:ハル・ローゼンブルース+ダイアン・ピータース

出 版:翔泳社

金 額:2200円




救国12の提言

 稲盛和夫氏、植草一秀氏、加藤寛氏、常盤文克氏、寺田千代乃氏らで作る「救国会議九人委員会」の提言をまとめた一冊。著者はその世話人。現行の体制を「悪」であると断じ、新しい体制へと転換しなければ日本を救うことは出来ないと提言している。内容は非常に大胆でもあり、また非常に細かい具体論まで示すものとなっている。こうした考えを持ち提言をする人がいる一方で、人気投票のような選挙を繰り返し旧来の体制を維持しようとする人も多いことに情けなく思うが、民主主義が衆愚政治にならないことを切に願いたいものだ。12の提言の内、案外波及効果が大きく、現体制を崩すことになるのではないかと思えるのが、首都機能の三分割移転である。確かに過去の日本の歴史を振り返れば、首都遷都が大きな節目を作っているし、現状の官僚組織を打破するには物理的遮断が手っ取り早いように思う。読んでおきたい一冊。

著 者:堺屋太一

出 版:PHP研究所

金 額:1000円




クチコミュニティ・マーケティング 2

 単なる口コミではなく、コミュニティを作ってクチコミを創り出す「クチコミュニティ」という新概念を提唱した前作「クチコミュニティ・マーケティング」の実践編。さすがクチコミを提唱する本だけあって前作はかなり売れたそうだ。(やはりクチコミュニティで売れたのだろうか・・・)著者は90年に主婦で子育てもしながら会社を設立し、それ以後13年増収を続けている女性ばかりの会社「ハー・ストーリィ」の社長。全国に10万人の女性会員を持つクチコミュニティの総元締(?)。女性経営者で華々しくアイデアや企画は良いが実態が伴わないという人は多いが、著者は実際に10万人の組織を作り上げた実践の人。実は以前かなり近所に会社があったこともあって存じ上げているのだが、子供服のリサイクルショップもやっていたりして、ネット系だけでなくリアルビジネスにも通じたノウハウがある人だ。きっとこの本も売れるのでしょう。私がこうやってクチコミしているくらいだから・・・。私のようなクチコミを広める存在を「シーダー」と呼ぶそうです。ちなみに「口コミ」と「クチコミ」は区別されています。おすすめの一冊。

著 者:日野佳恵子

出 版:朝日新聞社

金 額:1300円




グリーンシート

 未上場株式の公開市場である「グリーンシート」を立ち上げたディーブレイン証券社長が書いた金融改革論。副題は直接金融市場革命。従来の店頭公開がジャスダック上場へと位置づけが変わり、それに代わる存在として登場してきたのがグリーンシートである。著者は、間接金融ならびに既存の直接金融の問題点を指摘しながら、グリーンシートによって中小、ベンチャーの活性化を実現しようとしている。理念の人だと思う。確かに、銀行による間接金融は、銀行自身の業績もあって中小やベンチャーには厳しい存在である。そして一方の株式上場についてもそう簡単にできるものではないし、実現のためにかかるコストや工数が過大である。その隙間を埋めるのがグリーンシートであり、著者が言う拡大縁故増資である。いずれにせよ、株式の上場や公開は資金調達の一手段であり、企業成長のステップに過ぎないわけで、それを目指すのではなく、それを成長の踏み台として活用することが重要であろう。今の株式上場は、マザーズやヘラクレスのような新興市場であっても不透明なハードルが多く、一般の企業が活用するといったレベルのものではないのが現実だ。ベンチャー企業はもとより、中堅・中小企業の経営者にも是非読んでいただきたい。

著 者:出縄良人

出 版:文芸社

金 額:1600円




「孫子」に学ぶ仕事完遂力

 音楽家である著者が孫子を研究したというのも畑違いで興味深いが、更にそれを仕事術としてまとめた一冊。著者はクラシック出身でありながら、小林幸子の「おもいで酒」を作曲した演歌作曲家でもあるという人。この中国古典の専門家でもなく、産業界のコンサルタントでもない人が、孫子を解き明かして仕事の進め方に言及していることから、他の孫子解説書にはない切り口と読みやすさがある。『孫子に学ぶ売るためのIT化』という冊子を作っている私としては、似たようなタイトルで真似されたような気分ではあるが、やはり孫子は短文で本質を突く内容だけに、解釈によっていろいろと学ぶことがあるというのを再認識させてもらえた。面白い本です。

著 者:梅谷忠洋

出 版:PHP研究所

金 額:1300円




人口減少社会のマーケティング

 2005年からは日本の人口は減少するという立場に立って、これからのマーケティングをどうしていくべきかを論じた一冊。人口容量という概念によって人口停滞と人口減少のメカニズムを解析しており、納得させられる。江戸時代中期をモデルに、人口減少社会におけるビジネス対応法を解説している。本書の後半はどうも言葉先行というか無理やり概念化しようとしている感じがするが、前半部分の考察はなかなかするどく的を射ている。人口減少は避けようのない現実であり、それもあと2年後にはやってくる大きな波であることは間違いないので、早めにビジネスモデルを転換させる構想を練っておきたいものである。

著 者:古田隆彦

出 版:生産性出版

金 額:1800円




長所伸展の法則

 取締役も退任し名誉会長となられた船井幸雄氏が経営のバトンタッチを進めるために書いていると(コンサルティング業界の人間には)思える船井総研における人材育成法。そのポイントは長所伸展法であるという。とにかくどんな部下にも長所があり、欠点は決して責めてはならないそうだ。それがなかなか実践できないことは本書の中でも吐露されているが、これを「理想論じゃないか」と思うようではまだまだ修行が足りないということになるのだろう。こうした指導法は天才養成には必須のことだろう。しかしなかなか人材を採用できない企業がこれで良いかというと疑問が残る。本書でも触れられているが歩留まりということも考えて、採用数を多くし、その中で伸びる人材を引き上げるということにできればよいかもしれない。いずれにしても企業の成長発展は人材によって決まり、またその人材確保、育成は非常に難しい永遠のテーマであるということであろう。少なくとも船井総研ではうまく行っており業績も伸びているそうです。

著 者:船井幸雄+小山政彦

出 版:ビジネス社

金 額:1500円/p>


ドットコム仕事術

 「週間ポスト」に連載されたエッセイをまとめた大前本最新刊。情報に鮮度がないだけに、「オッ」と驚くような提言はないが、やはりさすがは大前研一。なるほどそうかと納得させられる指摘が多い。一般のサラリーマンが全員大前氏のような生き方をすることはできないだろうが、時代は変化し、組織に従属するだけでは生き残っていけない時代なだけに、1/10でも実践して自分の価値を高める努力をしておく必要があるだろう。ビジネスマンにはお勧め。

著 者:大前研一

出 版:小学館

金 額:1300円




りそなの会計士はなぜ死んだのか

 「週間エコノミスト」の記者が、りそなへの公的資金注入の裏で担当していた公認会計士が自殺(もしくは他殺?)した事件を追いかけた一冊。経済スキャンダルにまつわる関係者の自殺は珍しくはないが、「よくあることだよね」と軽く済ませられるものではあるまい。そのような問題意識を持った記者が関係者を当たり、監査法人、りそな、会計士協会、金融庁などの真意、裏事情を探っている。グローバルスタンダードという名のアメリカンスタンダードによって、ビジネスの健全性が却って失われているような気がしなくもない。世界中をネットワークし寡占状態にある監査法人のあり方にも疑問を感じる内容であった。上場企業ならびに上場を目指す企業の方は読んでみると良いでしょう。

著 者:山口敦雄

出 版:毎日新聞社

金 額:1300円




非常識な組織づくりが会社を強くする

 マザーズ上場企業イーディーコントライブのコンサルタントが、当社ならびに創業者である川合アユム氏の半生を紹介した企業本。自分のクライアントを書いているだけあって、多分に礼賛美辞麗句が多いが、PD(プロジェクトドライブ)なる制度によって、社員が自分でプロジェクトを立ち上げたり、そのメンバーに応募して事業運営を行うというユニークな経営手法を内部から描いていて参考になる。PD制度はミスミの事業部制と似たような感じの制度である。また役員は立候補制で、社長自身も毎年社員からの信認を受けなければならないという。そして給与や経費はすべて公開。私が提唱するNI(ネットワーク・アイデンティティ)経営と基本コンセプトは似ており、賛同する面も多いが、ベンチャー企業でなければできないような過激な制度にもなっている。しかしここから普遍的にエッセンスを抽出すれば一般企業でも参考になることは間違いない。

著 者:谷間 真

出 版:実業之日本社

金 額:1500円




成長経済の終焉

 副題は「資本主義の限界と豊かさの再定義」。自宅の机に置いてあった本書を見て愚妻が一言「面白くなさそうな本だね」と。確かに面白おかしくなく、どちらかというと気が滅入る本である。慢性的な供給過剰状態にあり、人口も減少していく日本は明らかに構造変革が起きており、小泉構造改革の前に実態が大きく変化しているという指摘は、「そのうち景気が良くなってくれるのではないか」と淡い期待をしている人の夢と希望を打ち砕くだろう。面白くない本であり、おまけに分厚いが、読んでおかなければならない本である。グローバル経済ならびに日本経済が長期低迷に陥っていくメカニズムを分かりやすく理解させてくれる一冊。10年先20年先を考えておかなければならない経営者、幹部必読。

著 者:佐伯啓思

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2000円




稼ぐ仕組み

 1960年代からずっと言われ続けてきた「問屋不要論」によって危機感を持ち、自らを変革させながら成長を遂げ、収益を上げている卸企業の事例研究書。菱食、パルタック、高山、外林などが取り上げられ、何を考え、何に苦労しながら革新を遂げてきたかを紹介。40年間の取り組みを64年生まれの若手教授が再考した意欲作。フルライン化、得意先の集中、PB、ネットワーク化、物流強化など、「取引」ではなく「取組」が説明されており参考になる。確かに卸の機能は無くなることはないだろう。しかしそれを問屋が担う必然性はない。小売でもメーカーでも物流会社でもその機能を果たせばそれで良いのだ。問屋が不要なのではなく、求められる機能を実現できない企業が消えていくことになるのだ。厳しい環境を嘆くのではなく、その逆境をチャンスと捉える企業のための一冊。卸経営者には必読。

著 者:小川 進

出 版:日本経済新聞社

金 額:1600円




これから知識社会で何が起こるのか

 これまでの常識が通用しなくなり、今現在新しい常識とされていることも、近い将来通用しなくなるという提言。単なる知識や情報が価値を持たなくなるという指摘はまさにその通りだろう。最近、資格取得などに勤しむ人が多いようだが、資格認定されたような、定型的、一般的な知識や情報を持っているだけでは通用しなくなるだろう。知識ではなく智恵の時代ということだ。ネットワーク化が進み、IT化が進むことで、より人間としてどういう価値を生み出すかが問われるようになってきている。単にデータを整理したり、事務作業をするようなことは減り、そうした事務的肉体労働は価値を急速に低下させているのだ。今こそ、ビジネスマンのパラダイムシフトが必要な時である。字数も少なく読みやすい本です。

著 者:田坂広志

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




あなたの部下に「大きな魚」の釣り方を教える方法

 聖書の教えをベースにした組織運営の書。チームビルディングについて、イエス様の例を用いながら解説。クリスチャンでなければ理解しがたい面もあるが、なかなか参考になる内容ではある。確かにイエス様やお釈迦様、日本で言えば日蓮上人や道元禅師など宗教や宗派の開祖となった人は、すごい求心力を持ったリーダーであり、また強力なチームビルダーであると言えるだろう。単に御加護や御利益を与えるのではなく、どうすれば有意義かつ正しい生き方ができるのかを説くことは、門徒を集めるには遠回りかもしれないが、より強固な信者を作るには大切なことだろう。どうも最近の企業は、目先の条件や待遇などで人を集めようとし過ぎる感がある。釣った魚を欲しがる人材では厳しい時代を乗り切ることはできないのではないだろうか。経営者、人事担当者、マネージャーはもとより、若手ビジネスマンにも是非読んでもらいたい本である。

著 者:ローリー・ベス・ジョーンズ

出 版:大和書房

金 額:1500円




複雑系組織論

 ゲーム理論で有名な著者が書いた複雑系理論を組織運営に適応させた組織論。今後の組織運営、企業経営において複雑系理論は欠くことのできないものであり、なんとか実践的に適応させたいものであるが、何しろ理論が回りくどいというか分かりにくい。私の頭が悪いせいかもしれないが、もう少し分かりやすく書いてくれ!とお願いしたくなる。本書も是非読んでおくべきものではあるが、読みやすく分かりやすいか、という観点から言うととてもおすすめできるようなものではない。しかし必要ではある。本書におけるキーワードは「多様性」「相互作用」「淘汰のメカニズム」の3つ。特に相互作用を如何に組織内で創り出すかという点は、急いで実践的な回答を提示すべきだと考えて取り組んでいるところだ。

著 者:ロバート・アクセルロッド+マイケル.D.コーエン

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2400円




ソーシングイノベーション

 資源ベース経営戦略論シリーズ4部作の1つ。他の3冊は「ポストITストラテジー」「カスタマーマイニング」「グローバルチャネリング」。日科技連という地味なところから結構するどい切り口で出版しているなというのが率直な印象。若手研究者が書いた論文を監修しているものである。その中で本書は、アウトソーシングという概念に限界が生じ、ソーシングという新しいコンセプトを持つべきであるという内容。ちょっとITに偏った考察であるが、正しい洞察であり、私が「アウトソーシングからリンクソーシングへ」と提唱している内容とほぼ同じものである。要するに企業という枠組み自体が意味を成さなくなり、「イン」か「アウト」かということを議論する意味がなくなるということ。複雑系組織論の具体的実践手法としてアウトソーシングは有効な示唆を与えてくれるだろう。特に、アウトソーシングの限界を意識した本書のような考察は新しい企業経営の形をイメージさせてくれる。良著。

著 者:遠山 暁

出 版:日科技連出版社

金 額:2900円




「原因」と「結果」の法則

 聖書に次ぐベストセラーというほど多くの国で多くの人に読まれた自己啓発書。それがなぜ今ごろ日本で初の完訳本が出るのかは分からない。著者は、謎の哲学者だそうだ。本書の内容が成功哲学の大御所であるナポレオン・ヒルやデール・カーネギー、オグ・マンディーノらに影響を与えたと言う。確かに、言わんとしていることは共通しており、本書の内容をベースに枝葉を付けたと言えばその通りとも思える。原因と結果の法則とは、要するに因果応報のこと。著者は仏教も研究していたようだが、法華経の一念三千とも通ずる内容である。人の思いが環境(現実)を創り出すという内容だ。塩谷信男氏や斉藤ひとり氏らの指摘とも符合する点は興味深い。読み易く、また優しい本である。読むと心穏やかになる。一時間程で読める本だが内容は濃い。是非ご一読を。

著 者:ジェームス・アレン

出 版:サンマーク出版

金 額:1200円




ベンチャーの創造なくして日本の再生はない

 UFJキャピタルの社長が書いたベンチャー論。銀行員として、ベンチャーキャピタリストとして、中小、ベンチャーを見てきた著者の日本憂国論でもある。銀行とベンチャーキャピタルでは立場も役割も違っているが、いずれも金の面から企業経営をサポートすると考えると、ベンチャー創出も大切だが、中小企業のベンチャー化(意識変革と成長促進)も必要なことではないだろうか。著者も指摘するように、ベンチャーキャピタリストだけではサポート体制が弱いと思う。銀行や信用金庫などのサポートを工夫することを是非考えてほしいものだ。ベンチャー企業必読。どんな目でVCから見られているか知っておくと良いでしょう。我が社もUFJキャピタルに出資してもらっています。

著 者:中村 明

出 版:SSコミュニケーションズ

金 額:1600円




高く売れる人 タダでもいらない人

 30代女性ヘッドハンターが書いた人材論。ヘッドハンティングのやり方なども紹介してあって面白い。途中からは自叙伝みたいになってちょっと冴えなかったが、ビジネスウーマンは読んでみると参考になるだろう。本書を読んでつくづく思うのは、人材を見極めるのは難しいということと、ヘッドハンターという「他人」を商品にする仕事はあまり気乗りのする仕事ではないな、ということ。ヘッドハンターを使ってみたいとは思ったが、自分でやってみたくはない仕事である。転職を考えている人や、人材確保で頭を悩ましている企業経営者にはお勧めの一冊。

著 者:石原久美

出 版:KKベストセラーズ

金 額:1400円




ヤクザに学ぶ指導力

 「ヤクザ組織のシステムと統制ぶり、組員の忠誠ぶりをそのままビジネス社会で展開したら、たちまち業界一のトップ企業になるだろう」ということで書かれた、ヤクザの部下統率事例集。確かに、組長、親分のために、命を顧みず、逮捕されることも恐れず、突っ込んでいく忠誠心と行動力は、一般企業においても参考にすべきことであろう。なにがそうさせるのか、いろいろ要因はあろうが、結局はトップ次第ということらしい。筋を通し、仁義を切り、部下のためには体を張るトップリーダーがいてこそ、命を捨てて親分を守る組員が育つということだ。ヤクザ稼業を肯定するつもりはないが、企業のトップも部下に「親父のためならいつでも死にます」と言わせる度量をもって欲しいものではある。いずれの世界でも人の上に立ち、人を導くことは難しいものである。TOPを目指す人は読んでみると良いだろう。文庫書き下ろし。

著 者:山平重樹

出 版:幻冬舎アウトロー文庫

金 額:495円




絶対成功する千回の法則

 常連高額納税者の斎藤一人氏へのインタビューを書籍にまとめた一冊。論理的かつ知的に人生を生きたい人は読まない方が良いでしょう。「幸せだなぁ」「有り難いなぁ」「やってやれないことはない」などと千回口にして、口癖にしてしまえば成功するという内容。馬鹿馬鹿しいと思えばそれまでだが、天地自然の法則に従うとそうなるそうだ。それで実際に巨額の収入を得ている人がいる訳だから、それもそうだ、と思えるかどうかが成功、非成功の分かれ目だろう。信じる者は救われる、という言葉もあるし、私は結構信じている。コンサルタントがそんなことではマズイという意見もあるだろうが、理論理屈だけで割り切れないのが世の中でもあって、人間の持つ可能性を信じてみるのも悪くない。難しいことを考えず、人生を楽しく生きたいという人は読んでみると良いだろう。

著 者:斎藤一人

出 版:講談社

金 額:1500円




なぜあなたのチームは力を出しきれないのか

 私の師匠から読むように言われた一冊。経営者として何をなすべきか、どこに重点を置くべきかを分かりやすくストーリー仕立てで説くもので、大いに参考になる。リーダーとしてやるべきことをシンプルに4ヵ条にまとめているのだが、内容は深い。第1条「まとまりがある指導者チームをつくりその結束を維持する」、第2条「透明な組織をつくりだす」、第3条「組織が決定したことの伝達はやる過ぎるくらいやる」、第4条「人事システムで透明な組織を強化する」の4ヵ条だ。これだけを読むと「なんだ当たり前じゃないか」と言いたいようなことだが、是非本書を読んでみて欲しい。私も多くの気付きを得、実践に移そうと決意した。経営者必読の一冊。師匠に感謝しつつ皆さんにもお勧めする。

著 者:パトリック・レンシオーニ

出 版:日経BP社

金 額:1400円




目からウロコのマーケットの読み方 上・下

 異色エコノミストが解き明かす世界経済の裏事情とその展望。TVのニュースや新聞記事を読んでいるだけでは分からない世の中のカラクリを明らかにしてくれる一冊。著者が全国会議員にプレゼントしたそうなのだが、是非勉強して政治力を発揮して欲しいものだ。分からないからできないのか、分かっていてもやらないのか、悪意をもって違う方向に進もうとしているのか、一般市民には良く分からないが、ちょんまげを切ったとかマスクをかぶったとか愛人にコスプレさせたとか、どうでもいいことに労力を使ってないで、まっとうな努力を政治家の皆さんにはして欲しいものだ。本書によると邪魔さえしなければ日本経済は急回復に向かうそうだ。政治家には邪魔をしないことを期待しよう。

著 者:増田俊男

出 版:アスキーコミュニケーションズ

金 額:各1500円




資産ゼロから大成功する「魔法の粉」の使い方

 学習塾の関塾社長が書いた成功術。4畳半一間から始めた塾を大きくした要諦を公開。女性ならではの木目細かさと良い意味での厚顔さが成功のポイントであるように感じた。人を見た目で判断するなどというのは、まさに女性的な感覚ではないかと思う。特にサービス業では見た目は大切だ。ちょっと気になったのが、「営業革新システム」なるものでビジネスモデル特許をとったというところ。内容の説明によると、ありがちな個人向けのSFAなのだが、そんなので特許を取られてはたまらないなと思う。知的財産の見直しを日本企業もすべき時代が来たということだろうか。創意と工夫があればゼロからでも価値を生むことができるという智恵の本。

著 者:田部井昌子

出 版:講談社

金 額:1500円




これで儲けろ!

 キャラクターを活用した商売繁盛術を説いた本。著者は商売繁盛クリエイターだそうだ。フォレスト出版お得意の神田昌典ファミリーによるエモーショナルマーケティング本でもある。表紙は黄色にピンクの文字だ。最近こうした関係の本でヒットを飛ばしているので忙しいのか知らないが、誤字、誤変換が多過ぎるのには閉口する。編集の人にはしっかりチェックして欲しい。本の内容は非常に具体的で分かりやすい。おまけに本書で提示されているキャラクターの製作費などが結構安い。著者はキャラクターを「マーケティング・キャラクター」と呼び、「商売繁盛縁結びの神」と名づけている。確かにキャラクターはあった方が良いだろうし、デザイン的な統一というものはどこの企業でもお店でも必要なことだろう。中小企業必読。

著 者:濱田有弘

出 版:フォレスト出版

金 額:1400円




明日生まれる卵はいくつ?

 四半期毎に計画を見直すローリングプランの重要性をアメリカの牧場経営のストーリーに置き換えて解説した経営書。著者はベリングポイント(旧KPMGコンサルティング)のマネージングディレクター。最近はこうしたストーリー仕立てにした経営書が多くなってきた。分かりやすいと言えば分かりやすいが、回りくどいとも言える。読みやすくしないと本が売れないのか、ビジネス書を読む層が広がっているのか分からないが、イメージしやすいことは間違いない。本書で言うように、長期的な計画を立ててその通りに進めようと思っても環境変化が速くて大きいため、必ず計画修正をしながら機動的に経営をする必要がある。それが「いきあたりばったり」にならないように、長期のビジョンと短期のアクションのバランスを取りたいものだ。経営企画関係のビジネスマンは読んでみると良いだろう。

著 者:増川稔浩

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円




「バカ売れ」の法則

 PHPにしては下品な表紙のマーケティング指南書。著者の幼少時の「イジメ体験」から倒産の危機までさらけ出した全力投球の一冊。本音の本だけに、参考になることも多い。本書は、感情マーケティングの本ではないらしい(感情マーケティングが否定してある)が、かなり近い内容であると思う。売れない時代だけに、如何に顧客に訴え、行動を起こしてもらうかということに世間の関心が集中しているのだろう。そうした本が売れているだけに、私もついつい読んでしまうのだが、「売れればよい」というのが行き過ぎ、出過ぎると長期的にはうまく行かないだろう。本書で学びたいのは、ビジネスを進める上で「ここまで工夫するのか」「ここまで考えるのか」ということ。いつの時代も怠惰で成功した人間はいないということ。

著 者:原崎裕三

出 版:PHP研究所

金 額:1300円




オブジェクティブ&ゴール

 大きく言えば目標管理の本だが、形骸化してしまっている従来の目標管理を行動に落とし込むための一冊。目標と問題意識の関係を整理し、目標設定を定性的内容であるオブジェクティブと定量的内容であるゴールの両方で捉えることを提言している。確かに問題を目標と現状とのギャップとすると、定性的な目標では進捗度を測ることはできない。従って目標管理が単なるお題目になってしまうということだろう。更に目標設定から具体的行動に落とし込むためのキャンペーンなどにも言及。分かりやすく書いた良著である。ただ分かりやすくすることを意識し過ぎているのか、多少くどくなっているような気がした。管理職以上の方は是非。

著 者:山﨑康司

出 版:講談社

金 額:2000円




成功ノート

 売れっ子マーケッターが監修し、若くして成功を収めた(自称)起業家4名が書いた成功指南書。フルタイトルは「図解 非常識に儲ける人々が実践する 成功ノート」。エモーショナル・マーケティングの実践者達らしく、分かりやすいタイトルと、B5版の大きなサイズに黄色に金文字のタイトル。そして1000円という手頃な価格。実際売れているそうだ。内容はそんなに非常識ではないと思うが、要するに売れている企業や儲けている人の裏を読めということ。人の上を行こうと思ったら、人と同じ事を考えていては駄目と言うことだろう。踊らされる人間とどう躍らせるかを考える人間がいるということ。この本がどのような売り方をされ、どのような広告が打たれているか、誰が企画し、誰が儲けているのかをまずは研究してみると良いだろう。

著 者:神田昌典監修 起業家大学著

出 版:三笠書房

金 額:1000円




ザ エクセレントカンパニー

 東洋水産をモデルにした企業小説で、外資の経営に対し、日本企業の良さをアピールしたかったという内容。マルチャンの米国法人での場面が中心で、日本的な経営と米国文化の摩擦などを取り上げている。登場人物は仮名であり、モデル化されているが、この前編にあたる「燃ゆるとき」では実名で描かれた。本書は、高杉氏が書いた「燃ゆるとき」の続編であり、「小説 ザ・外資」のアンチテーゼであるという。確かに米国流の経営にはエゴイスティックな面が強過ぎるし、元気がないと言われている日本企業の中に結構業績の良い企業が多い。何でも「アメリカでは」「欧米では」というものさしを持ち出す日本人に、日本には日本の良さがあることを訴えたいという著者の意図はよく理解できる。もちろん日本には日本のやり方がある、と考えるだけでなく、本書にも出てくるように異文化間のコミュニケーションをもっと積極的に進めていく必要もあるのだろう。海外とのやり取りがあるビジネスマンは是非読んでみたらよいだろう。

著 者:高杉 良

出 版:毎日新聞社

金 額:1700円




人間百歳自由自在

 100歳にして週に一度はゴルフを楽しみ、エージシュートを3度も達成したという元医師と人気論客(73歳)の対談本。人間は本来100歳までピンピンして生きられると説く。その秘訣は呼吸法とイメージの力。それを正心調息法と呼ぶ。人間の持っている無限の可能性を感じられる一冊。塩谷氏の書いた「自在力」などは、以前にも紹介したことがあるが、おすすめである。実際に自分が体験し、実証してきた内容であり、下手な理屈がない分、納得できる。それを渡部先生が学者らしく理屈をつけようとするのだが、73歳も100歳にはかなわない。「あなたも現代人なんだなぁ」で終わり。なかなか笑えるやり取りだ。宇宙や自然のことで人間が理解していることはほんのわずかなことである。それを人間が理解できないからと言って、非科学的、オカルト的と決め付けるのは、それこそ非科学的だ。50歳を超えた人には是非読んで欲しい一冊。まだまだ若いと思えるだろう。

著 者:塩谷信男+渡部昇一

出 版:致知出版社

金 額:1200円




年収300万円時代を生き抜く経済学

 ニュースステーションなどで有名な森永さんが書いた衝撃(?)の近未来予言。日本人の平均年収が300万から400万程度になり、アメリカ型の二極分化社会になるという。億を超える高額所得者とフリーターのような低賃金にあまんじる層が出来、勝ち組と負け組がはっきりする世の中になると説く。この人はテレビでも過激な発言をするが、何とも刺激的な提言をするエコノミストだ。本書でもアメリカや小泉首相、竹中金融相などを痛烈に批判している。講演も聴いたことがあるのだが、「いつか刺されるんじゃないか」というような発言をしていた。しかし提言はもっともであり、間違いなく日本は二極分化の世の中に進みつつある。300万から400万というのはどうかと思うが、400万から500万のレンジでサラリーマンの年収が上がらなくなるというのは既に現実的な話でもあろう。全ビジネスマンに読んで欲しい一冊。ただ、仕事に対してネガティブな見方をしているところや勝ち組の人材を極端にイメージし過ぎているところが気になる。日本的な勝ち組のあるべき姿を模索すべきだろう。

著 者:森永卓郎

出 版:光文社

金 額:1400円




脱藩ベンチャーの挑戦

 2001年にJASDAQに上場したザインエレクトロニクス社長が書いた、半生記。東大の博士課程を修了し東芝に入社。その東芝では研究開発の部長にまで登りつめ、更に役員候補の呼び声もありながら退職し、ベンチャー企業を創業。そしてその企業を上場まで導いたエリート技術者の経営論。如何に世間では大企業志向が強いか、小さなベンチャー企業が大変であるかを説きつつ、敢えてその挑戦を勧める一冊。副題は 「技術者よ、殻を破ってみないか」。大手とは言え一民間企業を「藩」にたとえている辺りが、中小企業に勤める者にとっては悲しいが、安住の地に浸ることなく、リスクをとって自らの可能性を試せ、という提言は閉塞感のある日本においては必要なことだ。東大など有名一流大学を出た人や大企業に勤めるエリートサラリーマンが読むと面白いだろう。技術系ベンチャー企業は必読。そうではない一般人はベンチャー経営者を除いて読まなくて良いでしょう。

著 者:飯塚哲哉

出 版:PHP研究所

金 額:1300円




マッキンゼ- 戦略の進化

 マッキンゼ-のコンサルタントがハーバード・ビジネス・レビューなどに寄稿した論文を集めたコンサルティングノウハウ本。こんな過去の論文を集めただけで本になってしまうところが、さすがマッキンゼ-ではあるが、大前研一氏なき後、日本支社の発信力が低下しているように感じるのは私だけだろうか。その証拠と言ってはなんだが、15年前に書かれた大前研一氏の論文も収録されている。各論は参考になるし、今現在知っておくべき戦略論、経営論が紹介されている。なぜここに取り上げたかというと複雑系の理論を中心に構成されていたからだ。新しい理論なり事象をコンセプト化するのはやはりお得意だ。戦略論について一通り押さえておきたいビジネスマンは読んでみると良いでしょう。短い論文で構成されているので読みやすい。

著 者:名和高司+近藤正晃ジェームス(編・訳)

出 版:ダイヤモンド社

金 額:2000円




逆境こそが経営者を強くする

 東証二部上場のアルプス技研会長が書いた経営論。というか実体験論。創業時の苦労や上場時のトラブルなど、かなり具体的に匿名だが描かれている。恐らく読む人が読めば誰のことか分かるものだろう。最後には自社の納期遅れトラブルまで吐露しており、ここまで書いていいのかと心配になる程である。巻頭に、成功者の成功談など面白くないので、失敗談を書きたいと前置きしてあるのだが、その姿勢は伝わってくる内容であった。特に上場を目指すベンチャー経営者、役員陣、中小オーナー経営者などは是非読んでみると良い。証券会社、ベンチャーキャピタル、銀行など上場を支援する立場にいる人は、気分は悪くなるだろうが、参考にはなるだろう。読みやすく、元気になれる良著。

著 者:松井利夫

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




質問する力

 大前研一大先生の最新刊。住宅購入や原子力発電、年金や国際問題など、現在我が国及び日本人が直面している事象を取り上げ、それに対して質問する力を持つことが大切だと説く。政府や官僚、マスコミの言うことを鵜呑みにせず、なぜそうなのか?なぜそういう発言をするのか?なぜその人なのか?といった疑問を持ち、それをぶつけることが大切だと提言している。確かに、世間の風潮なり過去の慣習に流されて、あまり考えずに目の前の現実を受け容れる、もしくは聞き流すということは往々にしてあることだ。我々コンサルタントは(大前研一氏と同列にさせていただくのは恐縮だが)、質問によってクライアント企業の実体をつかんでいく。出てきた言葉や現象の裏にある背景やプロセスを質問しながら探っていく。質問する力とは、コンサルティングマインドと言っても良いだろう。今は、すべての人にコンサルティングマインドが求められている。ビジネスマン必読。

著 者:大前研一

出 版:文藝春秋

金 額:1500円




経営は「実行」

 ジャック・ウェルチが惚れ込んだという企業経営者と人気コンサルタントの共著で、全米ベストセラーの日本版。いかに素晴らしい戦略や計画を立てても「実行」しなければ意味がないと説く。まったくその通りで、絵に描いた餅では腹が一杯にならない。そしてその実行には体系立ったプロセスがあり、それを確実に推進していくのが経営トップの仕事であるという。当たり前と言えば当たり前だが、各所に参考になるヒントがあった。しかし日本語訳が悪いのか、散文的で体系的に把握することが難しかった。こういう時に原著が読めると良いのだろうが、英語力のなさが悲しい。原文タイトルは、Execution ~The Discipline of Getting Things Done.英語が出来る人は原著を読むことをお勧めします。そうでない人は日本語訳で我慢しましょう。

著 者:ラリー・ボシディ+ラム・チャラン

出 版:日本経済新聞社

金 額:1800円




意志とビジョン

 マーケットリーダーになるためにはどうするべきか、一般にはそのマーケットのパイオニアとして市場を切り拓き、ナンバーワン企業としての地位を確立すると思われているが、その通説を覆し、パイオニアは必ずしも有利ではなく、後発企業の方が却って市場のリーダーとして確固たる業績を挙げているという。マーケットリーダーになるために必要なのは、まずマスマーケットを席巻するビジョンを持つこと。そしてそのビジョンを実現するための強い意志が必要だと言う。強い意志の中身は、持続力、革新力、資金充当意欲、資産レバレッジの4つだ。その説を実証するために、ジレットやマイクロソフトなどの事例が紹介されている。既に業界のリーダーが存在しているような場合でも、そのリーダーがニッチマーケットに留まっているようなら、充分後発企業が逆点する可能性があるのだ。なかなか参考になる良い本である。必読。

著 者:G.J.テリス+P.N.ゴールダー

出 版:東洋経済新報社

金 額:2000円




逆常識の経営

 今までどちらかと言うと、牧野先生は、アメリカではこうしていますよ、世界ではこれが常識ですよ、といった論調が多かったような気がしていたが、本書は「グローバルスタンダード=アメリカンスタンダード」を疑え、という内容。日本は駄目だ、欧米に見習え、という常識に対して、「逆」常識を提言している。経済、経営、社会、技術の各視点で、分かりやすい逆視点の提言が並んでいる。例えば、日本の不況は「普」況であるという。確かに不況だ、不景気だという割には、過去最高益を出す企業があったり、ブランド品が飛ぶように売れたりしている状態は、不況とは呼べないだろう。今、我々に必要なことは、通説や当たり前と言われる常識に対して、「なぜそうなのか」「本当にそうなのか」と一歩踏み込んでみる思考性ではないだろうか。牧野先生流に言えば、現場に踏み込めということになる。経営者にはおすすめの一冊。

著 者:牧野 昇

出 版:KKベストセラーズ

金 額:1600円




採用の超プロが教える できる人できない人

 前出の船井先生の本で紹介されていたので、買ってみた採用の本なのか、人材についての本なのか良く分からないが、なかなか参考になる本音トークの一冊。著者は新卒採用の代行やコンサルティングを行なう、ワイキューブの社長。船井先生が推薦していたのは、サンマーク出版だからなのかよく分からないが、1000人を超える社長と2万人の学生に会ってきたという著者の人材論が展開されている。若いベンチャー企業の経営者が書いただけあって、なかなか思い切ったことを切り口よく提言している。著者は新卒採用信奉者であり、中途の人材市場にできる人は現れにくいと説く。まぁそうは言っても新卒ばかりで経営する訳にも行かず、難しいところだが、言いたいことは良く分かる。新卒にせよ中途にせよ、できる人材はなかなか採用できないということだ。人事採用担当、転職希望者、中小企業経営者は読んでみるとよいだろう。

著 者:安田佳生

出 版:サンマーク出版

金 額:1300円




船井幸雄の人財塾

 著者の会社である船井総研において、人「財」がどんどん輩出されているということで、その秘訣を語った一冊。どうも最近の船井本は、船井総研の社員さんを持ち上げる内容が多いが、そろそろ引退を考えているのか、カリスマ創業者なき後の布石を打とうということかもしれない。人材は人財であり、企業を構成する財産であるという理念の下、自由にやらせてほめることが重要だと説く。また人財の条件としては、約束を守る、自主的にやる、逃げない、自慢しない、人の足を引っ張らない、の5つを挙げている。反対に最も人財になりにくいのは、お金だけが目的、今だけよければよい、自分だけよければよい、という考えの人。当たり前と言えば当たり前のような指摘ではあるが、人材育成において参考になる点が多い。女性を大切にし過ぎて女性コンサルタントが育ってこなかった、という反省点はなるほどと納得。企業を支えているのは結局一人一人の社員であることを改めて考えさせてくれる本である。

著 者:船井幸雄

出 版:サンマーク出版

金 額:1600円




企業のすべては人に始まる

 久し振りに出会った素晴らしい本。P.F.ドラッカーも推薦。米国で清掃業務などを行なうサービスマスター社の中興の祖が書いたビジネス理念書。副題は「社員の成長に献身する会社」。すべての経営者、ビジネスマンに読んで欲しい一冊。仕事のあり方を考え直すよいきっかけとなるだろう。本来この内容の本は、日本から発信すべきものだと思うが、アメリカンスタンダードの猛烈資本主義ではなく、人本主義とも言える人を大切にする経営で、業績も株価も高める方法を説いている。これを理想論、精神論と片付けるのは簡単なことだが、著者はそれを現実の企業で実践している。その現場現実に根差した経営が具体的に語られている。是非。

著 者:ウィリアム・ポラード

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円




こうすれば儲かる!

 オーストラリアのカリスマ・マーケッターという触れ込みの著者が書いたマーケティング論。非常に現実的かつ実践的なアイデアが多く紹介されており、なかなか面白い。また単にマーケティングをどうするかという問題だけでなく、企業のあり方や人の問題まで踏み込んだ指摘もある。それぞれの指摘が的を射たものであり、実践の中でつかんだ智恵であることを感じさせる一冊だ。「常識破り」という程ではないが、常識にとらわれず自社の経営を見直してみたい人にはおすすめの一冊。

著 者:ブライアン・シャー

出 版:きこ書房

金 額:1400円




生き残るだけなんてつまらない!

 パーミション・マーケティングで一躍有名になった著者のビジネス進化論。邦題が軽い感じだが、原題は「Survival is not ENOUGH」。生き残るだけでは駄目で、進化しなければならないと説く。ダーウィンの進化論などを引きながら、企業をいかに進化させるかを説明している。そのポイントはZOOM。マツダのCMのZOOM-ZOOMを思い出してしまい、音楽が流れてしまうのだが、要するに似たようなニュアンスで、楽しみながら創意工夫するといった感覚の言葉である。ZOOMするZoomer社員を集めることが進化のためには重要だと言う。確かに企業価値の源泉は社員個々人であり、的を射た指摘だと思う。なかなか面白く参考になる一冊。

著 者:セス・ゴーディン

出 版:早川書房

金 額:1900円




モチベーションマネジメント

 リクルート社出身で、教育研修会社を起業した著者の人材活性化論。モチベーション理論の内容としてはオーソドックスなものを紹介しているに過ぎないが、そうした理論を現時点での日本の企業においてどう活かすかという点で参考になる本。書いている著者自身1961年生まれであるから、若手人材の活性化については説得力がある。確かに著者が指摘するように、我が国では金銭的報酬の効果というか使い方が難しくなってきており、企業組織においてモチベーションダウンが著しい。厳しい時代なので、やる気のない人間をどこまで引き上げるかについては議論があるだろうが、本人がやる気を持って仕事に取り組まない限り成果を出しにくい時代であることも事実であり、若手活性化のヒントになる一冊である。

著 者:小笹芳央

出 版:PHP研究所

金 額:1300円




非連続の時代

 ソニー会長のスピーチをまとめたビジネス論。前作のON&OFFよりもかなりビジネスよりの内容になっている。ネットワーク化の進展やIT戦略などについて参考になる点が多い。またソニーがどういう考えで経営しているのかということがわかって興味深い。読めば読むほどソニーも決して磐石ではなく、大きくなったが故に時代の変化に適応できないのではないか、と考えさせられる。こうした著作を世に出すのは、ソニー社員へのメッセージなのかもしれない。ビジネスマン必読。

著 者:出井伸之

出 版:新潮社

金 額:1500円




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