代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2005年版

チェンジ・エージェントが組織を変える 組織変革実践ガイド

 企業変革を推進する際に、トップリーダーだけが旗振り役となるのではなく、各現場にチェンジ・エージェントなる存在をおくべきであると主張。変革には必ず抵抗勢力が出てくるものだが、その対応の仕方なども詳しく書かれている。ケースとしてSFA導入の事例が紹介されているが、単なるIT導入ではなく、組織変革なのだということが良く分かる。私がSFA導入をお手伝いする場合にも、IT導入ではなく営業改革なのだ、営業部門の意識が変わらなければならないのだ、ということを理解してもらうのに苦労する。やはり変革には、トップのビジョンと現場の協力、そしてそれを仕組みに落とし込むITツールが三点セットにならなければならない。分かり易い良著。

著 者:産業能率大学総合研究所

出 版:産能大出版部

金 額:2400円




ザ・キャッシュマシーン

 「ザ・ゴール」の姉妹書で、主に製造部門で取り入れられてきたTOC理論を営業部門に当てはめようというもの。新任の営業本部長が自社の営業プロセス改革を実現していくストーリー仕立てで読みやすくなっている。ストーリーになっていて読みやすいのは良いのだが、肝心のポイントがぼやけてしまっている印象もあり。要するに、営業プロセスにもボトルネックがあり、インプットをどんどん増やそうとするだけでは、最終のアウトプットが増えないということ。最終のアウトプットとは即ち売上・利益のことだから、それを生み出す「キャッシュマシーン」を作るというのがタイトル。

著 者:リチャード・クラフォルツ+アレックス・クラーマン

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1600円




何のために生きるのか

 共に昭和7年生まれの二人による対談集。日本人が忘れてしまった心をどう取り戻すべきかを考える一冊。若い人に読んで欲しいがなかなか読まないだろうから、経営者や管理者が読んで、若い人に伝えるべき内容ではないだろうか。宗教的な内容を毛嫌いする人も多いが、長い歴史の中で消滅せずに存在している宗教の持つ普遍性や哲学を知ることは大切なことだと思う。日本以外では宗教を持つことは当り前のことであり、日本では食わず嫌いが多いのではないだろうか。少なくとも恵まれた環境に感謝する心を持ちたいものだ。

著 者:五木寛之+稲盛和夫

出 版:致知出版社

金 額:1500円




人は見た目が9割

 元は社会学の大学の先生で、舞台演出や漫画の原作などを手がける著者が書いたノンバーバルコミュニケーション論。主にビジュアル面からコミュニケーションを考える内容。漫画や舞台演出は、事実がどうかよりも、どう見えるかが重要である。どう見えるかはどう伝わるかであって、コミュニケーションの成否を決めるものでもある。人間が伝達する情報の中で、話す言葉そのものが占める比率はわずか7%ほどだと言う。見た目が55%で、声の質やテンポが38%なのだそうだ。人は見掛けで判断するという現実を知り、どうするべきかを考える一冊。面白い本です。

著 者:竹内一郎

出 版:新潮新書

金 額:680円




ソニー 会社を変える採用と人事

 ソニーの元人事部長が書いた人材採用論。人材採用難となりつつある中で、採用や人事がどうあるべきかを考えるのに参考になる一冊。超人気企業ソニーだからできるんでしょ、と言いたくなるような部分もあるが、ソニーでさえここまでやっているのだな、と感じさせられるところが多い。中国や韓国での新卒採用などについても詳しく触れられており、国際派企業の人事担当者は読んでみると良いだろう。これから人口減少で労働力不足は避けられないわけで、企業の成長・発展は人材採用の質によって大きく左右されるだろう。経営者、マネージャー必読。

著 者:中田研一郎

出 版:角川書店

金 額:1600円




下流社会

 日本人は1億総中流、ほとんどの人がソコソコ普通で平凡な幸福を実感しているというのはもはや幻想なのかもしれない。マーケティング・アナリストである著者が多くの調査を通じて日本人の「下流化」を示唆する。「下流には物が足りないのでもなく、貧しいのでもなく、意欲が足りないのだ」という指摘には危機感を覚える。物が満ち足りて一見豊かになった日本では、見えないところで精神的退廃が進んでいるのではないか。日本人の二極化が進み、わずかな「上流」と多くの「下流」に分かれていく階層化社会に警鐘を鳴らす一冊。「さおだけ屋がなぜ潰れないか」を考えるよりも「下流社会」化を先に考えて欲しいものだ。

著 者:三浦展

出 版:光文社新書

金 額:780円




私はこうして発想する

 大前研一氏の発想方法を分かりやすく解説。氏が主宰している経営大学院のメソッドを紹介したものか?「先入観を疑う」「ネットワークから考える」「敵の立場で読む」など6つのメソッドを紹介。時代が大きく変動していく中で、今の日本人の発想では21世紀を勝ち抜けないという指摘だ。発想を変えて、時代の変化の裏に潜む動きを捉えなければならない。分かりやすい解説で読みやすいためにサラッと読んでしまうが、その中にさすが大前研一という切り口がちりばめられている。本書を読んで終わりではなく、そこからしっかり自分の頭で考えることが必要な一冊。

著 者:大前研一

出 版:文藝春秋

金 額:1429円




「抜く」技術

 海洋温度差発電で知られる上原先生の「抜く」「引く」「捨てる」生き方論。人生や仕事における「抜き」の重要性を説く。先生のエピソードの中には「押す」話も多い。押す時には押すから引く時にうまく行く。押してダメなら引いてみなという内容だ。読んでみて「抜く」というよりうまく「遊び」を作れと書いてあるように感じた。ちょっとした間や余裕を持つことを「抜く」と表現されているのかもしれない。ビッチリ詰め込むと遊びがなくなる。人生も仕事も遊びがあるから楽しめる、ということか。心に余裕を失った人には是非読んでもらいたい一冊。

著 者:上原春男

出 版:サンマーク出版

金 額:1600円




にんげん

 船井幸雄氏の最新刊。精神世界や輪廻転生などに触れながら「にんげん」の本質、魂について語る一冊。信じる人も信じない人も、食わず嫌いをせず一度読んでみると良いだろう。科学的に解明できない現実がある以上、その事実を知ることも大切だ。例えば、輪廻転生があるかどうかは分からないが、「死ねば終わりだから悪いことでもやってやろう」と考えるよりも魂は永遠であると考えた方がより良く生きられることは間違いないと思う。より良く生き、より良い世の中につながる智恵であれば、科学的だろうと超常的だろうと受け容れてみてはどうだろうか。

著 者:船井幸雄

出 版:ビジネス社

金 額:1600円




見える化

 企業経営の実態を見えるようにする。見えないことには手も打てない。まずは見えるようにしようというのが本書のコンセプトである。考え方としては古くからあるものであり、目新しさは感じないが、敢えて見せないと「見ようとしない」人が増えてきたという現実が見える化を要求しているのかもしれない。本書でも指摘しているように、特にITを使った見える化は、見ようとしない人にとっては見えない化であると言う。自分で見て、自分で考えて、自分で行動しようとする人は、見えないものも見ようとするのだろうが、見ようともしない人には無理矢理にでも見せなければならない。そんな現実を考えさせられる一冊。私の専門の日報でも同様のことが言える。「見える化」とは見ない人との戦いである。

著 者:遠藤功

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




これから10年、光る会社、くすむ会社

 会社に利益を残さないメガネ販売チェーン、ツーワンを事例として「人本主義経営」を説く。仕事のレベルを「レイバー」から「ワーク」へ。そして「アクト」へと上げていかなければならないと言う。このツーワンという会社は、社員が出資者(株主)で、社長は持ち回りだ。経営はガラス張りで苦しい時にはみんなで金を出し合うという。会社は誰のものかを考える上で是非研究してみるべき会社だろう。私もこのツーワンでメガネやコンタクトを買っているが、確かに安いし、全般的に感じも良い。しかし本書で書いているほどすべての社員が感じの良い接客をしているかというと多少疑問もある。100%完璧な答えはないということだろうが、面白い会社である。

著 者:日下公人

出 版:ソニーマガジンズ

金 額:1400円




会社は誰のものでもない

 会社とは誰のものなのか、株主のものなのか、経営者のものか、従業員のものか。本書の主張は、会社は誰のものでもない。本の帯には「株主はそんなにエラいのか!?」と入っている。確かに会社は株主のものであるという主張は、有限責任でありながら無限権限を与えるような感じで違和感があるものの、「誰のものでもない」と言われるとそれもやっぱり違和感が残る。私は、株主は有限責任しか負わない以上、有限の権限しか持ち得ないと考える。但しその有限の権限しか持たない株主が過半数を超え、2/3を超えて結集した場合、まとまった権限を行使することが可能となるに過ぎないと考えるべきだと思うがどうだろう。著者がご高齢故か、古い話が多いが、これまでの資本市場や株式会社とは何かを振り返って議論するには良い本だろう。

著 者:奥村宏

出 版:ビジネス社

金 額:1300円




ダメな奴でも「たたいて」使え!

 著者は自らも風俗店を経営する「風俗コンサルタント」だそうだ。風俗業界にやってくるような人材をいかに使うかを実践的に解説。「たたいて」使えというが、実際には「たたけばモノになる人材だけを選ぶ」という考え方である。たたいてもダメそうなら、それはサヨウナラだ。インプットではなくアウトプットで育てるという考え方はナルホドと思った。やる気のない人間にいくらインプットしようと思ってもダメなのは間違いない。それより理屈は良いからとにかくやらせて(アウトプットさせて)体験を積ませることが大切だ。確かに中小企業ではこうしたシビアな人材観が必要だろう。もちろん大企業だからといって全ての人材が優秀なわけではないから、人材活用に困った経営者、管理職は読んでみると面白いだろう。好き嫌いが分かれそうな一冊。

著 者:後藤芳徳

出 版:フォレスト出版

金 額:1300円




ウィニング 勝利の経営

 あのジャック・ウェルチの経営ノウハウ本。具体的な事例を示しながらかなり具体的に著者の考え方を開陳。世界一と評された経営者の生生しい言葉だけに説得力がある。言っていることは、ベーシックかつシンプルなことであり、やはりそれを徹底して実行に移すかどうかで差が付くのではないかと感じる。経営者や管理職だけでなく全てのビジネスマンが読むべき本だろう。「人に辞めてもらうにはどうするか」といったテーマは、辞めさせる方も辞めさせられる可能性がある方も参考になるシビアな話である。おすすめというか必読の書でしょう。

著 者:ジャック・ウェルチ

出 版:日本経済新聞社

金 額:2000円




ブルー・オーシャン戦略

 競争が激化する既存市場「レッド・オーシャン」での消耗戦から脱却し、競争のない新市場「ブルー・オーシャン」を生み出すにはどうすれば良いかを説いた戦略書。当り前というか、それができたら苦労しないと言いたいような話であるが、戦略上のポイントをビジュアル化して戦略キャンバスを描く手法は参考になる。ちょっとした差別化ポイントを競合とずらすことで、新しい軸を持った市場を作り出す。世間から見れば同じ業界でも競争のルールを変えれば新市場になる、といったところか。全米で売れている本だそうです。

著 者:W・チャン・キム+レネ・モボルニュ

出 版:ランダムハウス講談社

金 額:1900円




自ら語る小倉昌男の経営哲学

 宅急便の産みの親、小倉昌男氏の追悼記念DVDブック。日経ベンチャー主催のセミナー(95年実施)を90分収録。講演内容は本にもなっている。戦略とは捨てることであり、それをやり遂げるには経営者の見識と強い意志が必要であることを改めて教えてくれる。人口減少が現実のものになる現在、新しい市場を作り出すことがどの企業にも求められている。その点でヤマト運輸から学ぶことは多いだろう。必読というか必聴、必見。おそらく日経ベンチャーのセミナービデオを買えば5千円程度はとるだろうから、それが1900円で手に入ると思ってもおすすめ。

著 者:小倉昌男

出 版:日経BP社

金 額:1900円




人生の旋律

 感情マーケーティングで有名なコンサルタントによる伝記的人生論。第二次大戦で金日成の暗殺を任務とし、戦後はGHQで働き、朝鮮戦争時に商社を興して大富豪に。その後破産して巨額の借金を抱えながら岸信介首相の顧問を務めて・・・と波乱万丈の人生を送った伝説の実業家(?)近藤藤太氏の伝記だ。本書を読むと「雷に打たれるような体験ができる」というエモーショナルなプロローグに誘惑されて誕生日に読んだのだが、それはちょっと大袈裟だった。しかし、いかなる逆境においても諦めてはいけないこと、人生の幸福とは世間が決めることではなく自分が決めるものであること、アクションなくして成功はあり得ないこと、などを教えてくれる。結果によって幸福になるのではなく、そのプロセスの充実によって幸福感を得ることができるのだということが再確認できる一冊。ちょっとネガティブになっているビジネスマンにはおすすめ。

著 者:神田昌典

出 版:講談社

金 額:1600円




プロ経営者の条件

 ジュリアナ、ヴェルファーレと巨大ディスコを立ち上げ、グッドウィル、コムスンという事業を成功させた著者の自伝的経営論。父親の事業倒産から自衛隊への入隊、その後の借金地獄など、ハデな表面に隠された裏面が印象的。著者が示した成功の条件は「夢と志を持つ」「技術と仕組みを持つ」「執念と鉄の意志を持つ」の3つ。成功も失敗も味わってきた著者の言葉だけに、説得力がある。61年生まれだから今年44歳か・・・。ソフトバンクの孫さんに優るとも劣らない若手大物起業家であることは間違いない。若手ビジネスマンもベテランビジネスマンも読めば刺激になるはずです。自社の採用難を克服するために書いたのかな、とも思える一冊。

著 者:折口雅博

出 版:徳間書店

金 額:1400円




好き嫌いで人事

 ネット取引に特化し、個人株主の取引では野村證券を超えたという松井証券社長のマネジメント論。一人当たり1億5千万円の経常利益を実現した経営手法と人事ポリシーを公開。証券会社だからできたという面もあるし、利益を出せばよいという考えにも与しないが、これからの企業経営を考えるには参考になる点も多い。「給料をもらって働く」から「働いて給料をもらう」へと意識改革せよという指摘は、すべての企業、すべてのビジネスマンに必要なことだろう。与えられた仕事を無難にこなすだけで良しとされた時代とは一日も早く決別しなければならない。書名から受ける印象よりは中身がある本です。

著 者:松井道夫

出 版:日本実業出版社

金 額:1500円




会社はだれのものか

 「会社はこれからどうなるのか」の著者による続編。小林陽太郎氏、原丈人氏、糸井重里氏との対談記事付き。米国式の「会社は株主のもの」であるという定説に異議を唱える。「会社は社会のもの」だそうだ。カネの価値が下がり、ヒトの価値が上がることで、カネに物言わせる資本主義の限界が迫っているのだろう。ホリエモンの「カネで買えないモノはない」は正しいが、「カネはモノしか買うことができない」と指摘。近代社会ではヒトを買うことはできない。札束で奴隷のように使おうとしても、頭の中まで支配することはできないために、知的労働においてカネの威力には限界があるのだ。企業経営におけるパラダイムシフトが求められている。経営者必読。

著 者:岩井 克人

出 版:平凡社

金 額:1400円




失礼ながら、その売り方ではモノは売れません

 ダイエーの新CEOが、ホンダ、BMWなどの自動車営業の経験を踏まえて書いた営業ノウハウ本。女性だから、女なのに、なんて言ったら逆に笑われそうな、そこら辺の男性TOP営業がタジタジになる一冊。女性ならではの細やかさにプラスして、男性でもやらないようなド営業も実践。やはりビジネスは理屈よりも実践であり、実績に裏打ちされた言葉は、どんなに洗練された理論よりも説得力を持つ。一般営業マンにも読んで欲しいが、まずはマネージャークラスが読むと良い本だろう。ダイエーをどう変革するのか楽しみになってきた。良著。おすすめです。

著 者:林 文子

出 版:亜紀書房

金 額:1400円




勝つためのインターネットPR術

 言わずと知れたホリエモンと「News2u」の社長が書いた、要するに「社長がブログを書け」と言いたいインターネット活用術の本。「News2u」とは国内初のリリースポータルだそうで、各企業のニュースリリースを集めたサイトである。言いたいことはインターネットを活用して自社のPRを行いなさいということで、著者たちの商売を使えということなのだが、インターネットでPRせよと訴えるために書籍を出版するという逆説的な内容。ここら辺りにまだインターネットの弱さがあるのだろうが、ブログって何?という少しネット関係に疎い経営者やビジネスマンには、分かりやすく書いてあるので、おすすめです。

著 者:堀江貴文+神原弥奈子

出 版:日経BP社

金 額:1200円




営業改革のビジョン

 営業経験どころか会社勤めすらしたことのない神戸大学の教授が書いたITを活用した営業改革の本。経験がない分、フィールドワークを丹念にやられたようで、営業現場の実態やSFAやCRMを導入しても失敗してしまうメカニズムをよくつかんでいる。現場のことが分かった先生の本。分かったつもりになってSFAだ、CRMだ、と叫んでいるITコンサルタントに読ませてやりたい一冊。副題は「失敗例から導く成功へのカギ」。それ故、失敗する実例は豊富。しかしだからどうすれば良いのかという提言が少々弱い。まぁ大学の先生なんだから仕方ないか。先生が指摘するように従来のKKD(経験・勘・度胸)では通用しなくなったものの、あるべき論だけでは変わらないのが営業部門であり、そこでどうするかという実践の知恵が求められている。営業改革を考える企業は必読。

著 者:高嶋克義

出 版:光文社新書

金 額:700円




起業バカ

 起業ブーム、ベンチャーブームに乗って会社を興したものの、あえなく潰れていく人が多いことに警鐘を鳴らす著者本人が「起業バカ」だったそうだ。自らベンチャー向け雑誌を創刊し、それを廃刊にしてしまった体験から多くの事例を紹介している。確かに会社を興すとそれをカモにしようとする輩が出没するものである。私も創業当時、実際にやられた経験がある。まぁ世の中、甘い儲け話はないということを肝に銘じるべきであろう。マザーズなどの新興市場ができて、IPOも身近なものになっているから、またそれを金儲けのネタにしようとする危ない人たちが暗躍しているのだろう。起業を考える人は熱くなって突っ走る前に、本書を読んで一度クールダウンしてみると良いだろう。

著 者:渡辺 仁

出 版:光文社

金 額:952円




質の経済が始まった

 日本経済と日本企業が置かれた状態をスッと理解できる明快な一冊。米国礼賛のグローバルスタンダード論を日下先生が一刀両断。日本的経営とか日本的雇用慣行と呼ばれるものが如何に表面的な洞察であるかを説いている。日本経済は資本主義ではなく人本主義であるとの指摘はまさにその通りであろう。文化や背景、歴史的経緯の違う米国のやり方をそのまま日本に当てはめようとしては無理が生じるのも道理である。米国には米国の良さがあり、日本には日本の良さがあることを踏まえた上で、自分及び自社がどう生きるべきかを考える必要があろう。多くの人に読んで欲しい。

著 者:日下公人

出 版:PHP研究所

金 額:1400円




第8の習慣

 あの世界的ベストセラー「7つの習慣」の続編。「7つの習慣」はテクニカルな面も含めた成功理論であったが、「第8の習慣」はそれを支える哲学とも言うべき内容である。自分の内面の声を発見するというテーマで、まさに人生哲学だ。前著が7つで、本書は8つ目だが、8つ目の習慣は15章に分かれているから全てで22の習慣になりそうだ。DVDが付録に付いていて映像でも理解を促してくれる。これで2600円は絶対に安い。大部なので読むのも大変だが、DVDも見ないといけないので読破には結構時間がかかる。最後の方は似たような話が続くので少々辛い。とはいえ、すべてのビジネスマン必読の書であることは間違いなし。是非お読み下さい。

著 者:スティーブン・R・コヴィー

出 版:キングベアー出版

金 額:2625円




超・学歴社会

 日本において学歴(というより学校歴)によって生じる格差が広がっていると指摘する本。学歴不問や人物重視というのは上辺だけで、実際には学歴や偏差値によって採用や昇進に差が付いていると言う。人事担当者の覆面座談会などを通じ、本音と建前はどうなのかを明らかにする。やはり東大を頂点に旧帝大や早慶など明らかに序列があるようだ。それを親の年収や職業の差にまで結び付けるのは無理矢理な感じではあるが、就職活動中の学生や採用側の人事担当者には参考になるだろう。本書に登場しない大学を出た私としては、この本を読んで多くの非エリートが奮起することを期待する。

著 者:溝上憲文

出 版:光文社

金 額:952円




成功の教科書

 元中学校教師で、陸上部の指導を行い、7年間に13回の陸上日本一に導いたというカリスマ体育教師が書いた「成功技術解説本」。先生によると成功は技術だそうだ。要するに、目標を明確に持ち、やると決めたことはやりきるということの繰り返し。皆、分かっちゃいるけど、できない。だから私は技術で成功できるとは思っていないが、人生を成功に導くために役に立つ内容です。元々中学生相手に指導していたからか多少表現が子供っぽいが、日々惰性でマンネリ気味に生きている大人にも是非読んでもらいたい一冊。私は同様の指導を「自己発働研修」という研修で行っているが、確かに目標を明確に持っている人は少ないものです。せっかくの人生なのにもったいないと感じることが多い。本書には実際に書き込むシートも用意されているので、是非チャレンジを。

著 者:原田隆史

出 版:小学館

金 額:1200円




渋谷ではたらく社長の告白

 26歳で上場し、その後ネットバブル崩壊で辛酸を舐めたサイバーエージェント藤田社長の告白本。上場直後に出た、2000年の前著「ジャパニーズ・ドリーム」では威勢の良い言葉が踊っていたが、今回の本は、会社の身売りまで考えたという、まさに天国と地獄を味わった回顧録になっている。奥菜恵と結婚し、私も「この野郎、調子に乗りやがって」と思っていたが、実際のところ若き上場社長としての苦労があったようだ。これから上場を目指す人も、既に上場した人も、上場という意味を改めて考えてみる良い機会となる一冊だろう。若きベンチャー経営者として後進の手本となるように、藤田社長には頑張って欲しいものだ。

著 者:藤田 晋

出 版:アメーバブックス

金 額:1600円




高収益企業のつくり方

 京セラの創業者である著者が塾長として若手経営者の育成に取り組んでいる「盛和会」における問答集。特に高収益企業になるための方法論が書いてあるわけではなく、税引前利益率が10%はないと企業として存在する価値はない、とする著者の教えが随所に出てくるのでそのようなタイトルになっているようだ。一般的には利益率が10%では高収益企業とは言えないだろうが、多くの中小企業にとっては確かに高い目標だろう。税金を払うのはイヤだから利益をあまり出したくないと考える経営者も多いから、その点からも中小企業の経営者に読んでもらいたい本である。有名な松下幸之助氏の「ダム式経営」のエピソードも出てくるが、「そうありたい」と思わない限り何事も成し得ないということだろう。

著 者:稲盛和夫

出 版:日本経済新聞社

金 額:1400円




複雑な世界、単純な法則

 脳細胞もインターネットも食物連鎖も企業ネットワークも人間社会も、ネットワーク構造になっていると説く、複雑系の本。著者は「ネイチャー」誌や「ニューサイエンティスト」誌の編集者をしていた物理学博士。どんなに複雑に見えるものも、すべてネットワーク科学によって説明ができる。これは企業が個人のネットワークで形成されていることを論証してくれる内容だ。要素還元主義では解明できなかった世の中の実態が複雑系科学によって説明されるのは、物理学の世界だけでなくビジネスの世界に生きる人間にとっても有益なことである。本書は複雑系関連書籍の中では読みやすいので、是非一般ビジネスマンにも挑戦して欲しい一冊だ。

著 者:マーク・ブキャナン

出 版:草思社

金 額:2200円




豆富バカが上場した!

 豆腐業界初の上場企業、篠崎屋の社長が書いた経営論。食品スーパー相手に豆腐を卸す業態から直売や飲食へのシフトを実現し、マザーズに上場した顛末が書かれている。スーパーのバイヤーに値引きを要求されて泣いているすべての食品企業必読。くだけた語り口調が書かれているので、読みやすく面白い。なかなか面白い社長さんです。二代目ですが、実質創業者として新業態を開拓し、同業他社にもノウハウを無償で提供するなどユニークなエピソード満載。ちなみに、篠崎屋さんでは、豆腐のことは「豆富」と表記するそうです。ベンチャー経営者も読んでおくべき一冊でしょう。やはり経営は創意と工夫と細かい努力の積み重ねだな、と実感できる本。おすすめです。

著 者:樽見 茂

出 版:中経出版

金 額:1400円




成長するものだけが生き残る

 海洋温度差発電の権威が書いた経営論。エネルギー研究の立場から企業の成長についてを解き明かす。企業経営には成長が必須であり、個人においても成長が大切であると説く。「もうこんなものでいいかな」と成長意欲を失ってしまった経営者には是非読んで欲しい一冊。経営者が成長意欲を失っては企業の成長はあり得ないし、そこで働く人にとって不幸である。もちろん、成長意欲のある人も読むと良いだろう。成長の原理がつかめるはずだ。企業経営についての提言も有難いが、是非この先生には地球環境のために海洋温度差発電を実用化していただきたい。

著 者:上原春男

出 版:サンマーク出版

金 額:1700円




価値共創の未来へ

 ミシガン大学の教授が書いた新時代の経営論。原題は、The Future of Competition。企業と消費者が共に価値を創造する時代が来ると説く。共著者のプラハラードは「コア・コンピタンス経営」の共著者でもある。コア・コンピタンスの源泉が個々人の共創にあるという訳だ。私はコア・コンピタンスが米国で発表される94年よりも前の91年にはNetwork Identity経営というコンセプトを発表し、個と個の相互作用(Knowledge Collaboration)によって企業の価値が創出されることを提起したが、それを追認してくれるかのような内容。知名度がないことによって私の方が後追いしているようにしか見えないだろうが・・・。いずれにせよ、これからの企業経営のあり方を問い直す必読の書。企業と社員との関係、企業と顧客との関係、企業と取引先との関係がパートナーシップに変わることを教えてくれる一冊。

著 者:C・K・プラハラード+ベンカト・ラマスワミ

出 版:ランダムハウス講談社

金 額:2200円




運命の法則

 ソニーでCDやAIBOを開発した著者の体験的人生論。CDの開発やAIBOを開発するプロジェクトで実際に起こった組織の変化から「フロー体験」と著者が呼ぶ成功法則があると言う。そのポイントは、「外発的報酬」による仕事から「内発的報酬」へのシフトだ。賃金や他人の評価など「外発的報酬」を動機付けの要素として使うと、元々あった「内発的動機」までが消滅してしまうことがあると説く。フロー体験は、「大河の流れ」となり、その流れを見つけることが「運命の法則」となるのだが、最後は仏教的な教えとなる。ソニーの科学者が宗教的な人生論を語るところに本書の意義があるのだろう。好き嫌いの分かれる本でしょうが、良著です。

著 者:天外伺朗

出 版:飛鳥新社

金 額:1400円




楽天の研究

 毎日新聞エコノミストの若手記者が書いた楽天研究本。30代を中心とする経営陣のインタビューをもとに楽天の強さの源泉を明らかにする。楽天と言えば、インターネットのショッピングモールであり、ITベンチャーのひとつだとするのが一般の見方だろうが、著者は、楽天はM&Aのプロ集団であると喝破する。確かに金融やトラベル、サッカー、そしてプロ野球と、彼らのフィールドは単にITベンチャーという枠を飛び出している。経営陣の経歴には、一橋大、東大、ハーバード、慶応大、MBA、などがずらっと並び、エリート集団であることが分かる。そんな彼らが「ドブ板営業」をして回ったというのだから、急成長も当然の帰結か。若手ビジネスマンが読んで刺激を受けるのも良し、ベテランビジネスマンが時代の変化を感じるのも良し。但し学歴コンプレックスのある人は読まない方が良いでしょう。淋しくなるかも。

著 者:山口敦雄

出 版:毎日新聞社

金 額:1300円




新・日本の経営

 50年前に「日本の経営」という本を書き、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という日本的経営の特徴を喝破した著者の日本企業論。日本人の妻を持ち、日本国籍まで取得した日本びいきだけに、日本的経営にはまだまだ優位性があり、その特徴を活かしながら時代に合わせた進化をしていると説く。失われた10年などと言うのも間違いだそうだ。どうしても日本人は自分や自国を卑下する思考や発言が多いだけに、こうした外国人(今は日本人だが)の目から客観的に優位点を示されると目からウロコが落ちる。「日本企業は社会組織である」という指摘はまさに本質を突くものだろうし、英米型の株主絶対主義経営がむしろ特異なのであって、日本やドイツを中心とした経営のあり方の方が世界標準に近いという指摘もある。企業経営について改めて考えてみることができる良著。経営者必読。

著 者:ジェームス・C・アベグレン

出 版:日本経済新聞社

金 額:1800円




ページトップへ
製品、セミナー、弊社に関するお問い合わせはお気軽にご連絡して下さい。
0120-019-316