代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2007年版

デザインの力

 人・モノ・金・情報に次ぐ第5の経営資源とも言われるデザイン。本書は、シャープのAQUOSなどを産んだ世界的プロダクトデザイナーの「デザイン経営論」であり、企業がこれからどうデザインと向き合うべきかについて示唆を与えてくれる一冊。1951年に、松下幸之助氏が米国視察から帰った際に「これからはデザインや」と宣言し、松下電器に真野善一氏をチーフデザイナーとして招いて「意匠課」を設立したというあたりが、我が国の企業デザインのスタートだと思われるが、企業経営者で本気でデザインを考えている人が果たしてどれだけいるだろうか。人・モノ・金・情報では差別化できなくなった今こそデザインの力が問われていると言えよう。あまりデザインに興味のない経営者こそ頑張って読んでみて欲しい。

著 者:喜多俊之

出 版:日本経済新聞出版社

金 額:1700円




ナレッジワーカー

 リエンジニアリングやナレッジマネジメントなどで知られる著者のナレッジワーカー論。ドラッカーが指摘したナレッジワーカーという存在を今日的にどう扱うべきかを提唱。頭の中の思考や知識は目に見えないものであり、マネジメントはできない。少なくとも工場やオフィスで手や足を動かして仕事をしていた時代のマネジメントではナレッジワーカーはマネジメントすることができない。工場時代のマネジメントのやり方をナレッジワーカーに当てはめようとする企業が少なくないが、そうした企業の経営者や管理者は是非読んでみると良いだろう。ナレッジワーカーの思考内容を可視化し、ナレッジワーカーが働きやすい(智恵を出しやすい)環境を用意することを考えなければならない。改めてドラッカーの偉大さにも気付かされる一冊。

著 者:トーマス・H・ダベンポート

出 版:ランダムハウス講談社

金 額:2400円




心理経済学 貯めるな使え!

 このままでは年金制度も国家財政も破綻しかねないという警告の書。大前流で客観データを並べつつ論理的に現実問題を突きつけてくる。1500兆円にも上る個人金融資産を貯め込まずに使うべきだと説く。いつもは大前本を読むと元気になり前向きな気分になれるのだが、本書は読めば読むほど暗くなる。暗澹たる気分になる。日本はもうダメかなと思う。何を言っても政治が変わらなければ意味がないと諦めたくなる。読むのが辛い本だが、だからこそ多くの人に読んでもらいたいとも思う。そもそも一般市民が読むよりも政治家や官僚が読むべき本であり、恐らく読む人もいるのだろうが、きっと変化はないのだろう。大前氏が総理にでもなって改革してくれればとも思うが、それも無理だろう。やはり自己防衛をするしかないか。

著 者:大前研一

出 版:講談社

金 額:1600円




社長の値打ち

 社長とは名ばかりで値打ちのない「シャチョウ」が多いと指摘する辛口経営者論。著者はジャーナリスト出身の神戸大学大学院准教授。多くの経営者へのインタビューを元に経営者のあるべき姿を説く。松下幸之助、土光敏夫、本田宗一郎、盛田昭夫、飯田亮、稲盛和夫など錚々たる面々が理想像として挙げられ、ハードルが高い。社長の条件は、構想力、決断力、士気高揚力、危機管理力、反省力、実行力、組織構築力、感動創出力、個性創出力、予見力、透明性、闘争心・・・と続き、愛嬌もなくてはならないという。そして最後に「偉大なる変人」であれと説く。こんなに条件が厳しくては社長になる人はいないだろうと思うが、できなければ切腹せよと容赦は無い。社長や会長と呼ばれる人は国内だけで何百万人もいるが、切腹させられないように本書を読んでみてはどうだろうか。果たしてどれだけの人が切腹を免れるか・・・。

著 者:長田貴仁

出 版:光文社新書

金 額:760円




会社の品格

 なんでも「品格」をつければいいという訳ではないぞと思わず突っ込みたくなるようなタイトルだが、今後「人」の重要性が増し、「人材」不足が間違いなく訪れる中で、「人」から選ばれる会社になるべきであるという主張は大切なことだと思う。それを「品格」であるとしてしまったのは、おそらく出版社の企画なのだろう。人生とは時間の投資であるという指摘も重要だ。仕事とは大切な時間を会社に投資していると考えることができる。時間は取り返しがつかないし、投資である以上、良いリターンを狙いたい。上手に回収するためには、上手に投資しなければならない。経営者、管理者にはおすすめ。

著 者:小笹芳央

出 版:幻冬舎新書

金 額:720円




第三の買収

 有名弁護士の書いた企業小説。ビジネス・ロー・ノベルと名付けられている。一部上場企業の経営者がMBO(マネジメント・バイ・アウト)を決意するところからストーリーは始まる。企業の法務担当や弁護士、監査役などが登場し、コーポレート・ガバナンスのあり方や上場の意味について考えさせられる。色恋沙汰はなし。男女のドロドロした絡みがなく面白みには欠けるが、その分、法律論が浮き立っている。ビジネス・ロー・ノベルとしてはそれが正しいか・・・。株式会社とは、上場していても脆く壊れやすいものであり、企業と株主、経営者と従業員などの関係もいつどうなるか分からないと実感できる。上場企業の経営者、役員はもちろん、上場を目指す人は是非読んでみるといいだろう。上場なんかしたくない、と思う可能性大だが。

著 者:牛島 信

出 版:幻冬舎

金 額:1600円




正しさを貫く

 セコム創業者による経営論。このところ飯田氏の経営本出版が多い。後進に創業の精神、セコムの理念を伝えようとする意図からだろうか。生い立ちや創業からの経緯もほとんど知っていることばかりではあったが、やはり読むと元気付けられる。この人の持つ前向きさ、明るさはすごいパワーである。本書では「過誤や困難を恐れていては、人も企業も成長しない。当社では困難という泥水を喜んで飲もう、が合言葉だ」という一節がバーンと入ってきた。使命感を持って経営している人にしか言えない言葉だろう。易きに流れ、楽を求める人や企業が多い中、敢えて困難に立ち向かう精神を見習いたいものだ。

著 者:飯田 亮

出 版:PHP研究所

金 額:1600円




人生の王道

 京セラの稲盛さんが書いた「南州翁遺訓」解説本。同じ薩摩出身の西郷隆盛が遺した言葉だけに思い入れも強いのだろう。自らも座右の書として経営のバイブルとしてきたそうだ。内容はまさに人生の王道。ごもっともな事が書かれており、確かに大切なことだと思う。しかしそれを実践するのは難しい。西郷さんや稲盛さんだからできるのでしょう、と言い訳したくなる。が、「昔の人の行われた史実をみて、自分など到底及ぶことはできないという心であったら、戦いに臨んで逃げるよりなお卑怯なことだ」と本文にあった。さすが西郷南州。人の心もお見通しである。良著。おすすめです。

著 者:稲盛和夫

出 版:日経BP社

金 額:1700円




流通王

 ダイエー創業者の一代記。20年間密着し、関係者への取材も丁寧に行われている。ダイエーの評価が晩年に下がってしまったために、中内氏の評価も下がりがちだが、良いものをより安くを徹底した流通革命の成果は大きい。戦後の復興を支えた戦う経営者であり、既成の枠組みを破壊する革命家でもあると言えるだろう。経営とは、事業とは、商売とは、という問いかけに答えてくれる一冊。経営者、後継者必読の書。経営に正解はなく、自らの経営を正解にしていくのが経営なのだろう。正解にできなかった経営者の末路は寂しい。

著 者:大塚英樹

出 版:講談社

金 額:1800円




1日3行「感謝日記」

 おかげ様という発想で、毎日たった3行の日記を書くと、人生を前向きに生き、仕事に進んで取り組めるようになるという「感謝日記」の手法を紹介。何事もすぐに他人のせいにしたり、環境のせいにして、不平不満を溜め込んでしまう人も多いが、そうしたマイナス思考の癖がついた人は是非この感謝日記にチャレンジしてみると良いだろう。自分を別の視点から見つめ直すことで、新しい気付きがあるはずだ。

著 者:柳澤三樹夫

出 版:同文館出版

金 額:1200円




熱湯経営

 大和ハウスの会長兼CEOが書いた湯気が出そうなほど熱い経営論。創業者に見出され、子会社の立て直しや本体のV字回復を主導してきた著者が、いかにぬるま湯組織を熱湯組織に変えていったかが語られている。その手法は現場に出て、率先垂範で飛び回る凡事徹底。この泥臭さがまた熱い。そして「人に嫌われるのがイヤな者は経営者になるな」と説く。オーナー創業者ではないけれども、創業者と共に奮闘し、創業者の異体同心となって会社を支えてきた創業者マインドを持った人。そのマインドや風土を残そうして本書を書いたのではないか。企業規模が大きくなればなるほど、会社は緩んでいく。その危機感をヒシヒシと感じさせる熱い一冊。

著 者:樋口武男

出 版:文春新書

金 額:700円




経営を見る眼

 若手管理者、幹部候補クラス向けに書かれた経営解説本。経営入門というには少々レベルが高いようにも感じるが、企業経営に対する認識を深めるために有効な本だろう。中小企業の経営者あたりにも読んでもらうと良いと思う。企業経営や仕事の仕方は大きく変わろうとしている。従って本書に書いてある内容がそのまま正解とはならないだろうが、新しい経営のあり方、仕事の仕方を模索していくためには、まずは基本認識を正しく持つ必要がある。本書に答えを求めず、本書を通じて経営観を深めて行くと良い。「人は性善なれども弱し」という指摘には納得。やはり「人」の問題は一番やっかいだ。やっかいではあるが価値の源泉でもある。どう向き合うべきか考えるしかない。

著 者:伊丹敬之

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




リーダーシップの旅

 リーダーシップの指導をするNPO理事長と神戸大学のリーダーシップ論の先生が書いたリーダーシップ対話本。「すごいリーダー」は幻想であり、生まれつきリーダーシップを持った人もいない。リーダーになろうとしてなるものではなく、結果としてリーダーになるのだと説く。リーダーシップという言葉は分かったようで分からないものだが、フォロワーがいてリーダーになるのではなく、まずは一人が自分の目指す姿(絵)を実現しようと旅に出て、その姿を見てフォロワーが現れ、絵を実現して旅から戻るとリーダーと呼ばれるというあたりは「なるほど」と納得。リーダーシップ論というよりも生き方論、人生論であった。学ぶというよりも勇気や前向きさをもらえる本。良著。

著 者:野田智義+金井壽宏

出 版:光文社新書

金 額:780円




世界のどこにもない会社を創る!

 言わずと知れたセコム創業者の自伝。私は飯田ファンなので、ほとんどの著書並びにセコム本を読んでいるが、この人の経営論、人生論はいつも勇気や前向きさを与えてくれる。精神的な面だけでなく、セコムの経営は、非常に戦略的な思考に基づいたもので、多くの企業が手本とするべきだと思うので、是非参考にして欲しい。飯田氏は、行動の人である以上に思考の人だと思う。現在74歳で、90歳まで現役でいたいとおっしゃるので、それまでの16年間で後進へのご指導をお願いしたい。良著。

著 者:飯田 亮

出 版:草思社

金 額:1600円




指一本の執念が勝負を決める

 産業再生機構のCOOを務めた著者が書いた経営者論。東大法学部を卒業し司法試験に合格しながらボストンコンサルティングに入ってスタンフォードでMBAをとったエリートが、エリートは失敗経験がないのでストレス耐性が弱い!と批判。では東大にも行けなかった私のような非エリートはどうすりゃいいの?と突っ込みたくなる。エリート、エリートと何度も出てくるので非エリートは多少気分が悪いかもしれないが、経営者に求められる覚悟や姿勢については参考になる。再生機構で多くの危機状況にある現場を見てきた人だけに、さすがにリアリティがある。プロを目指す20代30代の若者には説得力がある一冊だろう。40代以上には時すでに遅し、か。指摘のように日本は緩い世の中になっているから本書でこれから先の生き方を考えてみると良い。東大を出ても甘いと言われるのに、東大にも行けずに甘いとどうなるか・・・。非エリートよ立ち上がれ。

著 者:冨山和彦

出 版:ファーストプレス

金 額:1500円




2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

 インターネットの掲示版「2ちゃんねる」の管理人が書いたというか、喋ったインターネット進化論。巨大掲示版に育った2ちゃんねるを「暇だから、面白そうだからと作ったもので、所詮はインターネット上の何かでしかない」と一刀両断。大きくなっても達成感を感じることもなく、大きくしてやろうという野望もないそうだ。私は2ちゃんねるをめったに見ることもないし、何のためにあるのかも理解し難いが、インターネットの世界をより本音ベースで理解するには良い本だろう。2ちゃんねるって何?という人こそ読んでみると良い。「Web2.0」だ「Google」だとネット通のようなことを言っている人も是非。ひろゆき氏に一刀両断にされてしまうでしょうが。

著 者:ひろゆき

出 版:扶桑社

金 額:740円




P.F.ドラッカー 理想企業を求めて

 あのドラッカーが亡くなるまでの1年半をかけてラストメッセージを取材。ドラッカー経営哲学の最終形を読みやすくまとめてくれている。著者は、マッキンゼーの中興の祖「マービン・バウワー伝」も書いたコンサルタント。本書も「マービン・バウワー伝」を読んだドラッカーから依頼があって書かれたものだそうだ。ドラッカーの人となりも紹介しながら、21世紀に必要となる経営コンセプトを提言している。やはりドラッカーが並みの経済学者と違うところは、「人」への洞察が深いことだろう。経済を数字で捉えず「人」で捉えているという感じだろうか。21世紀の企業経営は知識労働者がいかに自己発働するかにかかっていると言えそうだ。良著。

著 者:エリザベス・ハース・イーダスハイム

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1800円




マーベリック・カンパニー

 英エコノミスト誌の「ブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた本だと言う。副題は、常識の壁を打ち破る超優良企業。帯には、2大名著「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」の伝統を引き継ぐ新世代のビジネス・ベストセラーとある。これは読まない訳にはいかない。否が応でも期待が高まる。実際読んでみた。期待値が高くなり過ぎたのか、ちょっと・・・。「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」と並べるのはどうかな?と思う。ただこれからの企業経営に役立つヒントは多い。キーワードとしては、人材、情熱、文化、協働、絆、価値といった言葉が挙げられるだろう。32社の事例が紹介されているのだが、事例中心で、言いたいことが整理し切れていないのがピンと来ない理由かもしれない。ちなみに、マーベリックとは、型破りな、一匹狼的な、独自な発想でスケールの大きな挑戦に意欲的に挑む、といった意味だそうである。なかなか型を破れない常識派の経営者には是非。読んで損はない一冊。

著 者:ウィリアム・テイラー+ポリー・ラバール

出 版:日本経済新聞社

金 額:2000円




雇用融解

 東洋経済の記者が偽装請負や日雇いフリーター、外国人研修生、個人請負などの現実を徹底取材。低賃金、悪条件に追いやられる労働弱者の実態を報告している。だからと言って、企業や国に高賃金を保障せよ、雇用を確保せよと要求するわけには行くまい。何しろ企業自体が生き残る保障がないし、国も財政破綻するかもしれない。年金制度も怪しいくらいだ。企業側の脱法行為や意味不明なピンハネのような所業は弁解の余地はないが、何でも一律に企業に負担を求めたら、海外へ移転して雇用そのものが消失することになるだろう。本書には悲惨な例がたくさん紹介されているが、もう少し本人もそこから抜け出す努力ができないものか。実際、企業の求人はたくさんある。要するにミスマッチだ。たとえばプログラマーなどは人手が足りないと言う。弊社も募集中だがなかなか応募がない・・・。職がなくて困っているなら、少しは勉強してプログラマーにでもなったらどうか。少なくとも工場での単純作業よりは給与も増えるだろう。自分を保障するのは自分自身でしかない。今後の雇用環境について考えてみたい方は是非読んでみると良いでしょう。

著 者:風間直樹

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?

 スペインで最も優れたビジネス書に選ばれたという、コンサルタントが書いた短編ストーリー集。分かり易いたとえ話の中に経営のエッセンスが盛り込まれている。ゴルフの話もその一つ。ゴルフにたとえて経営のあるべき姿を説く。決して経営者にゴルフを勧める本ではないので注意が必要だ(笑)。私は、社長のクローンを作って経営する話が一番ピンと来た。自分のクローンがいれば、と嘆く社長は多い(私もその一人)が、同じ人間ばかりでは組織はうまく回らないだろう。やはり適材適所、それぞれの持ち味を活かしてこそ組織としての力が発揮される。薄い本で、読み易いので、お暇な時に是非。

著 者:パコ・ムーロ

出 版:ゴマブックス

金 額:1200円




会社がみるみる変わる戦略マップ

 岡山の税理士さんが書いたBSC(バランス・スコアカード)の入門書。BSCの中の戦略マップに絞って、戦略や目標を可視化し、社員と共有する方法について分かりやすく解説している。ちょっと簡単にし過ぎてあって、BSCの基礎理解ができず誤解してしまう恐れがあるので、第一人者である吉川先生のBSC本を一冊は読んでから、本書を読むと良いと思う。そうすると「ここまで崩して説明すれば良いのか」との気付きを得られるだろう。著者は、中小企業の実態がよく分かった人だと思う。さすが税理士さんだ。中小企業の戦略は社長が決めるしかないことを知っているし、BSCが形だけ整えて形骸化してしまうリスクを理解している。自社の戦略をうまく社員に伝えられない経営者は是非読んでみると良いだろう。

著 者:澤根哲郎

出 版:PHP研究所

金 額:1500円




iPhone

 アップルの新製品「iPhone」を通して見たWeb2.0のビジネスモデル論。携帯音楽プレーヤーとして成功した「iPod」は、SONYのウォークマンと比べて機能が優れているわけではないのに売れた。「クール」だからだそうだ。同様に「iPhone」も「クール」だから売れるのか、二匹目のドジョウがいるのか、「ニュートン」の二の舞になるのではないか、といった視点でビジネスモデル論を展開。これからのネットビジネス、ITビジネスを考えるヒントになる一冊だろう。著者は、72年生まれの関東学院大学の准教授で、IT関連の著作も多数。

著 者:岡嶋裕史

出 版:光文社新書

金 額:700円




頭が良い人は親指が太い

 学校では教えてくれない経営学の教科書。学校秀才では成功できないと一刀両断。東大を出て日銀に入った著者だから書ける学歴否定論。頭が良いだけではダメで、頭は強くなければならないと説く。共感共鳴する部分も多いが、私が書いたら負け犬の遠吠えになってしまうので、東大卒の木村さんに訴えてもらうしかない。東大卒の日銀マンというエリートキャリアを捨てて起業した著者自らの経営者体験に基づく実践論であり、起業を目指す人や経営者は必読だと思う。一般のサラリーマンも是非読んだ方が良いし、そのために書かれた本でもあると思うが、読まないだろうなぁ~。21世紀を生き抜くビジネスリーダーを目指したい人は是非!!ちなみに、親指が太いというのは、だからと言って役に立たないということ。

著 者:木村 剛

出 版:ナレッジフォア

金 額:1619円




人を不幸にする会社・幸福にする会社

 イトーヨーカドーグループの創業者と信越化学工業の元CFOとの経営談義の対談集。金さえあれば何でもできるという最近の風潮に物申す一冊。会社は、顧客、社員、取引先、株主などすべてのステークホルダーを幸せにする存在でなければならないと説く。「そうは言ってもなかなか現実は難しい」と本音を吐露しているあたりもなかなか実感があって良い。学者のCSR論とは違う。綺麗ごとだけでは経営はできない。あらゆる矛盾を乗り越え、絶妙なバランスを取ることを要求されるのが経営である。少し古臭いかなと感じる箇所もあるが、企業経営の基本に立ち返ることができる。経営者、後継者は読んでみると良いだろう。

著 者:伊藤雅俊+金児 昭

出 版:PHP研究所

金 額:1400円




世界一わかりやすい「孫子の兵法」

 孫子の兵法を古典解釈ではなく、現代の日本語の語り口調に置き換えて分かり易くした内容。原文はほとんど表記されていないので、古典を読み込む楽しさはないが、その分読み易く、孫子の兵法の趣旨を理解するのにはとても良い。本書で孫子全体の流れや大まかな内容をつかんで、拙著「必勝の営業術」で重要ポイントに絞って、原文と併せて読み込むと、孫子の兵法の現代企業への活かし方がより鮮明になるだろう。2500年もの間、洋の東西を問わず伝承されてきた孫子の兵法は時代を超えて指針を与えてくれる。是非企業経営、営業力強化に孫子の兵法を活かして欲しい。

著 者:長尾 剛

出 版:PHP文庫

金 額:571円




リクルートのDNA

 リクルート社の創業者が書いた回顧録兼起業ノウハウ本。自身の体験を元に起業、経営の要諦を解説している。特に失敗談が生々しく説得力がある。また松下幸之助、本田宗一郎といった名経営者との逸話も紹介されており興味深い。リクルート社のビジネスモデルが特別優れているとは思わないが、優秀な人材を高回転させる組織運営を実現した点と「2位になるのは死である」とトップシェアにこだわったビジネス展開は見習うべき点が多いと思う。情報産業の勘所をつかんだ会社であることは間違いない。ただ、紙媒体を配りまくるビジネスは地球環境のためにも見直して欲しいと切に願う。企業経営者、起業志望者は是非読んでみると良いでしょう。

著 者:江副浩正

出 版:角川書店

金 額:686円




義理と人情

 ギネスに載るほどテレビに出ている著者が、企業経営もしているというので興味本位で読んでみた。帯には「日本一働く男の仕事とお金の哲学」とある。テレビで見る感じとはちょっと違って地味で堅実な内容。「1円玉を拾え」などと如何にも中小企業の経営者が好きそうな提言まである。「千円札を拾うな」と言う経営者も最近はいるが、やはり1円でも無駄にしないのが経営の基本。経営論としてはビックリするようなことは書いていないが、毎日のように通っているという銀座のマナーについては詳しく書いてある。毎夜クラブ活動に繰り出している経営者は読んでみると大いに反省するところがあるだろう。ちなみに忙しい中、自分の会社の状況を把握するために日報を使っているそうだ。やはり日報は忙しい経営者を助ける「日報神経」だなと実感。弊社の「顧客創造日報」を提案しに行こうかな・・・。何事においても情報を制するものが勝利を収める。時間がないことは言い訳にはならないと反省できる一冊。

著 者:みのもんた

出 版:幻冬舎新書

金 額:720円




使う!論語

 ワタミの社長が書いた論語解説本。というよりも、論語を元ネタにした渡邉美樹流の仕事論、人生論が書かれている。恐らく自ら経営する学校の生徒や居酒屋で働く若い社員に向けて書いたのではないかと思われる若者向けの論語本。論語を味わいたい大人には物足りないだろうが、若手には渡邉社長の事例などもあって読み易いだろう。確かに論語には、人生や人の成長について多くのヒントが書かれている。なかなか若い人は読もうとしないだろうが、こうした本をキッカケに興味を持ってもらえると良いと思う。私の会社でも早速入社3年までの若手に課題図書として読ませることにした。

著 者:渡邉美樹

出 版:三笠書房

金 額:533円




夢をかなえる洗脳力

 カーネギーメロン大学博士で脳機能学者、計算言語学者、認知心理学者であり、角川春樹事務所の顧問でもあり、オウム真理教の脱洗脳を手がけたこともあるという著者に興味をひかれて読んでみた一冊。今ひとつ書名と内容がマッチしないのでしっくり来ないが、洗脳の方法を応用することで人間の持つ力を引き出すノウハウを解説している。巷に出回る、「誰でも」「すぐに」「簡単に」成功できると訴える「成功ノウハウ本」よりは格段に信頼できる。要は、何を夢とし、目標とするかという問題だろう。自分さえ良ければそれが成功であると考えるようでは、真の成功はつかめないし、他者との比較、競争によって自分の位置を決めるような価値観では真の幸福感は得られないということだと思う。

著 者:苫米地英人

出 版:アスコム

金 額:1500円




ビジョナリー・ピープル

 ビジョナリー・カンパニーの著者が、今度は会社ではなくビジョナリーな個人を研究したと言う。200人を超える人にインタビューし、その要因を分析したレポートが本書である。企業の成功同様、個人においてもその仕事の意義を信じ、使命感を持ってやり続けることが鍵のようだ。能力の差や才能の差、運不運の差などは誰にもあるし、大したことではない。問題はそれをやり続けることができるかどうかであり、やり続けるためには、その仕事に対して信念や使命感を感じていなければならない。本書の言葉を借りれば愛がなければならない。「○○すれば必ず成功する」といった安直な成功本ではないところに本書の価値がある。良著。

著 者:ジェリー・ポラス+スチュワート・エメリー+マーク・トンプソン

出 版:英治出版

金 額:1900円




ビジョナリービジネス

 自らもゼロから起業して大手出版社を作り上げた著者が、経営の秘訣を物語にして披露した内容。実話を元にストーリーを組み立てたもので、読みやすくついサラッと読んでしまうが、非常に奥が深く大切な示唆に富んだ価値ある一冊。ビジョナリービジネスというタイトルが多少誤解を生んでしまいそうだが、単にビジョンを描けというのではなく、お金を稼ぐ以上の高い目的を持って経営に取り組むべきだと説く。経営者や起業を志す人は必読。正しい理念や目的を持ち、それに共感共鳴する人を集めて、やるべきことをやる。小手先のテクニックや時流に乗って浮利を追わないことが肝要だ。

著 者:マーク・アレン

出 版:総合法令

金 額:1600円




マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー

 マッキンゼーの創始者ではないが、マッキンゼーの土台を作り成長させたマービン・バウワーについて、元マッキンゼーの戦略アドバイザーが書いた本。経営コンサルティングという職業を確立し、自らそのモデルを示した人の生き様を多くのインタビューから描く。経営コンサルティング会社の商品は「人」である。「人」が生み出す智恵と言っても良い。人の頭の中は目に見えないから智恵を強制することはできない。如何に自発的に智恵を出してもらうか、がコンサルティング会社の要諦である。そしてそのノウハウは21世紀になって一般の事業会社でも必要になっている。知識や智恵を活用して仕事をするために何が必要かを本書は示してくれている。マービン・バウワーが素晴らしい人であったことが繰り返し書かれているので、マッキンゼー関係者以外は途中で読むのが面倒になるかもしれないが、参考になる本だと思う。

著 者:エリザベス・ハース・イーダスハイム

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1800円




迷いと決断

 ソニー前CEOが書いた回顧録。今だから言える(書ける)ソニーの裏事情。やはりあれだけの会社を経営するのは大変なプレッシャーだろう。CEO当時は、いちいち発言がカッコ良過ぎて好きになれなかったが、こうして裏事情を知ると、やはり優秀な人なんだろうなと実感する。創業者の評価が高過ぎて後継の経営者は誰しも苦労する宿命にあるのがソニーや松下なのかもしれない。日頃「中小企業の経営は大変だ」と不満を漏らすことの多い、中小企業経営者は是非読んでみると良いと思う。「大企業の経営も大変だ」と思えるだろう。中小にせよ大手にせよ、経営は大変だ。だから面白い。本書も面白い。

著 者:出井伸之

出 版:新潮新書

金 額:700円




清く美しい流れ

 老荘思想をベースにした経営指導を行うコンサルタントが書いた日本人論。最近は企業経営の品格や倫理が問われることが多い。それだけ品格や倫理性に欠ける経営者や組織が多い証拠だろう。そうした時代に日本人や日本という国の成り立ちや精神性を学ぶことは意義があると思う。「自分さえ良ければ」「自社さえ良ければ」とついつい考えてしまう人には是非読んで欲しいが、たぶんそういう人は読まないだろうなぁ~。読んでもイライラしてしまうでしょう。しかしそういう人にこそ読んで欲しい一冊。私はこの著者の本は全て読んでいる田口ファンですが、ちょっと最近の著作は小難しくなってきたので、昔の著作のように平易に書いてくれると多くの人に読んでもらえて良いのに、と多少残念でもあります。良著。

著 者:田口佳史

出 版:PHP研究所

金 額:1400円




よき経営者の姿

 一橋大学大学院の教授が書いた経営者論。多くの経営者に会う中で感じたよき経営者の条件を提示。顔つきから始まって、仕事、資質、育ち方、失敗、退き際まで、細かく経営者の問題点や理想形を示している。副題は「社長ごっこはもうやめよう」。著者が経営者として合格点を与えるのは一割程度。あとは「社長ごっこ」に過ぎないと一刀両断。大企業のサラリーマン社長よりも中小企業のオーナー社長の方が合格率が高いのではないかと感じた。中小企業の方が創業者の比率が高いからかもしれない。ではどうすれば「よき経営者」になれるのかという具体的方法論はなし。しかし問題として指摘されている点は非常に参考になる。経営者は育てようと思っても育てられないものなのではないかと思う。自ら学び、考え、挑戦していくしかない。本書はその手がかりとなるだろう。経営者、後継者必読。

著 者:伊丹敬之

出 版:日本経済新聞社

金 額:1600円




法令遵守が日本を滅ぼす

 東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを歴任した法の専門家が、安易なコンプライアンス論に苦言を呈す。日本は法治国家ではないし、法令遵守すれば良いという考え自体が隠蔽や不正を生むと説く。確かに明文化されていない○○指導やマスコミによるバッシングなどによって不明瞭な決着をさせることも多いし、法律を遵守すれば良いという考えの裏には、法律に触れなければ良いという考えがある。そもそも法律を守れと言って素直に守る人ばかりであれば、法令遵守などと声高に叫ぶ必要はないわけで、世のコンプライアンス騒動は行き過ぎの感がある。ライブドアや村上ファンドなどの事例にも言及されておりその法解釈も面白い。

著 者:郷原信郎

出 版:新潮新書

金 額:680円




愛と感謝の美容室 バグジー Ⅰ

 実は漫画なのですが、「心を育てる感動コミック」なのだそうです。特に若い人は活字を読みませんから、漫画にして大切なことを伝えるというのは一つの方法だな、と思って読んでみました。取り上げられているのは、北九州で美容室を展開するバグジー。その一風変わった経営方法、人材育成について、対個人のビジネスをしている企業には参考になるでしょう。顧客満足の前に従業員満足がポイントのようです。一般の書店には流通していないようですので、出版元のURLを入れておきます。
http://www.kokorozashi.co.jp/kancomi/
  よく見たら、弊社のユーザー様でした。さすが「顧客創造日報」を活用している企業は着眼点が素晴らしい。社員教育用のテキストなどに最適なコミックです。続編も出るようなので期待したいと思います。

著 者:田原 実

出 版:インフィニティ

金 額:1000円




打つ手は無限

 40年間企業経営を指導してきた著者の経営論。業種ごとに多くの事例を紹介しながら色々な打つ手を紹介。時代の変化に対応するべきだという指摘も多く、本の副題は「変貌する社長業」なのだが、20年ほど前に著者の講演で聞いたことがある事例がここでも紹介されていて、新しいのか古いのかは微妙な部分もあった。時代の変化を学ぶというよりは、時代が変わっても変わらない経営の王道を学ぶべき書だろう。その点では多くの現場を踏んできた智恵をもらえる良著である。

著 者:牟田學

出 版:サンマーク出版

金 額:2000円




たった三行で会社は変わる

 東証一部上場企業サトーの会長が書いた経営論。創業者の娘婿として経営を引き継ぎ、12期連続で増配中だそうだ。そのサトーで実施されている「三行提報」という仕組みを主に紹介している。1600人の社員が毎日三行、127文字で提案や報告を上げてくる。その情報によって現場の実態をつかみスピーディーな経営を実現する。せっかく毎日書くなら「IT日報」にして顧客との折衝履歴なども蓄積するようにした方が良いのではとも思うが、何にせよ社内に神経が通っていてそれがデイリーに動くことが企業経営には重要だ。これからの経営は正解が見えない。日々変化する現場の実態に合わせて臨機応変に対応していく必要がある。そうした時に現場を可視化して仮説検証スパイラルを回す仕組みを持っていることは企業規模の大小を問わず有効だろう。経営者、後継者必読の書。

著 者:藤田東久夫

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1400円




成功はゴミ箱の中

 マクドナルド創業者の自伝にユニクロの柳井社長、ソフトバンクの孫社長の解説付き。52歳から始めてマクドナルドを創り上げた人だけに内容は充実。どんなに苦難があっても決してへこたれることなく突き進み、読んでいるこちらまで気分が高まってくる。何気ないエピソードの中にビジネスのヒントが満載。そしてビジネスでの成功はそう簡単なものではないことを教えてくれる。安易な成功法を追い求める経営者は是非読んでみると良いだろう。まさに成功はゴミ箱をあさる程の努力の結果としてもたらされる。綺麗な格好で綺麗な事を言っているだけでは成功は覚束ない。巻末に、柳井さんと孫さんの対談、柳井さんによる7つの成功法則がおまけとして付いている。これがまた結構面白い。ビジネスマン必読の書。おすすめです。マックシェイクを久々に飲んでみたくなる一冊。

著 者:レイ・A・クロック

出 版:プレジデント社

金 額:1429円




お客には絶対に謝るな!

 書名や章ごとのタイトルは過激だが、営業マンが顧客に対して「すみません」「買って下さい」「お願いします」とへつらっているだけではこれからの営業は通用しないと言いたい本だと思う。本書自体を売るために「焚書」であるとか、「悪魔の書」であるなどと過激な演出をしているのだろうが、もっと本質をシンプルに書いてもらっても良かったのではないかなと思う。光文社ペーパーバックスなので過激じゃないといけないのかな。営業マンは顧客の奴隷でもなければ使用人でもない。顧客が知らない情報を伝達し、顧客が考えていなかったことに気付きを与え、顧客に価値を提供する存在である。絶対に謝るな!ということはないが、謝ってばかりでも、お願いしてばかりでもいけないことは間違いない。価格も安いし軽くて読みやすい本なので、営業のあり方を見直す意味で読んでみるといいだろう。「ちょっとどうかな?」と思う部分もあるが、7割8割は取り入れて良いと思う。

著 者:長野慶太

出 版:光文社

金 額:952円




お金より名誉のモチベーション論

 同志社大学の教授が書いた人材活用論。日本人の特性を捉えたモチベーションのあり方は非常に参考になる。人は金ではなく承認欲求によって動くと言う。その承認も「表の承認」と「裏の承認」があり、日本人は「裏の承認」の比重が高い。だから出る杭は打たれることになる。まさにそうだなと納得させられる。また、上司と部下の関係において師匠と弟子の関係が必要であるという点も非常に納得できるし、そうでなければ、これからの部下指導は肝心なところで意味をなさないものになるだろう。金をもらうから言うことを聞き、金を払うから言う通りにさせるといった労働観から脱却することが必要だ。仕事と金の関係を見直してみよう。経営者、管理者必読。

著 者:太田 肇

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




ビジョンマッピング

 組織、社員のやる気を引き出すためのビジョン作りのノウハウ本。ストーリー仕立てになっていて読みやすい本だが、社長が急死して社員がいきなり後継社長となるという普通ではあり得ない設定が多少引っかかった。多くの企業が先行きが見えず、従来のビジネスを続けるだけではビジョンが描けなくなっている昨今、個々人のやりたいこと、燃える対象をビジネスに落とし込むという発想も必要だろう。二世、三世の経営者には特に必要なことかもしれない。親がやっていたビジネスだから、という理由だけではこれから先のビジョンが描けないし、ビジネスにやる気も出ないだろう。本書は迷える二代目、三代目の経営者に是非おすすめである。

著 者:吉田典生

出 版:PHP研究所

金 額:1500円




未来を変える80人

 二人のフランス人の若者が世界中の社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)を取材して回ったレポート。440日間、38カ国に渡って113件の取材をこなし、そこから80人を紹介しているのだが、社会問題への対応と経済的な成功を同時に成り立たせた人たちの姿は勇気を与えてくれる。地球温暖化や資源枯渇問題など地球環境は危機に瀕しており時間的猶予はあまりない。一人ひとりが自分たちにできることを始めていかなければ地球の存続(少なくとも人類の存続)はあり得ないだろう。人間の生活が豊かになった分、地球は悲鳴を上げている。しかし太古の暮らしに戻るわけにも行かない。ではどうするか。その答えのヒントがこの本に書いてある。

著 者:シルヴァン・ダニエル+マチュー・ルルー

出 版:日経BP社

金 額:1600円




勝利への方程式

 「風林火山」武田信玄の兵法に学ぶ経営論。07年のNHK大河ドラマは「風林火山」でもあるし、今年は武田軍学、風林火山の原典である孫子の兵法を学ぶ良い機会だろう。漫画家、横山光輝の挿絵もあって読み易い一冊。やはり武田信玄は孫子の影響を大きく受けているようだ。戦わずして勝つ孫子の兵法を実践に活かしている。先の見えない時代の転換点だからこそ、原点に戻って原理原則を学ぶべきであろう。原理原則を知って動く人と、学びもなくがむしゃらに動く人とでは、成功の確率が大きく違ってくるはずである。

著 者:加来耕三

出 版:講談社

金 額:1470円




ねばちっこい経営

 「現場力を鍛える」「見える化」に続く現場力三部作の完結編。粘り強く続けられるかどうかが企業の力を左右すると説く。「ねばちっこい」とは茨城弁で、「おかめ納豆」で知られるタカノフーズの経営思想だそうだ。納豆だから粘り強いとは、冴えない親父ギャグのようではあるが、本のタイトルとしては「粘り強い経営」とか「粘っこい経営」とするよりは、「ねばちっこい」の方がインパクトがあって良い。当り前のことを当り前に徹底して続けよと言う内容なので、内容的には驚くような発見はないが、その凡事徹底ができずに業績を上げられない企業が多いことは事実であり、痛いところを突かれたと感じる経営者も少なくあるまい。この三部作は遠藤先生か編集者かの「現場力」「見える化」「ねばちっこい」というネーミングの成功によって売れた見本とも言えるだろう。現場力も大切だが、やっぱりネーミングやデザインなども大切だよね、と突っ込みを入れたくなるのは私のひがみだろうか・・・。経営者、管理職必読の書。

著 者:遠藤 功

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




2010年 日本の経営

 野村総研が描く2010年のあるべき姿。副題は「ビジョナリー・エクセレンスへの地図」。ビジョナリーカンパニーとエクセレントカンパニーを足しただけのようなネーミングではあるが、理念・ビジョンをベースに先見性と卓越性、社会性を有する経営モデルだそうだ。その経営モデルの中心は、人材確保も難しくなり、人材の質も「イヌ型」から「ネコ型」にシフトするため、その求心力となる理念やビジョンを明確に持つべきだとする人事政策にあるようだ。確かにこれからの企業経営は、人材を確保し、その人材が付加価値を産む仕組みを作るかがポイントになるだろう。ただ、理念やビジョンに共鳴すれば経営がうまく行き、ビジョナリー・エクセレンスと呼ぶ状態になるのかは不明。年始にあたり将来を考えてみる材料としては一読の価値があるだろう。

著 者:野村総合研究所

出 版:東洋経済新報社

金 額:1700円




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