なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか
PwCの戦略コンサルタントによる戦略実行のための処方箋。原題は「STRATEGY THAT WORKS:How Winning Companies Close the Strategy-to-Execution Gap」。要するに戦略と実行のギャップを埋めてどう戦略を機能させるかという感じか。せっかく良い戦略を考えても実行できない企業が多いぜと戦略コンサルタントが言い訳をしているようにも思えるが、たしかにそういう企業も少なくないので、本書を参考にして実行力を高めよう。
本書でしきりに出てくる用語が、ケイパビリティとコヒーレンス(一貫性)。戦略と実行を結び付けるものが、ケイパビリティであり、それが一貫性を持って保たれているかどうかがコヒーレンスということのようだ。「特徴あるケイパビリティとは、自社が得意なもので、顧客が価値を認め、ライバルが太刀打ちできないものを表す。」とあるので、そもそも自社のケイパビリティを活かす戦略を立てれば、実行できない戦略とはならないわけだから問題ないのではないかとも思ったりする。
本書では違うものだと述べているが、ケイパビリティとはコア・コンピタンスと同じようなものではないかと思う。まさに「自社が得意なもので、顧客が価値を認め、ライバルが太刀打ちできないもの」を戦略のコアとする考え方であり、実行出来もしない綺麗な戦略など、いくら綺麗にまとまっていても良い戦略とは呼べないから、何を良い戦略と考えるかという点から掘り下げてみてはどうかな。とまぁ、どうしてもコンサルタントが書いた本にはケチをつけたくなるが、なかなかよくまとまった本である。