代表長尾が語るおすすめBOOKS

弊社代表の長尾が読んだ書籍の中から
特に皆様におすすめのものを厳選してご紹介するページです。
自己啓発や社内教育の参考にしてください。

おすすめBOOKS 2009年版

リンゴが教えてくれたこと/h3>

 無農薬、無肥料の「自然栽培」でリンゴ栽培に成功したという苦難のストーリー。農薬や肥料を使うのが当り前、常識でありながら、それを打ち破った。その過程では9年間も収穫ゼロ、収益ゼロの危機があった。その間には出稼ぎに出たり、アルバイトをしたりと苦労を重ね、最後には自殺までしそうになる。それを乗り越えたのは徹底した観察。土や木や虫などを専門家よりも詳しく観察した末にたどり着いた。普通の人には到底マネができない程の執着心。人より多くの失敗をしたからこそ成功したと言う。ちょっとやってすぐに「無理だ」「できない」と諦めてしまうのが恥ずかしくなる。読んでいて非常に勇気付けられた。自分が正しいと信じる道を徹底して極めること。そこに妥協があってはならないと思う。絶対に成功する法則は、成功するまで何度失敗しても諦めずにやり続けることだ。まさに木村さんのリンゴ作りのストーリーを知ると、この成功法則が確信できる。良著。新書で安いし、多くの人に読んでもらいたい。

著 者:木村秋則

出 版:日本経済新聞出版社

金 額:850円




リクルート事件・江副浩正の真実

 リクルートの創業者江副浩正氏が自らリクルート事件の内実を語る。もう20年以上も前なのに、と思ったが、裁判に14年、そこから執行猶予がついて、それが解けたのは昨年3月。刑期は3年だが、実際には20年以上かけて償わされた感じだ。当事者の書いたものであり、どこまでが真実なのかは分からないが、マスコミの報道によって煽られたことは間違いなさそうだ。疑わしいとなっただけで叩かれ、判決、実刑よりも痛い目に遭わされるということがあるのだろう。検事の取り調べの生々しい中身も恐ろしい。江副氏は自殺願望もあったと書いているが、読んでいるだけでこちらまで生気が減退していく感じだった。取調べの可視化は是非進めるべきだろう。リクルートの事業は無料誌を配りまくってエコじゃないし、そもそも儲け過ぎではないかと思うのであまり好きではないが、江副さんはすごい人だと思う。そういう人が社会的に抹殺されるのは残念だし、日本の成功者、有名人に対する嫉妬心は怖いと思う。図太くないと有名にはなれない。政治家、経営者、有名人は読んでみるといいだろう。結構な文量だが、リアリティがあって引き込まれていく。司法制度に一石を投じる一冊。

著 者:江副浩正

出 版:中央公論新社

金 額:1500円




いざとなったら会社は売ろう!

 中小企業向けM&Aのすすめ。後継者がいなかったり、いても会社を継ぎたくないという場合も多いから、いざとなったら会社を売るという選択肢も持っておいた方がいい。本当は、いざとなる前が大切。いざとなってからでは売りたくても売れなくなるし、売れたとしても価格が下がる。本書はそうしたことを分かりやすく説明してくれる本だ。M&A関係の本は小難しいものが多いが、中小企業向けは分かりやすくないといけない。今は、経営が難しい時代だから、後継者がいても将来が見えない場合が少なくない。今は経営が成り立っていても今後ジリ貧になる可能性もある。中小企業こそM&Aを検討すべきだし、経営上の選択肢として用意しておくべきだろう。それが企業を存続させ、従業員の雇用も守り、経営者のハッピーリタイアにつながる。会社を売ることに罪悪感を持たず、いつでも売れる会社を作ることを目指す時代なのだろう。経営者、後継者におすすめ。

著 者:岡本行生

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1429円




日本一の変人経営者

 CoCo壱番屋創業者の経営回顧録。日経新聞の「私の履歴書」を書くために予行演習をしたような一冊。実の親も分からず養護施設で育ち、引き取られた養父母の許で大変な苦労をしたというその人生は是非「私の履歴書」で広く紹介して欲しいと思う。何が日本一の変人かというと常軌を逸したハードワーク。付き合いも断ち飲みにも行かず早朝から深夜まで仕事。遅寝早起きでなければならないと説く。「これまで多くの経営者に出会い、話を聞いてきたが、私のように、周囲があきれるほど仕事に打ち込み、自分のことは置いて身も心も経営に捧げようとしている経営者にはお目にかかったことがない」のだそうだ。こんなことを書いたら、これまで著者と出会ってきた人たちは不愉快かもしれないが、それを公言するあたりが変人なのかな。しかし、大して仕事もしていないのに、「不況で困った」「会社が潰れそうだ」と嘆いてばかりの経営者が多いから、是非本書を読んでみるといいだろう。私はフランチャイズビジネスをあまり信用していないが、CoCo壱とドトールはなんとなく信用できるような気がする。本書を読んでもそんな感じ。ただし、社員として勤務しないとFCオーナーになれない仕組みだそうなので、一般のFCとはちょっと違う仕組みとも言える。経営に近道はないことを教えてくれる一冊。今日はCoCo壱のチキン煮込みカレーを食べに行こうと思う。ガーリックと半熟卵をトッピングする。ごはんと辛さは「普通・普通」で。

著 者:宗次徳二

出 版:ダイヤモンド社

金 額:1500円




NASAより宇宙に近い町工場

 自腹で宇宙ロケット開発をしている北海道の町工場の本。著者はその二代目経営者だが、社会起業家のような人。世の中から「どうせ無理だ・・・」という言葉をなくすことを目指す。「どうせ無理だ」と言われたら「だったら、こうしてみたら」を考える。そして成功するための秘訣は「成功するまでやること」だと説く。これが説教臭くなく、自ら実践していることだから素直に受け容れられる。何しろ、社員20名ほどの町工場で宇宙ロケットを開発して、そこにNASAの人間までやってくるようになったと言うのだから。そして「NASAは組織が大きくなりすぎてチャレンジ精神が薄くなっている」「僕たちは小さな工場とはいえ、心意気はNASAより宇宙に近い」と。素晴らしい。すぐに「どうせうちには無理」「中小だから無理」「金がないから無理」「人材がいないから無理」などと言い訳をする中小企業経営者ならびに後継者には必読。そして必ず読んで欲しいのが、学校の先生だ。子供たちの夢を潰すことなく進路指導をして欲しい。おすすめ。良著。

著 者:植松 努

出 版:ディスカバー・トゥエンティワン

金 額:1300円




フリー<無料>からお金を生み出す新戦略

 ロングテールという言葉を生み出した「ワイアード」誌の編集長が書いた「無料戦略本」。デジタル世界では限界費用が限りなくゼロに近づくことで、フリーが当り前になると説く。確かにネットを活用すればデリバリーコストもタダ同然になるから、数がまとまればほんの数%の有料ユーザーがいれば採算はとれる。問題は数%の母数だ。100や1000では話にならない。百万、千万が母数になれば数%でも大きなものになる。次の問題は、既存のプレイヤーは既存ビジネスがあるが故にフリー戦略をとりづらいということ。マイクロソフトが後から出てきたグーグルの無償アプリに押されているように、後出しが優位。しかし後過ぎてもダメ。ここらが難しいところだ。今はやりの「クラウド」などもネット経由故に「フリーミアム」の圧力にさらされることになるだろう。既存のIT企業が流れに遅れまいとして「クラウド」に乗ろうとするのもとても危うい。今まで提供していた製品やサービスが無料になった時にどう収益をあげるかをよく考えるべきだろう。350ページの大部だが、必読。

著 者:クリス・アンダーソン

出 版:NHK出版

金 額:1800円




クラッシュ・マーケティング

 全米ナンバーワンマーケッター(かどうかは知らないが)という著者が書いた不況期克服のためのマーケティング論。不況だからと言っても、顧客がまったく物を買わなくなるわけでも、マーケットが完全に消滅するわけでもないのだから、要はマーケティング次第だと説く。そしてマーケティングとは、「ある市場を構成する人々に、私たちがあなたの問題を解決し、隙間を埋め、機会や望み、目標を実現します。よそに同じことはできませんと『教える』ことに尽きる」と定義する。ビジネスが停滞する要因を9つに整理し、それぞれに対処法を提示する。言われてみれば当り前じゃないかと思うことも多いが、実行できていないことも多い。分かっていてもやっていなければ意味がない。せっかく良いビジネスをしていてもそれが顧客に届いていなければ価値を産まない。そういう意味では、もっと遠慮せずに自社のアピールをすべきだなと感じた。どうしても日本人は奥ゆかしい。さすがに全米ナンバーワンのマーケッターは自己アピールもうまい。厳しい環境の中で、マーケティング力や営業力が大切なことは間違いない。おすすめの一冊である。

著 者:ジェイ・エイブラハム

出 版:実業之日本社

金 額:1900円




「戦う自分」をつくる13の成功戦略

 「リーダーのリーダー」「世界一のメンター」と呼ばれているという著者の成功ノウハウ本。原題は“ TALENT IS NEVER ENOUGH ”生まれついての能力・才能だけでは不充分なのだから何らかの努力をせよということか。この手の本はだいたい読んでいるのだが、少ない文量で、うまくまとまっていると思う。若いビジネスマン、大学生あたりは是非読むと良いだろう。高校生でもいいかな。たったの1400円だ。私は本書の中で紹介されていたキング牧師の「たとえ命を投げ出してでも達成したい目標が見つからないなら、生きている意味がない」という言葉にガツンとやられた。人生の目標や使命感は持っているつもりだが、命を投げ出してでもと言われるとグラつく。命ある限りはやり切ろうとは思えるが、命を投げ出せるだろうか?「戦う自分」をつくるために考えてみようと思う。良著。

著 者:ジョン・C・マクスウェル

出 版:三笠書房

金 額:1400円




成功は一日で捨て去れ

 ファーストリテイリング会長兼社長が書いたユニクロ経営論。まず、ユニクロは「一人勝ち」ではないと宣言。こんな程度で勝っているとは言えない。まだまだだ。もっと上を目指す。そういう柳井さんの危機感が伝わってくる。「一人勝ち」「勝ち組」などと報道されて社員に安心感、安堵感が出てくるのを恐れているのだろう。かつてのフリースブームの時のように。本書は、タイトル通り、成功に満足したり甘んじることなく、常に危機感を持って経営やビジネスに取り組むべきだという、経営者の心情、本音を知ることができる一冊。あのユニクロ、ファーストリテイリングでさえ、それだけの危機感を持ってやっているのだから、我々はそれ以上の危機感を持つ必要がある。「日本の経営者は『会社は社員のためにある』と言う人が結構多い。これは本末転倒である。また、アメリカの経営者は『会社は株主のためにある』とよく言う。これもあり得ない。」とバッサリ。まさに我が意を得たり。顧客志向なくして社員も株主も守ることはできないと思う。そして社員に対しては「サラリーマンではなく、自分自身で考え行動する自律・自立型の社員=ビジネスマンを会社内で育成しなければ会社は成長しない。」と指摘する。きっとそれは柳井さん自身が一番ご苦労されている点ではないだろうか。会社を成長させるためにそうした人材が必要となり、会社が成長し大きくなることでサラリーマン的人材が増えてしまうジレンマだ。経営者も社員も必読の書。

著 者:柳井 正

出 版:新潮社

金 額:1400円




営業の見える化

 経営の見える化、可視化経営を提唱し、8000社に可視化経営システムを導入してきた著者が、経営の見える化の中でも最も難しい営業部門の見える化に踏み込んだ一冊。営業は社外での活動がメインだから基本的に見えない。しかし顧客の声を聞き、ニーズを吸い上げ、売上を上げる最前線である営業部門は、最も見えていなければならない部署であるとも言える。著者は、営業の見える化は結果(売上・受注)の見える化であってはならないと説く。というか、そんなことはどこの企業でもやっている。売上なんて否が応でも見なければならない。そんな結果を見たって後の祭り。大切なのは売上をあげるためのストーリーであり、途中のプロセスであり、営業対象となる顧客である。そこが見えなければ手が打てない。逆に、そこが見えれば手が打てるわけで、日々改善を続けることで営業改革が成し遂げられるのだ。著者(実は私だが)が20年以上にわたって経営指導を行ってきた中で培った泥臭いノウハウ満載。マニュアル作りや営業ロープレのやり方など事例入りで詳しく紹介してある。経営者、営業マネージャーは必読。上を目指す営業マンも読んでみるといいだろう。自分の営業のどこに問題があるか、見えてくるはずだ。

著 者:長尾一洋

出 版:中経出版

金 額:1300円




なぜこの会社はモチベーションが高いのか

 「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者、法政大学坂本教授の最新刊。この本では15社の事例が取り上げられている。前著は、選りすぐりの5社(だったかな)だっただけに、インパクトが大きかったが、続く15社となると、参考にはなるが多少パワーダウンかな。しかし、全国の6000社を訪問して現場を見て選んだ会社だけに、良い会社が多くて、嬉しくなる。良い会社が増えることは誠に喜ばしい。そこで働く人たちがハッピーなのがいい。モチベーションの高い会社を作るには、まず経営者が信頼されること、だそうだ。ここでいきなりお手上げになる経営者が多いのでは?次にミドルの意識を高める。ここでイヤになる管理職が多いのでは?そして価値ある経営の実践。これを一番にした方がいいと思う。多少経営者が頼りなくても、多少ミドルの意識が低くても、価値のある経営をしていることで、徐々にレベルアップできるものだと考えたい。そもそも社員の側もモチベーションが低いのなら、上の意識が多少低くても文句は言えまい。それよりも、まずは世のため人のために役立つ会社にしよう、そういう仕事をしようと全員で考えることが大切だと思う。いずれにしても、良い会社を作るためのネタやヒントが満載なので、是非お読み下さい。

著 者:坂本光司

出 版:商業界

金 額:1429円




カオティクス

 マーケティングの大家、コトラーの共著本。好況と不況が周期的にやってくる時代は終わり、景気が乱高下する不確実な時代になったと指摘。そのリスクから身を守り、不確実性に対処する仕組みが「カオティクス」。要するに、リーマンショック後のような不測の事態に備えてどういう経営をすべきかということ。何が起こるか分からないし、変化が断続的に続くので、反応性、強靭性、弾力性が必要なのだそうだ。マーケティングの大家が書いた割には、各部門ごとにどういう手を打てとか、安易に値下げするなとか細かいことまで触れられている。共著だからかな。これがカオティクス・マネジメントだ、これがカオティクス・マーケティングだとあれこれ提唱されているが、その新規性、独自性は分かりにくい。早い話が「用心せよ」ということか。分かりにくい時代だから本も分かりにくい。カオス状態なのだから仕方ないか。一応、コトラーが何を言っているのかを知っておいた方が良いかな、という一冊。

著 者:フィリップ・コトラー+ジョン・A・キャスリオーネ

出 版:東洋経済新報社

金 額:1800円




「で?」の一言で、部下の意欲に火をつける

 私はよく部下の日報に「で?」とコメントしたり、部下と会話していて「で?」と聞くことがある。本書のタイトルを見た瞬間、私のために書かれた本ではないか?買うしかない!と決意した。コーチングを意識していたわけではないが、相手の自発的な決定と行動を引き出す上で、「で?」という質問は有効だそうだ。そりゃ~良かった。やはり何事も自分で考え、自発的、自律的に動いて欲しい。考えもなく結果報告をしてきたり、相談してきたりしたら、つい「で?」と聞いてしまう。短くて、簡単だし、日報のコメントなどにはおすすめだ。もちろん「で?」だけではコーチングにはならないわけで、本書を読むと9つの手法というか考え方が紹介されている。中に、コーチとコンサルタントは違うというくだりがあった。コンサルタントは答えを与えるが、コーチは答えを与えず自分で考えてもらうのだと。確かに実行段階ではコーチが良いと思う。私もそうする。しかしコンサルタントである私は、クライアントが考え付かないような答えを考えるし、そこにこそ付加価値があると思っているので、少々異論もある。まぁ役割分担でいいのだけれど・・・。コンサルタントはダメだ的なことを言われると突っ込みたくなるが、「で?」を認めてくれているので良い本です。

著 者:鈴木義幸

出 版:講談社

金 額:838円




論語抄

 中国人人気作家による論語解釈。漢文は二千年前とあまり変わっていないらしく、漢字からダイレクトに意味を読み取れるそうだ。日本語読み下し文を読むのにも苦労する日本人からすると大きな差がある。著者なりの論語の読み方が味わえて、中国古典の学者による解釈本とは一線を画していて興味深く読めた。出張の途中で読む本がなくなり、仕方なく駅構内の本屋(売店?)で見つけた本である。駅の売店にはなかなか良い本が置いてない。エロ小説みたいな本はたくさん置いてあるのに・・・そんなに買う人がいるのかな?旅の途中だからそんな気分になるのか?と思いながら探していて、論語の文字が目に入った。まぁいいか他にないし、と思って買ってみたが、文庫だし旅の友に論語もまた良し。軽いタッチなのも良い。論語との距離が縮まる一冊。

著 者:陳 舜臣

出 版:中公文庫

金 額:590円




人を助けるとはどういうことか

 MITの名誉教授であり組織心理学の創始者と言われるE・H・シャイン先生の最新刊。企業組織のコンサルティングをしている人なら誰しもシャイン先生の本くらいは読んで勉強していると思う。私も駆け出しのコンサルタントの頃から影響を受けているが、頭では理解できても実践が難しいという内容が多い。ちなみに翻訳が悪いのか原著がそもそも悪いのかは分からないが、読みづらい本が多い。しかし言っていることは大事なことなので頑張って読むしかない。本書は、前著(になるのかな?)「プロセス・コンサルテーション」(白桃書房・これはもっと読みづらい・・・)の内容をより分かりやすく伝えようと意図されたものだと思う。監訳者は、「シャイン先生は、難解なことを分かりやすく説明する天才だ」と書いておられるが、私にはシンプルなことを何度も何度も色んな言い方で説明してくれるものだから余計わけが分かりにくくなっているようにしか思えない・・・。要は、人を支援する時には、「専門家」モード、「医者」モード、「プロセス・コンサルテーション」モードがあり、クライアント(相談者・依頼者)のことをより理解し、一緒に解決策を作っていくプロセス・コンサルテーションが重要だということが言いたいのではないか。と思う。たぶんそうだ。恐らく間違いない。ということが発見できたという点で、本書は前作よりもおすすめだ。価格も安い。コンサルタントはもちろん、先生、医師、カウンセラー、コーチ、上司、先輩、夫婦、親、介護者など人を支援する役割を果たす人が読むべき本である。但し一般の方は止めておきましょう。たぶん寝てしまうでしょうから。

著 者:エドガー・H・シャイン

出 版:英治出版

金 額:1900円




かっこちゃん Ⅰ

 心を育てる『感動コミック』の第4弾。マンガだから、絵だから伝わることがある。発行元の(株)インフィニティは、漫画というメディアで感動を伝えている会社である。今回は石川県の養護学校(特別支援学校)の先生、山元加津子さん(かっこちゃん)が主人公。メッセージは、「みんなそのままが素敵」「すべてのことに意味がある」ということ。障害があっても、病気があっても、前向きに生きる人がいる。五体満足でピンピンしていても愚痴や不平不満ばかりで後向きな人もいる。どうせ生きるなら前向きがいいね。かっこちゃんは雪絵ちゃんとの約束を守るために執筆や講演を続けているそうだ。雪絵ちゃんとどんな約束をしたのかは是非本書を読んでみて欲しい。きっとすべての人が心を洗われる気持ちになるだろう。私もなんだか雪絵ちゃんと約束した気分になって、本書をおすすめしています。是非お読み下さい。

著 者:池田奈都子

出 版:インフィニティ

金 額:1200円




勝つまで戦う

 ワタミの会長になった著者による仕事論、人生論。居酒屋だけでなく、教育や福祉、農業まで事業領域を拡げるのはなぜかが語られる。イエス・キリストや孔子を目指すというからタダモノではない。サブタイトルは「渡邉美樹の超常思考」。まさに常識を超えた思考であって、本書に書かれていることが本当なら、素晴らしいことだと思う。もう何年も前になるが、ご本人に会ったことがある。パワフルに自説を語っておられたが、その時には本書にあるような無私を感じることはなかった。恐らく本書で語られている多くの出会いによって新境地に立たれたのだろう。人口減少にあえぐ日本にも、温暖化や資源枯渇を抱える地球にも残された時間は短いから、著者のように行動を起こす人が出てくることはありがたいことだ。仕事がつまらないとか、人生に夢が持てないなどと泣き言を言っている人には是非読んでもらいたい。

著 者:渡邉美樹

出 版:講談社

金 額:1000円




人材開発マネジメントブック

 人事について書かれた本というのは、大学のテキスト用だったり、どこでも言うような古臭い内容が多いのだが、本書は人事、人材開発、組織開発まで理論から実践方法まで最新のネタを盛り込みつつ整理してくれている良著である。特に後半の教育研修のあり方、進め方あたりは、非常に具体的に書かれていて、人事部門が未整備の中小企業などでは参考になる点が多いだろう。私もいろいろな企業で講師をすることがあるが、研修の設定から受け入れ、当日の運営など、ひどい企業が多い。せっかく講師料を払って、時間もかけて研修をするならもう少し工夫すればいいのに、と思うことも少なくないから、是非本書を読んで欲しい。企業規模には関係なく、経営者をはじめ、人事担当の役員、マネージャーは人事政策を整理するのに役立つのではないか。人は企業のものではないが、人がいてこそ企業である。人材開発、人材活用というテーマは企業経営にとって避けて通ることはできない。

著 者:福澤英弘

出 版:日本経済新聞出版社

金 額:2600円




徹底のリーダーシップ

 「経営は実行」などの著作で知られる経営アドバイザーが、リーマンショック後の2008年12月に書いた、経済危機突破のための緊急提言書。原題は“ Leadership in the Era of Economic Uncertainty ”。経済が不確実な時代のリーダーシップということか。内容は、ずばりリストラを徹底して損益分岐点を下げ、キャッシュフローを確保せよ、というもの。経済は不確実で先が読めないわけだから、あれこれ理屈で考えているのではなく、リーダーが率先して現場に入り、徹底してリストラを進めよというわけだ。巻頭には、経済危機の中で気を吐くファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の解説が載っている。「現場に入って手も口も出せ」と。米国流と日本流の差はあるだろうが、グローバル競争の中では米国企業も日本企業も関係ない。危機状況に置かれればシビアに徹底してやるしかない。多くの経営者が本書を読むと自分の経営の甘さに気付かされるだろう。経営者、幹部、管理職におすすめの一冊。

著 者:ラム・チャラン

出 版:プレジデント社

金 額:1429円




知識ゼロからの孫子の兵法入門

 「島耕作」で有名な漫画家とコンサルタントとの合作「孫子解説」。もちろんマンガ付き。「必勝の営業術」という孫子兵法解説本を書いている私からすれば、孫子の掘り下げが甘いが、マンガ付きなのがいい。それも島耕作だ。孫子の兵法を多くの経営者、ビジネスマンに知ってもらいたいと思うし、特に若い人は食わず嫌いをせずに読んでみてもらいたいと思う。そのためにこうした入門書があるのはいいことだ。是非本書が多くの人に読まれて、より多くの人が孫子の兵法に興味関心をもってくれることを願う。2500年前から伝わる孫子の兵法には、時代の変化を越えてきた珠玉の智恵が満載。単なる現代語訳ではなく、現代に合わせて意訳していくと大いに気付きがあるだろう。より実践的に孫子の兵法をビジネス応用したいと思ったら「必勝の営業術」を読まれることをおすすめする。まずは島耕作から孫子を学んでみよう。

著 者:弘兼憲史+前田信弘

出 版:幻冬舎

金 額:1300円




大前の頭脳

 大前研一最新刊というか最新編集本。「大前の頭脳」というタイトルもそうだし、帯にはデカデカと大前先生の写真があり、「知のサバイバル技術を一挙公開!!」とある。これは大前ファンとすれば買わない訳にはいかない。読まない訳にはいかない。が、実は日経BPのウェブサイトのコラムの編集本だった・・・。確かに内容は参考になる。なるほど大前さんはこう考えるんだなと理解できる。いちいちウェブサイトを読むのではなく本でまとめて読めて便利だ。だが、ウェブサイトですでに公開されている内容だと思うと少々ガッカリだ。最新のものは09年の2月分。7月に最新刊だと思って買って読んだら2月にはすでにウェブに載っていた内容だった。さすが大前研一先生。ビジネスブレークスルーで喋ったことをウェブサイトに載せ、それを書籍に転載し、その書籍でまたビジネスブレークスルーの受講者を集めるという「マルチプル」ぶり。これこそ「知のサバイバル技術」である。大前研一先生の「サイバー」「ボーダレス」「マルチプル」戦略にうまく乗せられていることを意識しながら読むととても参考になる一冊。情報自体は古いが、「売り」は大前の頭脳。私は大前研一ファンだ。

著 者:大前研一

出 版:日経BP社

金 額:1600円




儲かる会社経営2:8の新ルール

 感動経営コンサルタントとして日本だけでなくアジア各国でも活躍する著者が、社員の2割が変われば全社が生まれ変わると説く経営改革本。私も20年来存じ上げる人である。本書では「日本式王道経営の復活」を訴え、「日本の経営者は、アメリカに経営のバイブルを求める前に、足下にある、日本人の特質に根付いた経営革新の素晴らしいお手本を活かすべきときではないだろうか?」と問題提起する。素晴らしい。同感だ。一般に言われる日本的経営(終身雇用・年功序列・企業別組合)ではなく、日本の文化に合った日本Originの企業経営スタイルを目指すべきだ。本書には具体的事例と実用シートが盛り込まれている。経営者、後継者におすすめ。

著 者:角田識之

出 版:明日香出版社

金 額:1500円




響き合うリーダーシップ

 1987年に書かれた本の復刻版。表紙には「20年以上読み継がれる名著」「ピーター・ドラッカー絶賛!!」という言葉が並ぶ。ドラッカーが絶賛したのなら買うしかない。読まねばならない。原題は“ Leadership Is an Art ”リーダーシップはアートであると説く。最終メッセージは「リーダーシップは一連のやるべきことというより、「アート」と、信念と、心がけの問題だ」というもの。企業の実体を人と捉え、人は金銭ではなく心で動くということを教えてくれる。その時リーダーシップはアートとなる。我々はこうした経営を「可視化経営」と呼び、社員一人ひとりは「ジブン株式会社のオーナー」であると言っているが、本書にも「会社のオーナーのようにふるまう従業員が増えれば、かならずや資本主義はよりよいシステムになるだろう」とあった。さすが、ドラッカーが絶賛したというだけのことはある本だ。良いことが書いてある。企業経営者必読。おすすめです。

著 者:マックス・デプリー

出 版:海と月社

金 額:1600円




成功の法則92ヶ条

 楽天の社長による経営論と仕事術。92ヶ条もあってとても覚えられないが、ビジネスにおいて参考になることが書いてある。三木谷社長にあったことはないが、きっと自信満々な人なのだろうと思う。何を成功と考えるかは人によって区々だが、人に成功の法則を語るためには、少なくとも自分が成功しているという認識がなければならない。個人的には楽天グループにあまり良い印象がないのだが、まぁ成功していることは間違いないだろう。私が成功の法則を挙げるとすると一つだけ「成功するまで諦めずに続けること」としか言えない。これは絶対の法則であり、まだ成功していなくても言える法則だ。が、やっぱり三木谷社長の92ヶ条の方が役に立ちそうだ。

著 者:三木谷浩史

出 版:幻冬舎

金 額:1600円




人間力

 船井幸雄先生と将棋界の天才羽生善治という異色の対談本ということで、内容もロクに吟味せず購入した。船井先生の超意識、超常現象話に理知的、合理的な感じのする羽生さんがどう受け答えするするのか興味があった。対談だけに読みやすいし、棲む世界が違い、世代も違う二人だからこそ相手に分かりやすく伝えようとした感じ。そういうことで、船井本をいきなり読むのはちょっと・・・という若い人に船井ワールドへの入門書として読んでもらうのがいいかもしれない。生き方や仕事の仕方で参考になることが多いと思う。

著 者:船井幸雄+羽生善治

出 版:ビジネス社

金 額:1500円




チーム脳のつくり方

 アクションラーニングを応用した組織活性化法を解説した一冊。指示命令ではなく質問によって組織を動かすべきだと説く。それによって組織メンバーの自発性が引き出され「チーム脳」を出現させるという。若い人を中心にすぐに「正解」を求める人が多いように思う。問題集を解くのに分からないとすぐに巻末の「正解例」を見るような感じだ。学校教育の弊害だと思うが、すべての問題には「正解」があると思っている。だから仕事でもすぐに「正解」を求め、自分で問題を設定したり、そもそもなぜそれが問題なのかという問いもない。そのような時代において、本書が提唱する「質問会議」「チーム脳」というアプローチは必要なことなのだろう。「正解」を求めている相手に「ああしろ、こうしろ」とすぐに「正解」を与えてしまっては、思考停止になるのも必然だ。指示命令を与えるのをグッとこらえて質問をしてみよう。

著 者:清宮普美代

出 版:WAVE出版

金 額:1500円




グローバルリーダーの条件

 ビジネスブレークスルーの宣伝くさい感じは否めないが、グローバルに通用する日本人を如何に増やすかという提言は確かに必要なことだと思う。英語が喋れればグローバル人材かのような誤解が多い。外資系企業に勤めたらグローバルかのように思う人も少なくない。外資系企業でも日本で仕事をしているだけでは日本人へのトランスレーター(トランスフォーマー)であって、自らグローバルに発信する人ではない。当然、グローバルリーダーになどなれるはずがない。日本に生まれた日本人であれば、その日本にしかできないオリジナルな発想、着想をグローバルに伝えていける人を目指すべきだろう。その時必要なのが英語という伝達手段ではなかろうか。大前氏は説明するまでもないが、対談相手の船川氏は、グローバル企業の人材育成を行うコンサルティング会社「グローバルインパクト」代表。米国でMBA取得後、シリコンバレーでコンサルタントをしていたそうだ。一問一答で正解が用意され、知識を覚えれば良かった学校教育の弊害を受けた若い人たちに是非読んで欲しい一冊。

著 者:大前研一+船川淳志

出 版:PHP研究所

金 額:1300円




レッドゾーン 上・下

 NHKのドラマになって火がついて、今度は映画にもなる「ハゲタカ」の続編。今回の話は中国が日本のトヨタを買収するような話。そこに米国ビックスリーの破綻などが絡んでくる。中国の台頭、米国の凋落などがリアリティをもって描かれる。リアルとは言え、スパイあり暗殺あり盗聴ありで、最後は記憶まで消す・・・ここまでやるのかなとも思うが中国や米国ならあり得るのか。本書を読むと中国を信用する気にはなれないが、人口減少で国内は縮小していく以上、今後グローバルなビジネスに出て行くしかない日本企業は、こうしたことも勉強しておくと良いのだろう。日本の常識、道徳だけでは世界と戦えない。日本人ならびに日本企業はもっとしたたかになってハゲタカと戦えるようにならなければならない、という警鐘の書と捉えたい。

著 者:真山 仁

出 版:講談社

金 額:各1700円




新しい資本主義

 日米を股にかけるベンチャーキャピタリストが提唱する公益資本主義について分かりやすく解説された本。シリコンバレーで多くの成功者を生み出した人がアメリカ流の金融資本主義を否定するわけだから説得力がある。そして日本には世界を救う可能性があると説く。日本だから、日本人だからできることがある。NGOやNPOなど非営利団体がやるようなことを営利企業がやって、利益を出しつつ社会貢献することはとても大切なことだと思う。日本人なら当たり前に感じるし、その方が楽しい。多くの日本人に読んで欲しい一冊。こんなに頑張っている日本人がいる。同じ日本人で良かった。

著 者:原 丈人

出 版:PHP新書

金 額:700円




人に向かわず天に向かえ

 脳神経外科医だから書けた「うつ対策本」「心理療法本」。普段だったらきっと読んでいないと思うが、ある先輩から紹介されて半信半疑で読んでみたら良い本だった。うつ病や自律神経失調症の患者に人間学の本(安岡正篤 人間学)を読ませたら投薬よりも効果があったと言う。人間学を学ぶことで「私」の脳から「公」の脳へと脳の使い方がシフトするのだそうだ。著者は、脳の覚醒下手術の権威。患者が覚醒した状態で脳の手術を行うことで脳の部位によってコントロールされているものが分かるらしい。心は脳にあり、心の問題は脳の問題なのだ。気分とか性格といった曖昧なものではなく、脳の部位、使い方(血流)によって心的な病、問題を解明することができる。なるほど言われてみればもっともだ。うつや心理的なストレスに悩んでいる人には是非読んでみて欲しい。脳の使い方を変えてみよう。本書と稲盛和夫氏の「働き方」を一緒に読むと良いように思う。もちろん安岡正篤もよし。

著 者:篠浦伸禎

出 版:小学館101新書

金 額:740円




働き方

 稲盛本の最新刊。仕事を通じて己を磨き高めていくという仕事観は是非多くの人に理解して欲しいと思う。私はそれを「仕事道」と呼んでいるが、日本文化の底流には日常の行為を通じて自らを振り返る「道」の精神がある。武術ではなく武道。フラワーアレンジメントではなく華道。お茶を飲むのも道だ。良い仕事をするための勘所をビシッと断言してくれている。そこはさすがに稲盛さんの実績あってこその説得力だ。それを稲盛さんは特別だからと考えず、誰しも取り組むべき道として捉えたい。すべてのビジネスマン必読。おすすめです。

著 者:稲盛和夫

出 版:三笠書房

金 額:1400円




大転換 脱成長社会へ

 2008年の経済危機を受けて書かれた経済(社会)思想書。グローバル資本主義、アメリカ至上主義による無制限な成長志向、競争志向は限界に達し、「脱成長社会」へと大転換しなければならないという提言。その根拠は、資源の制約や環境破壊など地球の限界と資本主義による欲望無限拡張を支えるほど人間本来の欲望は大きくないということだそうだ。要するに先進国はすでにある程度の豊かさを実現して成熟してしまっているし、新興国が豊かになろうとして大量生産・大量消費をしようとしたら地球という器自体の限界が迫るということなのだろう。偉い学者の先生が書かれた本なので、そこまでたどり着くのに色々と学説などを紹介されて眠くなってしまい、では具体的にどうすれば良いのかという対策は観念論的で、実務家、経営者の立場からすると、だから一体どうすればいいの?と聞きたくなるが、現下の経済危機が短期的な景気循環、在庫調整程度で乗り切れるものではないという覚悟を決めるために頑張って読んでみるのもいいと思う。

著 者:佐伯啓思

出 版:NTT出版

金 額:1600円




「20円」で世界をつなぐ仕事

 テーブル・フォー・ツー(TFT)という社会事業を行っているNPOの事務局長が著者。社員食堂などでヘルシーメニューを20円プラスの料金で食べると、その差額の20円がアフリカの貧しい子供達の給食費1食分になるという仕組み。テーブル・フォー・ツーとは、食卓を二人で分け合うという意。先進国では過食でメタボ対策が必要となり、後進国では餓死者が出る。この矛盾を解消しようという社会事業だ。私は、釣った魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきだと考えるので、この事業内容にはいまいちピンと来ないが、こうした社会事業を起こそうとする青年、若者が日本にいることは喜ばしい。ただ、著者が元マッキンゼーのコンサルタントだからか、一般の企業は利潤追求で我欲が過ぎ、NPOでなければ社会に善をもたらせないかの如く認識しているのは気に入らない。少なくとも日本では、仕事はすべて社会善を前提にしており世のため人のために仕事をしている人が多い。だから本書は、一般の事業会社の経営者に読んでももらって、こうした経営をどこの企業でも行うべきなのだということを知ってほしい。仕事は大義のために行う。要はそれによって得られた利益の使い道の問題。生み出した利益の内の何割かを社会還元すれば同じような社会善を生むことができる。善い仕事をしよう。

著 者:小暮真久

出 版:日本能率協会

金 額:1400円




会社に人生を預けるな

 ベストセラー連発、テレビ出まくりの勝間和代が、リスクとは何か、リスク・リテラシーとは何かについて提言。一番のリスクは「終身雇用」であると。会社も国もアテにせず自分が人生をコントロールせよと説く。「終身雇用」が諸悪の根源とは思わないが、企業や国を自らの人生を委ねるような依存した考え方は確かによろしくない。ちょっと就職環境が厳しくなると慌てて就活を早め、破綻企業があるとすぐに大企業、公務員志望に流れてしまう学生諸君に是非読んでもらいたい一冊。社会人生活は50年。企業の寿命はかつて30年と言われ、今はどうだろう?もっと短くなっているのでは。いずれにせよ企業の寿命は社会人生活より短いと考えるべきだ。その中でどう生き、どういう仕事をしていくか真剣に考えてみる必要があるだろう。人口減少、マーケット縮小の日本では、終身雇用、年功序列は維持できない。良いとか悪いとか議論の余地はない。

著 者:勝間和代

出 版:光文社

金 額:740円




仕事の見える化

 8000社を超える企業で取り組んできた「経営の見える化」「可視化経営」のノウハウを簡単かつローコストで実践できるように分かりやすく解説した一冊。「見えれば気付く」「気付けば動く」「動けば変化する」そして「変化を可視化する」という可視化スパイラルを回していくことで経営が変わり、仕事の進め方が変わってくる。今は、仕事が見えない時代。皆がパソコンに向かっていて、隣の同僚の仕事も見えない。もちろん部下の仕事も見えない。ITが便利だからこそ、普及したからこそ、意識して取り組まなければならないこと、それが「仕事の見える化」だ。単に現場を見える化するのではない。見ようと思っても見えない「会社の未来」、見ても見えない「社員の頭の中」、見たくても見せてくれない「顧客の頭の中」を可視化する。たった一日15分の「見える化日報」でそれが実現できる。可視化経営の入門書。本書を読めば、2000社が取り組んだ理由が分かるだろう。1300円という安さだし、騙されたと思って読んでみて欲しい。すべての経営者、管理者、ビジネスマンにおすすめ、必読の書。

著 者:長尾一洋

出 版:中経出版

金 額:1300円




すべての「見える化」実現ワークブック

 こんなに細かいことまで書いたらノウハウの流出じゃないか!と心配になる、可視化経営フレームワークを提唱し8000社を超える実績を誇る弊社(NIコンサルティング)の専務が書いた実践のためのガイドブック。「すべての見える化で会社は変わる」の続編。別冊のワークシート集がついて、さらにそのシート類はネットからダウンロードできる。システムの体験サイトも読者に公開。親切過ぎるのではないか?これでは商売上がったりなのではないか?競合のコンサルタントにネタをあげることになるのではないか?と思う。って、おいおいうちの会社じゃないか。と一人でボケツッコミを入れたくなる一冊。話は聞いていたのだが、出来上がって初めて読んで、あまりの過剰サービスで驚いた。まるでコンサルティングマニュアルである。「すべての見える化で会社は変わる」を読んで、本書を読めば、自分たちで可視化経営を進めていけるだろう。経営者、経営企画部門必読。1800円×2冊で済ませようとせず、NIコンサルティングに何か発注して欲しい・・・。

著 者:本道純一

出 版:実務教育出版

金 額:1800円




クラウドの衝撃

 世界にコンピュータは6つあれば足りるようになるという。グーグル、マイクロソフト、ヤフー、アマゾン、イーベイ、セールスフォースドットコムだそうだ。ホントかな?SaaSとかPaaSとかかつてはASPとか何だかわけの分からない言葉で新しい流れを作ろうとするIT業界の生み出した新しい言葉が「クラウド」。インターネットの雲の中にあるコンピュータを全世界が利用することになるのだそうだ。そんなことは、実際に利用する側にとってはどうでも良いことで、地面にあろうが、空中を飛んでいようが、雲の上にあろうが、使いやすくて安ければ良い。だから、何が衝撃かというと、IT業界に衝撃があるということ。IT業界の人は必読だろう。そんな本をなぜここでおすすめするかと言うと、ネットの活用には業界構造、ビジネス構造を変革する力があるということを知ってもらうためである。IT業界自体がネットやITによって衝撃を受けているくらいだから、他の業界でもより大きな衝撃を起こすことができる。その際に「クラウド」というやり方、考え方は参考になるはずだ。

著 者:城田真琴

出 版:東洋経済新報社

金 額:1500円




会社は毎日つぶれている

 6000億円の不良資産を抱えた窮地から経営再建を果たした大手商社、双日の初代社長が書いた社長論。経営者の責任と使命について具体的に書かれた実践の書。経営者および経営者を目指す人は必読。基本的に上場企業の社長向けに書かれているが、未上場の中小企業でも基本は同じ。参考になるだろう。良い事にせよ悪い事にせよ最終的にそれを引き受けるのは社長である。厳しい経営環境の中では悪い事の方が多いだろう。会社は放っておくとつぶれる。実体はあってなきが如くだ。それをすべて受けて立つ覚悟を持った者のみが社長たり得る。良著。

著 者:西村英俊

出 版:日本経済新聞出版社

金 額:850円




俺は、中小企業のおやじ

 軽ナンバーワン、スズキの会長兼社長が書いた、最初で最後の本、だそうだ。内容は、たしかに「中小企業のおやじ」っぽい。泥臭いリアルな経営の智恵が満載。それで3兆円企業になったスズキと本当に中小のままの企業の違いは「徹底力」だろう。それに付け加えるとすれば、他社の真似をするのではなく他社がやらないことをやろうとしたことと、小さな市場であっても一番を目指したことだ。中小のままで終わる中小企業は、自分たちで考えるのを横着して成功企業の後追いをやる。そして、自分たちには無理だからと言い訳しながら3番手、4番手、5番手に甘んじる。自社の前年実績と競争して、昨対で伸びれば喜ぶ。これではスズキにはなれない。今は中小企業だけれども、このままでは終われないという「中小企業のおやじ」およびその息子(娘・娘婿)は必読。ホンダと比べると地味だが、ホンダに負けないだけのドラマがある。大企業病に侵された企業にもおすすめ。

著 者:鈴木 修

出 版:日本経済新聞出版社

金 額:1700円




事実に基づいた経営

 他社で成功しているからといって自社で成功するとは限らないし、成功している企業もあれば失敗している企業もあるのに、その事実を無視して、経営手法やビジネスモデルを取り入れるべきではないと説く。「ワークライフバランス」や「金銭的インセンティブ」「戦略がすべて」「リーダーシップ」など常識のように扱われているものも、「半分だけ正しい」に過ぎないと言う。確かにコンサルティングの現場でも、「他社ではどうやっていますか?」と質問されることが多いし、セミナーなどで喋る時も「他社事例」のウケがいい。しかしその企業にはその企業なりの特殊事情や事の経緯があるわけで、そのまま鵜呑みにして自社に当てはめてもうまくはいかない。「半分は正しい」わけだから参考にするのは良いが、あくまでも自社の実情、事実に照らして取り入れていくべきである。私はだからこそ、社内の事実をデイリーにつかむ「可視化経営」が必要だと訴えているのだが、これも「半分だけ正しい」と考えて、自社なりのアレンジや工夫、レベル合わせが必要となるのは当然であるし、日々継続して実践していかなければうまく行かないに決まっている。少々、長ったらしい本で、読むのに疲れるが、自社の経営を見直してみるには良い本だろう。企業経営は教科書通りにはいかないことがよく分かるはずだ。

著 者:ジェフリー・フェファー + ロバート・I・サットン

出 版:東洋経済新報社

金 額:2300円




現場力復権

 現場力3部作の続編。「現場力を鍛える」「見える化」「ねばちっこい経営」の3部作で現場の重要性についての認識は広まったが、徹底できていない企業が多いと指摘。「しつけ」と「クセづけ」が重要だと説く。また、「見える化」が目的になってしまって、見えたことで満足してしまう企業が多いとも。確かに、私が可視化経営のお手伝いをしていても、見えてきたことで安心してしまう企業が多い。見えたら動かなければならない。動いたらまたそれを見える化する。これを日々行おうと思うと「デイリーモニタリングシステム」が要る。要するに日報だ。現場の日々の動き、現場の情報が吸い上がる仕組みは企業の「神経」のようなものだ。これにお金の流れを加えると「血液」の流れが分かる。「神経」と「血管」が全社に行き渡ると会社が強くなる。現場が大切なことは言を待たないが、経営戦略やマネジメントとつながってこそ現場の力が活かされるとも言える。厳しい環境が続くことが予想されるだけに経営体質の強化に取り組みたいものだ。

著 者:遠藤 功

出 版:東洋経済新報社

金 額:1600円




資本主義はなぜ自壊したのか

 構造改革の急先鋒、自称「アメリカかぶれ」の中谷先生が書いた「懺悔の書」。グローバル化を推し進めることを提唱した学者が、待った!をかけた。それだけに重い意味を持った一冊だと思う。一国単位での資本主義はコントロールできても国境を越えたグローバル資本主義はもはやモンスターだと説く。たしかに日本の国民性に米国式資本主義は合わないと思う。無理があるし、無理をしたから破綻し、自壊したわけだ。はやくこのモンスターをコントロールしないと、経済はともかく地球環境や資源枯渇で大混乱に陥るのではないか。「日本再生への提言」の中で「還付金付き消費税」という案が出されているがこれは良いと思う。しかし日本再生のために最も重要なことは教育だろう。国から保護を受けようとする前に国を支えようと考える国民がいない限り、どんな保障も保護も立ち行かなくなる。権利ばかり教えて責任を教えない教育の罪は重い。米国頼みの経済政策が通用しなくなり、グローバル資本主義が自壊した今こそ国民一人ひとりが国を支える意識を持つべきだろう。多くの人に読んで欲しいが、あまりに大部で「負け組」と呼ばれる人たちはきっと読まないのだろう。こういう内容こそテレビで取り上げて分かりやすく解説して欲しいものだ。できれば爆笑問題か島田紳助あたりが司会をするといい。普段本を読んだり、経済番組などを見ない人に伝わる工夫が欲しい。

著 者:中谷 巌

出 版:集英社インターナショナル

金 額:1700円




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