代表長尾が語る経営の道標

弊社代表長尾の経営に関するメッセージを
2ヶ月に一度更新しています

2024年版 経営の道標

経営の道標5月

人手不足対策としての動画活用

 人手不足、人材難が続いている。時給や給与を上げても採用が難しい、応募すらない・・・という企業もある。仮に、採用できたとしても、質の問題があり、育成も難しく、早期離職リスクもある。人がいない時には「猫の手も借りたい」と言っていた現場の人間が、いざ人が入ってみると「こんな人ならいない方がマシ」「教えるのに余計に手間がかかってムダ」などと言い出す始末。半年、一年と辛抱して、ようやく猫の手くらいにはなったかなと思った頃には「辞めます。次はもう決まっていますので〇月〇日で・・・」と一方的に伝えられて(場合によっては退職代行会社から伝えられて)ご退職。
 こんな状況で、賃上げしろだの定年を延ばせだのと国から言われたら、「もう人はいらない」「採用などしたくない」という企業が増えて当然である。
 そこでどうするか。まず大前提はDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて「省人数経営」をすること。人がいなくても回る仕組みをどう作るかを考え、デジタルの力を使って実現すべきである。DXについては、何度も指摘して来たし、「デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門」や「売上増の無限ループを実現する営業DX」を読んでいただきたい。
 だが、いくらDXを進め「省人数経営」を実践しても、人をゼロにすることはできない。そもそも企業の実体は「人」であって、社長一人の会社では個人事業と変わらず企業とは言えない。AIが少々進化しようとも、現場作業や顧客接点において生身の人間の手足や判断が必要になることもまだまだ多い。もし完全にデジタル化、AI化して「無人経営」ができたら、すぐに大手企業やIT企業に真似されてアッと言う間に消滅する運命となる。「無人」ではより大きな、よりグローバルな企業の餌食となるだけである。  人はゼロにできないのだから、「省人数経営」にとどめ、採用した人材を何とか戦力化し、できれば一騎当千に仕立てるために動画活用を進めるべきである。これはDXの次のステップと考えても良いし、DXの中に内包されると考えても良い。昔は動画と言えば「ビデオテープにダビングして・・・」とかなりアナログなものだったが、近年は「DVDに焼く」ものとなり、今や完全にデジタル化されて配布コストもかけずにネット経由で簡単に見ることができるものになった。
 人も足りないのだから、採用した人材を育てる時間ももったいない。今こそ動画マニュアルを作成すべきである。研修を録画しておいて研修動画として見てもらうのも良いだろう。営業DXの一環で考えれば、顧客に自社商品を紹介したり、使い方などを教える動画も欲しい。営業人員やサポート人員も限られているのだから、それらを動画に置き換えて、省人化して行くべきである。
 YouTubeを筆頭に動画系SNSもかなりな数があり、若者を中心にテレビは見ずにネット動画を見るという人も増えている。そう考えれば、教育だけではなく採用にも動画は有効だと言えるだろう。
 教わる側も、スマートフォンを使ってスキマ時間に見たりすることも出来るし、倍速で見ればタイムパフォーマンスも上がる。2010年には4%程度だったスマートフォンの所有比率は、2015年に5割を突破し、2019年に8割、2021年には9割を超え、2024年には97%になっている。ほとんどの人がスマートフォンを持っていて、その料金体系も従量課金から固定の定額プランが主流になっており、動画を見ると通信費がバカ高くなるということも少ない。動画を使わない手はない。
 若者を中心とする活字離れ・文字離れも動画を活用すべき理由だ。若い人に限らず、今の日本人はほとんど本を読まない。読むのは専ら漫画。そんな人たちに、文字だらけのマニュアルを渡して「読んでこい」と言っても読んでもらえない。仮に読んでも理解してもらえない。活字や文字を読んで文意をつかむ力が落ちているからだ。
 中には本が好き、何冊も本を読んでいるという人もいるだろうが、その場合でも教育用のマニュアルとしては文字よりも動画が優位となる。
 文字情報には、ただ文字を追うだけでなく、そこから本人の想像力を発揮させ、その人ならではの感性や創造性を引き出すという点で意味があり、それが読書の楽しみであったりもするわけだが、たとえば業務マニュアルなどでは、文学作品ではないのだから、文字情報に基づいて、本人の勝手な想像や解釈をされては困ることになる。動画マニュアルであれば、本人の想像力や創造力に左右されず、伝えたい情報をそのまま、正しく伝えることができる。
 動画のデメリットは視聴するための時間が必要となることだが、それも1.5倍速や2倍速にしたりすることである程度は緩和できる。何よりも、伝達する情報量が圧倒的に違う。画像だけでなく音も入るわけだから、視覚だけでなく聴覚にも訴えることができる。
 図や静止画の場合には、パッと見て分かるというメリットがあるが、場所や位置を示すのには有効であっても、手順やプロセスを示すのにはやはり動画が有利である。弊社が提供している可視化経営システムでも当然文字ベースのマニュアルがあって、画面ショットなどをふんだんに使って分かりやすくしているつもりでも、なかなか読んでくれないし、読んでも理解してもらえないことが多い。そこで機能解説する動画を作って見てもらうと「分かりやすかった」となる。動画を見る時間よりもマニュアルをパッと見た方が速い気もするが、やはり動画は有効である。(YouTubeチャンネルあり)
 私自身の卑近な例で恐縮だが、動画の威力を実感していることがある。ギターの解説動画だ。恥ずかしながら何十年もギターを弾いているのだが、万年初心者で楽譜は読めないし、耳コピ(音を聴いて音階を知ること)も出来ないのでTAB譜がないとまともに弾けない。このTAB譜というのは、五線譜ならぬ6本の弦を示す六線譜になっていて、音階をどの弦のどこ(フレット)を押さえれば良いかで図示して、パッと見て分かるようになっているスグレモノなのだ。
 だが、たしかに何弦の何フレットを押さえれば良いかは分かるのだが、しかし流れが分からない。どう押さえれば良いか、指の運び方(運指)まで分かるのが動画である。音もあるので、曲に合わせて弾くには動画の方が圧倒的に分かりやすい。ということで、私はYouTubeのギター解説動画に大変お世話になっている。という実体験からも、作業手順などを教えるような場合や物事の流れを伝えるような場合、音楽や音声、効果音もあった方がより伝わりやすい内容の場合には、動画を活用すべきであると確信したわけである。
 但し、YouTubeなどのネット動画の場合には、広告表示があったり、セキュリティの問題もあり、視聴管理にも限界がある。YouTubeには限定動画という機能があって、特定のURLを知っている人しか見られないようにするといったことも可能だが、そのURLをばら撒かれると拡散してしまうことになるし、社員であれば退職後にもそれを見ることができるようになる。特に、やりたいのが、誰がどの動画をどこまで見たのかといった視聴管理だが、そこまではYouTubeでは無理である。
 視聴管理ができれば、顧客へのPRにもアフターフォローにも威力を発揮するし、社内であればe-ラーニングのような使い方ができる。視聴した後には、理解度を測るためのテスト・アンケートに答えられるようにしておくと尚良い。
 こうした動画活用によって、人手不足の採用難、育成難を乗り越え、顧客フォローの省人化を実現して生産性を上げることにチャレンジしていただきたい。生成AIで動画を作ることもできるようになれば、さらにその動画をどう活用するかが重要になるだろう。

2024年5月

経営の道標3月

値上げを恐れない経営

 大手企業を中心に賃上げが確実となり、マイナス金利も解除され、にもかかわらず円安が続き、4月から物流や建設分野での残業規制が始まってコスト増は間違いない・・・という状況の中で、今一度お伝えしなければならないのは、値上げへのチャレンジである。昨年からこの経営の道標でも値上げの必要性について触れて来たが、新年度を前に改めて値上げできる経営に変えて行くことをおすすめせざるを得ない。
 多くの日本企業は、デフレに慣れ過ぎて、インフレに対応できなくなっているように思う。クライアント企業の経営者と話していても、値上げには非常に消極的だ。如何に安く売るか、下手をすると採算割れでも顧客の要望に応えないと商売を失うのではないか、という意識が習い性になってしまっているように感じる。物価も上がらず、金利も低くて、そんな利益度外視経営でも何となくやって来ることができたこの30年程が、経営者のマインドをデフレマインドに固定させてしまっている。
 ロクに利益も出せない経営をしていては、人件費が上がり、諸経費が上がり、原材料費が上がり、金利も上がる中で事業の継続もままならなくなるだろう。「まだ何とかなっている」「今はまだ耐えられている」と言っていられる内に値上げをし、業務効率を上げ、賃上げや経費増があっても利益を出せる経営にシフトすべきである。
 ともかく、まずは値上げを検討すること。「顧客が納得しない」「値上げなど無理」と端から言い訳して思考停止しないように。諸経費も人件費も原材料等の仕入も上がっているのだから、値上げと言っても暴利を貪ろうとしているのではない。適正な利益を確保させていただくというだけのことだ。
 真剣に値上げを検討して、本当に値上げできない商品やサービスがあったとすると、そこに改善の余地があるわけだから、集中して改善するか、別の売り先を開拓するか、撤退、停止を検討しよう。いくら顧客が大事だからと言っても、採算の取れない商売など成り立つわけがないという大原則に立ち返るべきである。値上げすると言えば、顧客は必ず文句を言う。値上げが1円であれ2円であれ、値上げを喜ぶ顧客はいない。「この値上げをご理解いただけない顧客とはご縁がなかったと諦めよう」と覚悟を決めるべし。
 そして、その分、商品力アップ、サービス力アップ、他社との差別化に注力を。それを実行する現場の社員の給与も上げなければならない。「うちは中小企業だから賃上げはできないよ」などと言い訳ばかりしていては、社員もいなくなり人手不足倒産に追い込まれることになるだろう。いずれにしても行き詰るのであれば、値上げにチャレンジしてみる方が、うまく行く可能性があるだけ良いではないか。
 秋にはまた最低賃金が上がることになる。この春の賃金動向を見ていればそれはほぼ確実だろう。最低賃金が上がる前に先手を打って賃金アップすれば人の確保もできるだろうが、最低賃金アップに合わせて最低ラインの賃上げをするだけでは、新規の採用に結びつかず、既存のパート・アルバイトの賃金アップだけになって、人手不足で現場を疲弊させ、経営的にも苦しいという何も良いことがない結果となる。
 もはや、猶予はないので、値上げを恐れず、値上げできる経営を目指そう。現状のまま単に値上げするわけではない。値上げするに足る経営にシフトするのだ。そうしようと思わない限り、そうはならない。
 すでに値上げ済みで収益改善もできて、余裕も出て来たという企業やそもそも値上げなどしなくても利益は十分確保できているという企業は、ここで敢えて値下げしてみるのもまた良し。値上げしないとやっていけなくなっている弱った企業をここで一気に叩くのもまた戦略である。
 といったことを考えている競合企業があることも踏まえて、値上げをし、利益確保を急ぐべきである。値上げを恐れてはならない。デフレマインドから脱却しよう。

2024年3月

経営の道標1月

2024年 甲辰(きのえ たつ)

 いよいよ新時代の幕開け、となるかどうかの分岐点。古い体制や常識が崩壊し、新しい社会、新しい環境、新しい価値観が現れる。その新しい動きが運気を上げる「昇龍」となるか、旧体制を一気に破壊してしまう「キングギドラ」となるか。ちなみに、キングギドラが誕生したのはちょうど60年前の甲辰、1964年である。東海道新幹線が開業し、東京オリンピックが開催された年である。まさに、戦後復興期から経済成長期への分岐点だった。
 今年もオリンピックイヤーであり、米国大統領選を始めとして多くの国で選挙もあって、世界的な景気は無理矢理にでも上向きになるだろう。日本では新紙幣が発行されて、日銀の政策も変わって、新時代の始まりとなるかどうか。
 一方で、ウクライナに続いてイスラエルでも紛争が起こり、今年はそれが第五次中東戦争へと戦線拡大することもあり得るのではないか。それがさらにアジアにも飛び火すれば第三次世界大戦となるのだろうが、そこは何とかゴジラに食い止めてもらいたい。
 中東紛争の煽りを受けて石油危機のようなことが起これば、株価の暴落もあるだろう。昇龍のように株価が上がれば良いが、上がれば下がるのが株式市場というものだろう。「まだ上がるだろう」と思っている間に利益確定した方が良いように思う。
 4月1日からは、建設業、物流・運送業、医療業界で時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」の影響が出て来る。建設費の高騰は避けられず、物流はコストアップだけでなく一部運べない地域や時間帯も生じる可能性がある。ビジネスとは直接関係なさそうではあるが、医療分野での影響は結構大きいのではないか。ドクター不足で診療時間が制約を受けることになるだろう。
 そうなって来ると、業界を問わず、人材獲得のために賃上げ競争も激化するだろう。政府からの賃上げ要請によるものではなく、給与を上げないと人が採れないという切実な事情によるものだ。大手が上げれば、中小は余計に人材獲得が難しくなる。同時に最低賃金も上がることはほぼ確定だろうから、新規の採用もせず現状維持でいいという中小零細ビジネスにも影響が出るだろう。
 金利も多少なりとも上がって来るだろう。低金利で救われていた中小企業は人件費アップや諸経費増に加えて金利上昇でじわじわと首を絞められることになる。
 と、予想していると、ネガティブな内容が多くなって来たのでこの辺で止めておく。
 そこで、どうするべきなのかを考えよう。
 まずは、どんな騒乱や天変地異が起こっても持ちこたえられるように、収益性を高め、事業継続の備えをしておくべきである。元旦に能登半島で大地震があったのはたまたまとしても、天変地異は正月だからとかお盆だからとか人間の都合を考えてはくれない。
 人が生き残っていなければ話は進まないが、企業が存続するためには収益性があることが大前提となる。儲からない商売では復興しようという気にもならないだろうし、借入しても返せない。諸経費が高くなり、人件費も上がり、原材料費、仕入価格も上がっているのだから、それに見合った価格改定をしよう。もし値上げができないとしたら、そこにこそ解決すべき問題があるわけで、できないから仕方ない・・・で放置してはならない。値上げできないのには原因がある。気分は悪いだろうが冷静にそれを認めて改善すべきである。今までのやり方ではダメなのだ。現状維持では済まない現実が突きつけられているのだ。そもそも天変地異があろうとなかろうと、世界で紛争が起ころうと起こるまいと、金利が上がろうと上がるまいと、収益性を高める手を打っておくべきだったのだ。
 そんなことを言われてもどうしていいか分からない・・・それができるくらいならとっくにやっているという企業も少なくないだろう。が、本当だろうか? 本当は何をすべきか分かっているのでは? 言い訳を探してやっていないだけなのでは?
 個別企業の細かな事情を置いておくと、どんな企業でもやるべきことはまず客数を増やすことである。ディスカウントせずに客数を増やすアクションを始めよう。じっとしていて客が増えるわけがない。下請け企業で営業マンがいなくても、経営者自ら発注元を増やす努力を。客にこちらからアプローチし、ビラを配り、メールを送り、電話をかけよう。
 客数増が実現したらそれに応じて給与アップを。営業のインセンティブではなく全社員が対象だ。そして商品やサービスの改善に全員で取り組もう。同じモノを同じように売っていて、急に儲かるようになるわけがない。
 商品の改良・改善ができたら、値上げを実施。ここで「難しい」「客が逃げる」と自分たちが感じるなら、まだ商品改良が足りない。客に逃げられそうだと感じる点を改良せよ。自社の商品が負けそうだと感じるのは、理想の姿との乖離を認識しているからだろう。何をすべきか、答えは分かっているはずだ。
 要するに、収益性を高め、事業継続させるためには、やるべきこと、当り前のことを、逃げずにやることである。それもやらずに、景気が悪いだの、国がどうした、世界がどうのと批判めいたことを言うのは止めよう。
 次にやるべきことは、デジタル活用による省人化。如何に少ない人数で業務を回すかをデジタルを使う前提で考えるべきである。人を雇う時には給与を高くしてなるべく優秀な人を。その代わり人数は減らして少数精鋭に。デジタルを活用するにも人はなるべく優秀な方がいい。少ない人数で仕事を回せるなら高い給与も払える。高い給与を払うから、人手不足の時代でも人を採用できる。
 そして3番目に、自社のドメインを変えて、戦略ストーリーを見直す。自社は何屋さんか、何業か、というところから自社を変革していくことである。そうすると、将来への見通し、勝ち筋が見えてくる。災害復興でも大切なことは未来への希望が感じられることだ。目指すべき行先が分からないのに、一緒に努力しようとは思えないし、踏ん張りも効かない。経営論の教科書的には、この3番目から始めるべきだと書いてあるが、客もいない、商品もイマイチ、人もいないし低賃金でやる気もない、デジタルのデの字も分からない・・・といった状況でいくら考えても「下手の考え休むに似たり」で前向きな考えなど出てこないし、耳障りの良い綺麗事を並べ立てても何の役にも立たない。
 龍の如く、空高く舞い上がり、過去の経営(しがらみ)から脱却して新しいステージに舞い降りることができるかどうか。甲辰(きのえ たつ)は新しいものが動き出す年である。

2024年1月

経営の道標 年度別

ページトップへ
製品、セミナー、弊社に関するお問い合わせはお気軽にご連絡して下さい。
0120-019-316