代表長尾が語る経営の道標
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2003年版 経営の道標
企業再生に(僭越ながら)物申す
産業再生機構がうまく行っていないと言うのに、各都道府県単位で、中小企業向けの再生基金を作ると言う。全国的に影響の大きい大企業に対し、再生のための資本注入を行い、事業の再生を図るというのなら、分かる。金融機関も巨額の不良債権をいきなり償却しなくても済み、ソフトランディングできるだろう。それでも、借りた金は返さなくて良いのか、経営者の責任は問わないのか、といったモラルハザードの問題があるのに、中小企業まで再生するとはどういうことだろうか。地方金融機関を救うためなのか、サラ金を借りても返さなくていいんだよ、というメッセージを国民に送りたいのか、企業がうまく経営できなければ借金できるだけしておいて、潰せばいいんだよと言いたいのか、よく分からないが、中小企業の再生を公的な資金を投入して行うということに、大きな疑問を感じる。
大企業なら、それも上場しているような企業であれば、それなりの事業モデルを持ち、それなりの人材を保有し、それなりの実績を持っているわけだから、その企業ブランドを継続させ、再生を図る方が経済合理性があると説明することができるだろう。しかし地方の中小企業でしかない企業を存続させたとして、何の価値を生むのだろうか。そこで働く人は良いだろう。しかし再生されない似たような倒産中小企業で働く人はどうなるのか?再生ファンドが入る企業と入らない企業とに明確な差があることを示す必要があるだろう。それを「職員の処理能力の問題で・・・」などと言われたらたまったものではない。
所詮、この企業競争の中で、お上の論理で企業を救ったり、延命したりする、と考えることに無理があるのだ。企業は淘汰され、負け組は消え、勝ち組は生き残る。そのダイナミズムがあって初めて、中小企業の活性化ができるのだ。個別企業にまで視点を落とし過ぎると、公平感、納得性において必ず不都合を生じると思う。
中小企業経営者が、家や土地を担保に入れ、個人保証をして借入をしていることは承知している。私もそうだ。担保はないが・・・。倒産すれば人生めちゃくちゃだ。せっかく企業家精神を持った経営者が、一度の失敗で再起不能になるのは可哀想であるし、社会の活力という点からももったいないことだろう。しかし、だからと言って不公平なやり方は企業経営において最もよろしくない解決方法である。それを国が主導して進めるという今のやり方には納得できない。民間の再生ファンドが「はげたか」と呼ばれながら、自らのリスクで再生するなら文句はない。再生して企業価値が上がると思う企業を再生すれば良いだけのことであり、その選択は自由である。しかし行政がそれをやってしまってはならない。
企業経営者は結局、最終の責任者であり、倒産しようと再生しようと、決してその責任を免れることはないのだ。その決意を持って臨まなければ中小企業の経営はできないと思う。金融機関を救うために、日本の企業経営者を骨抜きにするのは止めて欲しいと思う。中小企業には中小企業である所以が必ずある。そのことを知らずに企業再生などできるものではないのだ。(と言わずにおられなかった)
2003年11月
直接金融の可能性を探る
住宅金融公庫の金利が上がったりして、長期金利が上がりつつあることが身近に実感されるようになってきた。誰も今のままの低金利が続くとは思っていないだろうが、借入過多の中小企業にとっては少しでも先送りして欲しい現象であろう。しかし景気が回復すれば金利が上がるのは当然であり、金利は低くして欲しいが景気は良くなって欲しいというのは無理がある。そしてもっと問題なのは金利云々の前に貸してもらえない企業があるということだ。銀行の融資姿勢は二極分化し、業績がよく財務内容がよい企業には低金利で融資を勧め、財務内容の悪い企業には返済を迫っている。そこで出てきたのが石原新銀行や木村剛氏が顧問になるというJC銀行である。担保も保証人も必要ないが、金利を高めに設定すると言う。街金にしか借りられない企業にとっては嬉しいニュースかもしれないが、それだけの金利を払い続けて利益を出せる企業がどれだけあるのか心配になる。そもそも普通の銀行が貸さないような事業内容であるのに、高い金利を払える高収益事業を行えるネタがあるとは到底考えられない。
そこでここ数年言われていることが、間接金融から直接金融へのシフトである。孫正義氏のナスダック・ジャパン構想から火が点いて、マザーズやヘラクレスなどの新興市場が登場した。従来の上場のハードルよりもかなり低い基準が設定され、赤字でも構わないという。そんな都合の良い話があるものだろうかと思っている間にITバブルが弾けて、そうそう美味い話は転がっていないということになった。実際、マザーズにせよヘラクレスにせよ、一般の中小企業が上場できるようなものではなく、仮にその可能性があったとしてもその準備にはかなりのコストと手間がかかる。監査法人に始まって、証券会社のコンサルティング契約、上場準備のための社内体制の整備・・・業績に直結しないコストが膨れ上がり、時間も取られる。余程収益性と成長性が高くないと上場準備などできないだろう。そもそもそれだけの収益性と成長性が実証されるくらいなら、銀行から間接金融で資金調達できる。銀行からの借入で必要な資金需要が賄えるなら、無理に他人の資本を入れて、余計な口出しをされるよりも、オーナー経営で自由にやった方が良いということになる。マザーズやヘラクレスで終わるのではなく、東証二部、一部とどんどん成長して大企業を目指すような企業か、知名度アップや人材確保などの二次的な効果を狙う企業でなければ活用する意味がないとなれば、その対象企業はかなり絞られることになる。これでは銀行の間接金融を株式の公募による直接金融へシフトすることはできない。
そこで登場したのが、日本証券業協会が開設している未上場企業向けの証券市場「グリーンシート」である。分かりやすく言えば、マザーズなどの新興市場よりもさらにハードルの下がった証券市場と言える。実際、資金調達額は数千万円から一億円程度で、公開企業の規模も小さい。そしてその公募を引き受ける投資家も不特定多数の株式投資家というよりも、取引先や社員、顧客など縁故増資に近い人たちを対象にしている。これをディーブレイン証券の出縄良人社長は「拡大縁故増資」と呼ぶ。未上場株式は通常換金性がないが、グリーンシートであれば換金も可能だ。出縄社長は、グリーンシート公開企業を10万社にすることを目指しているという。10万社が対象になるくらいならインパクトがある。オーナー企業でこじんまり経営しようというのではないが、さりとて上場企業として巨大企業を目指すという程でもない、地方の中小企業あたりが利用するにはちょうどよい市場ではないだろうか。グリーンシートで資金調達し、企業成長の軌道が見えてきたら、マザーズなりジャスダックなりにステップアップしていくこともできる。
特に私が勧めたいのは、グリーンシートに公開して、社員を株主にしていくことだ。単に給料をもらって言われたことをするのではなく、自分の会社のオーナーシップをもって自律的かつ主体的に仕事をする社員を確保するのに一番いい方法は社員株主を作ることだ。従業員持ち株会なども未上場では魅力が乏しいし、換金性や市場の評価がなければモチベーションにつながりにくい。新しい時代の経営を実現する方法として、直接金融を活用し、資金調達と同時に社員にオーナーシップを持ってもらうことを提案したい。
2003年9月
アウトソーシングで少子化対策
2002年の合計特殊出生率は1.32となり、将来推計の予測より速いペースで少子化が進み、人口減少社会が迫っていることを明示する結果となった。21世紀の日本および日本経済は少子高齢化、人口減少との共生であることを考えれば、女性の出産、育児の問題に企業も取り組まざるを得ない。人口を維持するためには、出生率は2以上である必要がある。実際の子供に小数点以下はないから、2の次は3だ。今どきは、子供が3人もいると言うと「子供が多くて大変ね」と心配される世の中であり、実際、保育の問題や教育費など大変なことが多い。その中で企業にできることは限られているが、出産後の女性に働きやすい環境と育児資金(報酬)をもたらす仕組みを考えることは、労働力確保と社会貢献の面からも意味があることだ。
アウトソーシングの話と少子化対策に何の関係があるのか、と思われたかもしれないが、出産後の女性をアウトソーサーとして活用することを提案してみたい。
産休や育児休業など、国が法律で定めた出産、育児支援は避けて通ることはできないが、企業にとっては単なるコストアップであって、結果として女性の職場を奪うことになりかねない。託児所を設けたり、法定以上の休暇を認めたり、といったことは大企業ならまだしも、中小企業では現実的ではない。ではどうするかというと、優秀な女性社員が出産や育児を理由に退職しなくていいように、アウトソーサーとして業務委託する契約を結ぶ。在宅で自分の時間に合わせ、子供を近くで見守りながら仕事ができるようにする。ここで大切なことは、一律の規程を作るのではなく、優秀な人、すなわち辞めて欲しくない人のみを選別するシビアな契約とすることだ。
一律に雇用を維持しますよ、といった優遇措置は、結果としてコストアップとなり、仕事の質も高まらない。大企業が行う子会社アウトソーシングの多くが単なる雇用の受け皿となって、最後には人件費の切り詰めを行うことになる例を見れば分かりやすい。だから、選別することを予め提示しておく。「我が社は女性が結婚後、出産後も仕事を続けられるようにしたいと考えているし、そのために通信ネットワーク環境を整備し在宅などでも仕事がしやすいようにしています。しかしそれに見合う価値を生む人材に対してのみコストをかけるのでなければ、株主や顧客に対して不利益が生じることになるので全員に優遇した条件を提示できるわけではありません。是非、それまでに『いなくなると困る』と言われる人材になって下さい」と言っておくわけだ。
こうした取り組みを進めていくと、採用においても優秀な人材を引き寄せることができる。優秀な女性は単に保護してくれることを求めているのではなく、自分の価値を高め、それを公正に評価してもらうことを求めている。もちろん、組織への帰属意識など求めていない。そうした優秀な女性の才能や能力を活かしながら、出産や育児との両立を図り、パートや派遣などの時給よりも高い報酬を得る道をつけることが、アウトソーシングで可能になるのだ。これは「釣った魚を分け与えるよりも、魚の釣り方を教えた方がよい」というものであって、厳しいようでも本人のためになることだ。もちろん、女性に限ったことではなく男性についても同様のことが言えるのだが、年々下がる一方の出生率を見ていると、黙って看過することはできない。「産めよ、増やせよ」と戦中のようなことを言っては女性蔑視と言われるのかもしれないが、出産したい女性が安心して産める環境を作ることはマクロでみてもミクロで見ても価値のあることだと確信する。
2003年7月
売るに売れない時にどうするか
最近、営業改革のコンサルティングをしていると、「売りに行く先がない」「売るに売れない」という声を聞くことが多くなった。要するに、危ない先(お金のないお客様)が多いということだ。こういう時期でも経営がしっかりしているような先(お金を持っているお客様)には、競合先も殺到し、どうしても価格の叩き合いになって、入れたとしても利幅がないという。確かにそうだろう。与信管理は営業の基本であり、無理して売るようなことをしていては自社の存続さえ危なくなる。口座を作って実績を積んでおけば、後で何とかできるという考えもあるが、利のない商売をどこまで辛抱できるか難しいところだ。
「売るに売れない」からと言って、縮小均衡のリストラをして、じっとしているだけでは芸がないから、こういう時こそ、組織体制の強化や商品力の向上に努めたいものだ。特に大切なことは商品力の強化だと思う。真に商品力があれば、危なくない先に売ることもできるし、価格の叩き合いにもならないものだ。ここで言う商品力とは、単に商品の魅力とか特徴のことを言うのではなく、商品提供にまつわるシステム全体を指すと考えて欲しい。同じ商品でもその提供方法が変われば商品力が変わる。今の日本の商売はほとんどがリピートやメンテナンスをセットにしたシステム商品だから、商品力とは全社的な顧客対応力と言い換えても良いほどだ。売れて売れて忙しかった時には考える余裕がなかったことをこういう時にこそ考えたい。
そして商品力の強化を、企画部門や研究開発部門、生産部門、仕入部門に任せるのではなく、営業部門がリードして進めて欲しい。商品力強化は営業部門が先頭に立って進めるべきもので、売る人達が考えてこそ、いざ売ろうとする時に力が入るものだ。その他の部門は商品力強化のための基礎研究を行なう部門であって、長期的な商品力強化を行なっていると考えると良いだろう。基礎研究があってこそ、短期的な商品力強化ができるのであるが、基礎研究をしているだけでは、時流に合ったタイムリーな商品提供はできない。
SFA(営業支援システム)の導入を指導する関係で、どうしても営業部門の効率化や強化と言ったテーマで相談されることが多いのだが、商品力のない企業の営業部門をどれだけ強化したところで、継続的な業績向上はあり得ない。またSFAというと営業のことばかりだと思われているが、現場の顧客の声を聞き、それを収集整理する仕組みと考えることもできる。販売・営業はやはり企業経営の根幹だから、売ることを考えると全社的な改革や改善を進めることになるのだ。
「売りに行く先がない」とか「売るに売れない」などと呑気なことを言ってないで、わざわざ買いに来てもらうにはどうするか、買いたいと言ってもらえる商品力を持つにはどうするかを考えて欲しい。そうすれば、売れる時代が来た時に、驚くような成果が出るはずである。
2003年5月
だからこそ一歩踏み出す
年度末が迫り、恒例の3月危機が取り沙汰されている。そこにもってきてイラク攻撃だ。先行きは不透明この上ない。私の実感でも、2002年の10月以降、消費マインド、企業マインドが一段と冷え込んでいるように感じられる。経営者仲間に話を聞いても、友人達に話を聞いても、景気の良い話は聞かない。「あそこが危ないそうだ」「給料が下がった」などなど、他人の不幸は笑えるし、「自分じゃなくて良かった」と幸福感も味わえるが、なんとも冴えない話が多い。
ではもう何もかも駄目なのか?というとそうではない。終わらない戦争はないし、会社が一社や二社潰れたからと言って世の中には大きな影響はない。戦争が終われば、「戦争がない」という疑似平和が訪れるだろう。貸し剥がしなどと銀行の融資姿勢が批難されるが、その一方でこれでいいのかと思うくらいの低金利で「借りてくれ」と頼まれる企業もある。そこそこの財務内容であれば、中小への貸し出し残高を増やしたい銀行の都合もあって、却って融資は受けやすい状況にある。IT減税もスタートして、ハードやソフトを買うのも有利になった。おまけにそのコンピュータが安くなっている。IT不況の中でこぞって安値競争をしてくれている。就職難の時代だからこそ、知名度の低い企業でも優秀な人材を確保できるチャンスがある。
厳しい、先行きの見えない時代であり、環境だからこそ、有利に事を進めることができる。まさに今こそチャンスである。2005年から2008年くらいの将来像を模索しつつ、事業形態、組織形態、人材力の再構築に着手すべき時ではないだろうか。今は先が見えない時代だから、中期の経営計画で、3年後5年後を考えても意味がない、という指摘もある意味で当っているだろう。確かに数ヶ月先が読めないし、計画を立ててもその通りには行かないことが多い。しかしだからと言って、まったく見通せない訳でもないし、やはり3年後にどうありたいか、どうあるべきかをイメージしながらでなければ、企業経営はできない。何しろ今採用しようとしている新卒の学生が入社するのは2004年の4月だし、その採用活動を始めたのは、2002年の末からだ。シティバンクのように、日本での事業拡大が見込めないからと言って、入社ギリギリの3月になって、内定辞退を勧告するなどという外資ならではの荒行は難しいわけで、人材を採用するにも先を見ることは不可欠だ。
まずは、2005年をイメージしてみよう。金利はどうだろうか。上がっているのではないだろうか。電子政府や電子入札なども進み、光ファイバーなども回線も充実しているのではないだろうか。その時自社の仕事はどう変わっているべきだろうか。人口増がピークとなり減少へ転じるだろう。その時、若手の人材を確保するのが今よりも難しくなっているのではないだろうか。3年後どうなっているかを考えただけで、今、何をしなければならないかがかなり見えてくるはずだ。そのためには今着手すべきことがある。目先どんなに苦しくても、今やっておかなければ2年後3年後に必ずツケが回ってくる問題があるはずだ。そしてその対策が、今なら比較的容易に、安価に進めることができるのだ。
弊社の例で恐縮だが、2003年問題でオフィスの供給過剰が叫ばれる中、安くなった物件を見つけることができた。不景気さまサマだ。メガバンクが中小への貸し出しをキャンペーンを張って増やしているというので、無担保で借入ができた。金融危機万歳だ。ITバブルがはじけたお陰で、データセンターを安く借りることができて、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業を始めることができた。IT不況もまた良し、だ。
お前のところは、たまたま儲かっていて、たまたま運が良かっただけだ、という意見もあるだろうが、そうではない。実際問題そんなに楽な訳ではない。しかし、不景気だろうが、何だろうが利益を出そうと努力してきて、2年後3年後のビジョンを描きながら最も有利な条件で事を進める方法はないか、と常にアンテナを張っていて、尚且つ最後には先行き不透明な中で適切な(かどうかはまだ分からないが)リスクを負う意思決定をしているから、不景気も逆手に取れる。そうしようと思う意志のないところに棚ボタはないのだ。
確かに厳しい環境ではある。決して楽観はできない。しかしいつまでも小さく丸くなってしゃがみこんでいるわけには行かないのだ。現状維持や縮小均衡だけでは経営はできないのである。
2003年3月
2003年 癸未(みずのと ひつじ)
冬が来れば春は遠くないはずだが、未だ春の兆しは見えず、暗くて先の見えない道を進まざるを得ない年になりそうだ。イラクに北朝鮮、環境問題に温暖化と、地球規模の問題を抱えながら、国内には根強く閉塞感が漂っている。今年は、暖かい春が来ることを期待して、座して死を待つのではなく、寒いのを当たり前としてそれに耐えうる体質を作り、経営のあり方を変え、春が来なくてもやっていける道を探る必要があるように思う。そのためには既成概念やこれまで疑ってこなかった慣習などを打破し、新しい発想、新しい視点に立つことが必要である。安易な道を探るのではなく、敢えて厳しい、苦しい道を選び、道なき道を切り拓く覚悟こそ求められるものかもしれない。
特に、今年前半は政局もあり、湾岸問題もあり、金融問題もあり、と難題が多いが、それらに必要以上に惑わされることなく、自らの進むべき道、方向を見出し、人知れず努力、精進していくことが必要だろう。経営戦略の見直し、ビジネスモデルの再構築、売るためのIT化など、取り組むべき課題は多いが、同時に取り組みたいのが、人材の育成というか精鋭化だ。今いる人材を育てるというのもあるが、入れ替えるというのもありだ。個々の人材の人材力を高めて行くことが、この冬の時代を乗り切るためには必要なことだ。ただ闇雲に人数を多くするのではなく、精鋭化する。それが少数精鋭ではなく多数精鋭であれば尚良いだろう。個々の人材にとっても、ベアなし、定昇なし、賃下げ時代において、自己の精鋭化を図ることは好都合であり、喜んで受け入れるべきことである。「厳しいのは勘弁して欲しい」「何とか楽をしたい」と甘えたことを考えるようであれば、人材の国際競争に負けることは必定だ。世界一高い人件費(給与)をもらいながら、大した能力もなく、楽をしようと考えることはこのグローバル時代に許されない。そういう意味では、人材の二極分化が進む年にもなるだろう。
企業組織にとっても、個々の人材にとっても、2003年は厳しい試練の年となりそうである。この試練が避け得ないものであるなら、真正面からぶつかり、その試練を乗り越える過程を楽しみたいものである。「仕事働楽」が今年のキーワードになりそうだ。
2003年1月
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