連載一覧孫子兵法「経営・風林火山」

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孫子兵法「経営・風林火山」孫子兵法 経営・風林火山~戦略篇~ 其の弐

 今から2500年前の中国春秋時代から伝わる、最古にして最強の兵法「孫子」。 その中には、時代の変化を超え、洋の東西を越えて評価されてきた珠玉の智恵が著されている。戦争という命がけの極限状態における指南書だけに、理想論を排した具体論であり、人の本質を射抜く洞察がある。この孫子の兵法を現代の企業経営に応用するのが本稿である。
 マーケット縮小時代には、負ければ死ぬ。企業は潰れる。人口減少の21世紀を生き抜くためには、勝たなければならない。勝つためには孫子の兵法が必要だ。
 魏の曹操も、フランスのナポレオンも、日本の武田信玄も、中国の毛沢東もバイブルにしたという孫子を企業経営に活かすのだ。



戦わずして勝つ 機能的ドメイン戦略 これが最善の戦い

 百回戦って、百回とも勝利することができれば、それが一番良いではないか、と言いたいところだが、孫子はそれを否定し、戦わずに勝つことを善の中の善だと説いた。戦わずして勝つ。これがなぜ最善なのか。自社に損害がないからだ。戦えば、仮に勝ったとしても、自社にも必ず棄損がある。
 ではどうするか。競合のいない市場を見つけ出すか、新たな市場を創り出すことである。そのためには、自社の事業ドメインを「物理的定義」から「機能的定義」に変えて、自社が何業か、何屋かという認識を変えてみると良い。  ほとんどの企業は、自社の事業ドメインを物理的定義で認識している。たとえば、本を売っていたら本屋であり、機械を作っていれば機械製造業である。扱っている物理的な商材に着目しているわけだ。これでは同業者がたくさんいて、多くの敵と血みどろの戦いをしなければいけないことになる。
 これを機能的定義に変えてみる。機能的定義というのは、自社の商品なりサービスが顧客に対して実現している機能や効用に着目する事業ドメイン設定だ。これは切り口次第でいくらでも設定できる。たとえば、本という物理的商材を扱っていても、この本によって知識・情報を伝達している「知識・情報提供業」だと考えてみる。知識や情報を提供するという機能に着目すれば、別に商材は本でなくてもいいことになる。電子書籍も大歓迎、書店という店舗に縛られずネット企業になってもいいし、出版社があって、取次業者がいて、書店があって、という業界の垣根も意味のないものに見えてくる。
 こうした発想はどこの企業でも可能だ。切り口は自由だから、独自の事業ドメインを設定して、独自の土俵を作り、そこで一人横綱になることができる。本によって文化を創造していると考えることもできるし、持ち運び可能な娯楽を提供しているとも言える。その発想は無限だから、是非試してみて欲しい。
 大切なことは、他人から見て、何をやっているのかすぐに分かるような商売は、すでに似たような商売をしている企業なり人がたくさんいるということ。それは一定のマーケットがあるという証明にはなるが、そのマーケットが縮小するのに伴って、厳しい戦いをしていかなければならない。戦わずして勝つ戦略を孫子から学ぶべし。



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