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長尾一洋の営業・風林火山

長尾一洋の営業・風林火山 其の八

 営業力を強化して、売上を上げたいと考えると、どうしても営業の現場を叱咤し、動かすことに意識が向いてしまうが、そもそも自社の戦略が間違っていれば、どんなに営業現場が頑張っても大きな成果は得られない。私がこれまでお手伝いしてきた千七百社の中にも、現場は頑張っているのに成果が出ていない企業が少なくなかった。営業担当者を責める前に、自社の営業を戦略的に見直すことも考えてみたい。ここでも孫子の兵法が有効だ。


戦わずして勝つ これに勝る戦略はなし

◇孫子曰く◇
百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。


 日々の営業現場で、競合企業とバッティングしながらも注文を勝ち取っていくことは、嬉しいし充実感もある。しかしそれは営業担当者レベルのことであって、戦略的には、そもそも競合がない方が望ましい。孫子は、戦わずに相手を従わせるのが、最も優れた戦い方だと説いた。それを現代に置き換えれば、競合がいない新しい土俵を作ることである。自らが新市場を開拓し、新しい分野を切り拓くことができれば、競合もなく無用な戦いも必要ない。新市場を確立させることは難しいことではあるが、それができれば日々の営業活動は楽に進めることができるし、場合によっては待っていれば注文がくるような状態になるだろう。営業担当者はそのために必要な情報を収集してくる諜報部員であり、新しい土俵を作る工作員であると考えてみると良いだろう。IT日報はそのための情報媒体である。営業担当者をサボらせないようにする行動管理ツールだと考えてしまうのは戦略的ではない。


顧客の期待を超えるところに新しい土俵が広がる

◇孫子曰く◇
兵とは詭道なり。故に、能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。


 孫子は、戦いとは敵を欺くことだと説いた。営業では、顧客の期待を良い意味で裏切って、新しい発見や感動を与えることだと考えれば良い。顧客満足は顧客の期待を超えてこそ生まれる。よくアンケートなどで顧客のニーズを集めようとする企業があるが、それでは顧客不満足を減らすことはできても、満足や感動を与えることはできない。もちろん競合他社のいない新市場を作り出すこともできない。顧客がアンケートに答えるようなことは競合他社も考えるからだ。顧客のニーズを知ることは必要なことではあるから、それを収集するIT日報も必須なのだが、人口減少のマーケット縮小時代に、いつまでも顧客の言うことを聞いて、御用聞きに甘んじているだけでは、それを簡単に、ローコストでやってしまうネット企業が登場すれば、いずれ駆逐されることになる。


IT活用によって、動きを見破られることもなく進撃する

◇孫子曰く◇
千里を行きて労せざる者は、無人の地を行けばなり。


 孫子は、千里の道を行軍しても疲れないのは、敵がいない道を進むからだと説いた。敵がいない新しい市場を作る時にはITを活用する。ITは敵から見えないし、コストも安いからだ。そこで試行し、ある程度の実績が出たところで必要があればリアルな人や設備を考えれば良い。孫子はこうした動きを「無形」「無声」の戦略であると指摘した。IT日報は、敵のいない道を「無形」「無声」で突き進み、顧客も競合も考えていなかった独自領域を作るための道具である。全ては情報戦略。昔も今も戦いは情報を握った方が勝つ。戦闘力の優劣よりも、情報力の差、戦略の優劣の方が重要なのだ。



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