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孫子に学ぶ売るためのIT化

孫子に学ぶ売るためのIT化 (其の弐)

 前号に引き続き、最古にして最高の兵法家、孫子の教えを最新のキーワードであるSFAやCRMに照らして解釈し、厳しい環境の中で業績を上げていくヒントを明らかにしていきたいと思う。「売るためのIT化」とは決してITブームに踊らされているような軽薄なものではなく、2500年前の教えを現代に生かす王道なのである。


現場を知らずに命令を下す指揮官ほど邪魔な存在はいない

◇孫子曰く◇
軍の以て進む可からざるを知らずして、之れに進めと謂い、軍の以て退く可からざるを知らずして、
之れに退けと謂う。是れを軍を繋ぐと謂う。


 現場がどうなっているか、前線がどのような状況かをつかまずに、机上の指示命令を出す上司や上官ほど、組織にとって害悪となるものはないだろう。このことは今も昔も変わることはない。イラク戦争が情報戦であったのは、IT武装したからではなく、昔から戦争は斥候を出したり、物見を立てたりする情報戦だったのだ。
 さて企業の営業現場ではどうだろうか。過去の経験だけを頼りに顧客を訪問することもなく、精神論的な指示をするだけの管理職はいないだろうか。どんなに売る力を持ち、どんなに智恵があろうとも、現場の顧客を知らずして的確な指示など出せるはずがない。SFAによって現場の顧客の声を聞き、営業担当者が嗅いできた微妙な匂いを吸い上げてこそ、その経験やノウハウが活かされようと言うものだ。それもその日、その場のことだけでなく、過去からの経緯も踏まえて現場の状況を把握することが大切だ。そこで威力を発揮するのがSFAでありCRMである。その日のことだけであれば、口頭報告や紙の日報でも良いだろう。しかし商談は流れであり、プロセスをつかまずして商談の急所は突けないのだ。徒手空拳の精神論的戦いではなく、現場の動きを手にとるようにつかんで的確な指示を出す情報戦に持ち込みたいものだ。


相手を知り、己を知ってこそ戦いに勝利する

◇孫子曰く◇
故に兵は、彼れを知り己を知らば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己を知らば、一勝一負す。
彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。


 現場を知り、顧客を知るということになれば、この一節を取り上げない訳にはゆくまい。孫子の中でも最も有名な一節である。多くの企業で営業改革の指導をしていると、「よくこんなことも知らずに経営ができるな」と言いたくなる場面に立ち会うことになる。顧客のニーズや動きをつかんでいないだけでなく、自社の営業担当者がどのような提案をしているのか、どのようなアプローチをしているのかさえ、まともにはつかんでいない。分かっているのは、どこに訪問しているのかといった程度だ。それで営業会議を開いて業績の悪い営業担当者に「どうなんだ?」と尋ねる。どうなのかが分かっていれば、もっと売れているのだ。そして部下が答えに窮していると怒鳴りつける。「だからダメなんだ」と。こちらは「ダメなのはあなたでしょう」と言いたい。
 このような会社はまずSFAやCRMで、顧客を知り、自社を知ることから始めなければならない。顧客の声を素直に聞き、自社の営業担当者のレベルを見極めることである。放っておいてドンドン売ってくるような営業マンがそうそういるはずはないのだ。売れない営業マンであることを知り、顧客のニーズに合わせた動き方をさせるにはどうすればよいかを考えるのが上司の役割なのである。孫子に学び「売るためのIT化」に取り組んで欲しい。



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