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営業の見える化

『営業』の「見える化」は『顧客』『競合』の「見える化」(第3回)

 「営業の見える化」を提案すると、ほとんどの人が営業マンの活動を見える化するのだと考えてしまうようだ。もちろんそれも「見える化」すればいいのだが、「営業の見える化」でより重要なことは、「顧客の見える化」であり「競合の見える化」であり、その情報を非営業部門に「見える化」することである。
 人口増加、マーケット拡大の成長期には、客はたくさんいたし、新規客が次々と現れたから、それをこなすために営業マンの回転効率を上げれば良かった。だから営業マンの活動状況を「見える化」して、営業効率を上げることを考えていた。しかし、今は違う。人口減少、マーケット縮小時代である。客は減っていて、営業マンが余っている。多少効率が悪くても売りにいかなければならない。そうなると大切なことは、顧客の情報であり、そこに出入りしている競合の情報である。孫子の兵法「彼を知り己を知らば百戦あやうからず」を実践しようと思えば、まず相手、敵を知ることが第一歩である。「営業の見える化」と聞いて、「営業マンの行動管理をすればいい」と考えているようでは、「彼を知らず、己を知るばかり」となり、孫子の兵法に背くことになる。
 「顧客の見える化」や「競合の見える化」によって、顧客のニーズや競合の動きが見えたら、それを今度は非営業部門に対して「見える化」する。「見せる化」すると言っても良い。なぜなら、顧客のニーズに対応するのも、競合の動きに対抗するのも、営業部門ではなく仕入、製造、開発、設計、施工、物流、サービス部門などだからだ。だが、これら非営業部門は客先・営業現場に行かないから顧客や競合が見えていない。であれば、見せてあげなければならない。営業部門が単独でできることは、「値引き」「タダ働き」「接待」くらいのものだからだ。営業部門は非営業部門を引っ張って顧客のニーズや競合の動きに対応していかなければならない。これら全般をもって「営業の見える化」と言う。単に営業マンの活動状況を「見える化」するのと一緒にしてもらっては困る。
 今は、どこの業界でも製品、商品が均一化し、差異化が難しい。そこを無理して営業部門に「頑張れ」「何とかしろ」と圧力をかけるから、仕方なく「値引き」「タダ働き」「接待」で押し込もうとすることになる。だが、これでは利益率が下がり、営業効率も落ちて、経費が増えるばかりだから、目先の売上が増えたとしても良いことにはならない。
 「営業の見える化」は、全社営業体制作りである。決して営業部門だけのものではない。顧客のニーズをつかみ、競合の動きを把握し、売れるモノを生み出して、効率よく販売する仕組みを作るのが「営業の見える化」なのだ。
 そして、ただ見えればいいのではない。速く見えなければならない。そのためにはITを使う。これだけパソコンや携帯電話が普及し、ネット料金が安くなったのだから使わない手はない。何しろ、紙に書いたり、手計算で集計したりしていたのでは遅過ぎる。過去が「見える化」されても、反省するだけで手が打てない。終わったことをガタガタ言っても一円にもならない。どうせなら、先手を打つべきだ。先行管理も「営業の見える化」で忘れてはならないポイントである。
 どうだろうか。皆さんの会社では「営業の見える化」を誤解していないか?正しい「営業の見える化」ができているだろうか?「顧客の見える化」や「競合の見える化」、「非営業部門への見せる化」を考えてみよう。



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