Step6 モニタリングシステムをつくる ~現場情報収集システムを構築する2010年11月16日

こんにちは、
経営の見える化 エバンジェリストの本道です。

モニタリング情報の収集先は、評価指標の内容によって変わりますので一概に言えませんが、基幹システムや日報システムから効率的に現場情報を収集できるように検討し各システムへの項目追加や自動連携などの検討をする必要があります。

これまでの経験からいうと、ゴール指標(KGI)は、財務会計、生産、販売、仕入、在庫、人事・給与やこれらを統合したERPシステムの実績明細データとそのサマリーデータを使用します。
また、日課指標(KPI)の場合は、ERPシステムと日報、週報、月報や会議資料などの見込み情報から情報収集することが多くなります。

可視化マップの4つの視点ごとに見ると、
財務の視点 で設定した日課指標(KPI)に対する実績値は、
ERPシステムである基幹業務システムから収集する場合が圧倒的です。
これら基幹業務システムに蓄積された情報は、これまでの現場活動の結果や現状を表した数値情報が、大半ですから比較的容易に収集できます。
基幹業務システムの請求書の締処理、月次決算処理、実地棚卸による調整処理、勤怠入力などの定常業務の処理後に確定した数値情報を評価指標に反映させる必要があります。
ですから財務の視点でのモニタリングの際には、情報の収集先を選定することよりもモニタリング情報を収集するタイミングがポイントになります。

顧客の視点 の評価指標は、
契約解約率、顧客1人あたりの買上金額、顧客再購入率、納期遵守率、新規獲得顧客数、返品率、在庫切れ率などの実績値は、基幹業務システムから情報収集可能です。
しかし、紹介件数、来店回数、トップ訪問回数、クレーム件数、クレーム対応日数、情報提供件数、提案書提出件数、顧客ランク別月計画訪問回数、新規商品開発件数などの実績値は、
基幹業務システムから情報収集することが難しいため、店舗日報、営業日報、開発者やスタッフ、メンテナンス部門などの業務日報などから情報収集する必要があります。
逆に、基幹業務システムから情報収集できそうもない日課指標(KPI)を設定した場合には、あらかじめこれらの評価指標を日報の入力項目として、盛り込んでおく必要があります。
また、顧客満足点数、ヘルプデスクに対する顧客満足度、他部門からの満足度、覆面顧客による評価などの情報収集は、顧客に直接面談したり、郵送・電話・WEB・メール・FAXなどを利用して情報収集する必要があります。
さらに、業種によっては電話対応スピード、電話待ち時間などを基幹業務システムであるCTIを使って情報収集したり、ホームページアクセス数、ホームページ新規アクセス数、ホームページ再訪率などは、WEBアクセス診断ツールを使ったりして情報収集することもあります。

業務プロセスの視点 の評価指標は、
一般的に財務の視点の戦略目標は、売上拡大とコスト削減の大きく2パターンに分岐して、業務プロセスの戦略目標に連動します。
1つめの売上拡大パターンは、顧客の視点を経由して業務プロセスの視点で、たとえば提案書流用率、問合せ対応日数、事業化率、新製品開発件数、ストアカバレッジ、デモ回数、役員面談数、顧客対応時間、リードタイムなどの業務プロセス改革(BPR:Business Process Reengineering)を行う指標に連携します。
2つめのコスト削減パターンは、顧客の視点を経由せずに財務の視点から直接、業務プロセスの視点に連携する場合が多く、製造現場での部品の共有化率、歩留率、返品率、在庫削減率、稼働率、物流回数、荷役ミスなど、ムリ、ムラ、ムダの排除や削減、標準化やルールづくりのための評価指標が多くなります。
いずれの評価指標も基幹業務システムや日報システムからの情報収集が中心となります。

最後の 人材と変革の視点 の評価指標は、
研修会参加率、特許件数、資格合格者数、教育訓練比率、IT装備率、従業員満足度などといった将来への先行投資要素が強いために、これらの評価指標の情報収集先は、日報システムが中心となります。

このように、各視点の評価指標のモニタリング方法は、
基幹業務システム、日報システムなどの既存システムを中心に効率的に行えるように設計する必要があります。
これらのシステムから入手できない場合は、
顧客との面談によるヒアリング調査やDM・メールによるアンケートなどの検討も必要となります。
現場情報の入手に多大な労力やシステムの大幅な変更を余儀なくされるのであれば、
評価指標の再検討も必要となります。

❖ゴール指標(KGI)、日課指標(KPI)の指標例



↓↓ 可視化経営のstep①~ step⑥はこちらから ↓↓
step① 「経営理念・使命を再確認する」
step② 「20年後の将来ビジョンを描く」
step③ 「ビジョン,戦略,戦術をマップ化する」
step④ 「スコアカードを作成する」
step⑤ 「アクションプランを決める」
step⑥ 「モニタリングシステムを作る」