≪事例研究≫日雑卸売業H社の場合~Step4 スコアカードを作成する(その9)2011年09月21日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

スコアカードを作成する際に必要な思考法ついて考えてみます。

❖成功体験がゼロベース思考を阻む。
市場環境の変化により過去の成功体験がそのまま通用しなくなりました。
これまでの取組みの延長線上で、これまで通りの売上が見込めるほど甘くはありません。
新たな市場環境では、これ迄にない新たな挑戦や改革に取り組む、すなわち思い切ってこれまでの成功体験と決別してゼロベース思考で取り組む必要が出てきたわけです。
ゼロベース思考とは、規制概念の枠を取り払い、文字通りゼロの状態から考えるということです。
言うは易しですが、そう簡単なことではありません。誰もが成功の余韻に浸りたいのです。
どうしても、これまで成功した経験がゼロベース思考の邪魔をします。
ゼロベースを考えるためには、①目的(Purpose)の確認、 ②立場(Place)変換、③期限(Period)の設定の3つのPで考えて見ることをおすすめします。


❖3つのPの観点でゼロベース思考を実現する。
①の目的(Purpose)の確認とは、より高次、より上位の目的に立ち帰るということです。
可視化経営の構築フェーズの7つのステップで「Step1 経営理念・使命を最確認する。 」や
Step2 20年後の後のビジョンを描く。」から始まるのはそのためです。
経営理念やビジョンを理解し、共有しておかなければ、最終目的や目標に立ち帰れなくなります。
手段が目的化しないためにも、「そもそも、何のために?」と、常日頃から自問自答するように心がけましょう。

②の立場(Place)変換とは、立ち位置を変え、自分や自社を客観視して見ることです。
たとえば、顧客、仕入先、地域住民など、自分以外の相手の立場で考えて見ることです。
可視化マップの顧客の視点では、顧客のニーズを洗い出すために、顧客になりきってニーズを検討しました。
これなど、まさしく立場変換です。

③の期限(Period)の設定とは、「いまなのか? 少し先なのか? ずっと先なのか?」などと、
時間的制約やタイミングという思考の前提条件を柔軟に変化させてみることです。
いまできなくても、ちょっと先ならできることもたくさんあるはずです。
たとえば、20年後の将来ビジョンを描くことも20年あるのですから、可能性は大いにあります。

このように、可視化経営における可視化マップやスコアカードの検討には、
自分たちの狭い枠の中で否定に走らないよう、新たな発想やアイデアで戦略を組み立ていくことが重要となります。

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