今日7月24日は、テレワーク・ディ2017年7月24日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

~今日7月24日は、テレワーク・ディ~
詳しくは ➡http://teleworkgekkan.org/day0724/

テレワーク・ディに、ちょっと一息‥‥「働き方改革」について考えてみたいと思います。
安部首相が、3月28日に『働き方改革実行計画』を発表したのは、ご存知の通りです。この中で『働き方改革』は、労働生産性を改善するための最良の手段であること。労働生産性向上による成果を働く人に分配することで、賃金の上昇や需要の拡大を通じて「成長と分配の好循環」を実現するとしています。

今や、この『働き方改革』をテーマにしたセミナーが、公的機関・民間企業を問わず実施され大盛況です。

セミナーの多くは、ダイバーシティの推進、仕事と育児の両立支援、障害者の雇用、各種休暇制度、勤務時間自由選択制度などを整備して多様な働き方を認め合う風土を醸成しようとするものと、テレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス)を中核とする生産性の高い働き方についてという内容です。

前者の「多様な働き方を認め合う風土醸成」については、活動に投入する工数(時間)と期待すべき成果との因果関係が、必ずしも強くない場面が多くなっている市場環境で、未だ「残業しない=頑張っていない」、「長時間労働=頑張っている」という、上司の評価に対する考え方を、抜本的に見直す良いタイミングであると思います。

後者の「生産性の高い働き方」については、営業マンへのタブレット端末の配布、在宅勤務のためのタブレットタイムレコーダーやWEB会議システム、タイムカードとPCログオフ時間のかい離を把握するためのPCログ管理システム、部下の長時間労働の実態を素早く察知するための勤怠管理システムなどの長時間労働状況把握のための製品と、管理者による現場見廻りと残業者への声掛けや強制消灯、ノー残業デーと指定時刻以降のPC強制シャットダウンなどの長時間労働環境撲滅のための製品が、話題の中心となっています。

労働生産性の向上の具体策の多くが、単に長時間労働の状況把握と長時間労働の環境撲滅ためのITツール活用に置き換わっていて、違和感を覚えます。さらに政府も2月末からの「プレミアムフライデー」の実施や6月上旬に発表した「休み方改革の年次有給休暇の取得促進」で、さらに長時間労働の改善に拍車をかけているのではないでしょうか。

どうも、働き方改革=長時間労働の改善に突き進んでいるように思います。いつの間にか、労働生産性の向上という当初の『働き方改革実行計画』の目的からズレてしまって、長時間労働を改善さえすれば、働き方改革成功という図式になっているのでは、ないでしょうか。
確かに、モノづくり製造現場であれば、仕事場からの強制退去で長時間労働を改善することができます。しかし仕事の主戦場が、頭脳となると、いつでも、どこでも、24時間365日働くことが可能になります。

仕事場から強制退去させられても、テレワークとしてタブレット端末や在宅勤務の環境、サテライトオフィス環境など会社が整備した環境を避けて、ばれないように “深夜カフェ”に仕事場を移して持ち帰り残業というように、すでに何とも本末転倒な状況になっているような話も聞きます。

そもそも何のために『働き方改革』を推進しなければならないのか。日本の人口は、2010年の1億2,806万人をピークに減少しています。2060年には、9,000万人を割り込みます。もちろん高齢化にも拍車がかかり就業人口(15歳~64歳)も減少する中で、ドンドン労働力(就業人口)をつぎ込み、ガンガン売上をあげるといった成長市場ではありません。限られた経営資源を上手く活用して成熟市場の厳しい競争に勝ち抜いて如何に期待すべき成果を上るかということです。働き方改革は、このような環境に置かれた我々の労働生産性を向上させるための最良の手段だったはずです。




労働生産性は、
労働生産性=OUTPUT(成果)/INPUT(投入工数)
という式で表すことができます。

もう少し平たく言うと、同じ売上OUTPUTなら、できるだけ少ない人数INPUTで仕事をしよう。また、同じ人数INPUTで仕事するなら、できるだけ多くの売上OUTPUTを上げようということです。

労働生産性を上げるためには、
分子のOUTPUTと分母のINPUTに分解して考えると、
以下の5パターンとなります。

(1) 労働生産性⤴=OUTPUT↑/INPUT↓
➡Bestシナリオ
(2) 労働生産性⤴=OUTPUT-/INPUT↓
➡Betterシナリオ
(3) 労働生産性⤴=OUTPUT↓/INPUT↓
➡Badシナリオ
※OUTPUTの下げ幅<INPUTの下げ幅ならセーフ
(4) 労働生産性⤴=OUTPUT↑/INPUT―
➡これは、働き方改革の範疇外
(5) 労働生産性⤴=OUTPUT↑/INPUT↑
➡これは、働き方改革の範疇外
※OUTPUTの上げ幅>INPUTの上げ幅
注)労働生産性⤴:アップするという意味
↑:増加・アップ・大きくするという意味
―:変化なし・現状維持という意味
↓:減少・削減・小さくするという意味

働き改革という名のもとに、もちろん働く個々の社員のINPUTの改善を検討する必要はありますが、単にINPUTの改善をだけを検討するのではなく、労働生産性の式が表すように、OUTPUTである期待すべき成果を創出するシナリオがないと、結果として労働生産性が下がってしまうことになります。

最悪は、長時間労働減少➡売上激減➡労働生産性悪化
要するに、長時間残業が減少して残業代は減少、売上の激減でボーナスなしとなっては、社員さんも会社も困ります。
目指すは、長時間労働減少➡売上UP(1)または売上維持(2)➡労働生産性UPで
要するに、長時間残業が減少して残業代は減少するけども、売上UPで昇給とボーナスでカバーというのが、良いですよね。
※すみません、わかりやく説明するためにお金に置き換えてしまって・・・。
労働生産性を上げるためには、OUTPUTとINPUTとのバランスをしっかりと考える必要があります。
そのためには、単に長時間労働という結果だけをモグラ叩きして帳尻を合わせるのではなく、働き方改革を以下の3つのSで行うことが必要です。働き方改革をこの手順で実施することで、労働生産性を飛躍的に向上させることになります。

❖第1のS:戦略ストーリー まず、組織としての期待すべき成果をもたらすための「戦略ストーリー」を策定します。 「戦略ストーリー」とは、一定の期間内に、ターゲットとする市場に、提供する製品やサービスを、どのように提供していくかを図にしたもので、「財務の視点」、「顧客の視点」「、「社内プロセスの視点」、「人材と変革の視点」の4つの視点で表します。 各視点の達成度合いを評価するための定量的な指標(ゴール指標)を設定します。 戦略ストーリーを4つの視点で表した図を「戦略マップ」と、言います。



❖第2のS:シクミ(業務プロセス)
次に、第1のSで策定した戦略ストーリーを実現するための具体的な業務プロセス(理想的な業務手順)を作成し、労働生産性を上げるための組織としてのシクミを完成させます。業務プロセスは、日々の行動を定量化した指標(日課指標)を設定します。

❖第3のS:仕掛け(ITの活用)
そして、ここで初めてITを業務改革の手段として利用します。
ここでのITシステムは、
①前述のテレワークやIT活用による文字通りの省力化
②第1のSで策定した戦略ストーリーが、第2のSで具体化したシクミ(業務プロセス)に則って現場で実行されかたどうの確認
③作成した業務プロセス(仮説)が、効率的で効果的であったかどうかをスピーディに検証するために利用します。




労働生産性を上げるための働き方改革は、戦略ストーリーという計画(Plan)を、現場でシクミ(業務プロセス)として実行レベル(Do)に落とし込んで、その状況を評価(Check)して、改善策(Action )を素早く現場にフィードバックして行こうというものです。

そして、この戦略シナリオのPDCAサイクルを高速回転して行くための手法が、可視化経営なのです。

可視化経営とは、組織の目的を達成するために、戦略シナリオ(可視化マップ)を描き、進むべき道筋(業務プロセス)を決め、企業行動の実体を可視化する(評価・検証)ことで、経営者から現場の一社員までが、自己管理できるようにする自律協調型の組織運営手法であり、仮説-実施-検証の管理イクルを高速回転させる、スピード経営実現のための経営手法です。


詳しくは、拙著「すべての見える化ワークブック」をご一読ください