経営の見える化の展開・運用フェーズでのポイント ~可視化経営の全社展開について~2012年04月10日

こんにちは、可視化経営エバンジェリストの本道です。
可視化経営の運用においてパイロット部門での運用が定着してきたら、全社への取り組みに展開して行きましょう。

❖ヨコ展開の4つのパターン
中堅企業や大企業における可視化経営の取り組みの多くは、一気に全社展開するよりも、ある部門でのパイロット展開から順次ヨコ展開して行くほうが圧倒的です。

そしてヨコ展開は、次の4つのパターンに大別することができます。

①関東営業部から関西営業部のように活動内容が類似した部門へのヨコ展開
このパターンは、
関東営業部の戦略マップやスコアカードの内容(ゴール指標や日課指標、アクションプランなど)が、そのまま関西営業部にも活用できます。

②関東営業部から総務部や経理部などのようなスタッフ部門へのヨコ展開
このパターンは、少々厄介です。
まず、スタッフ部門としての顧客の定義を明確にしなければなりません。
具体的には、関東営業部と同様の外部の顧客の視点についての戦略マップと社内の顧客の視点についての戦略マップの両方について検討する必要があります。
また、財務の視点が売上アップというよりもコスト削減のように限られた予算の中でいかに定義した顧客に満足してもらうかといった作業の効率化や生産性のついての検討が中心となります。
これまで実施してきたパイロット部門での内容と違った検討事項のため思いがけない時間がかかったりします。

③持ち株会社による事業子会社への適応
このパターンでの可視化経営フレームワークの活用が増えてきています。
担当する事業の成長にまい進することを要求される事業子会社は、自立性、主体性を高めるよう頑張ります。一方で事業子会社をマネジメントする持ち株会社としては、事業子会社を一定のフレームワークで見える化しモニタリングすることが求められます。
可視化経営のフレームワークは、事業子会社の将来ビジョン‐中期経営計画‐年度方針の取り組みを共通のしくみでマネジメントすることができます。
事業子会社になる前の各社の企業風土を持ち株会社が望むように転換させることは難しいものです。まずは、持ち株会社と事業子会社、事業子会社同士が同じ経営のフレームワークで会話できることから始めることで、人材の流通、組織的なしくみの共有、顧客へのシナジー、組織を超えた戦略の取り組みがダイナミックに行えるような環境ができてきます。

M&Aによる全社展開への適応
このパターンも③同様に、
これまで生い立ちや企業風土の異なる会社が、可視化経営のフレームワークの実践を通じて1つの将来ビジョンに向けて取り組みことで経営改革の促進と組織風土の変革が期待できます。


❖可視化経営のしくみをヨコ展開するときのポイント
このように上記の4つのパターンに共通のポイントは、組織風土や組織間の関係を理解した上で、経営改革に情熱を燃やす経営トップの強いリーダーシップと可視化推進チームの存在が必須となります。
ヨコ展開もパイロット部門への導入時と同様に、可視化推進チームの支援や教育研修が引き続き必要となります。
パイロット部門の展開・運用だけ注目して、ヨコ展開が中だるみしないように、社内報や社員向けのホームページなどで可視化経営の啓蒙活動を推進する必要があります。