≪事例研究≫日雑卸売業H社の場合~Step3 ビジョン、戦略、戦術をマップ化する(その4)2011年06月21日

こんにちは、“経営の見える化”エバンジェリストの本道です。

前回は、経営理念から戦術マップまでの一連の流れと定義を再確認しました。
もう一つ、”経営の見える化”を組織で検討するにあたって、
共有し確認しておかなければならないことがあります。

多くの会社では、購買、製造、物流、営業、サービス、開発、総務、経理のように
必要な機能を部門という組織で役割分担しています。
各部門がより専門化して業務を効率的かつ効果的に行うことで顧客価値を創造しています。
この際、自部門だけの最適が最終目的とならないよう注意が必要です。
必ずしも、各部門の最適の総和が全社の全体最適にならないといいうことです。

自部門の立場、セクショナリズムの壁を超えて、
全部門が顧客への価値提供を目標としたより上位の目標(ビジョン)を目指す視点を持つようでなければなりません。

そのため”経営の見える化”では、
可視化マップの『タテの因果関係』とスコアカードの『ヨコの因果関係』、
そしてビジョンマップ(20年後の会社の将来ビジョンの見える化)、戦略マップ(中期経営計画の見える化)、戦術マップ(年度方針の見える化)それぞれのマップの関係を『時間軸の因果関係』と言い、考慮します。
(これは、前回の可視化マップの定義でお話ししましたね。)

さらに自部門の可視化マップと他部門の可視化マップが、全社最適となるかを確認し調整する必要があります。
この部門間の調整を”経営の見える化”では、『左右の因果関係』と言います。

そして自部門の可視化マップと上位部門や下位部門の可視化マップの整合も取れていなければなりません。
この関係を”経営の見える化”では、『上下の因果関係』と言います。

可視化マップには、『タテ、ヨコ、時間軸、左右、上下』の5つの因果関係を意識する必要があります。
これらの5つの因果関係を考慮することが、”経営の見える化”のポイントになります。



①時間軸の因果関係
20年後のビジョンマップ⇒
中期計画としての戦略マップ⇒戦術マップと、目指す将来ビジョンからの逆算の関係。

②タテの因果関係
可視化マップの財務、顧客、業務プロセス、人材と変革の各視点の戦略目標間の関係。

③ヨコの因果関係
戦術マップをスコアカード展開した、戦略目標-CSF-KGI(ゴール指標)-KPI(日課指標)の関係。

④上下の関係
組織のヒエラルキーに従って、上位組織と下位組織との可視化マップのヌケ、モレ、ダブリなどのない
全体最適の関係。

⑤左右の関係
組織のヨコの部門との協調、ヌケ、モレ、ダブリなどのない最適化を考慮した関係。

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