DX推進には、守りと攻めがある 2023年1月31日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

 昨年12月16日に自民党・公明党からの『令和5年税制改正大綱』において、「円滑・適正な納税のための環境整備」の中で、 (1)適格請求書等保存方式の円滑な実施と、(2)電子帳簿保存制度の見直しについての発表があった。
 その内容は、(1)のインボイス制度は、2年間の宥恕期間を設けた改正電帳法と違い、今年10月1日から予定通り実施するという意気込みが感じられるものだった。
 また、(2)の改正電帳法に至っては、スキャナ保存(任意)の真実性の確保についての要件が大幅に緩和された。
 しかし、肝心の電子取引(必須)における要件のデジタル保存については、システム対応が間に合わなかったことにつき相当の理由がある事業者は、 データのダウンロードの求めに応じることを条件に、 電子取引のデジタル保存と電子取引を出力した書面(紙)の二重保存という見直しに留まった。(※) 
 例えば、書面で入手した注文書は、書面(紙)で保存し、メールで入手した注文書は、デジタル保存+書面(紙)で保存しなければならないということだ。何と中途半端な!電子取引をこれまで通り書面(紙)で保存しつつ、デジタル保存するという手間が増えるものだった。
 DX化で業務効率の向上を実現したいところが、却って真逆の非効率をもたらしかねない。これでは、本末転倒だ。
恩恵が誰にもたらされるかを吟味してからDX化に取り掛かる必要がある。恩恵をもたらされるのが、ターゲット顧客の場合は、攻めのDX化だ。顧客以外(例えば、社内顧客や前出の電子取引の現地調査など)が主語の場合は、守りのDX化だ。
 守りのDX化となる業務は、まずNHKの視点で、業務プロセス(業務の手順)の見直しを行う必要がある。
(1)対象となる業務自体を、無くすこと(N)ができないか
(2)対象となる業務の回数を、減らすこと(H)ができないか
(3)対象となる業務プロセスを、カエルこと(K)ができないかを(1)→(2)→(3)の順に検討することだ。

以下の12の「カエル」の切り口で業務プロセスの見直しを行い、守りのDXから攻めのDXへと転換していただきたい。
①業務プロセスの立場・視点(顧客、上司、経営者、競合など)を、換えてみる
②やり方(手順)自体を、変えてみる (手順Aから手順Bへ)
③担当する部署や人を、代えてみる  (代打) 
④手順の順序を、入れ替えてみる   (打順を替える)
⑤手順の順序を、反えて(逆)みる  (3番と4番を反える)
⑥手順を逆方向から復って眺めてみる
⑦業務プロセスのそもそもの狙いや目的に、立ち返ってみる (原点:そもそも)
⑧最初の、以前の、もともとの業務プロセスに還ってみる
⑨手順を加えて、プロセスを改えてみる(追加)
⑩外部から労働力として買ってくる
⑪ロボットを飼ってみる
⑫知恵が出ないなら帰ってみる