営業戦略とKPIだけでは、現場は思うように動かない(2) 2022年3月31日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

前回は、営業戦略のHowを業務プロセス(現場活動の理想的業務フロー)として展開し、その実施状況を、モニタリングするためにKPIの設定が重要であると説明しました。

今回は、営業戦略を営業現場で行動するための理想的な手順(これを業務プロセスと言います)まで具体化しなければならない背景に迫ります。

一般的に、トップから指示する営業戦略は、話し手の巧拙によりますが、20%減衰すると言われています。さらに現場の営業マンの理解度は、50%程度です。そして理解した営業戦略を自律的に行動に転換できるの営業マンは15%だと言われています。 これは、指示が現場の行動になるのが、僅か80%×50%×15%=6% と言うことになります。



※ここが悩ましい訳です。
トップが、現場の営業マンの戦略の現場での取り組みが実際の行動になっていないのを目にすると、また同じとを言いたくなりますよね。
あれほど言ったのに、伝わってないのだと。
100人の営業マンがいたら、わずか6人の営業マンしか思うように行動できてしていないと言うことですから。貴社の営業マンが30人だとすると30人×6%≒2人と言うことになります。(これがトップセールスマンなのかも)
申し上げたいのは、トップが思うほどに戦略の真意を理解して各営業マンが自律的、かつ効率的に活動ができていないと言うことです。
ですから、日々の営業現場の動きをSFAで補足し直属の上司によるマネジメントを行うのですが、このマネジメントスタイルに関しても落とし穴があります。あの上司は部下のマネジメントや部下育成が上手だから成果が出ている。この上司は、思いつきで部下に指示を出しているから成果が出ないと。
これを、排除するためにも戦略を営業マンが現場で効率よく徹底するための業務プロセスとマネジメントのためのKPIが必要なのです。KPIは、期待すべき成果を達成するための定量的な目標値です.。そして同時に現場の営業活動の質的向上を担保するために業務プロセスの標準化が重要となります。
業務プロセスの設計なしに、KPIのマネジメントに終始すると営業マンの質的向上(人材育成)は、期待できません。
業務プロセスは、営業戦略の4W(戦略テーマと言う)に対する理想的な業務フロー(How)を標準化したものです。この業務プロセスが決まれば、KPIが自ずと決定します。営業戦略テーマを営業現場で属人的に取り組んでKPIをクリアするよりも、組織的に標準化した業務プロセスを取り組んだかどうかをモニタリングするためのKPIをマネジメントした方が、営業戦略そのものや業務プロセスの見直しによるPDCAサイクルの高速回転が可能になります。

業務プロセスのない営業戦略は、PDCAサイクルの DとAの無いP Cサイクルとなります。要するに、営業戦略を属人的に取り組んで、それをSFAで KPI評価して、営業戦略の修正は、Cからの思いつきという手探りマネジメントとなります。 一方、営業戦略に対する業務プロセスとそれに紐づいたKPIで営業現場をマネジメントできれば、P(営業戦略)D(業務プロセス)C(KPI評価)A(営業戦略または業務プロセス、KPIの修正)をロジカルに取り組むことができます。



SFAの導入は、人材育成ツールでもあります。営業マンを成果で分類すると2:6:2の六割の真面目な営業マンを支援し成長していただくためのSFAにしていただきたいのです。営業戦略とKPIだけの営業マンの行動管理に重点を置いたSFAでは、定着しません。

このような理由から、業務プロセスを設計し可視化することは、ターゲット顧客に価値を提供するための営業マンの人材育成のためにも重要になります。

業務プロセスとは、営業戦略のテーマ(4W)を、営業現場での理想的な行動手順(業務フロー)を、ドキュメント化した、営業活動マニュアルのようなものです。
※ただし、営業戦略のテーマで、どうしても必要な業務プロセスについて考察します。ルーチンワークや既に定着している業務を改めて業務プロセス設計するものではありません。

この業務プロセスの多くの部分で、SFAの諸機能を活用します。しかし、全ての業務プロセスをSFAがカバーする訳ではないのも事実です。一般的にSFAは、ターゲットとする顧客を軸とした面談履歴や実績情報を蓄積・共有すること、その蓄積データを活用するためスピーディな情報提供は得意とするところです。しかし、業務プロセスなしでKPIマネジメントを先行させてSFA導入するとKPI達成するがためのゴミデータが蓄積され活用度の低いSFAとなってしまいます。(日記帳化)

《ある施工会社の既存顧客の案件創出フェーズの業務プロセス(例)》


❖営業戦略を現場で組織的に徹底するために
●業務プロセスからKPIを創出するパタン



●業務プロセスなしにKPIを創出するパタン➡営業戦略(仮説)の検証が難しい