営業戦略とKPIだけでは、現場は思うように動かない(1) 2022年2月21日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

営業現場をマネジメントために、これまでは受注予算や売上予算に代表される結果指標によるマネジメントが主でした。しかし営業現場の活動の要所要所をKPIでマネジメントするようになって来ました。KPIという言葉が、普通に使われるようになりました。
※KPI(Key Performance Indicator:主となる活動指標)

ここで、気をつけなければいけないことがあります。5W1Hで営業戦略を策定し、それをマネジメントするためのKPIを設定しただけで、営業現場に営業戦略を取り組ませようとすることです。 営業戦略とKPIのセットでは、営業戦略の現場実行は、うまく行きません。

では、どうすれば良いのか? 今回は、この点を掘り下げて見たいと思います。

営業部門の期待すべき成果を、より効率的かつスピーディに実現するために営業戦略を打ち立てます。
※一般的に営業部門における期待すべき成果は、
(1)売上予算の達成
(2)営業利益予算の達成 です。

(1)売上予算の達成については、営業部門が策定した組織的な取り組み(以下営業戦略と言う)、すなわち5W(いつ、誰が、何を、何処に、どのように)を、営業マンに指示することで、全営業マンが指示した営業戦略を完全に理解し、全営業マンが自律的に行動し、期待すべき成果である売上予算を達成することです。

しかし現実は、そう簡単ではありません。 これができていれば苦労しません。

ここで想定しておかねばならないのは、
営業戦略が、ターゲット市場や顧客に思ったほど受け入れられない、すなわち期待すべき成果が出ない場合の対処方法です。
この様な場合は、
①営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いが悪いのか?
②営業戦略そのものが悪いのか?
③この両方が悪いのか?

①期待すべき成果=営業戦略そのもの(⭕️)✖️ 営業戦略の取り組み度合い(❌)
②期待すべき成果=営業戦略そのもの(❌)✖️ 営業戦略の取り組み度合い(⭕️)
③期待すべき成果=営業戦略そのもの(❌)✖️ 営業戦略の取り組み度合い(❌)
①〜③のいずれに問題があるかを、迅速に特定し対策を打つ必要があります。

まずは、①の営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いを素早く把握する必要があります。
さらに、①営業戦略の取り組み度合いは、取り組みの「量(頻度)と質(取り組みそのもの)」に分解できます。
a)営業戦略の取り組み度合い=実行の量(❌)✖️実行の質(⭕️)
b)営業戦略の取り組み度合い=実行の量(⭕️)✖️実行の質(❌)
c)営業戦略の取り組み度合い=実行の量(❌)✖️実行の質(❌)

営業戦略の取り組み度合いの「量」に関しては、KPIに対する達成度で把握することができます。
このKPIを素早く把握するためには、SFAは有効です。また、営業戦略の取り組み度合いの「質」に関しては、業務プロセスが設定されてない場合は、SFAに蓄積された商談履歴から推察することになります。商談履歴は、一般的に直属の上司が確認します。①営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いの「質」に関する状況把握は、属人的かつ事後評価になります。
営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いの「質」を組織的に把握するためには、業務プロセスをあらかじめ設計して、設計した業務プロセス(事前計画)を現場で取り組むことで活動の質的担保可能となります。
逆に業務プロセスを設計するからこそ、KPIを導出できるのです。営業戦略に対して共通の業務プロセスを全営業マンが一丸となって取り組むわけですからKPIの状況さえ把握すれば、①営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いの「量と質」が、把握できることになります。
一方KPIだけのマネジメントの場合は、①営業マンの現場での営業戦略の取り組み度合いの量的判断のみとなります。KPIをクリアしているのに期待すべき成果が出てないと、営業戦略の見直し(上記①)に手を付けたくなります。(実は、営業現場の取り組みの質的な問題があるのに。。。)
業務プロセスを設計しないと、KPIクリアのための日々の取り組みは、各営業マンに任せになります。(世に言う営業活動の属人化です) こうならないためにも、営業戦略ごとに営業現場で取り組むべき理想的な業務フロー(手順)、すなわち業務プロセス設計は重要になります。

急がば回れ、営業戦略と業務プロセス、業務プロセスから導出されるKPIのセットで、営業現場での営業戦略の完遂を目指しましょう。

次回は、業務プロセスについて、掘り下げていきたいと思います。