A社のチャレンジ2015年10月23日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。
これまで、歯科医療材料・機器商社のA社の業務改革を例に、可視化経営の具体的なステップを説明しました。
前回までは、A社に対する当社のコンサルティングポイントを解説しましたが、今回は、これからのA社のチャレンジをご紹介したいと思います。

A社の市場環境を整理すると、
・既存顧客(歯科医院)だけでは、これ以上の成長を見込むことはできない。
・歯科医院の大半は、地域に密着した医療サービスであり、そう簡単に業績拡大が望めない。
・既存顧客の2割程度が、経営難で、ここ数年取引が減少傾向にある。
要するに、既存顧客の維持だけでは、これからA社としての将来は、見込めない状況にある。
このような外部環境の中で、
新市場開拓戦略として、展示会・学会・セミナーをフックにして、切っ掛けのできた歯科医院に対して、
顧客ニーズに合致した情報を定期的に提供しながら信頼関係を構築して、引き合いのチャンスを造るという
戦略ストーリーを立てて取り組んできました。



◆これまでは、
その際に、既存顧客のランクづけは、以下のようにRFM分析で実施しました。
たとえば、RFMのそれぞれの要素に、5段階程度のランクと要素の重みづけを行います。
さらに、既存顧客のポテンシャル(P)と顧客内シェア(S)を加味したポジショニングマップを作成し、
既存顧客への標準的な訪問頻度を設定しました。
たとえば、
Recency: 最新購買日⇒先月に取引実績あり=5点、1年以上前に取引実績あり=1点など
Frequency:購買頻度⇒年間6回以上の取引実績あり=5点、年1回の取引実績あり=1点など
Monetary:累計購買金額⇒年間50万円以上の取引実績あり=5点、年5万円以下の取引実績がありなど
それぞれ、R:F:Mの重みづけを1:1:1として、
合計得点12点以上=Aランク顧客、合計得点9点以上12点未満=Bランク顧客となど
たとえば、「ABCクリニック」は、RFMの得点が、各得点は、満点の5点で、合計15点だから、Aランク顧客と言う具合です。
このように、既存顧客の訪問頻度は、RFMというこれまでの取引実績という評価軸設定しました。



そして、顧客ランクごとに設定した訪問頻度と月々の売上との実際を、『売上訪問対比』で、チェックしました。




この『売上訪問対比』は、IT日報を作成することで、自動的に集計されますので、もしも顧客ランクBのある既存顧客の先月の売上が、これまでの月次売上から見てガクンと減ったのであれば、問題発生です。
競合他社に、横取りされたのか、顧客である歯科医院の経営が、傾いたのかなど(これは、定期訪問しているので、余程鈍感でない限りわかるはずですね…。)、直ちに対処する必要があります。
このようにして、既存顧客の訪問頻度をコントロールしつつ、既存顧客の売上を維持し、
訪問頻度をコントロールして浮いた時間を、新規顧客開拓に費やす営業活動スタイルを構築したのでした。

◆これからは、
さらに、既存顧客の訪問頻度は、RFMというこれまでの取引実績という評価軸に追加して、
年間売上総額(顧客からすると年間仕入総額)という顧客の持つポテンシャル(売上の最大可能性)と
当社の年間売上総額=すなわち、顧客内シェアを調査して、
どの既存顧客が、売上ポテンシャルがあり魅力的で、まだ当社シェアが低く開拓の余地があるのかを、
ポテンシャル(P)とシェア(S)の2軸で評価して、とくに売上ポテンシャルが大きくて当社シェアの低い拡大客のゾーン(下図の赤色)
を、「組織的に戦略的に攻めよう」というように決めて、取り組むようにしました。



これまでは、過去のデータを基に、RFP分析で顧客ランクを設定し、訪問頻度を決定しましたが、
次は、どの既存顧客に可能性が、あるのかを見極めるための軸を設けて、取り組むことにしました。
具体的には、拡大客ゾーンに該当する既存顧客の訪問回数を、2回/月増やし、成行客ゾーンに該当する既存顧客の訪問回数を、2回/月減らすなどの調整を行います。
※定常的な既存顧客への訪問を戦略的に行うことで、効果的で効率的な営業活動に磨きをかけるべく、チャレンジします。