個別研修レポート(3)2014年01月28日

こんにちは、可視化経営エバンジェリストの本道です。

昨年末に、ある地方の機械工具の専門商社(年商60億円、社員100名、創業40年)で、営業部門の基盤戦略の策定研修を行ってきました。
この会社の基盤戦略策定研修の3回目をお伝えします。

営業活動を以下の3つのフェーズに分けた。



Ⅰ. 引合い創出フェーズ(ターゲット顧客へのアウトバウンドによる活動から引合い創出まで)
Ⅱ. 引合い対応フェーズ(具体的な引合い発生から受注まで)
Ⅲ. アフターフォローフェーズ(受注から納品完了まで)


この中で、特に新規顧客における引合い創出までの取り組みが、上手くできてないという判断からⅠ.引合い創出フェーズにおいて、フェーズについての取り組みを具体的してみました。

❖新規顧客における引合い創出フェーズ


(1)新規や取引の浅い顧客とは信頼関係の構築が急務となる。
(2)信頼関係を構築するには、訪問頻度(量)と、その訪問の内容(質)が重要となる。
(3)信頼関係ができれば、顧客の個別情報を入手することが容易になってくる。
(4)顧客の個別情報を把握できると、顧客に刺さる提案ができるようになる。
(5)顧客に刺さる提案ができれば、引合い創出の可能性も高まる。

このフェーズにおいて、(2)の訪問頻度と訪問の際の面談内容の質が高くないと、(3)の顧客の個別情報を収集することは、できない。
このフェーズにおけるボトルネックは、ここにあると戦略マップ検討メンバーで共有した。
ベテランならば、訪問のネタを仕込んで、顧客の反応を見ながら丁々発止と面談を進めることが出来よう。しかし、比較的若手の多いわか営業部は、新規顧客との関係性を構築するためのネタを事前に仕込んで新規顧客に訪問すること。
そして、同じ顧客に少なくとも4回訪問することを、顧客との信頼関係を構築することを、当面の目標とした。

4回訪問するためには、初回訪問の際に提供するネタの良し悪しがポイントになる。
そのためには、同業他社で抱える問題や関心事などを課題解決事例としてまとめて、これを刺さるネタとして提供することした。
そのためには、ターゲット顧客と同業である既存顧客から抱える課題や関心事などの課題を収集することと、その課題解決方法をネタとして皆が使えるレベルにまでまとめあげる必要があるということとなった。
この一連の業務プロセスは、以下の通りとなった。
そして、この業務プロセスに、『新規開拓フック資料作成プロセス』というプロセス名を付けた。



このストーリーを、スコアカードに展開すると以下のようになりました。

新規開拓における引合い創出フェーズのスコアカードのストーリーは、
新規顧客は、同業他社の成功事例や課題解決事例には、興味を持つだろうという仮説で、自社の既存顧客から課題解決のリアルな事例を取集して、それを資料にまとめる。
そのまとめた事例資料を、新規訪問のネタとして訪問する。
事例資料を上手に説明するための社内勉強会も実施します。
この業務プロセス:『新規開拓資料作成プロセス』をうまく回していくためには、まず既存顧客の抱える困りごとや関心事を具体的に聞き出してくることです。
既存顧客に対する課題解決が出来たからこそ商品やサービスを納入することができたのだから、今更改めて顧客にヒアリングする必要などないのではないかという意見も出ましたが、課題解決提案して製品納入した後の検証が、意外にできていないことが判明しました。
このヒアリングの内容次第で、事例の具体性やリアリティが増します。
ですから当面は人材と変革の視点に、既存顧客の課題や解決策などのヒアリング力についてのスキルアップを目指して取り組むこととしました。

どうでしょうか。作成に当たっては、財務の視点から顧客の視点、業務プロセスの視点、人材と変革の視点の順、上から下へ作成して行きました。
今一度、人材と変革の視点業務プロセスの視点顧客の視点財務の視点の各視点の日課指標からゴール指標にスムーズに流れるかを確認しておきましょう。

定期的に上司同行して、既存顧客の課題や課題解決策、その後の状況を検証します。
上司同行により、これらのヒアリング力を養います。
ヒアリング力がUPしたかどうかは、定期的なロープレ大会で確認します。
ヒアリング力が、上がると既存顧客からのネタの取集が、冴えてきます。
そのネタを持ち寄って、新規開拓先の欲しがりそうな事例資料を組織的に作成するのが、業務プロセスの視点です。
そこで、作成した事例資料を勉強会で説明できるように訓練しておきます。
この資料を手に、各営業マンは、新規開拓に向かいます。
この事例が、面談相手に刺されば、2回目の訪問、3回目の訪問と、回を重ねることができるようになります。
そうすれば、顧客との信頼関係も徐々にでは、出来上がり。顧客の個別情報も収集することができるようになります。そうなれば、提案のチャンス到来です。