戦略実行力は、戦略策定段階で作りこまれる(2)2012年07月12日

こんにちは、可視化経営エバンジェリストの本道です。

前回は、戦略を策定する段階でのポイントを3つあげました。
Ⅰ.戦略の必要性を理解する
Ⅱ.組織としての価値観や目標を共有する
Ⅲ.戦略の仮説-実施-検証サイクルを構築する


今回は、その一番目のポイントである『戦略の必要性を理解する』という点について考えてみたいと思います。

皆さんご存知のように、日本の人口は減少傾向です。毎年元旦に昨年の人口動態推計が発表されます。
2011年は、出生1,057千人、死亡1,261千人で204千人の自然減でした。
ちなみに、一昨年は、126千人、そして、その前の年は、72千人の減少だったと思います。調べてみると日本の人口は、2005年の1億2779万人をピークに、徐々に減少の幅を広げています。
合計特殊出生率も調べてみました。女性が15歳から49歳までに何人の子供を産むかを表した数値です。夫婦から2人以上(厳密には、難しい計算から2.08らしい)子供が生まれないと人口は、減少するということは、簡単に想像がつきます。
子供2人いれば、人口維持。3人以上の家庭は、人口増加に貢献しているということになります。
みなさんの家庭は、いかがですか?
日本が、このままの合計特殊出生率を続けたら、2055年で何と、9,000万人を割るという中位推計が、国立社会保障・人口問題研究所からアナウンスされています。
弥生時代の人口をどうやって測定できたのかは、知る由もありませんが…
下図のように、日本は、有史以来2005年まで着実に人口増加してきたのです。
それが、2005年をピークに有史以来の人口減少を経験している、われわれは当事者なのです。


また、年齢構成にも大きな変化が現われます。下図は、2010年の人口ピラミッドです。
60歳のボリュームゾーンが団塊の世代です。
どうですか。人口ピラミッドといってもすでにピラミッドの形をしていませんね。



それが、2055年には、さらにピラミッドがシェープアップしてしまいます。
人口ピラミッドならぬ人口柱(いや棒)、それも足元が細った不安定な形となってしまいます。


このように、2008年のリーマンショックに端を発した不景気でしばら続くが、少々我慢していれば何とかなるといった楽観的な話では、まったくないのです。これから先は、マーケット縮小、高齢化がずっと続くのです。天変地異が起こらない限り日本の人口の増加=マーケット拡大は、今後起こりえないのです。
経営者の皆さんは、この現状を認識なさっているでしょうが、現場の一社員までもがこの現状を認識しておくことが重要ではないえしょうか。

この現実を憂いていても仕方ありません。
ますますマーケット縮小、少子・高齢化、就業人口減少、モノ余りが加速する予想のつかない環境変化の中で人口動態は、唯一「読める」情報、前提条件としてこれからの企業の取り組みを考えていく必要があります。
これまでの右肩上がり=マーケット拡大時代の戦略とマーケット縮小時代の戦略とが一緒であるわけはありません。昨年と同じ戦略を今年も同じように取り組んでいても期待すべき成果が得られないのです。
どの企業も、この市場環境を理解することから始める必要があります。