≪事例研究≫日雑卸売業H社の場合~Step3 ビジョン、戦略、戦術をマップ化する(その2)2011年06月07日

長期・中期・短期の戦略に一貫性がありますか?
こんにちは、経営の見える化エバンジェリストの本道です。

GEのジャック・ウェルチは、誰でも短期のマネジメントだけを行うことはできる。
誰でも長期の夢を追いかけることもできる。
重要なのは、その両方をバランスよく追い求めることだ。
こまかい言葉は、違っているかもしれませんが、要するに長期も短期も大切ということ。
しかし、以下のように長期・中期・短期の戦略が分断されているお客様を見かけます。



大きな会社では、ビジョンを経営企画室、中期経営計画を経理部門、
年度方針を各ライン部門のスタッフ、目標管理を人事部門といった具合に、
それぞれの部門の思惑と時期で作成依頼があったりします。

これでは、肝心の戦略がセクショナリズムの弊害に毒された産物と化してしまいます。

皆さんの会社もH社と同じ病にかかっていないか。
以下の点をチェツクしてみてください。

① 長期の戦略であるビジョンが、どこにでもありそうな単なる“あるべき論”だったり、
  抽象的なイメージや絵に描いた餅になっていないか?
② 中期戦略である中期経営計画が、長期の戦略のビジョンとつながっていなかったり、
  現状の単なる積み上げで、財務的な目標だけの具体性のないものになっていないか?
③ 短期の戦略である年度方針が、近視眼的な発想になっていないか?
④ 年度方針のアクションプランが精神論になっていないか?
⑤ 人事評価型の目標管理制度(結果管理主義による業績評価)で戦略と無関係になっていないか?

右肩上がりの経済成長期には、さしたる戦略などなくても売上拡大が見込めました。
しかし、これからますます加速するマーケット縮小時代に、
「がんばれ。なせば成る。ガッツを出せ。気合を入れろ。」といった精神論だけでは、成長はのぞめません。

以下のようにビジョン-中期経営計画-年度方針-目標管理が一気通貫することについて異論はないはずです。では、具体的にどうすれば良いのか。



長期の戦略として「20年後の将来ビジョンをマップ化する」、
中期の戦略として「中期経営経計画をマップ化する」、
短期の戦略として、「年度方針をマップ化する」を検討します。

まず長期の戦略を立案し、その内容を受けて中期戦略、そして短期の戦略へと順に展開します。
またその際に前回説明したバランススコアカードの4つの視点でそれぞれの戦略の具体化、
見える化することで組織の誰もが長期-中期-短期の連鎖をわかるようするところからスタートします。

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