可視化経営エバンジェリストの本道(ホンドウ)です。
見える化と可視化の違いを定義してみた。
見える化で有名なのが、アンドンやカンバンというトヨタに代表される生産現場の見える化。
生産ラインでの不具合をアンドンの点灯でいち早く知らせたり、
生産ラインの各工程間でやり取りされる伝票で、
後工程から前工程に対して引き取りや運搬の時期、量、方法、順序などを
指示したりするカンバンなどが、見える化の代表選手だ。
また、日常における見える化でよく出てくるのが、
青・黄・赤と色の違いで人や車の動きをコントロールする信号機。
アンドン、カンバン、信号機など視覚に訴えるツールは、
サッと(パッと)目にとまり易いことや青が進め、黄が注意、赤が止まれといった具合に、
それぞれの状態で決められた意味やルールが備わっていることが基本となる。
その見える化の基本要素に、
プロセスの見える化、因果関係の見える化、目標と現状の見える化という
3要素追加すると可視化となる。
プロセスの見える化とは、
見える対象が、単に在庫不足、トラブル発生、止まれといった事実や結果表示、
あるいは指示を促すというだけでなく、その状態を導くためのプロセスをも見えるようにすること。
また、プロセスの見える化だけでなく、
プロセスの取り組み行うことによって結果がどうなったのか、
すなわち日々の活動(原因)とその積み上げによる結果の因果関係の見える化が同時提供されること。
さらに目標と現状の見える化で、
プロセスの状態表示が、単なる現在値や実績値を表すだけでなく、
各プロセスにおける基準値や目標値が設定され目標値と実績値との差が、一目で比較できることである。
この3つの見える化が揃って初めて、可視化。
私が勝手に定義しているだけですけれど…
大昔だがシャープで家電営業をしていた時に、
営業所長の後ろに貼ってあった畳一枚ほどの担当者別売上予実績グラフも、
歴とした見える化。
しかし、前述の可視化の定義から言うと売上予実績グラフは、
結果指標である売上の予実績を見える化しているだけで、
プロセスの見える化や因果関係の見える化という観点からは、
可視化の要件を満たしていません。
また、先ごろ小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る捜査中にクローズアップされた、
可視化法案(正式には、取り調べの全過程を録音・録画する刑事訴訟法改正案というらしいが…)も取り調べの全過程を録音・録画するという、単なるプロセスの見える化に留まっている。
できれば、可視化法案ではなく見える化法案と言ってほしいくらいだ。
これら3つの視点を備えて経営を見える化することを可視化経営と定義したが、
可視化シーンは、意外とありそうで無い。
強いて言えば、車のカーナビ。
これは、目的地までの道のりであるプロセスの見える化、
目的地とGPSによる現在地の見える化、
そして混雑から勘案した到着時刻の予測などは、
現状と結果の因果関係の見える化で、可視化と言えそうだ。
可視化とは、見える化に非ず。
可視化は、プロセス、因果、目標と現状の見える化がポイントとなる。