ここから共通メニューです


 

ここから本文です

営業の見える化

顧客の判断基準を「見える化」すると顧客が財産になる(第5回)

 「営業の見える化」では、営業マンの行動管理ではなく、「顧客の見える化」や「競合の見える化」を重視すべきであることはすでに触れたが、今回は、「顧客の見える化」についてもう一歩踏み込み、顧客の判断基準を「見える化」することを考えてみたいと思う。
 ここで言う判断基準とは、顧客が「いつ買うのか」「いくらなら買うのか」「誰が決定するのか」といったことだ。それを「見える化」する。「そんなことができたら苦労しない!」という声が聞こえてきそうだが、できる。読心術を使うわけではないから、すぐにパッとは見えないが、多少時間をかければできる。そのために二五〇〇年前から伝わる論語の教え「視・観・察」を用いる。「子曰く、其の以うる所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉んぞ痩さんや、人焉んぞ痩さんや。」である。
 人を見るには三つの見方がある。一つが外見を見る「視」。二つ目が過去からの経緯を見る「観」。三つ目が内面や意図を読む「察」。これを「営業の見える化」に当てはめてみる。まず、営業マンは、顧客の言葉や態度、表情をありのままに見る。これが「視」だ。余計な先入観などは排除し、客観的に事実をつかむ。これも大切。しかし顧客は常に正しいことを言ってくれるとは限らないし、本音を隠すことも多い。だから必ず裏読みをしなければならない。ちょっと順番は前後するが、これが「察」。顧客の意図や発言の背景を「推察」すると考えれば良い。まともな営業マンなら皆やっていることである。顧客は「買う」と言っても買ってくれるとは限らない。「高い」と言っても実は「結構安いな」と思っているかもしれない。相手の言うことを鵜呑みにしていては商売にならない。この裏読みした「推察」をIT日報に入力しておく。IT日報だと、その日の日報だけでなく、顧客別に整理されて過去からの経緯が分かるようになるから「観」ができるようになる。その場その場の「推察」にはどうしても読み違いがあるが、これが積み重なって「観」で見ると、「あぁ、だいたいこういう時には買ってくれるな」「いつもこの時期には○○を買うんだな」「この人は権限がありそうなことを言っているけど権限がないな」という決定要因・判断基準がつかめる。
 実は、ベテラン営業マンはこの「視・観・察」を自分の頭の中でやっている。だから、たとえば新製品が出た時など「これはAさんは買うけど、Bさんは買わないな」といったことを顧客に聞かなくても判断できる。長い付き合いで「察」と「観」が頭に入っているからだ。これを全社で共有するのが「営業の見える化」だ。
 顧客の判断基準が予め分かってから営業活動を行えば、当然気の利いた提案ができるし、顧客の要望を先回りして満たすことも可能となる。これができるようになる「顧客判断基準データベース」を用意してはじめて、顧客を財産にできたと言える。先回りして、自分なり自社なりにピッタリの提案をしてくれる営業マン(会社)から離れるのは損だと思わせなければ財産になったことにはならない。 「顧客の見える化」とは、ただ顧客のデータがあれば良いのではないのだ。
 実は、このことは最強の兵法、孫子の教えでもある。これも2500年ほど前になるが、「孫子曰く、之を策りて得失の計を知り、之を作して動静の理を知る。」だ。敵の動きを見張るのではなく、敵がいつ動き、いつ動かないかの判断基準を知れと説いている。これがまさに顧客の判断基準を「見える化」することだ。顧客の言動をチェックするのではなく、顧客の判断基準をつかんで先回りするのだ。

営業の見える化 一覧

 

SFA・CRMパッケージ情報サイト「顧客創造日報シリーズ」詳しくはこちらからマネジメントコミック『営業の質をあげ、営業マネジメントを高度化する』をプレゼント

 

お問い合わせ・資料請求

弊社へのお問い合わせ、資料請求をフォームにて受付けております。お電話でも承っております。お気軽にご連絡下さい。

Webからのお問い合わせはこちらからお願い致します。資料請求はこちらからお願い致します。
 

ページの先頭へ戻る