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長尾一洋の可視化経営論

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可視化経営と内部統制の徹底

 戦略の可視化、マネジメントの可視化、現場情報の可視化という可視化の三層構造を前回ご紹介したが、この三層が可視化されることで、全社が見えてくる。企業を経営するためには全社が見えていなければならないが、多くの企業では社内すら見えていないのが現状だ。だから大手菓子メーカーF社のような事件が起こる。可視化せずに経営するのは、霧が立ち込める中を計器も使わずに飛行するようなものだ。危険であるのはもちろん、より良い進路を選ぶのも難しい。

時代の変化は現場で起こっている

長尾一洋

 「事件は現場で起こってるんだ」という刑事ドラマの決めセリフではないが、企業においても時代の変化を一番感じるのは現場であり、まさに事件は現場で起こっている。現場では予測していなかったことが起こる。想定外であることが時代の変化を表している。自社が想定する範囲を超えた現実をいち早くつかみ取り、そこから時代や環境の変化を感じることが求められているのだ。ほとんどの経営者は、現場は社員に任せて、戦略論だけを論じようとするが、戦略は想定の世界であり、なかなか既成の枠組みから抜け出せないものだ。経営者が想定内の戦略論ばかりを重視するようになると、現場からは想定内の情報しか上がってこなくなる。消費期限を過ぎた牛乳を使うことは想定外だから報告ルートもないのだ。これがまずい。だからこそ可視化経営が必要なのだ。特に重要なのが現場情報の可視化である。事件は現場で起こっている。
 現場情報を可視化するということは、全社員の行動を可視化するということである。企業行動の実体は社員行動の総和だからだ。企業が勝手に行動することはない。社員が行動するのだ。社員が何をしているのか分からない状態で、結果数字としての財務データだけを見ていて自社の経営状態を分かったつもりになってしまうようでは、過去に飛んできた経路を振り返って、向かうべき進路を決める操縦士のようなものだ。後ろを見るばかりでは前に進むことはできない。

見えない現場を可視化するには道具が必要

 では、現場を可視化するにはどうするか。経営者がすべての現場を実地で見ることは不可能だから、道具が必要になる。それがIT日報だ。社員の行動をオープン化し、それぞれが社外の顧客や取引先とどのようなやり取りをしたのかを記録に残す。内部統制や法令順守、社会的責任などが要求される時代になった以上、社員が何をしているのか分からない、社員が顧客とどのようなやり取りをしているのか知らない、ということでは通用しない。
 ただ、ここで大切なことは、日報だからと言って社員を締め付け、監視する行動管理だと考えてはならないということだ。監視しよう、管理しようという発想では、社員のゴマカシを生むだけである。そうではなく、社員の相互理解のための日報であり可視化である。相互に理解すると相互信頼が生まれる。社員間に信頼が生まれると次に相互作用が生まれる。これが現場の力を引き出す新しいマネジメントだ。社員個々の知識や知恵を引き出してより付加価値の高い仕事をしていくためには、監視ではなくガラス張りにすることが必要なのだ。ガラス張りだから自由度を持たせることができる。これにより内部統制は自然に徹底される。内部統制のための内部統制ではなく、社員の創造性を発揮するための内部統制を実現するのが、可視化経営なのである。 (完)

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