ある会社の基盤戦略の中計マップ(抜粋:具体化編)②2017年11月30日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

前回は、ある生産財の卸売会社の成長戦略におけるターゲットを明確にしました。
今回は、ターゲット間の関係性や取組みのための時間軸という切り口について考慮してみたいと思います。

《おさらい》
ターゲットとは、顧客タイプをある特定の切り口で分類(セグメント)した中で、自社としてどこに対して手を打つのかを決定(ターゲッティング)することです。
戦略のセグメンテーションとして一般的なのが、アンゾフの成長ベクトルというもので、市場と製品という2つのセグメントでターゲット顧客を区分するものです。
要するに、
既存市場(既存顧客)と新規市場(新規顧客)と言う、誰に(市場)という切り口と、既存製品(既存サービス)と新規製品(新規サービス)と言う、何を(製品)という2つの切り口で、セグメントするということです。




この2つの切り口の掛け合わせで戦略名称が、↑のように決まってきます。
例えば、既存市場に既存製品をもっと購入していただくための戦略(図のマトリックスの左上の部分)を、市場浸透戦略(市場深耕、顧客内シェアアップなどの言い方もあります。)と称し、この戦略を選択することを、ターゲッティング言い、そのターゲットにいる顧客をターゲット顧客と言います。
※中計を検討するにあたって、このセグメントで必ずしも検討することは、ありません。
しかし、ターゲット顧客を決定しないままに、中計のための具体的なストーリーを検討することは、できません。
ちなみに、上記のようにセグメントが、2つである必要はありません。
例えば、誰(市場)に、何(製品)をと言ったセグメントの他に、どのようにして(直販、代理店、Web、紹介など)と言った、顧客との接点方法もセグメントとなり得ます。
要するに、ターゲットとなる顧客をより具体的に特定するための切り口が、セグメントということです。
ですから、各セグメントの切り口、たとえば市場というセグメントなら既存市場と新規市場という様に各切り口に該当する要素がモレたりダブったりしないようにしてください。➡MECE(ミッシー)

◆MECEとは、
ある事柄や概念を、重なりなく、しかも全体として洩れのない部分の集まりで捉えること。 
    「ダブり(ME)なし、モレ(CE)なし」
 Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive

 相互に   重複せず       全体として   洩れが無い
※出所:マッキンゼー・アンド・カンパニー
要するに、じゃんけんは、MECE




‥‥と、言ったところで、皆さんの会社にも休眠顧客がいると思います。
皆さんの会社は、この休眠顧客は、「誰に」のセグメントのどこに位置づけされますか?
会社によって結構、バラバラです。そして、成長戦略のターゲット顧客に「市場開拓」を選択するパタンでは、この休眠顧客を新規に入れるか入れないかで取り組み方も違ってきます。
多くの会社が、休眠顧客は、いま現在において自社との取引が無い、または不活発な顧客といった程度の定義しかなく、戦略検討のターゲット顧客から外される場合すらあります。
ド新規に行くよりも、休眠顧客への戦略の方が、一般的に優先度高いと思いませんか?
➡という訳で、この際ですから休眠顧客の定義も、しっかりと明文化して、セグメントのどの切り口に入るのかを明確にしておきましょう。
例)①直近3年間の実取引の無い顧客
   ②直近3年間具体的な案件すら無い顧客
   ※①は、案件化して打席に立っているけどヒットがない状態。
   ②は、打席にすら立てない状態。

それともう一つ、各セグメントの主語を明確にしておく必要があります。
例えば、
「誰に」というセグメントの切り口である「新規市場」とは、当社にとっての新規市場であり、
「何を」というセグメントの切り口である「新規製品」とは、当社にとっての新規製品であり、市場としての新規性は別物であるということを理解しておく必要があります。
組織で中計を考えて行く際に、各セグメントやセグメントの要素である切り口の定義と選択したターゲットそのものが検討する人たちの中でズレていると、戦略の具体化に支障をきたしますので、スタート段階のターゲット市場や顧客の共有は、とても重要になります。