A社に対する当社のコンサルティングしたポイント2015年8月24日

こんにちは、可視化経営のエバンジェリスト本道です。

歯科医療材料・機器商社のA社の業務改革を例に、可視化経営の具体的なステップを説明してきました。
今回から数回にわたり、A社に対する当社のコンサルティングしたポイントを解説したいとおきます。

そもそもA社の問題は、
◆社長ヒアリングによると
・取引先の開業医1割程度が、経営難であり、既存顧客の維持だけでは、現状の維持すら難しい。
・よって、新規顧客開拓は、自社の生き残り、勝ち残りを左右する喫緊の課題。
・具体的には、新規顧客開拓のためにイベント(学会展示、デンタルショー、セミナーなど)に参加している。
・しかし、イベント開催後のフォローが徹底されていないため、具体的な新規顧客開拓に結びついていない。
・どの新規先を重点的に攻めれば良いのか明確な基準がないため、イベント⇒ちょっと訪問⇒次のイベント⇒ちょっと訪問の繰り返しとなっている。
・結果的に、新規顧客開拓に関しては、問合せベースの待ちの営業になっている。
⇒要するに、
・既存顧客への対応と新規顧客開拓のイベントに振り回されている。
・忙しい割に、期待すべき成果に結びついていない。というものでした。

◆また、各地域の営業所長からヒアリングした内容は、大方以下の通りでした。
課題:既存顧客からの売上は減少しているため、新規顧客からの売上でカバーしたい。
現状:既存顧客対応に追われがちで、新規顧客開拓に注力できていない。
①活動の属人化
・新規開拓のための組織的なストーリーや具体策が明示されていない。
・既存顧客に対する効率的な活動ができていない。
・既存顧客への注力度合いとそこからの成果の因果関係が見えない。
②活動のブラックボックス化
・フックツールとしてチラシを毎月作成・支給しているが活用度は不明である。
・新規開拓にどの程度訪問して、成果に繫がっているのかわからない。
・提出した見積書の受注率がわからない。
③ITツールの未整備
・現在は全営業100名に対してテスト的に20台のタブレットを支給しているが、有効活用されていない。
・1日20件程度訪問しているため、具体的な面談記録を全件登録するのが難しい。
・訪問記録をメールベースで、実績集計を基幹システムで行い、会議資料は、EXCELにて作成しているため手間がかかり、非効率である。

これらヒアリングした内容を、以下のような3つにまとめました。
①組織的な活動方針の欠如
注力すべき活動を営業戦略として策定し、その営業戦略を現場で実行し、その結果として期待すべき成果に結びついたかどうかを検証する一連の仕組みづくりが必要となります。

②具体的な活動の標準化と見える化
営業戦略を現場に周知し徹底するためは、営業戦略を現場で実行可能な業務プロセスに落とし込むこと、そして、すでに実行している業務プロセスのボトルネックを解消することが、喫緊の課題となります。

③効果的なITツールの活用
そして、多忙な営業担当者や営業マネージャーが、期待すべき成果をより効率よく実現するための手段としてITツールを有効に活用することも重要となります。
併せて、営業戦略の成果と、その成果をもたらす現場の活動状況を、素早く見える化し営業責任者の意思決定を強力に支援するシステムが、必要となります。


要するに、という3つの見直しが必要と、判断した次第です。
①成果を上げるためのマネジメントポイント(戦略)の見直し
②市場環境の変化に対応した営業活動(業務プロセス)の見直し
③効率良く成果を上げるための仕掛け(ITシステム)の見直し

もうお気づきと思いますが、この3つの切り口が、これまでA社事例に解説してきた、「業務改革」の3つのSになります。




❖A社における業務改革は、
これまで一定の成果を出して来た自社の製品やサービスに対し、
・市場環境の変化に対応した営業戦略として具体化し(上の①に該当します)
⇒第1のS:戦略ストーリー(戦略マップによる戦略の見える化)
・この戦略ストーリーを、現場で徹底するための業務プロセスに落とし込み(上の②に該当します)
⇒第2のS:シクミ(業務プロセスによるマネジメントの見える化)
・さらに、この業務プロセスを効率良く実行するためのITツールの活用(上の③に該当します)
⇒第3のS:仕掛け(ITシステム活用による現場の見える化)
これら3つのSに取り組むことで、A社の業務改革を組織的に推進することになります。