戦略実行力は、戦略策定段階で作りこまれる ~機能的ドメイン~2012年10月30日

こんにちは、
可視化経営エバンジェリストの本道です。

2つの「ダントツ一番化」で、自社としてどんな独自性や他社との差別化ポイントを持つことができるのかを、前回は説明しました。
今回は、ビジョン実現するために、顧客にどのような機能や価値を提供するのかを、機能的ドメインとして定義する点について解説します。



❖ビジョン設定シート

ビジョンを検討する際に、そのビジョンをどこで実現するのか、自社の活動の範囲ないし存続領域と戦略的な事業ドメインを明確にしておく必要があります。
事業ドメインの分類方法の一つに、印刷業[1611]、ガス事業所[3413]、警備業[9061]、飲料製造業[10]、出版業[4141]、経営コンサルタント業[8093]など、政府が統計データをとるために決定した日本標準産業分類(平成19年11月改定 1,455の細目に分類)
http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/19-3.htmというものです。



❖日本標準産業分類

事業ドメインとして、この標準産業分類で自社を縛っている限り、他社と似たような枠組みで似たような発想となってしまい、自社の独自性を活かした発想が損なわれるものとなります。

孫子も、こう言っています。
『百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。』
この意味は、競合企業との局地戦に勝ったからと言って、喜んでいてはならない。
最も有利な営業戦略とは競合のない市場を開拓することであり、競合を味方にすることである。
百戦百勝は良いことではないかと思うのが普通だが、そうではない。
もっと儲けることができるのに、儲け損ねているかもしれないし、値引きやタダ働きをさせられているのかもしれない。
それによって、無駄な努力や作業が生まれ、会社全体とすれば余計な工数を割かざるを得ないことになっているかも知れない。
いかに戦わないで済む領域を作り、競合の営業活動を自社のプラスに活かすかを考える戦略を作るかが、リーダーの役割である。
要するに、勝利に喜ぶのは指揮官、戦わずして勝つのが将軍ということ。

一度、これまでの事業ドメインの発想を捨て、ゼロベース思考で発想してみましょう。

たとえば前述の物理的ドメインで定義した印刷業は、独自能力を意識することによって販売支援業、ガス事業所は快適生活提供業、警備業は安全・安心提供業、飲料製造業は爽快感清涼感提供業、出版業は知識・文化伝達業、経営コンサルタント業を経営改善実現業のような機能的ドメインで定義できるかもしれません。


ちなみに、三田市の洋菓子店サント・アンさんは、産業分類(物理的ドメイン)でいうと、菓子小売業ですが、機能的ドメインだと、差し詰め「夢のある菓子文化提供業」といったところでしょうか。