≪事例研究≫日雑卸売業H社の場合~Step2 20年後の将来ビジョンを描く(その4)2011年05月24日

こんにちは、
経営の見える化エバンジェリストの本道です。

前回は、日雑卸売業H社のプロジェクトメンバー6名の個人的な夢やこれからやってみたいことと会社のビジョンが切っても切れない関係であることを、ライフカレンダーを書くことで理解しました。

次に自社が勝ち残るための土俵(事業領域)を「見える化」する検討に移ります。
一般的に事業ドメインは、印刷業、ガス事業所、警備業、出版業、経営コンサルティング業など、政府が統計データをとるために取り決めた日本産業分類という分類方法で定義しています。


これは、物理的な存在に着目した定義のため「物理的ドメイン」といいます。
マーケット縮小時代にこうした物理的ドメインの類似製品やサービスでは、差別化が難しくおのずと競合他社との厳しい戦いとなることは想像に難くありません。

さらに、これからずーっと現在と同じ物理的ドメインで分類されるような製品やサービスが存在する保証もありません。
ですから20年後の事業ドメインを検討するに当たっては、どんな製品という「モノ」を提供しようかという発想から、どんな価値や機能を提供しようか(これを、「機能的ドメイン」といいます。)という「コト」への発想の転換が必要となります。

機能的ドメインを定義することで、自社独自の土俵をつくることができ、同業他社との明確な差別化を図ることができます。
また、これまでの業界の垣根を越えた発想ができるようになり、戦わずして勝つことも可能となります。

「モノ」を中心に事業を進めるのであれば目に見えるわけですから、改めて定義しなくてもよいのかもしれません。
しかし、「コト」は、目に見えにくいため組織的に推進するときには、
機能的ドメインとして「見える化」が必要となります。

ビジョンの具体策である戦略とは、文字通り「戦いを略すること」。
戦いの土俵を変えて敵と戦わずして勝つのです。
戦わなければ、自陣の労力を使わずに済むのですから最も効率的な戦い方なのですから。



ちなみに、当社 NIコンサルティングの機能的ドメインは…
        『人と企業の媒介・触媒業』
        人と人、人と企業、企業と企業の媒介となり触媒となることで、
             経営力・営業力・人材力を強化し、業績向上を実現する事業。

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