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トップページ > 代表長尾が語る > 経営の道標 2013年版

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経営の道標

自社と仕事にプライドを

 ホテルやデパートでの食材偽装や産地偽装の問題が燻り続けている。こういう問題が起こると、途端に本物を求めて価格が高騰するというのは、どこでもやっていたんだな、ということを裏付ける分かりやすい証拠になるようで残念な気分になる。伊勢海老には地名まで入っているから、高くなるのは当然だが、そうまでして本当に伊勢海老が食べたいのかと言うとそうでもない気がする。私には車エビでもブラックタイガーでも味の違いがよく分からない。そんな話は置いておこう。
 ここで問題にしたいのは食材のことではない。物事には裏表があり、綺麗事だけでビジネスがうまく行くわけではないが、裏と表を使い分け、偽物を本物と偽ってしまった時の現場の社員の心情が問題なのだ。
 「うちの会社はそもそもゴマカシが多いし、表面だけを取り繕うことが多い」と冷ややかな会社批判をするのか、「こんなことどこでもやっていることで何が悪いのか」と平然と開き直っているのか、「もっと良い食材を使って良いものをお客様に提供しなければならないのに」と評論家のような理想論を口にしているのか、どうか。現場にいる社員一人ひとりが、自社ならびに自分の仕事に対してどのようなプライドを持っているのかを問い直したい。
 ビジネスである以上、採算が合わなければならない。原価率の上限を決めて、ルールで縛っている企業もあるだろう。その上で売上も増やさなければならない。相反する要求の中で、どうビジネスとして成り立たせるか。そこが難しくて、つい偽装したりするのだろうが、その難しいところにこそ社員のプライドを持たせたい。
 多くの企業が理念や哲学として良いことを言う。綺麗な言葉が並び、誰が聞いても素晴らしい内容だ。それに共感共鳴し、社員のモチベーションも高まり、自社に対するプライドも持てる。
 だが、そこで終わってしまっている企業が多いのではないか。綺麗なことだけを共有しようとするから、それを裏で支える影の部分から目を背けるようになる。
 どんなに高邁で崇高な理念や哲学であったとしても、ビジネスである以上、それが採算に合い、利益につながるものでなければ、その企業自体が高邁なことを実現し続けることができなくなる。本当の価値は、その理念や哲学だけではなく、それを実現する仕組みや工夫がセットになっていて、継続的に実行できるようになっているところにある。そこにこそ社員のプライドを持たせるべきである。
 良いことを言って、採算も度外視し、慈善事業のようなことをするのであれば、ある意味簡単であり、支援者や寄付を募れば良い。その支援の範囲内で善行をすれば良いだけだ。予算がなくなればそこで終了。
 だが、一般企業においては、崇高な理念を掲げると同時にそれが利益を生み、さらに理念の実行を拡大させていかなければならない。この泥臭い価値を全員で見直し、それを実現することにプライドを持っていれば、安易な偽装やゴマカシは、一時的にあったとしても継続はできない。現場の社員同士が許せなくなるだろう。
 そう考えると、今回あの高い顧客満足度で有名なリッツ・カールトンホテルでも偽装があったことから、より深い学びがあったように思う。リッツ・カールトンの内情に詳しいわけではないが、書籍や講演などからの情報では、崇高な理念の徹底がなされているように思う。それはそれで見習うべきだろうし、だから関連書籍なども売れているのだろう。だが、そんなリッツ・カールトンであっても、偽装が起こった。採算など度外視で顧客のために尽くせと言っているようなホテルであっても採算という現実からは逃れられない。このことを社員に徹底したい。それを身を持って教えてくれたリッツ・カールトンさんには感謝したいほどだ。
 綺麗な言葉や理念にPRIDE&JOYを感じるのではなく、その理念や哲学を実現している泥臭い部分にPRIDE&JOYを感じる必要がある。これであればリッツ・カールトンや一流デパート、一流レストランではない、一般の企業でも目指しやすいのではないか。何しろあのリッツ・カールトンでさえ、美の裏に醜を抱えているのだから。
 ルールの徹底やチェックの強化では、コンプライアンスは守れても、社員のプライドが守れない。真善美を実現するための泥臭い部分へのプライドが、結果としてコンプライアンスも実現する。簡単なことではないが、目指さなければいつまでも実現はしない。

2013年11月

東京オリンピックと未来の見える化

 2020年のオリンピックの開催地が東京に決まった。当初はあまり関心がなかったが、最終のプレゼンテーションでは大いに盛り上がったという人も多いのではないか。初の皇族参加もあり、ジェスチャーを交えた派手なプレゼンテーションもあり、首相も登場したとあっては注目度も高まる。私自身も、オリンピックがどこで開催されてもいいと思っていたのだが、いざ決まってみると期待感も高まっている。2020年にこの日本で、東京で、素敵な大会が実現できれば良いと思う。
 このオリンピック招致で、考えてみたいのは、「未来は作られる」ということ。誰かが「東京でオリンピックをやりたいね」と言い出さなければ、招致活動もなく、2020年は別の都市に決まっていただろう。最初は2016年を考えていたのだろうが、誰かが、東京でオリンピックが再び開催される姿をイメージし、それを一人、また一人と共有していったからこそ、2020年という未来が作られる。まだ7年先のことだから、どうなるかは分からないが、東京で開催されるという未来を作ったのは、誰かの意思なのだ。
 未来が運命によって、如何ともしがたい力で決定されているのではなく、人間の意思によって変えていくことができるという実感を得たことが、2020年の東京オリンピック決定の私にとっての成果だ。そして、未来を作るためには、未来の見える化が必要であることも改めて実感した。
 そう実感させたのは、新国立競技場のデザイン案だ。ザハ・ハディドという女性建築家による、あの新しい国立競技場のデザインが、2020年の未来を見える化してくれた。あの絵を見た時、素敵だなと思った。カッコいい競技場になるなと思った。まさに近未来の競技場だなと思った。ただ「東京でオリンピックがあるよ」と言葉で言われるよりも、「東京オリンピックはこんな競技場でやるんだよ」と絵を見せられる方が、圧倒的に影響力がある。やはり未来は見える化しなければならない。
 これを企業経営に置き換えてみよう。「自社の未来は作られる」。運命によって決定するわけではない。誰かが自社の未来を描き、イメージし、「こんな会社にしよう」と一人、また一人と共有していくことで、自社の未来は現実となる。
 誰かが意思を持って、未来をイメージし、それを目指さなければ、決してそのような会社にはならないだろう。出たとこ勝負の成り行きで、つぶれないことだけを考えている経営よりも、自社の未来を自分たちで作っていく経営の方が面白いに決まっている。
 そして、その未来を見える化しよう。絵で見えた方が良い。未来への道筋をマップ化もしたい。未来への確信がより深まるはずだ。私が長年提唱している、経営の見える化、可視化経営の可能性を東京オリンピックに改めて教えてもらった。より多くの企業が、未来を見える化し、未来を作っていって欲しいと思う。
 そして、2020年の東京オリンピックを、自社の世界への発射台、発信基地、世界戦略のターニングポイントとして設定してシナリオを書いてみることをお勧めしたい。今まで世界には縁がなかった、海外に工場などはあったが、世界に向けて発信するという発想がなかったという中堅・中小企業でも、7年という年限がチャレンジングな取り組みにちょうど良いのではないか。今の中学生や小学生が2020年のオリンピックを目指すように、今の中小企業が2020年のオリンピックで世界デビューを目指すというのも、また楽しい。
 それもまた誰かが言い出しっぺとなり、未来を描いてこそなのだ。そういう意味では、オリンピックの東京招致の言い出しっぺが、森喜朗氏なのか石原慎太郎氏なのか分からないが、言い出しっぺには感謝したいと思う。未来の言い出しっぺになり、未来を見える化しよう。未来は作られる。

2013年9月

人材採用について対策を

  2014年4月入社の新卒採用もひと段落し、早くも次の2015年度採用の準備に入らなければならない時期が来ている。就職協定とか経団連がどうのとかお構いなしという、外資系企業はそもそも大学3年の夏から採用活動を始めるというのが定説であり、実際のところインターンだなんだと名目をつけて優秀な学生を囲い込むような動きがある。日本企業にも事前に後輩を勧誘してくるリクルーターなる存在がある。
 一方で、未だに内定をもらえていない学生が相当数いることも事実であり、リーマンショック後の就活は厳しいものだという風潮もまだ余韻として残っている。たしかに学生が入りたい会社に簡単に入れるわけではない。しかし、確実に優秀な人材を採用しにくくなっている。
 1996年が大学を卒業してくる22歳人口のピークであり、およそ205万人いたのだが、現状は、およそ120万人程度まで落ち込んでいると思われる。若者の総数が4割減っている勘定だ。だが、その間、大学進学率が高まったので、大学卒の総数は減っていない。92年時点で18歳だった世代の大学進学率は26%。205万人の26%だから、約53万人。現状は大学進学率がおよそ50%だから、60万人ほどになり、微増している。若者は大幅に減ったけれども、大卒者は減らずに多少増えている。だから、大学を出ても内定をもらえないという学生が生み出されているわけだ。(但し、女性比率が上がっている。だから女子学生の方が就職が厳しいという現実がある。逆に言えば男子学生は減っている。)
 しかし、そもそも大学を出た優秀な人材を採用したい企業の側から言えば、若者全体のうち上位26%を採用しなければ、96年当時と同じレベルの採用にはならないと言える。経済的な事情などもあるから、大学に進学するから優秀だとは言えないのは当然であり、ゆとり教育などの教育制度の問題もあるから一概には判断できないが、現状の120万人の26%を考えれば、約31万人が96年当時の大卒レベルに達する人材だと仮定することができるだろう。当然のことながら、この20年間で学校教育が急激にレベルアップし、優秀な人材を輩出するようになったということがない限り、若者全体が4割減っていれば、大卒レベル人材も4割減っているはずだと考えるべきである。逆に、この間、ゆとり教育という教育の低レベル化が起こったことを考えると、実情はもっとひどいかもしれない。
 バブル崩壊後、20年以上に渡って景気低迷が続いたのと、大学卒の総数自体は減らず、むしろ増えて来たことで、新卒は買い手市場で、学生は厳しい就活を乗り切らなければならないという観念が植え付けられてしまったが、真に就職氷河期と言えたのは、90年代後半の一時期だけで、実際には優秀な人材はどんどん少なくなっていて、争奪戦が厳しさを増している。当然のことながら、その争奪戦で有利なのは学生もよく知っている大手企業であり、高条件で青田買いをする外資系である。規模は大きくても知名度のない企業や中堅・中小企業においては、優秀な人材を確保することが年々難しくなっているのだ。
 正直なところ、私もすっかり油断していた。マスコミの報道に惑わされていたと言うべきか。かつて「小さな会社が新卒5名を確実に採用する本」という採用本を書いたくらいなので、採用について慢心があったのかもしれない。
 現実に、弊社の採用でも、エントリー数もセミナー参加者数もそんなに落ちているわけではないのに、試験合格者が減っていて、最終面接まで上がってくる人数がここ2年ほど急減している。コンサルティング業界は人気業界だから、エントリーがないわけではない。しかし、テストに受からない。「ゆとり世代だからかなぁ〜」なんてのん気なことを言っていたのだが、そんな程度の話ではなかった。大手がリーマンショックから立ち直って採用数を増やした途端に変化が「見える化」された。そこそこ優秀な大学の学生が集まっていても合格者が少ない。大学のレベル自体が怪しくなっている。弊社の入社試験の内容は20年間一定だ。大学卒の人数は減っていないが、優秀な学生の数はかなり減っている!!!
 問題はこの減少傾向が今後さらに加速していくことである。今の推計では、2030年の18歳人口は87万人まで減ることになる。ピーク時と比較するとおよそ6割減だ。優秀な人材は今後ますます採用できなくなる。
 このことを前提にして、採用戦略、採用計画を立て直すべきである。2年前には提言しておくべきだったと反省している。2015年度採用に向けて今すぐ採用のあり方を考え直していただきたい。少なくとも、頭数を揃えるだけでなく優秀な人材を確保したいと考えている企業は人材採用について対策を打つべきである。

2013年7月

漫画でストーリーテリング

 他者に何らかのメッセージを伝えたい時に、その真意や背景なども含め、納得しやすい形で伝える方法として、ストーリーテリングがある。物語りと言ってもいいし、物語を作ると言ってもいいだろう。
 「欲張りはいけない」「人に優しくしなさい」と言われるよりも、「舌切り雀」や「花咲か爺さん」の物語を聞かされた方が、子供は素直に納得し、理解する。感情にも訴えるから、印象に残り忘れない。これがストーリーテリングの分かりやすい例だ。
 それを企業経営や顧客啓蒙に役立てたい。自社内では、理念やビジョン、使命感や哲学を伝えるためにストーリーを用意する。ただ理念を字面で覚えさせるのではなく、なぜそのような理念を掲げるに至ったのか、そのストーリーを語るのだ。
 対外的には、企業や商品の歴史、成り立ち、誕生秘話などもストーリーテリングで伝えたい。同質化した商品で価格競争をするだけでは収益性が悪化するばかりだ。そして何より、楽しくない。「安ければ買う」「安いから買う」と言われたら、売れても嬉しくはない。やはり「ちょっと高いけど、○○さんの商品がいいね」「やっぱり○○さんのところじゃないと」と言われながら買っていただきたい。そのためには、何がいいのか、何が違うのか、なぜ違うのかを理解してもらわなければならない。そのためのストーリーテリングだ。
特に、新製品、新企画、新コンセプトなど、今までの世にないものを売り出すような場合、その普及啓蒙にはストーリーが欠かせない。なぜそんな商品が生まれたのか、それによってどういう便利さ、楽しさがあり、どう使えばいいのか、分かりやすく伝え、イメージさせるストーリーが欲しい。
 だが、このストーリーテリングをいざやろうと思っても、なかなか良いストーリーを生み出せなかったり、上手に語れなかったりする。言葉だけで絵を描かそうと思っても、素人では難しい。
 そこで、ご提案したいのが漫画の活用だ。漫画でストーリーテリングを実現するのだ。漫画だから絵もあって、想像力のない人にも絵を伝えることができる。逆に言えば、個人の想像力や創造性を引き出すには不適かもしれないが、こちらの意図するイメージ通りに伝えるには、はじめから絵になっていた方が誤解、誤認がなくて良い。
 弊社でも、従来から漫画を活用した製品紹介はやっていたのだが、今回、「ストラテジック・セールス」という営業手法をストーリーテリングで伝える漫画を新しく制作した。実は、「ストラテジック・セールス」は研修もあり、書籍にもなっている。だが、研修は受講料が必要だし、時間もかかるから、そもそも「ストラテジック・セールス」の価値が伝わらないと受講してもらえない。書籍は安いが、読んでくれない。昨年「営業マンは目先の注文を捨てなさい!」というタイトルで「ストラテジック・セールス」の解説をする本を出したのだが、大して売れず・・・。こういうところでも活字離れを実感する。本を読まない人が多い。しかし、漫画なら読む。そこで、漫画の専門家集団と提携し、制作したのが、「Strategic!」だ。

 漫画にしたメリットは、
1.わかりやすい
2.おもしろい
3.感情移入できる
4.すぐ読める
5.架空の設定がしやすい
6.まだ見ぬ未来を見える化できる
7.動画、映像よりも安い
 といったところか。テレビや映画に出来ればもっと良いのだろうが、とても制作費が出せない。特撮の費用や俳優さんのギャラが出せない。しかし、漫画であれば漫画家がペン先でいくらでも特撮をしたり、特殊メイクをした登場人物を生み出して行く。この可能性はすごい。そして今は、これをネットで公開しても良い。印刷すると漫画制作費以外に印刷代が常にかかるが、ネットなら制作費だけでOK。漫画の吹き出し部分を英訳すれば、それで世界に発信できる。日本の漫画は世界で認められている。日本発信のストーリーテリングは漫画を活用すべきだ。スケールが大きくなれば、「巨人の星」(川崎のぼる)をリメイクしてインドでアニメ放映し、その中で日本製品を登場させて認知度を高めるといった手法になるが、これは大手企業でなければ難しいだろう。しかし、漫画を作ってネットで発信するくらいのことなら中堅・中小企業でも充分可能だ。 私は、すでに漫画は卒業していて、普段は漫画など読まなかったのだが、最近は研究のために多少読むようにしている。読めばやっぱりおもしろいし、つい感情移入もしてしまう。聞いてみると、最近の若者は漫画から人生を学ぶらしい。「スラムダンク」(井上雄彦)や「ONE PIECE」(尾田栄一郎)など、多くの学びのある漫画があるそうだ。私にはちょっと子供向け過ぎてピンと来なかったが、自分の子供の頃のことを思い返せば、「がんばれ元気」(小山ゆう)から親がいなくても頑張る勇気をもらったし、それに影響されて走っている電車の乗客の顔を見る練習をして動体視力を鍛えた(笑)。「おれは鉄兵」(ちばてつや)からは剣道の楽しさを教えてもらった。防具が買えずに剣道はしなかったが、その後、「サーキットの狼」(池沢さとし)にスーパーカーなる存在があることを教わってワクワクし、「俺の空」(本宮ひろ志)から大人の世界を教わったことで、大人の階段を登り、漫画を卒業した。漫画など読まない!!と言いながらも案外読んでいて、記憶にも残っているから不思議だ。
 同様なものにゲームがある。ゲームの力を仕事に応用するゲーミフィケーションについては、2012年5月にも触れた。ゲームも漫画も使い方次第。うまく使えばそのパワーは絶大だ。実際、仕事のゲーム化に取り組んでみると、若い人だけでなくベテラン層にも有効だったし、漫画もやはり若い人だけでなく、年配の方にも好評だ。
漫画とゲーム。是非お試しあれ。

2013年5月

変化に強い経営

 ダイエーがイオンの子会社になる。ダイエーの看板が消えてなくなる日も近そうだ。シャープがサムスンの出資を受け、テンプがインテリジェンスを買収する。栄枯盛衰、悲喜交々。時代の変化、世の変化はとても激しくまた速い。
 そして、国立社会保障・人口問題研究所が、「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」で、2040年までの人口推移予測を発表した。前回の推計値よりもさらに人口減少、高齢化が加速。というよりも毎度推計が甘めにされているから、時が経つほどにごまかし切れなくなって厳しい数字が出てくるだろう。我が国では、人口減少、高齢化がこれから予想以上に加速すると思っていて間違いない。その時どんな世の中になるのか、年金や介護の問題はもちろん、財政は大丈夫なのか、経営はどうなるのか、予想は難しい。
 さらに、TPPがどうなるのか、為替はどう動くのか、エネルギー問題は?シェールガスは本当に革命なのか?考えていたらキリがない。変化から逃れることはできない。
 めまぐるしい変化が当り前となった今、変化が激しいことを言い訳にはできない。常に変化があり、何があるか分からないことを前提に経営していかなければならない。
 そうすると、思い浮かぶのはダーウィンの進化論。最も強い種でも、最も賢い種でもなく、変化に強い種が生き残る。ある時代に強かった者が次の時代にも強いとは限らない。ある環境では儲かるビジネスモデルを確立していた企業が、環境が変わると、そのビジネスモデルに拘泥して取り残されることがある。我々は進化論に学び、変化に強い経営をしなければならない。
 変化に強くなるために、企業が備えていなければならない力は「仮説検証力」だ。「PDCAを回す力」と言っても良い。変化が激しいのだから、どれだけ考え、予測しても、完全な正解は見えない。だからと言って、じっとその場に留まっているだけでは、成長も発展もない。成り行き任せでは人口減少によるマーケット縮小でジリ貧経営になってしまう。
 仮説でもいいから、進むべき道を決め、歩き出さなければならない。そこにズレが生じればすばやく修正する。また進む。そしてまたズレが生じれば、それを検証し、次に生かす。その繰り返し。この仮説検証サイクルを高速回転させることができれば、あたかもジャイロスコープのように傾いても倒れず、ズレてもまた元に戻るような経営が可能となる。
 今、強い企業、勝ち組と言われている企業には「仮説検証力」が備わっている。
たとえば、仮説検証の代名詞、セブンイレブン。「『売れると思うから発注する』とは『仮説を立て、その仮説に基づいて行われる行為が発注である』ということである。先行情報をもとに仮説を立て、発注を実行し、その結果、売り上げはどうだったかをPOSで検証する。検証した結果を次の仮説に活かす。この繰り返しの中で発注の精度を上げ、成功の確率を高めていく。」のだそうだ。
 たとえば、ユニクロのファーストリテイリング。「イノベーションというものは、ある日突然頭の中に革新的なアイデアが降って沸いてくるというものではありません。仮説を立てて開発し、実際に売ってみてその結果を仮説と比較し検証、そしてまた改良する・・・この作業を何度も繰り返す過程があり、あるタイミングでそれが集大成としてヒットに結びつくものだと考えています。」とおっしゃっている。
 セブンイレブンであっても、ユニクロであっても、すべてがうまく行くわけではない。だから仮説を立て、それを検証する。その繰り返しによって、より精度の高い仕事を積み上げていくわけだ。
 この先どうなるか分からない、分からないものをいくら考えても仕方ない、と思考停止してしまっては、時代の変化に淘汰される運命となる。分からないけれども、仮説でもいいから考えて実行してみることだ。それを検証し、次につなげることができれば、それで一歩前進。
 経営の神様、松下幸之助氏は、「成功の秘訣は、成功するまでやり続けることやで。途中であきらめて止めてしまうから失敗になるんや」と説いたという。まさに仮説検証の繰り返しを説いたものだろう。
 トヨタ生産方式の父、大野耐一氏は「百見は一行にしかず」と説いて、考えても分からないことがあるのだから、まず実行してみよと教えた。そして実行結果を「目で視る管理」で「見える化」し、「なぜ×5回」考えて、次に活かす。これが「改善」だ。仮説検証の繰り返しである。
 今こそ、仮説検証力を高めて、変化に強い経営をしよう。どんな変化が起こっても、決して大崩れはせず、すぐに態勢を立て直して、元に戻り、それを糧にしてさらにレベルアップすることができれば、変化がチャンスとなる。

2013年3月

2013年 癸巳(みずのと み)

 今年は、癸巳の年。これまでのものが終わり、新しいものが生まれる。雨が降り、地盤が緩んで、新しい秩序が生まれ、そこから芽も出る。
 民主党政権が終わって、また自民党に戻った。新生自民党と言えるのか、旧に戻っただけなのか。アベノミクスと言われる日銀を巻き込んだ財政出動で、デフレ脱却、景気回復と行くのか、それとも財政破綻への道をまっしぐらとなるのか、その答えは時が経たないと分からない。
 財政が厳しいからということで消費税を上げるのに、消費税を上げるために景気を良くしなければならず、財政出動をさせるというのは本末転倒ではないのか。短期的には、円安効果もあり、それにつれて株価も上がれば、景況感はよくなるだろうが、参院選後はどうなるか。いろいろなことを言う専門家がいて、一体専門家とは何なのかと考えさせられる。まったく逆のことを言う専門家もいるから、要するによく分からないということなのだろう。
 いずれにせよ、一民間企業の経営を考えれば、景気回復に過度な期待をするのは避けたい。景気が良かろうと悪かろうと、自社が伸びればそれでよし。景気が良くても自社の業績が悪ければ何の意味もない。
 財政出動による景気回復は、銀行借入に成功して一時的に資金繰りが良くなって、一息ついたという状態に他ならない。当面の資金繰りは心配しなくて良くなったが、借入は増えており、そもそも収益力を上げて、利益を出さない限り借入の返済もできない。資金繰りは大切だが、資金繰りで儲かるわけではない。
 資金繰りに余裕ができている間に、次の収益を生む仕掛け、仕組み、取り組みをしなければならない。政治に多くを期待せず、自力で収益を上げる努力をしよう。アベノミクスで気持ちに余裕が出来たら、10年後、20年後の自社のイメージを描いてみて欲しい。現状の延長線上では、なかなか明るい未来は描けないはずだ。何か新しいことを始めなければならない。もしくは今までのやり方を変えなければならない。きっと借入はしやすくなるだろうから、金がないことを言い訳にはできない。
 山中教授のノーベル賞にあやかって「Reprogramming」(初期化)してみてはどうか。ゼロから事業を始めるとして、今と同じことをやるだろうか?今から事業を始めるとして、今と同じような経営をするだろうか?
 それをゼロベースで考えてみて、万能細胞ならぬ、万能企業を作ってみてはどうか。やろうと思えば何でもできる万能企業だ。女子学生の名簿をネット上に公開したような大学生が世界企業を作れるような時代なのだから、初期化してゼロからやれば、できないものはない。ヘタに過去のしがらみ、これまでの実績があるからできない気がするだけだ。
 そして、その際のキーワードとしておすすめしたいのが、「iPS」。やっぱり山中教授のパクりだ。iPSは、「increase the Pleasure of Sales」の略。何の事業においても欠くことのできない営業機能の楽しさを増すということ。営業を楽しむと言ってもいい。この営業を楽しみ、営業の楽しさを増すことができないと、新しいことにはなかなかチャレンジできない。新しいものも売れないことには事業として成立しないし、最初は試行錯誤も多い。営業現場で仮説検証しながら、何度も見直しをする必要がある。まるで、ノーベル賞をとる先生が昼夜を問わず実験を行って仮説検証を繰り返すように。事業の実験場が、営業現場だ。実験は楽しみながらやった方がいい。
 今年は、楽しみながら新しいことにチャレンジすべし。失敗もまた楽し。失敗から学べば失敗も成功のためのプロセスに過ぎない。失敗をも楽しむ姿勢がなければ、ノーベル賞は生まれないだろう。それと同じように、失敗をも楽しむ事業観、営業姿勢がなければ、新しい事業は収益化できないだろう。

2013年1月

 

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