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おすすめBOOKS

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人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない
人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない 見城 徹 + 藤田 晋 講談社 1300円
 昨年の「憂鬱でなければ、仕事じゃない」に続く、幻冬舎の社長とサイバーエージェントの社長の往復書簡形式によるビジネス論第2弾。前作が売れたから二匹目のどじょうを狙って出した本ではないそうだ。それが本当かどうかは分からないが、そんなことはどうでもいい。タイトルがいい。このタイトルだけで1300円払ってもいい。頑張っても頑張っても、それが報われず、成果につながらなくて、落ち込む日々もある。誰にも評価されていないのではないか、誰も自分を見てくれていないのではないか、と悩むこともある。だが、やはり誰かが見ていて、地道な努力は評価してくれていたりするし、もし評価されないなら、その努力がまだ評価に値するものになっていないだけのことだったりする。この二人もそんなことがあったりするんだろうなぁ〜と思えるだけで救われる。私はこのことを「評価は他人なり」と言っているが、清沢満之の「光ったナイフは草原の中に捨てられていてもいつか人が見出すものだ。」という言葉を思い出した。清沢満之もいい。
 相変わらずハードワーカーな内容なので、好き嫌いがあるだろうが、これだけ真剣に仕事に取り組んでいる人もいるんだと気付かされることも必要だろう。必死に、全力で、仕事に取り組んでいる人なら、きっとのこのタイトルで読みたくなるはずだ。努力は自分なりにするしかないが、評価は他人なり。きっと誰かが見ていてくれる。認めざるを得なくさせるまでひたすら頑張ろう。
模倣の経営学
模倣の経営学 井上達彦 日経BP社 1800円
 模倣と言ってしまうと何だかサル真似っぽく聞こえてしまうが、「学ぶ」の語源は「真似ぶ」だと言われるように、まずは良いと思うものを真似てみる、模倣してみる、ということは知的活動、創造的仕事の第一歩である。本書のサブタイトルは、「偉大なる会社はマネから生まれる」だ。事例としてヤマト運輸や吉野家、セブンイレブン、ドトール、グラミン銀行などが挙げられて、何を手本として、どう模倣し、それをどう独自性のある(模倣されにくい)ものにして行ったかを説く。特に重要なのが、「模倣できそうで模倣できない会社」になることだ。ここでは事例としてKUMONが挙げられている。KUMONも模倣から始まったが、模倣できないところまで昇華した。習い事、芸事で必ず言われる「守・破・離」と同じことだろう。それを一人の師匠(一社のお手本企業)からだけ行なうのではなく、複数から「真似ぶ」。それによってハイブリッドな止揚形が生まれ、模倣といっても単純なサル真似ではなく、独自性のある模倣となる。
 大いに真似よう。ただし単なる後追いのサル真似にならないように。そして真似できない存在になるべし。本書はそのヒントをきっとくれるはずだ。ビジネスモデル、経営戦略を考える人にはおすすめ。
 著者は、早稲田大学の教授。何歳かは分からないが、若そうな先生だ。こういう先生に頑張って欲しいと思う。と思っていたら・・・あとがきに渡米準備とある・・・。どうやらペンシルベニア大学のウォートンスクールに行くらしい。日本から優秀な人材が流出してしまうと思うと残念でもある。
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーション 井上明人 NHK出版 1400円
 ゲーミフィケーションとは何か。「ゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するもの」だそうだ。ゲームで遊ぶことではない。私はこれをもっと仕事や経営に取り入れるべきだと思う。本書は、ゲーミフィケーションの価値やその活用のヒントを分かりやすく解説してくれている本だ。著者は、国際大学GLOCOM研究員/助教。これでは何者かはよく分からないが、慶應のメディア研究科の修士を修了し、SFC研究所の研究員をしていたという1980年生まれの若者である。何しろゲームの応用だから若者でなければならない。
 60年代生まれの私はゲームなどしない。時間がもったいない。だから(ゲームにお金がかかった)ギャンブルもしない。時間がもったいない。時間がもったいないから(ゲーム要素があるけど時間のかかる)ゴルフもしない。ゲームをゲームとして楽しむ気はない。そんなことに時間を使いたくない。しかし、ビジネスにゲーム感覚が入ることはいいと思う。ゲームのように時間を忘れて楽しんでいたら仕事が進んでいた・・・なんてことになったら最高だ。私自身はそんなことをしなくても仕事を楽しめるが、世の多くの仕事がイヤだという人にとってはゲーミフィケーションは有効だと思う。本書の「ゲーミフィケーションとは、外発的動機づけとの境界線的な要素(報酬)を求めるうちに、内発的動機づけを駆動させるようなメカニズムだと言っていい」という指摘は、とても素敵だ。活用すべきだろう。
 すでに私はこのゲーミフィケーションを仕事に取り入れるシステムを開発した(笑)。決して本書を読んでパクって開発したわけではない。もうすでに出来ているし・・・フフフ。営業マンの営業活動を支援するSFA(営業支援システム)にゲーミフィケーションを取り入れ、営業活動をしながらゲームができ、ゲームのように営業が楽しくなる仕組みを作った。営業マンの専属IT秘書となる「Sales Force Assistant」だ。本書を読んだ後に、その実践事例として研究してみてもらうのもいいだろう。
 仕事にゲーミフィケーションを!
大災害・国難に立ち向かう! 二宮尊徳のこころ
大災害・国難に立ち向かう! 二宮尊徳のこころ 梅津敏裕 日本地域社会研究所 1600円
 未曾有の大災害、危機的な財政など多くの国難に際し、今こそ二宮尊徳に学べという一冊。日本におけるコンサルティングの草分けとも言える二宮尊徳だが、著者が経営コンサルタントだけに、いかに改革を進めて行くかというポイントを浮き彫りにして伝えてくれている。単なる伝記ではなく、農民たちの意識を変え、行動を変えていく具体的な手順や心構えが、弟子に教える形で詳細に書かれている。経営改革、組織改革などに取り組む経営者、コンサルタントは是非読むと良いだろう。そもそも私もコンサルティングの師匠のおすすめで本書を読んだ。政治家にも読んで欲しいな・・・。地味な本なので書店などでは出会えないが、こういう本こそ私もおすすめしなければならない。良著。
経営分析のリアル・ノウハウ
経営分析のリアル・ノウハウ 冨山和彦 PHPビジネス新書 820円
 産業再生機構で有名になった冨山氏の経営分析論。経営共創基盤という会社を2007年に立ち上げたようで、その社員との共著となっている。要するに、経営分析の際に、数字だけを見ずに、その裏にある実態を見抜けということ。単に教科書通りに数値を見て、平均値を出し、良いとか悪いとか言っていても役には立たない。そうだ、その通り。だが、残念ながらただ数値データだけを見て分かったようなことを言うコンサルタントや会計士、中小企業診断士などが多い。弊社にも中小企業診断士の資格を持った人が多いのだが(私もそうだが)、単なる試験勉強をしてきた人間は使えない。教科書通りに比率を計算して、良いとか悪いとか言うので、「何を基準にして良いと判断したのか?」と聞くと、「業界平均です」とドヤ顔で答えたりする。「その会社は業界平均を目指した経営をしているのか?」と聞くと、答えられない。「アホか!」と説教しなくてはいけなくなる。なんてことがある。試験の答案ならそれで良くても、実地のコンサルティングでは使えない。どういうビジネスモデルで、どこを目指して経営しているのかが分からなければ、良いも悪いも判断できない。本書でも同業種と言われていても実はビジネスモデルが違うという指摘が多かった。
 この著者を中小企業診断士の研修の講師に呼んだらどうか、と思うがまぁ無理だろうな。診断士諸君、せめて本書を読もう。まぁプロなら当たり前のことなんだけどね・・・。
私、社長ではなくなりました。
私、社長ではなくなりました。 安田佳生 プレジデント社 1400円
 民事再生法適用となったワイキューブの元社長が書いた回顧録。生い立ちから経営が行き詰まるまでの経緯を冷めた目で見て淡々と語っている。利益を出すことなど考えず借入金を原資に派手な経営をして、リーマンショックで万事休した。まぁそうなるべくしてそうなったと言えるだろう。本人も書いているが、とても楽しかったそうだ。そりゃそうだろう。40億もの金を踏み倒してやりたい放題やったのだから・・・・。そしてこうやって本も書いたりしているのだし。
 起業家を目指す人、若い経営者は、こういう経営をしてはダメだよという反面教師として本書を読むと良いだろう。ママゴトのような経営をしてはいけないし、そこに世間を知らない多くの新卒学生が巻き込まれたと思うと可哀想になる。まぁ面白おかしく過ごした人もいるだろうが・・・。人の一生を左右する就職というテーマをこういうイベンターのような人、会社が扱ってはいけないと思う。この人自体はアイデアマンで発想がユニークだから、なるほどと思うような手法や仕掛けもあった。個人とすれば優秀な人なのだろう。満員電車に乗るのがイヤだったから経営者になったなどと言ってしまう人だから、今後も会社勤めはできないだろうが、なんだか怪しいコンサルタントとして生き残って行くのだろうな・・・。こうしてコンサルタントってやっぱり怪しい商売だと思われてしまうのが私としては残念だ。是非再起して、失敗を活かして欲しい。
 本書を読むと、銀行の役割やあり方についても考えさせられる。企業経営を見極める力、融資先を指導する力もなく、調子のいい時は不要な金まで貸し付け、調子が悪くなると引き上げる。それで融資先が破たんしてもすでに引当済みで、痒いくらいで痛くはない。潰れた会社がダメなのは当たり前だが、銀行のダメさ加減が印象に残った。日本経済を支えるため、銀行マンにもっと頑張って欲しいと思う。
最強スパイの仕事術
最強スパイの仕事術 ピーター・アーネスト+マリアン・カリンチ ディスカヴァー・トゥエンティワン 1600円
 元CIAで、国際スパイ博物館の代表でもあるピーター・アーネストによるスパイ流ビジネス術。スパイのノウハウがビジネスでも役立つと説く。ミッション・インポッシブルや007などで描かれる過激なアクションは映画の世界であって、普通(何が普通かは難しいところだが)のスパイは、地味に目立たない活動をしながら、情報の力で人を動かす活動を行っている。インテリジェンス活動だ。通常のビジネスでも大いに役立つし、情報を軽視してビジネスはできない。本書はそのヒントを教えてくれる。読めばできるようになるほど簡単なものではないだろうが、そういうものなんだと意識しておくことが重要。
 私は、営業活動はまさに諜報活動だと考えているし、世界一のセールスマン、ジョー・ジラードも「セールスはスパイゲームだ」と言っている。そして、現にスパイとして活動した人が、スパイのノウハウはビジネスに役立つと言う。著者はCIAを辞めた後、起業してビジネスをしているそうだ。だから、スパイのこともビジネスのことも分かって言っている。間違いないと思う。
 大切なことは、情報を集め、分析して、行間を読む「インテリジェンス」。インテリジェンスの語源は行間を読むということらしい。一つひとつの情報には答えがなくても、それが線となり面となり、つながっていくそのまた裏に真実が隠れていたりする。それを読みこなす力がスパイ活動にもビジネスにも求められる。本書には、そうした活動をする人材や組織はどうあるべきかが書かれている。一般企業でも参考になるだろう。
日本既成権力者の崩壊
日本既成権力者の崩壊 日下公人 李白社 1500円
 日下先生の最新刊。2012年は大変化と大動乱の年になると言う。そこで日本人はどう生きるべきかが説かれている。繰り返し強調されているのは、「ぶら下がるな、自立せよ」ということ。国や企業など既成のもの、既成の価値観、既成の権威などアテにはできない。何しろ崩壊していくのだから。頼れるものは自分自身であり、そう考えれば、日本人は案外強いよ、と。ところが現実には、国や企業などに、頼り切り、ぶら下がろうとする日本人が少なくない。日本国の実体は日本人であり、企業の実体は社員である。ぶら下がろうとする日本人ばかりになれば、当然日本はぶら下がることのできない国になる。ぶら下がろうとする社員が増えれば増えるほど、その企業は崩壊に近づきぶら下がることができなくなる。
 後半は、大震災と原発事故への対応について述べられている。ここでも「お上」依存のぶら下がり体質が指摘される。流される情報に流されてしまって思考停止するのではなく、自らの頭で考えてみることが必要だ。こういう本を政治家の皆さんも読んだりするのだろうし、本書を読む人も数万人いるとすると、もっと具体的なムーブメントが起こってもいいような気がする・・・。と言っている自分もここで本書をおすすめするくらいしかしていないが・・・・・・。おすすめです。是非読んでください。
ビジネスモデル・ジェネレーション
ビジネスモデル・ジェネレーション アレックス・オスターワルダー+イヴ・ピニュール 翔泳 2480円
 戦略的思考を視覚化したフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」を紹介した大型本。9年の歳月をかけて作られたモデルだそうだ。ビジネスモデルを考える際のポイントが1シートになっていて、それを共有しながらPost−ITでブレーンストーミングするワークショップ形式の戦略立案法について紹介してある。本書自体がビジュアル重視のもので、大型かつ分厚くて持ち運びには適さないが、ワークショップのイメージが伝わってくる。ビジネスモデルを考える際の項目はいいのだが、それを一覧にした図(というか表)の妥当性には議論があるだろう。まぁ1シートにまとめようとすると限界もあるから仕方ないか。一覧性というメリットはある。
 何より本書で参考にして欲しいのは、業種ごとのやり方や常識に捉われるのではなく、独自のビジネスモデルを生み出すことの重要性だ。業界なんかクソ食らえ!と思って、業界の常識を打ち破ることこそ今求められている。しかし、未だに業界における「良い会社」を目指そうとする企業が少なくない。独自のビジネスモデルを確立すれば、もはや業界などは関係なくなる。少なくとも業界の異端児と評されなければならない。このビジネスモデルを考えるのはなかなか難しいから、本書のフレームワーク、キャンバスを参考にしてみるといいだろう。結局はそこで何を考えるか、アイデアを思いつくかどうかにかかってはいるけれども。。。。
資本主義以後の世界
資本主義以後の世界 中谷 巌 徳間書店 1600円
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの理事長が書いた資本主義の真実。資本主義とは何か、どのようにして資本主義が広まったのかを知れば、自ずとその限界が見えてくる。副題は「日本は『文明の転換』を主導できるか」。資本主義の自壊が始まり、崩壊した後、我が国日本はどうするべきか、そこでの役割は何かを考えてみようという一冊。西洋文明にいいようにされている歴史を知ってガッカリする人も多いだろうが、今も尚、国と国は国益を求めてせめぎ合っており、民族や宗教の違いによって争いが絶えない現実があることを知っておくべきだろう。あまりにも日本が平和ボケしており、それがまた米国の意図でもあると分かれば、安穏とはしておられない。さて、そこでどうするか。
 たしかに「交換」から「贈与」の文明へと転換するのは地球にとっても必要なことだろうし、そこで日本の文化なり日本人が役に立つことがあるだろうと思う。日本だからこそ出来ることがあるだろう。しかし、骨抜きにされ、西洋かぶれ、何でも米国流、という日本の現状を見ると暗澹たる気持ちになるのも事実である。
 では、どうすればいいのか。本書を読んでもよく分からない。よく分からないが、まずはこの本をより多くの人に読んでもらうために、ここでおすすめすることにする。より多くの人に読んでもらうために、中谷先生もこんな堅苦しい本ではなく、図解入りの新書本でも書いてくれたらいいのに、と思うが、是非読んでみてください。それから一緒に考えましょう。
100円のコーラを1000円で売る方法
100円のコーラを1000円で売る方法 永井孝尚 中経出版 1400円
 日本IBMのマーケティング・マネージャーが書いたマーケティングストーリー。物語仕立てでマーケティングの考え方が分かる一冊。100円のコーラを1000円で売る話は、その中の一部であって、ストーリーの本論はシステムを売る話。さすがIBM。売る物は何であっても、顧客の言うことを聞くだけ、言いなりになるだけでは価値はない、ということが語られている。御用聞き営業や値引き営業ばかりしている人は是非読んでみるといいだろう。システム販売をしている人は必読。マーケティング理論が知りたいのではなく、それをどう応用するかを知りたいという人には読みやすくていいだろう。理論派は、こういう本を読んで批判するのではなくもっと分厚い専門書を読むべし。
さよなら!僕らのソニー
さよなら!僕らのソニー 立石泰則 文春新書 830円
 ソニーがなぜソニーらしさを失ってしまったのか。そうしてしまった犯人は誰なのか。日本のソニーではなく、世界のソニーになってしまったのは良いことだったのか。そんな疑問に、デジタル・ドリーム・キッズではなく、ソニーファンのジャーナリストが答える。たしかに、昔のソニーは輝いていて、ソニーブランドに憧れがあった。私もそうだ。ウォークマンが出た時、カッコ良過ぎて、持っている友達を妬んだ。家が貧乏でとてもではないが買えなかった・・・。その何年か後に、サンヨーだったか何だったか忘れたが、ウォークマンもどきを買ってようやく音楽を外に持ち出せた。やっぱりソニーのウォークマンは高くて買えなかった。その時の記憶がトラウマになっているのか、大人になって多少お金が自由になるようになってからソニーに執着が出た。大学時代にソニーのワープロ専用機を買った。性能がどうかというよりもカッコ良かったから。今もノートPCはソニーのVAIOだ。イマイチ使いにくいがカッコいいからだ。何より薄い。10年前くらいに、近所のパナソニックのお店でホームシアターセットを買った時も、テレビとかはパナで我慢したが、スピーカーやDVDプレイヤーはソニーにさせた。カッコ良かったからだ。その後地デジ対応にさせられていつのまにかパナソニックに置き換えられて、使わなくなったけどまだソニーが置いてある。パナのお店の人はソニーもつながると言っていたが、使い方が分からない。
 そんな感じで未だにソニー信奉というかソニーならではのデザインというか製品力があるように思うので、本書で言うほどソニーがダメ会社になったとは思わない。ただ創業の精神が薄れ、アメリカかぶれになって、大きくなり過ぎただけに、時代の変化についていけていない面があるのは確かなのだろう。井深・盛田という創業者がいなくなってソニーらしさを失ってしまったのがまずいのであれば、ジョブズのいなくなったアップルだって同じようにアップルらしさを失う可能性もあるのだから、ソニーがアップルに負けてしまったとも思わない。だから、さよなら!は言わない。
 本社も近いし(関係ないか・・・)、社長も交代するし、ソニーには頑張って欲しい。小さくて、細くて、洗練された製品をまだまだ世に生み出して欲しいと思う。ソニーへの思い入れを語っていたら、本書のことを忘れていた・・・。創業の精神を守りつつ、時代の変化に対応するにはどうすればいいのか、本書からヒントを見つけて欲しい。答えは書いてないが、反面教師も含め参考になる点がある。
孫子の至言
孫子の至言 田口佳史 光文社 1500円
 東洋思想研究家、田口佳史氏による孫子解釈。以前紹介した「論語の一言」の時にも書いたが、私は昔っからの田口ファンである。会ったことはないが・・・本は読んでいる。その田口先生が孫子を解説した本を出したら読まないわけにはいかない。孫子を戦争や経営に当てはめるのではなく、人生に当てはめた「人生孫子」だそうだ。そう、孫子は人生の指針としても役立つと思う。
 本書は、田口先生による、「論語の一言」「老子の無言」に続く三部作目。「上り坂の儒家、下り坂の老荘、険しい坂の孫子」なのだそうだ。残念ながら私はまだ田口先生の境地にまで達しておらず「下り坂」には興味がない。「右手に孫子、左手に論語」くらいがいい。そしてやっぱり、今は険しい坂を上って行くしかない時代だから孫子の兵法が優先となる。田口流孫子解釈は少々ソフトな感じで、これもまた良し。是非多くの人に読んでもらい、孫子兵法が現代人にも役立つことを知ってもらいたいと思う。著作権もない古典は人類の共有財産だ。活かしてナンボ。どんどん自己流解釈をしてもいい。本書も大いに参考になるだろう。
成毛眞の超訳・君主論
成毛眞の超訳・君主論 成毛眞 メディアファクトリー 740円
 日本マイクロソフトの元社長が書いたマキアヴェッリ「君主論」の超訳。超訳とはどんな訳か、よく分からないが、成毛流の自由な解釈ということらしい。会ったこともないし、ビル・ゲイツでもないので、どれだけすごい人なのかよく分からないが、かなり上から目線な君主論解釈が、そこまで言うか?というほどで気持ちいい。古典の解釈はこれくらいでいいと思う。何しろ君主論の原文は読みにくいというか、具体的な名前とか地名が出てきて、現代の日本には関係ないことが多いのだが、エッセンスだけを抜き出して、現代風に解説してくれるのはありがたい。そして、こういう本を読んでみると、やっぱり原典に興味が湧き、多少難しいけれどもマキアヴェッリに挑戦してみようかという気にもなる。私の「孫子」の解釈も、現代の企業経営に向けた解釈だから同じようなものだ。古い話をそのまま現代語に訳すよりも応用が利いていい。そしてまたそこで興味を持って原典に当たると古典に対する抵抗感も薄くなるし、それで古典を学ぶ人が増えるのはいいことだろうと思う。人の上に立つ人にはおすすめ。成果を出すにはシビアさも必要だ。
勝ち続ける経営
勝ち続ける経営 原田泳幸 朝日新聞出版 1400円
 日本マクドナルド社長の経営セミナーの内容を本にした一冊。講演内容の収録だから、本としては物足りない感じもするが、その分、読みやすく、質疑応答の内容も入っていて、より生々しくなっている感じもある。マック(Apple)からマック(マクドナルド)への転身で注目される経営者だけに、スティーブ・ジョブズについての記述もあり、興味深い。どちらのマックにせよ、独自性、「らしさ」にこだわり、やると決めたら徹底してやる、というところが高業績につながっているように感じる。原田氏も語っているが、顧客の声やリサーチ結果に従っていては必ず総花的な平均点経営になる。そして横並びとなって過当競争を生む。だが、実際には、顧客から言われたことから離れて独自の方向性を示すのはなかなか難しいから、ついついどこの企業も顧客に言われるがままになってしまうんだなぁ〜。企業経営者は自社の経営を見直すネタ本として読んでみるといいだろう。勝つには理由がある。他社の真似をしているだけでは勝てない。勝たなければ生き残れない。
 

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