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トップページ > 代表長尾が語る > おすすめBOOKS 2019年版

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おすすめBOOKS

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「発想」の極意 :人生80年の総括
「発想」の極意 :人生80年の総括 日下公人 徳間書店 1400円
 1930年生まれで、東京大学経済学部を卒業後、日本長期信用銀行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て東京財団会長を務めた著者による、人生の総括。人生80年どころか90年に迫ろうとしているわけだが、ソフト化、サービス化が進んだ1980年代から90年代にかけて、まさにソフト化経済の中心に立って推進、啓蒙して来た人である。
 私も、その著作やテレビなどでの発言から影響を受け、多くのことを学ばせていただいた。その日下先生の「人生の総括」と銘打った本を読まないわけにはいかない。過去の著書もほとんど読んでいるので、新しい発見があったわけではないが、日下先生の生い立ちやビジネス体験を知ることで、その発想の極意を何となくつかむことができる。
 何でも米国礼賛、米国追随ではなく、日本には日本の伝統ややり方があり強みもあるのだということを分からせてくれて、日本に勇気を与えてくれる先生だった。最後の著作になるのかは分からないが、是非読んでおきいたい一冊である。

始皇帝 中華統一の思想
始皇帝 中華統一の思想 渡邉義浩 集英社新書 800円
 映画化された人気漫画「キングダム」の内容に触れつつ、中国大陸が統一されてきた仕組みについて解説する一冊。副題は、「キングダムで解く中国大陸の謎」。漫画キングダムでは秦の始皇帝が中華統一するストーリーが描かれているわけだが、中国が民族や言語を超えて統一されてきたのは秦による法治主義、法家の思想があったからだと説く。
 本書を読むことで、なぜ秦が中華統一を目指し、他の六国が目指さなかったのかが良く分かる。この歴史的必然を知った上で、漫画キングダムを読むとまたストーリーの理解が深まるだろう。そう考えると、そもそも漫画のキングダムが史実を踏まえて良く練られた漫画であることが分かる。たかが漫画と侮るべからず。映画も良いが、拙著「キングダムで学ぶ乱世のリーダーシップ」も漫画の理解を深めるためにはおすすめだ。
 中国の歴史も、法家思想も、リーダーシップも学べる漫画、「キングダム」恐るべし。

ザ・ビジョン
ザ・ビジョン 江上隆夫 朝日新聞出版 1600円
 広告代理店出身のブランド戦略コンサルタントが企業の成長にはビジョンが必要であると説いた一冊。私もビジョンの必要性については全く同感で、本書はそれをとても分かりやすく、かつ説得力を持って書いている良い本だと思う。後半のビジョン作成の手順や方法については、広告的というかブランディング的というか、抽象的で企業経営の実務からすると、多少言葉の遊びのようにも感じるが、前半部分のビジョンのあるべき姿についての解説は良いと思う。
 経営者や次期経営者は是非読んでみると良いだろう。ビジョンなくして採用なし。目的地も分からずに一緒に来てくれる人はいない。企業成長にビジョンは欠かせない。但し、本書の副題になっている「あの企業が急成長を遂げる理由」は、恐らくAmazonのことを言いたいのだと思うが、ビジョンだけを急成長の理由だとするのは無理があると思う。だが、ビジョンが明確だったことでAmazonの経営が良い方向に進んだことは確かだろう。

歴史を応用する力
歴史を応用する力 宮城谷 昌光 中公文庫 640円
 「天空の舟」「重耳」「子産」などの中国歴史小説で知られる著者が、歴史から何を学び、どう応用すべきかについて述べた文庫オリジナルエッセイ。主に、著者の小説が中国の歴史のどこに着目しどう小説になったかを解説する内容になっている。私としてはもう少し汎用的というか広く歴史から何をどう学ぶかという内容を期待していたのだが、それとは少し違った。ただ著者の小説を読んだ人にはその背景が分かって面白いだろう。
 正直なところ、著者の小説で読んだことがあるのは、伍子胥を主人公とした「呉越春秋 湖底の城」だけで、それも孫子兵法家として孫武が登場するところに興味があって読んだだけだったので、小説の内容について触れた部分はピンと来ないところも少なくなかった。本書に書かれた内容からすると「呉漢」は読んでみないといけないなと思う。
 ただ、歴史や歴史上の人物から学ぶためには、その時代のことだけでなく、中国の歴史全体を理解しておかなければならないという指摘は、なるほどそうだろうなと納得できたし参考になった。孫子の兵法でも、その時代の背景、すなわち春秋戦国時代に至るまでの経緯を知らなければ、なぜそこで孫武がこういう考え方をしたのかについて深く考えることができない。本書では、夏、殷から周へと至る流れについても解説してあって非常に分かりやすかった。中国の歴史や古典に興味のある人は是非読んでみると良いと思う。

ホンダジェット誕生物語
ホンダジェット誕生物語 杉本貴司 日本経済新聞出版社 900円
 タイトルそのままだが、ホンダジェットの開発秘話。日経新聞の記者によるもので、2015年に出た単行本の文庫化だ。ご存知のように、主翼の上にジェットエンジンをつけるという画期的なアイデアでジェット機の常識を覆し、小型ジェット世界シェア1位という成果を実現したホンダジェットの40年におよぶ苦闘が書かれている。まさに無から有を生む遠大な挑戦で、読んでいてワクワクしパワーをもらえる。これがたった900円で買えてコンパクトに持ち歩けるのだから、読まないわけにはいかないだろう。全ビジネスパーソンならびに学生さんたちにもおすすめだ。
 特に、自社に「人がいない、技術がない、金がない、経験がない」と言い訳ばかりしている中小企業経営者には是非読んでもらいたい。ホンダジェットも、あのホンダだから出来たのだろうと別世界の話として片付けてしまうかもしれないが、当時のホンダは四輪車への参入で存亡の岐路に立っていたし、そもそも飛行機への挑戦は本田宗一郎の創業時からの夢だと言う。そして、自動車メーカーとして大きくなっても、飛行機については経験もなく人材も不足していて、「ないもの」だらけだった。その苦闘の歴史が本書には書かれている。
 やろうともせずに出来ない言い訳ばかりしていては、本田宗一郎から「やってみもせんで」と怒られることになるだろう。日経ビジネス人文庫に感謝。

ビジネスに使える! 孫子の兵法見るだけノート
ビジネスに使える! 孫子の兵法見るだけノート 長尾 一洋 (監修) 宝島社 1200円
 今、売れていると評判の「見るだけノート」シリーズの孫子兵法版。本なのに「見るだけ」。マンガですら「読む」のに・・・。簡単なイラストを「見るだけ」で孫子の兵法が理解できるという一冊だ。
 実際には、まったく文字がないわけではなく、「読む」部分もあるのだが、全ページ2色刷りでイラスト中心の構成になっている。孫子の入門書としてはマンガ同様、読みやすいというか見やすく、入りやすいものになっていると言えるだろう。
 そして、大切なことはこの本の監修者が、私だということ。自分が企画したわけでも書いたわけでもなく、監修者として数ヵ所、孫子の解釈や表現を指摘したくらいだから大したことはしていないのだが、孫子兵法家として孫子の兵法が広く知られて、孫子に興味を持つ人が増えることに貢献できるのは嬉しいことだ。
 なぜ、私のところに監修の話が来たのかは聞いてもないので知らないが、タイトルに「ビジネスに使える!」とあるように、ビジネス応用の孫子解釈だからだと思う。単なる現代語訳、普通の孫子解釈であれば、私に話は来なかっただろうし、私も監修を引き受けていない。まぁ、他の人に依頼したけど断られたから・・・という理由だったらガッカリだな。
 「見るだけ」で孫子の兵法がわかるという本が一体どのようなものなのか、一度「見て」みて欲しい。

サイボーグ時代
サイボーグ時代 吉藤オリィ きずな出版 1480円
 遠隔操作ロボットOriHimeを開発した「ロボット界の若き鬼才」による人生論のような仕事論のような一冊。自らの不登校体験などを元にして、遠隔操作できる分身ロボットを開発したそうだ。テクノロジーによって不可能を可能にしていくことから、本書名も「サイボーグ」としているのだろう。
 場所の制約を超えるという点から、遠隔操作ロボットには興味があるので、その開発秘話なども書かれているのかと期待して読んでみたのだが、開発の具体的な話はあまり出て来ない。自分の弱み、病気や障害などを乗り越えるために、「努力と根性と我慢」ではなくテクノロジーを使うべきだと説く。それによって自分らしく生きられるのだと。
 著者と同年代か下の世代の人は、これからの時代をどう生きるかを考えるために一例として参考にすべき点があるだろう。常識に合わせる努力ではなく、自分オリジナルの生き方や仕事があっても良いという事例だ。
 経営者、管理者世代は、著者のようなマニアックというかオタクというか、著者の言葉によると「コミュニケーション・非ネイティブ」だけれども、何かしらの才能なり可能性を持っている若者をどう活かして行くかを考えるのに参考になるだろう。恐らく従来の企業や組織の枠組みには収まらないから、著者のような独立した存在とのネットワークを組むような形が望ましいだろう。私はそれを「ネットワーク・アイデンティティ」と呼ぶ。これからの時代は、サイボーグを使うかどうかは別にして、個々の才能や能力をネットワークして活用していくことになるはずだ。
 「働き方改革」を国や企業が推進し、それに甘んじて働き方を変えていることに疑問も持たないような人や企業は、いずれにしても本書のような話にはならないだろうが・・・。

営業デジタル改革
営業デジタル改革 角川 淳 日本経済新聞出版社 950円
 各種デジタルツールが普及し、SFAやCRMといったシステムを活用した営業活動が当り前になる中で、あるべき営業の姿を描いた一冊。主に、BtoB型の営業を対象に書かれている。著者は25年以上に渡って営業系ITツールの活用をコンサルティングして来たという人である。そんなことを言われると、私も負けてないぞと対抗したくなるが、たしかにSFAが日本に紹介された初期の頃から関連著作を出している人で、SFAが単なる日報のIT化レベルに留まっているといった指摘は当たっている。私も同感だ。
 本書では、営業側のデジタル化、IT武装を進めるというよりも、顧客側がデジタル情報を得て主導権を握る中で営業プロセスをどう見直すかを説いている。その処方箋として示される「セールス・イネーブルメント」と「営業デザイン」がどう優れていて何が新しいのかが分かりにくいが、今年は「働き方改革」もあり、いよいよ「足で稼ぐ」営業スタイルが通用しなくなる中で、デジタルツールをどう活用し、どのような営業組織にし、営業プロセスを見直すかを考えてみるには、ちょうど良い問題提起本だと思う。新書で手軽でもあるし、営業責任者や営業企画担当者は読んでみると良いだろう。

なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか
なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか 田口佳史 文響社 1380円
 東洋思想研究家、田口先生の本を連続してご紹介してみよう。西洋文明が世界の中心であった時代は行き詰まりを見せ、東洋文明の時代へと変換しようとしているという文明法則史学による指摘があるように、世界というか地球は曲がり角に来ているように感じる。西洋、東洋と分けなくても、分析、分解の思想から統合、全体の思想へとシフトしつつあると考えても良いのかもしれないが、従来の発想をそのまま延長して行くだけでは、人類が抱える課題を解決できないのかもしれない。
 という時代認識の中で、本書の指摘のように、すでに世界のリーダーたちは東洋思想を学んでいると言う。その中心は中国の古典などになるのだろうが、それを古典の勉強と考えずに、文明の中心が西洋から東洋へと移ろうとしていて、そのテキストが老子や論語や禅などであると考えると良いだろう。古典などに馴染みのない人はちょっと取っ付きにくいかもしれないが、平易に書かれているので、東洋思想とはどのようなものかを知るのには良いと思う。

人生に奇跡を起こす営業のやり方
人生に奇跡を起こす営業のやり方 田口佳史+田村 潤 PHP新書 860円
 「キリンビール高知支店の奇跡」の著者と東洋思想研究家による営業談義。営業は人生の「修行」(営業道)であり「利他」の精神で営業に取り組むことで奇跡が起こると説く対談。ちょっとキリンビールならびに元副社長を持ち上げ過ぎではないかと思うが、「自分のためではなく、誰かのためにと思うと頑張れる」という経験談は多くの営業パーソンに読んでもらいたい。自分のためには人生(命)をかけることはできない。他人のためだから踏ん張れるし、やり切った時に感謝もされ達成感だけではなく幸福感が生まれると。もちろん、他人のためと思った方がうまく行くからという自分のための自己暗示では意味がないので、田口先生から東洋思想を学んでみるのもいいだろう。
 自分や自社のために売り込むのではなく、目の前の顧客のためにお役に立つという姿勢で取り組むことは本当に大事なことなのだが、それがうまく行くのは相応な商品力がある場合であって、キリンビールの例もあのキリンビールが変な商品など作っているはずもなく、商品力もあるから営業の姿勢で勝負が出来るのだということを忘れてはならない。どうしても営業力強化の話は、営業パーソンや営業部だけの話にしてしまいがちだが、全社的な理解や取り組みがなければ継続的な成果には結び付かない。この視点で部分と全体の関係性を田口先生に指摘してもらえると尚良かったが、営業に関係する人は読んでみると良いだろう。

生産性とは何か
生産性とは何か 宮川 努 ちくま新書 800円
 2019年は改元の年でもあるが、働き方改革を迫られる働き方改革関連法が施行される年でもある。そもそもなぜ働き方改革を進めるのか?と言えば、人口が減ることが確実な中で国力を維持するためには生産性を高めなければならないからである。そのための働き方改革であらねばならないのに、先に働き方改革があって、そのためには生産性を高めなければならないという話になって来ている。そしてその生産性という言葉が非常に曖昧というか、いい加減に使われていて、その定義もよく分かっていない人が多そうなのが問題だ。
 生産性が先か働き方改革が先かを議論するべきところだが、もう法律が施行されてしまうので、取り急ぎ生産性とは何かということについて整理しておくべきだろう。難しい専門書ではなく新書レベルでと考えたら本書がおすすめだ。
 但し、新書レベルと言っても分からない人には分からないかもしれないなとも思うので、最低限本書の136頁にある「働き方改革に対応しながら企業業績を維持するのは、まさに投入量が減る中で産出量を維持するということなので、労働生産性の向上なくしては達成できない。」というところだけでも理解してもらいたい。この引用部分の意味がピンと来ない人は本書を必ず読むべし。仕事の仕方や中身を変えることなく、ただ休日を増やしたり、労働時間を減らしたりしたら、確実に業績は下がるということだ。

 

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