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トップページ > 代表長尾が語る > おすすめBOOKS 2006年版

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おすすめBOOKS

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ソフトバンク「常識外」の成功法則
三木雄信 東洋経済新報社 1500円
 ソフトバンクの元社長室長が書いた孫正義の裏話。過去にも話題性のある事業を仕掛けてきた孫正義氏ではあるが、今また携帯電話業界への参入で注目されている。その人がどう考え、社内ではどう行動しているのかを知ることはニュースを3倍面白くするのではないだろうか。元側近が書いた本だけにリアルで生々しい孫正義像が描かれている。なるほどこういうことを考えているんだなと想像しながらソフトバンクが打って来る手を考えて見ると良いだろう。孫正義と戦う人も、孫正義を見習いたい人もご一読を。
井植 敏の告白
大西康之 日経BP社 1700円
 三洋電機元社長、井植敏氏への日経ビジネスのインタビュー記事を基にしたドキュメンタリー本。息子への世襲、ジャーナリストの会長起用など物議を醸した企業統治のあり方を問う一冊。よくこのような本の出版を許したなと思う。その後も三洋電機の業績は悪化を続け、三期連続の赤字が確定したようだから、世襲も恐らくここまでで終わることだろう。個人と法人の切り分けが難しい中小企業での世襲には必然性もあるが、上場した大企業における世襲には必然性が感じられない。必然性のないことを無理に実現しようとすれば自ずと歪みが生じるものである。本書は事業継承、世襲のあり方を考えるのに良い参考書となるだろう。オーナー経営者、二代目三代目経営者は是非読んでみると良い。
ビジネス脳はどうつくるか
今北純一 文藝春秋 1286円
 パリ在住のコンサルタントが書いた21世紀ビジネス論というか哲学書(?)。資本主義の限界を指摘し、これからの時代をどう生き、どう仕事をしていくかを説く。日本や欧州は人口減少の時代に入り、これまでのような成長一辺倒の生き方や経営では成り立たないことは間違いないだろう。顧客のニーズに合わせてモノを作り、売っていくというビジネスではなく、個々人の思いを形にして顧客が気付いていなかった価値を提供するビジネスへとシフトしていかざるを得まい。本書ではそれを絶対需要と呼んでいるが、顧客の考えやニーズを更に深堀りするためには、義務感や金儲けだけでは無理で、個人の使命感や感性が必要とされるだろう。全ビジネスマンにパラダイムシフトが求められている。
マネジメント革命
天外伺朗 講談社 1500円
 ソニーの元常務でCDやAIBOを開発した工学博士が書いた経営論。ソニーの井深大氏などを例に取り上げながら「長老型マネジメント」を提唱する。要するに、内発的動機を引き出して、社員個々の自主性や創造性を引き出す、ということだと思う。人口減少に突入し、地球環境の限界を迎える中で、企業や個人はこれまでと同じ価値観で成長を目指し、経済活動を行っていくことは難しい。個々の意識を高め、より精神性の高い事業活動を行っていくには何が大切か、本書から学んでみると良いだろう。
理屈はいつも死んでいる
高原慶一朗 サンマーク出版 1500円
 ユニ・チャームの創業者が書いた経営論。経営は理屈では解決せず常に現場に立ち返らなければならないと説く。コンサルタントとしては理屈を全否定されると困るが、創業者らしい経営論ではある。二世、三世の経営者は是非読んでみると良いだろう。先代の気持ちが分かるのではないだろうか。理屈も大切だが理屈だけでは経営はできない。これは間違いない。理屈通りにすべて行くなら中小企業は絶対に大企業に勝てない。理屈を乗り越えたところに成長の窓が開いている。
可視化経営
長尾一洋+本道純一 中央経済社 2200円
 戦略を可視化し、マネジメントを可視化し、現場を可視化するという可視化の三層構造をいかに実現していくかを分かり易く解説した一冊。単に目に見える「見える化」ではなく、本来見えないものも見えるようにする「可視化」がキーワードである。人口減少や地球環境など、過去の経験則が通用しない先行きの見えない時代にあって、企業の進むべき道には「正解」がなくなっている。今後の企業は「仮説」としての戦略を設定し、それを日々検証していく「仮説検証スパイラル」を高速回転させていかなければならない。現場の可視化ツールとしてIT日報を1400社以上で導入してきた著者(私ですが)だから書けた具体的な経営改革手法。可視化という切り口で、内部統制やコンプライアンスにも言及しておりこれからの企業経営には必須の考え方であろう。全ビジネスマン、企業経営者必読の書。自分で言うのも何ですが、おすすめです。是非ご一読下さい。
数年後に起きていること
日下公人 PHP研究所 1400円
 日下先生による日本の底力論。日本はやっぱりすごい国なのだと思える一冊。日本の経済力、技術力、そして日本文化。これらは米国にも中国にも真似のできないものであり、日本の実力はすごいのだと説く。しかし、マスコミなどでは連日の日本悲観論で、日本はダメだ、日本は遅れていると連呼している。中身がないのに中身があるように見せる国や人が多い中で、中身があるのに中身がないと言っている日本はやはりすごい稀有な国なのだろう。環境問題や人口減少問題などで日本の果たすべき役割は大きい。日本人の使命に目覚めたいものである。良著。
若者はなぜ3年で辞めるのか?
城 繁幸 光文社新書 700円
 「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」を書いた元富士通マンが書いた人事論。タイトルからすると若者側の原因を探るのだろうと思ったら、企業側の年功序列人事によって若者が搾取されているという指摘だった。日本企業の成果主義は不完全で、実際には年功序列が蔓延っていると前著同様指摘。その中で若者が将来に希望を抱けず、早期に退職していると言う。確かにそういう面もあるとは思うが、若者の側にも色々問題があるのではないかと思う。日本企業がダメなら外資系に行くしかないわけで、若者の救いにはならない。しかし、若い世代が何を考え、現行の人事に対してどう感じているかを知るには好適な一冊。企業経営者、管理職は読んでみると良いだろう。
アメーバ経営
稲盛和夫 日本経済新聞社 1500円
 京セラの創業者が京セラ発展を支えた経営手法を紹介。小集団(アメーバ)の独立採算制によって社員の経営意識を高め、主体性を引き出すそうだ。一般向けというより京セラの社員向けに書いたような内容だな、と思って読んでいたら、あとがきに京セラ幹部向けの「アメーバ経営講義」がベースになっているとあった。経営哲学としては参考になる点が多いが、人格が立派でなければならないとか、経営の哲学がなければアメーバ経営はできないといった指摘も多く、稲盛さんだからできる手法ではないかと感じてしまう。考え方は素晴らしい。しかし実践はなかなか難しい。経営は一筋縄ではうまく行かないことを実感させてくれる経営哲学書。
甦るIT投資
NTTデータビジネスコンサルティング 日経BP企画 1600円
 従来のコスト削減、業務の合理化を目的としたIT投資から戦略実行、企業価値向上のためのIT投資へとITの位置づけが変わってきた中で、IT投資をどう評価し有効活用していくかを示した本。単なるITツールの導入ではうまく行かないという指摘はまさにその通りで、私達が取り組んでいる営業支援システムも仕組みや意識を変え、それを定着させていくチェンジマネジメントであると言える。変化や新しいモノに抵抗する人間の心理をどう扱うかが重要なテーマである。IT活用に不満を感じている企業には参考になるだろう。
新・経済原論
大前研一 東洋経済新報社 2200円
 大前研一氏の英語で書かれたThe Next Global Stage 〜 Challenges and Opportunities in Our Borderless Worldの日本語訳本。世界中で翻訳されているそうだ。日本人が書いた本を訳書で読むというのは変な感じではあるが、著者が日本向けに日本語で書いた本よりも丁寧に書かれているようには感じる。日本語タイトルの経済原論というよりも原題を直訳した方が良かったような内容。従来の経済理論が既に役に立たなくなっていることを訴えている。大前氏の「新・国富論」を読んでコンサルタントを目指し、平成維新の会にまで入っていた大前ファンの私にしてみると普段、雑誌や書籍で主張している内容が色々な切り口、事例でまとめられているといった印象。大部だけに読むのは大変だが、ヒントは多い。さすが世界に物申せる大前研一!といったところ。ビジネスマン必読の書であることは間違いない。
デビルパワー エンジェルパワー
ケビン・D・ワン 幻冬舎 1200円
 人事コンサルタントが書いた寓話経営ノウハウ本。「ニワトリを殺すな」の著者でもある。ストーリー仕立てがお得意のコンサルタントのようだ。人を動かすには給与を下げたりクビにするといったデビルパワーと、相手を認め、感謝するといったエンジェルパワーが必要であると説く。当然デビルパワーを使い過ぎず、エンジェルパワーをより多く使うことを求めている。エンジェルパワーによって社員が自発的に仕事に取り組み、仕事を楽しむようになるそうだ。高校時代の先輩から読むように言われ、仕方なく(笑)読んだのだが、人を活かすという永遠のテーマについて改めて考えさせられた。人材活用に悩んでいる(全ての会社かな)経営者、管理者は読んでみると良いだろう。1時間もあれば読めます。
BCG流非連続思考法
リュック・ド・ブラバンデール ダイヤモンド社 1800円
 ボストンコンサルティングの本というよりも、ブリュッセル証券取引所理事長、フランス国立地理院会長などを歴任した著者の創造力発揮のための思考法。人間はどうしても過去の経験に基づいたり、自身の思い込みによって思考が限定されたり、見ようとするものを見たり、自分の都合の良い部分だけを認識したりする。そこを断ち切り非連続な発想をするにはどうするかが本書では紹介されている。大きな時代の変化の中で過去の経験や価値判断基準が通用しなくなっているので、このような発想法は必要だろう。なかなか参考になる一冊。
社長の椅子が泣いている
加藤 仁 講談社 1900円
 ヤマハ社長になったものの解任され、ダイエーに転じて副社長になったもののリッカー再建に出された悲劇の名経営者、河島博氏の半生記。そこに実兄でホンダの社長になった河島喜好氏も絡んだノンフィクション小説。かなり細かいというか執念をも感じる緻密な取材によって書かれたと思われるリアリティある内容。ただヤマハ、ダイエーの同族経営、経営の私物化について突っ込んだことが書かれており、関係者には腹立たしい一冊かも。内容の真偽は分からないが、経営の要諦について考えさせられる良著。上場企業における世襲はどこの企業でも諸問題を引き起こすということを再確認できる。
資源インフレ
柴田明夫 日本経済新聞社 1900円
 丸紅経済研究所所長が書いた資源価格高騰リスクに警鐘を鳴らした一冊。原油、金、銅、鉄鉱石などの天然資源には埋蔵量という限界があり、いつかは枯渇する。中国やインドなど大人口をかかえる国の経済発展は限りある資源の争奪戦でもある。著者は資源インフレは日本にとって好機であると主張しているが、地球環境という限界を考えれば、日本の省エネ技術をもってしても際限のない資源消費は許されなくなるのではないか。人々の価値観を変える必要があるように感じる。データ分析が多く読むのに面白味はないが、資源貧国日本のビジネスマン必読の書。
メガトレンド2010
パトリシア・アバディーン ゴマブックス 1800円
 ジョン・ネイスビッツと「サクセストレンド」を書いた著者の新著。資本主義の限界を示し、新しい資本主義のあり方を説く。人間の欲を動力にした貪欲な資本主義ではなく、自制の効いた精神性の高い資本主義でなければならない。確かに今のまま資本主義が存続すれば、地球環境が限界を超えることになるだろう。LOHASなど新しいトレンドに企業経営者、ビジネスマンは注目する必要がありそうだ。良著。
ビジョナリーカンパニー【特別編】
ジェームズ・C・コリンズ 日経BP社 1000円
 「ビジョナリーカンパニー2」の付属論文として書かれた、社会セクター向け解説本。企業セクターにおいても社会セクターにおいても、偉大な組織には共通点があると言う。確かに経済的パワーを使いづらく、ボランティアの力も借りなくてはならない非営利組織の方が、より次元の高いリーダーシップを要求されるというのは納得できる。そしてそのことは一般の営利企業においても、本人の自発性が求められる知的労働においては参考にすべきところだろう。企業セクターであろうと社会セクターであろうと、営利目的でも非営利目的でも、ビジョナリーな組織運営が求められることは間違いない。
粉飾資本主義
奥村宏 東洋経済新報社 1600円
 エンロンとライブドアの事件から株式会社のあり方について考察した一冊。株式会社を研究して40年の著者は、株式会社の危機だと訴える。エンロンにせよ、ワールドコムにせよ、ライブドアにせよ、村上ファンドにせよ、株式会社という制度を悪用して「金儲け」に走った末路に過ぎない。悪い人間がいるから株式会社が悪になるのか、そもそも株式会社が悪を生む存在なのか、意見は分かれるだろうが、時価を上げさえすれば良いという考え方が間違っていることだけは間違いない。法を犯した経営者が罪に問われるのは当然だが、株価の変動に乗せられた投資家にも責任がある。株式保有とはそもそもその企業への出資であり、事業への応援である。応援した株の値段が上がるか下がるかは、業績によって決定されるべきであって、売り買いのバランスで上下する株価に一喜一憂する今の風潮には警告を鳴らして欲しいものだ。
富の未来(上・下)
アルビン・トフラー+ハイジ・トフラー 講談社 1900円(一巻)
 トフラーの最新刊。久々の新刊だけにどんな驚くようなことが書いてあるかと思って期待したが、第三の波、パワーシフトの続編という感じで、その後の世界の動きについて述べているものだった。確実に第三の波は押し寄せており、パワーシフトが進行している。それを世界中の事例を元に明らかにする。上下巻で結構な文量であり、読むのは大変だが、それによって世界の動きが理解できると思えば、是非読むべき本だろう。このような本が1900円(一巻)で簡単に手に入る(中国あたりでは海賊版がタダ同然のような額で手に入るのだろう)事実が、富の未来を象徴しているのかも知れない。
ハイコンセプト
ダニエル・ピンク 三笠書房 1900円
 翻訳した大前研一氏が邦題を「第四の波」とつけようとして「第三の波」のトフラーと議論したという米国でベストセラーになった本。原題はThe Whole New Mind。全体思考、統合思考といった意味か。個別、分析的な左脳思考ではなく、全体、統合的な右脳思考が必要ということらしい。第四の波は、コンセプチュアル社会。第三の波である情報化社会は終わり、「新しいことを考え出す人の時代」が来たと説く。第四の波を生き抜くには「デザイン」「物語」「全体の調和」「共感」「遊び心」「生きがい」の6つの感性が必要だそうだ。確かにITやITに置き換えられるような仕事しかできないようでは、これからの時代にまともな給料をもらうことはできないだろう。時代の流れを知るためには必読の書。ただ今ひとつインパクトに欠けるのは、非言語領域をつかさどる右脳のことを文章を通じて左脳に訴えようとする書籍という媒体の限界かもしれない。
ウェブ進化論
梅田望夫 ちくま新書 740円
 95年から05年の約10年で起こったインターネット革命の意味が分かる一冊。従来のビジネスとは成功の法則がガラリと変わっており、そしてその変化にほとんどの人が気付いていない。この革命をリードする企業としてグーグルが取り上げられているが、私もただの検索の会社だろとしか思っていなかった。グーグルは「博士号を持った最高のエンジニアがオペレーションの泥仕事を毎日毎日死に物狂いでやっている会社」だそうだ。詳細は本書で読んで欲しいが、こういう会社と競争すると考えると嫌になる。著者はシリコンバレー在住のITコンサルタント。ITと疎遠な人は読んでも理解しにくいかも知れないが、そういう人ほど是非読むべき一冊。IT関係の人は必読。革命は進行している。
下剋上時代を生き抜く即戦力の磨き方
大前研一 PHPビジネス新書 800円
 大前研一氏の21世紀ビジネス処世術。どこに行っても即戦力となれる力を身につけよと説く。国や会社が守ってくれることを期待するのではなく、個々人が自立し自分の人生を作っていく覚悟を持たなければならないのは間違いあるまい。新書で読みやすいし、価格も安いので若い人に是非読んで欲しい一冊。一連の大前本を読んでいる人には目新しさはないだろうが、ここ1、2年の著作を読んでいない人には良いだろう。
実録!悪の経営術
小野寺隆 イースト・プレス 1400円
 ライブドア関連会社の元社長が書いたというITベンチャーの経営実態暴露本。中身が無くても外見だけを飾り立て、株価を上げていく手法を紹介。本書によると「バカでも株式公開できる」そうで、「それに投資する投資家もバカ」だそうだ。彼らにバカにされないように、本書を読んでみると良いだろう。書いてあるほど簡単に事が進むとは思わないが、似たような事例は大いに違いない。人間の持つ悪・醜・賎・裏の面を知ることで、真・善・美を追求する手立てとして欲しいものだ。悪を暴く本書を書いた著者はいい人なんだろうなぁと思う。いい人におすすめの本です。悪い人は読まないように。
人口減少デフレは始まっている
公文 敬 東洋経済新報社 1700円
 みずほ総研のエコノミストが書いた人口減少の分析本。日本、米国、中国の対比から人口減少が今後どのような影響を及ぼすのかを明らかにする。古代ギリシャは国が豊かになり少子化が進んで国が滅んだと言う。それと同じシナリオが日本でも起きないとは限らない。歴史は繰り返すのか、それとも日本人の智恵で乗り切ることができるのか・・・。いずれにせよ人口減少は既に始まっており、高齢化も急速に進んで、需要の減退は避けることができない。似たような統計データが多過ぎて読むのがとても面倒臭いが、人口減少の実体をつかむのに有効な一冊。
仮説思考
内田和成 東洋経済新報社 1600円
 ボストンコンサルティング流仕事術。仕事のスピードと質を高めるには仮説が重要と説く。BCG流がどんなものかと思って読み始めたが、コンサルタントとしては当り前のことばかりで、どうなの?とトーンダウン。途中で投げ出しそうになったのだが、仮説を立てるということについて懇切丁寧に説明してある本は珍しいなと思い直し完読。多くのビジネスマンにおすすめの一冊。仮説思考というテーマでよく本一冊分書くことがあるな、と感心するくらいいろいろな切り口から説明してあります。確かに仕事がトロい人は、仮説というか全体のイメージを持たないままで手当たり次第に着手していることが多いように思う。仮説思考を訓練しよう。
躾・教育をシフトするキーワード40
今給黎 勝 梧桐書院 953円
 学校経営のコンサルタントである著者が学校関係者に宛てて毎月書いた葉書がベースになった本なのだが、気付き満載、大変参考になる。学校教育や先生と生徒の関係などについて書かれている部分も多いが、ビジネスマン、企業経営者にも通じるものである。短い文章ではあるが、研ぎ澄まされ、内容が深い。サブタイトルは「指導に悩む大人たちへ」。企業で部下の指導に悩む大人たちも是非読んでみると良いだろう。おすすめです。
人を動かす7つの術
林英臣 太陽企画出版 1400円
 韓非子と松下幸之助から学ぶ人心掌握と組織運営論。著者は松下政経塾第一期生の東洋思想の啓蒙家。私も以前著者が主宰する東洋思想の勉強会に参加していたことがあるのだが、日本や中国の古典に通じ、とても博識な人。どちらかと言うと柔和な感じのする著者なのだが、本書の内容は人のダークサイドにも焦点を当てたシビアな内容。さすが韓非子を取り上げた本である。その韓非子と松下幸之助という組合せも絶妙であるが、人の上に立つ人は必読の書。経営者、管理職には、是非読んで欲しい。こうした良著がメジャー出版社から出ないことが嘆かわしい。おすすめです。
誠実さを貫く経営
高 巖 日本経済新聞社 1800円
 企業の不祥事や事故が続く中で、企業の社会的責任や法令遵守、内部統制のあり方に注目が集まっている。本書は、企業には誠実さが求められると説く。確かに、有限責任を前提とする株主が企業の所有者であるとすると、その企業の罪悪は誰が責任を取るのか、という疑問が湧く。法人という擬人化した存在に利益追求の権限を与えるのであれば、それに見合う責任を果たしてもらう必要がある。そこに誠実さという人間らしい姿勢なり資質が求められるということだろう。企業には実体はなく、法的に擬人化した存在に過ぎないから、企業を支える人間個々が誠実であるしかないのだろうが、個人主義の蔓延る現代において「誠実」であることは利益を出すより難しいことなのかもしれない。企業経営者必読の書。
想い
西山知義 アメーバブックス 1500円
 焼肉屋「牛角」などを展開するレックス・ホールディングスの39歳の社長が書いた経営手記。生い立ちから売上高3900億円を実現するまでのストーリーが生々しく描かれている。素人だからできた焼肉屋のFC展開。しかし素人なら成功するというわけではない。素人が愚直に真剣にビジネスを考えた時に素人だからできるビジネスがあるのだと教えてくれる一冊。全部自分でやろうと思わずに、他者(社)の力を借りたところも成功の秘訣のように感じた。不動産屋から焼肉屋、そしてam/pm、成城石井などへの事業展開に一貫性とオリジナリティが感じられないのが心配だが、若手経営者として頑張って欲しいものである。
IT日報で営業チームを強くする
長尾一洋 実務教育出版 2000円
 「たかが日報、されど日報」を実感するSFA運用指南書の決定版。米国で考えられたSFAやCRMというITコンセプトを日本企業に定着させるためには、どうしても「日報を育てる」「社員を育てる」という発想が必要だ。そのポイントを1300社を超えるSFA導入実績を持つ著者(実は私)が営業スタイル別日報フォーマットから上司コメントの仕方、評価方法、営業のあるべき姿まで分かりやすく解説。紙の営業日報時代から営業指導を行ってきたコンサルティングノウハウを基にした実践の書。おすすめです。
こうすればあなたの会社は「100年存続」できる
小山政彦 実業之日本社 1500円
 船井総研社長が書いた経営論。これまでの船井カラーを破って小山カラーを打ち出した一冊と言えるだろう。船井幸雄氏の言葉ではなく、自身の言葉で書かれた内容であり、実というか体温の伝わってくる本。本書で「100年存続」する会社にできるかどうかはちょっと疑問もあるが、中小企業の経営者は是非読んでみると良いだろう。自社の将来やビジョンを考える上で参考になる点が多いはずだ。
幸福な営業マン
長尾一洋 ダイヤモンド社 1450円
 営業という仕事を楽しむことで、営業成果も上げつつ人生をハッピーにしていく福音書。「営業が苦手」「営業はしたくない」「営業なんか大キライだ!」という人にも是非読んで欲しいし、「営業が得意」「営業が好き」という人にも、営業をより深めるために読んでもらいたい一冊。著者(実は私)の営業体験や1300社を超える営業改革支援から実感した営業の楽しみ方を本書で疑似体験すれば、幸福な営業マンへの一歩を踏み出すことができる。自分が書いた本だから言うわけではないですが、営業マン、営業マネージャー、経営者には必読の書。営業関係以外の人にも参考にしていただける本です。
ロウアーミドルの衝撃
大前研一 講談社 1600円
 日本人の8割が「中流の下」以下となり、今こそ日本には本当の改革が求められていると著者は説く。景気変動ではなく、社会構造、経済構造が変わっているとの著者の指摘は正にその通りだろう。人口減少が始まり、クールビズが登場し、小泉自民党が大勝し、愛地球博でロボットが活躍し、楽天とソフトバンクがプロ野球に参入した2005年は1985年のプラザ合意以来、20年ぶりの転換点であり、著者が言うように今こそ日本人が「1億総中流意識」から脱却し、改革の声を上げていくべき時だろう。人口増、所得増、勤勉均一な日本人を想定した社会や経済、経営はもはやそのままでは存続し得ないことを肝に銘じなければならない。サイレント・マジョリティから脱却すべき多くのサラリーマンに是非読んでもらいたい。
国家の品格
藤原正彦 新潮新書 680円
 ベストセラーを後になって読むのはイヤなのだが、知り合いの社長にどうしても読めと勧められて読んでみたら、思いの外内容のある本であった。著者は、新田次郎、藤原ていの次男で、御茶ノ水女子大の数学者。学者の書いた国家論など読みたくもない、と思ったがタダの学者ではなかった。内容もさることながら微妙なユーモアが散りばめられた読みやすい一冊。さすが血は争えないということか。すべての日本人に読んで欲しいが、それは難しいだろうから、すべての管理者、親、教育者に読んで欲しい一冊。この本が売れているということは、日本にはまだ救いがあるようだ。一部、ちょっと言い過ぎでは?と思う箇所もあるが、日本人としての誇りを持ち、全人類のために使命を果たしていきたいと感じる良著。
価格優位戦略
マイケル・マーン+エリック・ログナー+クレイグ・ザワダ ダイヤモンド社 3200円
 マッキンゼーが25年以上かけて築き上げたプライシング戦略の集大成だそうだ。価格を1%アップしたら営業利益は11%上昇し、販売数量の増加やコストの引き下げに比べ格段の利益改善効果があると指摘。マッキンゼーにしては(失礼!)珍しく、具体的かつ実践的な提言書。認知価格と認知便益がバランスする価値均衡線によって商品価値を表したり、ポケット・プライスという実際に企業の懐に入ってくる価格という概念を提示したりするあたりはさすがである。25年かけた価値があったかどうかは微妙だが、販売促進となるとすぐに値引きや値下げを考えてしまう企業には是非読んで欲しい一冊。
千円札は拾うな
安田佳生 サンマーク出版 1200円
 人材採用で有名なワイキューブの社長が書いた経営論。「勤勉は悪」「晴れた日に傘をさせ」「顧客を捨てよ」など、好き嫌いの分かれそうな過激な提言が並ぶ。中には、学生相手の採用活動では良いかもしれないが・・・と首を傾げたくなるようなものもあるが、常識通りにやっていて儲かった会社はないわけで、一度既成の枠組みを取っ払って常識を打ち破ってみるには良い本かもしれない。ここまで言うからには余程自信があるのだろうが、調子に乗り過ぎて足許をすくわれないようにしていただきたいと思う。
場の論理とマネジメント
伊丹敬之 東洋経済新報社 2200円
 上手に場を作り、場をマネジメントしていくことができれば、社員個々の創発を生み、企業が自己組織化していく。企業とは本来、固定的なものではなく、生命体のように個と全体の相互関係によって成り立っているに過ぎない存在である。内容は参考になる。しかしもう少し分かりやすく書けないものか、とも思う。企業経営を考える上で「場」という考え方は非常に重要だと思うのだが、偉い人が書くとどうしても難解になってしまうのが難点だ。著者は一橋大教授。言いたいことを分かりやすくまとめて、本書の半分くらいの文量で書いて欲しい。無理かな・・・。
 

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