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トップページ > 代表長尾が語る > おすすめBOOKS 2004年版

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おすすめBOOKS

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人生大逆転!の極意
朝倉千恵子 講談社 1300円
 地獄の特訓で知られる研修会社のトップセールスだったという女性の書いた営業指南書。さすがに地獄の特訓出身だけあって、なかなか「ド根性系」の熱い本です。あまりトップセールスの自己体験披露型の営業ノウハウ本は読まないのだが、読みたい本が見つからず、已む無く出張先で購入し、新幹線の中で読破。思った以上に参考になる内容で、何事も先入観を持ち過ぎると良くないと反省。女性だから・・・という部分もあるが、女性の視点から見た男性営業のあり方などにも触れておりヒント満載。セールスパーソン必読。営業力強化に関心のある経営者、マネージャーにもおすすめ。
考える技術
大前研一 講談社 1600円
 大前研一氏の最新刊。書名の通り、論理的思考について書かれていて、分かりやすく、ヒントも多い。コンサルティングの考え方がベースになっているが、やはり常に「なぜ?」と考える習慣や、それを体系的に整理する思考が、すべてのビジネスマンに必要とされる時代なのだろう。大前氏の主だった著作はだいたい読んでいるのだが、ちょっといつもとは違う切り口のビジネスノウハウ本。「質問する力」に近い内容であったが、本書の方が読みやすく、分かりやすい。大前メソッドを習得したい人は必読。多くのビジネスマンに読んで欲しい一冊。既にかなり売れているようですが・・・。
これなら勝てる!必勝の営業術55のポイント
長尾一洋 中央経済社 2200円
 最古にして最高の兵法書と言われる「孫子」の教えを現代の営業に活かした営業改革の指南書。「1分で売れる」とか「1回で売れる」とか「マジックなんとか」「○○式」などと簡単なテクニックで売れるようになると説く安直な営業本が多過ぎるとお嘆きの方にピッタリの、身も実もある営業指南書。営業マンとしての経験、マネージャーとしての経験、コンサルタントとしての営業指導経験、営業支援システム導入1000社の経験を踏まえ、更に2500年前の孫子の知恵を活かした実戦指南が55の項目で分かりやすく解説されている。迷える営業担当者、苦悩する営業管理職、成長を目指す企業経営者必読。是非お読み下さい。後悔はさせません。ちょっと高いですが・・・。
戦略実践ノート
野村総合研究所 ダイヤモンド社 1800円
 実践につながらない戦略は不毛であるとのコンセプトで書かれた戦略論。顧客の囲い込みから取締役会のあり方まで多岐に渡る指摘を野村総研のコンサルタントが分筆している。分野毎の担当割りのためか、個々の内容が薄くて総花的になっている観もあるが、短くまとめてあるとも言える。野村総研は、コンサルティングの日本代表だそうだ。それは知らなかったが、日本代表として日本企業に分かりやすくするためには、もう少し横文字を減らした方が良いだろう。「ストラテジック・プラクティショナー」「ロックイン」「バリュー・ベース」「サービス・デリバリー」など横文字戦略がテンコ盛り。さすがに日本代表だけあって、ハーバードビジネスレビューよりは読みやすい。中堅企業以上の管理者、幹部は読んでみると良いでしょう。米国理論の翻訳本に食傷気味の人には、ピッタリの本です。
知識資本主義
レスター・C・サロー ダイヤモンド社 1800円
 資本主義は、そもそも不平等な社会であり、ほんのわずかな勝者を生む経済であり、多くの問題点を抱えていることは間違いないが、それが他の共産主義などのシステムと比較され結果として生き残っていることは厳然たる事実である。他に良い代替案が見つからない以上、弱者救済の手立てを講じながらも受け容れる他ない。そしてその資本主義は、知識資本主義と呼ぶべき新しい形へと変容しつつあり、二世紀続いた工業化中心の経済に取って代わろうとしている。それを第三次産業革命と呼んでいるのだが、革命への挑戦は未知の領域への旅立ちであり、それに飛び込む者は失敗するかもしれないが、飛び込もうとしない者は常に失敗するそうだ。日本にはその勇気がないと指摘されている耳の痛い一冊。経営者や幹部は読んでおくべき本でしょう。
柔道ストラテジー
ディビッド・ヨフィー+メアリー・クワック NHK出版 1900円
 小企業でも巨大な敵を倒すことができるという戦略を「柔よく剛を制す」の柔道になぞらえた経営論。なんとハーバード・ビジネススクール発。そして日本受けを狙っているかのように、柔道ストラテジーに対抗する相撲ストラテジーという提案もあり。柔道対相撲と言えば日本人には親しみやすくイメージも湧きやすい。事例は米国のIT企業中心。ちょっと無理矢理な感じもあるが、小が大に立ち向う時の考え方は参考になる。孫子の兵法にもつながるような内容で興味深い一冊。
稼ぐが勝ち
堀江貴文 光文社 1200円
 近鉄球団買収に名乗りを上げたライブドア社長が書いたビジネス論。書いたというより喋ったという感じだが、曰く「金儲けはカンタン」だそうだ。東大中退、30歳の上場企業の社長は、なかなか刺激的なことを言ってくれている。異論も反論もあるし、こんな経営者の下では決して働きたくないが、世間の常識に囚われない発想はさすがである。今の日本には、こういう常識外れの人が必要なのだろう。生意気なことを書いて攻撃されることも知名度アップを狙いつつ楽しんでいるようだ。旧世代のビジネスマン、経営者には、頭に来るような内容ではあるが、今ドキの若手ベンチャー経営者の考えを知ることも時代の変化を知るには良いだろう。
人財育成のすすめ〈天の巻〉徳をつくる
田舞徳太郎 致知出版 1300円
 人に光を当てる経営を説く人材育成論。「真の人間尊重とは、その人が、みずからの人生観や仕事観を確立し、みずからの手で人生を切り拓く力を身につけさせてあげることです」と説く。どうも最近の人材教育は、テクニカルな面に重点が置かれ過ぎているように感じるが、本書ではまさにその基礎となる心のあり方や考え方についての教育を取り上げている。そしてその各個人が持っている光(可能性)を引き出すためにはリーダー自身に徳がなければならないと言う。耳の痛い指摘である。
人財育成のすすめ〈地の巻〉社風をつくる
田舞徳太郎 致知出版 1300円
 会社の宝とも言える人財を育てるためには、経営者の徳と共に社風が大切であると説く。社風とは環境のことを指す訳だが、確かに環境によって人の成長は大きく違ってくるものである。せっかくの人材も悪い社風に染まると人罪(存在が罪である人)となったり、人在(存在しているだけの人)となったりする。人が社風をつくり、社風が人をつくる。これは循環関係であり、相互作用を伴う関係である。良き人との縁が次の人を呼び寄せ、そこに人を育てる風土が出来上がる。時間のかかる話ではあるが、経営者はこの手間のかかる仕事に力を注がねばならないのだろう。
座右のゲーテ
齋藤 孝 光文社新書 700円
  「声に出して読みたい日本語」などで知られる明治大学教授が書いたゲーテ論。副題は「壁に突き当たったとき開く本」。著者は30歳を過ぎ、仕事に行き詰まりを感じていた時に「ゲーテとの対話」(エッカーマン)を読んで壁を越えるヒントを得たそうだ。私は、別に壁には当たっていなかったが、ちょうど誕生日で、人生を考えたい気分でいた時に、書店でふと本書を見つけ買ってしまった。(というか最近良い本がない。読みたい本になかなか出合えません。)ゲーテの言葉を分かりやすく、自分の体験に照らして紹介してあるので、すんなり読める。そんなに重く考えず、人生について考えたい時にはおすすめ。20代から40代くらいの人にちょうど良いでしょう。著者は40代なので、それ以上の年代の人には少し軽く感じられるかもしれません。
内側から見た富士通
城 繁幸 光文社 952円
 富士通の成果主義人事崩壊について、実際に人事の仕事をしていた著者が書いた暴露本(?)。成果主義の限界について参考にしようと思って読んでみたのだが、成果主義の前に「富士通って会社、大丈夫なの?」と会社そのものを疑いたくなるような内容であった。著者は、東大卒業後、富士通に入り、同社のエリート部門である人事に配属された人。あまりの酷さに失望して辞めたそうだ。最近は、成果主義人事のマイナス面を指摘する本が多くなっているが、制度がどうかというよりも、それを正しく運用するかどうかが大切なのだと思う。年功序列だってマイナスの面があったからなくなり、成果主義には良い面もあるから増えているということだろう。しかし、富士通の人が読んだらどう思うんだろうか、と心配になる一冊であった。日本企業よ、大丈夫か?と、ちょっと悲しくなる一冊。副題は「成果主義の崩壊」。
生き方
稲盛和夫 サンマーク出版 1700円
 京セラ、KDDIの創業者が説く、まさに「生き方」の本。仏門に入った人だけに仏教的な言葉が出てくるが、その内容は実践と実績に裏打ちされており、宗教臭さはない。宗教とは、本来オカルトではなく、生き方についての教えだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、宗教臭い本を嫌う人が多いから、是非一度読んでみて欲しいと思う。善き行いをすれば、善き結果が得られ、悪行をすれば、悪果がもたらされるという因果応報の理が説かれている。人生の意味や価値について考えてみるのに良い本でしょう。「成功した状態がカラーで見える」という指摘は成功した人だけが語れる真実であると思う。松下幸之助氏のエピソードも出てくるが、幸之助氏同様、経営を極めた人は人の道について考えるようになるのだと思う。魂が帰ってくるお盆に読むのが良いでしょう。
ブランド大繁盛
堺屋太一 NTT出版 1300円
 知価革命の堺屋氏が、知価の発露であるブランド価値について語った一冊。さすがに、有名ブランドを取り上げて「すごい、すごい」を連発するような浅薄なブランド本とは一線を画す洞察がある内容。やっぱりエルメスやヴィトンが出てくるのは仕方ないか。虎屋や和光、宝塚歌劇などを取り上げているのは面白い。同じブランドでも「伝統ブランド」「大量生産ブランド」「知価ブランド」があると言う。エルメスが高いのは、知価ブランドだからだそうだ。しかし、その割に高過ぎるのではないか?いくら知価でも高過ぎる・・・と考えるような人は相手にしないところがまた、ブランドのブランドたる所以であろう。
できる男の顔になるフェイス・ビルダー
キャロル・マッジオ PHP研究所 1150円
 顔の筋肉を筋トレして鍛えることで顔を変えるというノウハウ本。著者はフェイシャル・エクササイズの世界的権威(他にやっている人がいないだけかもしれないが)だそうだ。人相はその人間の内面が表れたもので、中身を変えることで相を良くすると考えるのは、東洋的、日本的な考え方なのだろう。西洋では、即物的な筋トレだ。写真付きでやり方が解説してあるのだが、なかなか難しい。筋トレできているかどうかは分からないが、気持ちよいことは間違いない。しかし、筋トレで顔を変えるというよりも内面から相を変えるという方が納得できる。顔がたるんで来たなと思う方にはおすすめ。焦らなくて良い人は、↓の本を優先すべきでしょう。
運を呼び込む成功顔になりなさい
藤木相元 かんき出版 1400円
 顔の相は、脳相であり、考え方が人相となって表れると説く。普通の人相本では、顔の絵があって、目尻が下がっていたらどうとか、口が小さいとこうで、といったものだが、本書にはイラストゼロ。今の人相がどうか、ではなく、どうしたら良い人相になれるかを説いている。確かに、生まれつきの顔の造りはどうにもならなくても、人相は変わる。やっぱり人相の良い人は良い仕事をするし、人相の悪い人は(悪人顔ということではなく)問題があることが多い。いきなり二枚目のイケメンになることはできないが、せめて人相は良くしていきたいものである。
小説 渋沢栄一(上)曖々たり
津本 陽 NHK出版 1900円
 日本の近代経済を作り上げたと言っても過言ではない渋沢栄一を、歴史小説の大家、津本陽が取り上げたとあっては、読まない訳にはいかない。上巻は、生誕から攘夷に燃えた青年期、にも関わらず一橋慶喜に仕え、ヨーロッパへの洋行、そして明治政府での奮闘と、激変の時代に渋沢がどう成長したかを描いている。やっぱり渋沢栄一は、すごい人で、立派であるけれども、どこか憎めないというか、愛すべきところを多分にもった人であると思う。自分の為すべきことをひたすらにやり遂げた人であると思う。
小説 渋沢栄一(下)虹を見ていた
津本 陽 NHK出版 1900円
 小説というよりも、日本の近代経済システムを作り上げたエピソード集。公に奉じる無私の姿勢に感銘を受ける一冊(二冊か)。これを読むと、三菱とか三井とか巨大財閥の影も薄い。閥を作らず、五百社とも言われる企業の創業、運営に関わった渋沢翁の偉業は、「昔の人は偉かった」では済まされない卓抜たるものであろう。現今の自分さえ良ければよい、自社さえ良ければよいという風潮に本書が警鐘を鳴らしてくれることを願う。己の非力を省みず、世のため人のために何事かを成したいと思えた。おすすめです。
プロフェッショナルマネジャー
ハロルド・ジェニーン プレジデント社 1333円
 58四半期連続で増益を実現した「経営の鬼神」が書いた、実践経営論。「リーダーシップ」「三行経営論」「経営者の条件」「企業家精神」など、経営に関する様々なテーマに対し、自分の経験を元に具体的に指南している。ユニクロの柳井会長が、経営のバイブルにしたという一冊。はじめに推薦文を書き、終わりに付録として、柳井氏のまとめが載っている。ユニクロ色が出過ぎではないか、とちょっと思った。事例やエピソードが多いので、どうしても言いたいことの割に文量が多く、読むのが大変だったが、内容は非常に参考になる。13章、14章が短いのだが、特に参考になった。経営者、幹部必読。
営業が変わる
石井淳蔵 岩波アクティブ新書 780円
 営業プロセス改革について分かりやすく書かれた一冊。営業担当者の教育用にも、SFA・CRM導入プロジェクトの参考にもなる内容である。副題は「顧客関係のマネジメント」。属人的な営業から、組織的な営業へとシフトし、顧客との関係をマネジメントせよ、と説く。SFAについての認識がチープというか古い感じではあるが、大学の先生が書いた割には(失礼)、営業現場の実態を踏まえた本である。営業プロセス改革は、SFAなどのITツールを導入するだけではなく、営業の在り方を見直していかなければならない、ということを本書で理解して欲しい。
儲けのDNAが教える“超”競争戦略
鈴木博毅 PHP 1700円
 信用力のマーケティングというキーワードで企業のマーケティングについて分かりやすく解説。中小企業が自社の戦略を考える上で参考になるだろう。儲けのDNAというのが何を意味しているのか、なぜDNAなのか、という点についてはよく分からなかったが、出版社のタイトルのつけ方の問題か?この本の著者は31歳。若いのに頑張っているなぁと思う。私もまだ若い、まだまだ若輩で・・・などと言っていたがこんなことではウカウカしておられない。後生畏るべし、時代の変化は速い。そういう意味でも刺激になる一冊。
「なんでだろう」から仕事は始まる!
小倉昌男 講談社 1300円
 ヤマト運輸元社長の経営論。福祉の世界に企業経営を持ち込んだ人だけあって、信念と倫理にあふれる経営論である。若い起業家のために書いたということだが、若い人だけでなく、多くのビジネスマン、経営者に役立つ内容だろう。非常に読みやすく分かりやすい本である。どんな仕事でも大きな価値を生むために必要となる根幹部分は共通なのだろう。ベースとなる価値観の重要性に気付かされる一冊。
「戦いモード」で会社が変わる
森下篤史 PHP研究所 1400円
 JASDAQ上場のテンポスバスターズ社長が書いた半生記と経営論。社長の椅子争奪バトルや店長立候補制、定年なしなどユニークな施策で有名な会社だけに、一風変わった経営論ではあるが、ゼロから立ち上げ、大企業に挑戦していくベンチャー企業には必須のものだろう。ビジネスは戦いであり、負ければ死ぬという覚悟がなければ、事業において大を成すことはできない。学歴のない人、一度失敗してしまった人、自信をなくしてしまった人には必読。ビジネスは学歴や頭の良し悪しで決まるのではなく、ちょっとした着眼と実行力で決まるということを認識させてくれる一冊。
「道徳」という土なくして「経済」の花は咲かず
日下公人 祥伝社 1600円
 あの日下先生が、「道徳」という観点から、日本、米国、中国、ユダヤ、イスラム、資本主義、マルクスを一刀両断。経世済民から「経済」と名づけた日本人の英知が今こそ世界から必要とされていることをひしひしと感じる一冊。ただ、日本からその道徳や倫理が失われつつあることに危惧を感じる。北朝鮮、尖閣諸島、北方領土、イラク派兵、日米安保、台湾問題など日本を取り巻く国際情勢もぐらつく中で、日本の国家観、世界観、歴史観を見直さなければならないのだろう。今の世界情勢を正しく認識するためには必読の書。いつものことながら日下先生の着眼、発想は参考になる。おすすめです。アメリカかぶれ、米国礼賛主義者には欠かせない一冊。
頑張りすぎる人が会社をダメにする
ロジャー・マーティン 日本経済新聞社 1800円
 すべての経営者やマネージャーが読むべき一冊と言って良いだろう。副題は「部下を無責任にしてしまう上司の法則」。優秀で頑張る上司が、優秀で頑張ることによって部下をダメにすると説く。多くの事例が紹介されているのだが、どれも身に覚えがあるようなやりとりであり、上司と部下の関係なのだ。責任過剰のリーダーは、責任過少のフォロワーを必要とするし、責任過少のフォロワーは、責任過剰のリーダーを引き付け、「無責任ウイルス」を撒き散らすことになる。組織力学の構造を分かりやすく説いており、非常に参考になる。会社の、経営陣、管理職全員で本書を読み、ディスカッションしてみるのも良いだろう。その場で経営者が説教を始めたりすると、「やっぱり出たぞ」と指摘されるようなことになるのではないか。必読。
成功者の告白
神田昌典 講談社 1400円
 「あなたの会社が90日で儲かる」などの著作で知られる売れっ子コンサルタントが書いた成功の影に潜む落とし穴の物語。著者は真面目で良い人なのだと思う。ショッキングピンクの本をベストセラーにしたり、90日で成功するとか派手なコピーでベストセラーを連発するのを見ていて、やっかみ半分で「なんぼのもんじゃい」と思っていたのだが、本書で好きになった。成功企業、成功者には、陥りやすい落とし穴があり、ありがちな失敗ストーリーがあるという。著者自身の成功過程の話をベースに物語形式で披露しているわけだが、本音ベースの内容をよく本にしたものだと思う。好事魔多し。人は成功によって油断し、傲慢になり、魔の付け入る隙を与えてしまうのだろう。それを事前に知り、対処することは、これから成功を目指す起業家、ビジネスマンにとって価値あることだと言えよう。良著。
成功の9ステップ
ジェームス・スキナー 幻冬舎 1900円
 「7つの習慣」で有名なコヴィー博士の日本での伝道師(研修トレーナー)として活躍した著者のオリジナル成功ノウハウ本。「7つの習慣」がなかなか良かったのと、知り合いが推薦文を載せていたので、ついつい買ってしまった。「7つの習慣」よりも、より具体的、より現実的な表現で分かりやすいのが特徴だろう。健康面なども含めて取り上げてあって、自身の体験を元に書かれたもので読みやすい。ただ「7つの習慣」の方が深みがあり、応用の幅が広いようにも感じた。9つのステップで考えていくと誰でも夢が実現するというほど簡単ではないだろうが、目標を持って生きることは誰にとっても価値があることだから、こうした本が読まれることは良いことだろう。ただ健康面の要求が厳し過ぎて、私ではステップを登っていくことはできない。
それでもお客様は神様ですか?
青木詠一 大和書房 1400円
 ホームページ上で公開されている「電器売場店員のクレーム日誌」が本になったという一冊。日々持ち込まれる様々なクレームに対し、どう感じ、どう対処したのかを誠実に描いた内容で、大変参考になる。特に顧客対応やクレーム対応をすることが多い人にとっては、共感共鳴できる本だろう。しかし、是非この本は経営者や幹部に読んで欲しいと思う。販売の現場で、営業の現場で、電話対応の現場で、担当者がいかに頑張っているか、どれだけ苦労しているかを知る良いきっかけになるだろう。確かに多くの店や企業において「どないなっとんねん?!」と文句のひとつも言いたくなることがあるが、客だからと言うだけで、理不尽で横柄な態度をとられれば、店員さんも辛いだろう。ただの電器店の店員だというこの著者の文章がまたなかなか良い。
そいつに社運をあずけられるのか
山近義幸 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 1300円
 内定の達人として有名な著者が書いた採用論。年間1万人の学生と会い、千人の採用担当者と会うという達人である。学生の側に立って就職活動を支援する著者だからこそ書けた採用論と言えるだろう。体系的にまとまっているものではないが、新卒採用をする時には是非参考にしたい内容。今はまだ就職難と言われているが、一方で新卒の数は減っており、今後は採用難となることが予測される。すでに上位校の優秀な学生は何社もの内定をもらっているような状況で中小企業の採用は難しくなっている。就職する側も採用する側も二極分化が進んでいるということだろう。
虚妄の成果主義
高橋伸夫 日経BP社 1600円
 東大を出ていない東大教授が書いた成果主義人事批判本。副題は、日本型年功制復活のススメ。成果主義には限界があり、却って悪影響も出かねないとの指摘はまさにその通りであろう。しかしだからと言って年功制が完璧かというとやはりそこにも問題があるわけで、年功制の良い部分は残しつつ、成果主義の背に腹は代えられない事情を勘案した折衷案というか中庸をとる考え方が必要だと思う。著者が指摘するように、なんでも米国式の経営理論で、米国で認められれば日本でも認めるといった学界ならびに実業界の風潮は変えるべきだろう。経営手法のブームに踊らされている経営者、管理者には必読の書。さすが東大を出たわけでもないのに東大の教授になった人は、人とは違う考え方をするようです。一部誤解を招きかねない極端な提言もあるが良著。
ザ・ビジョン
ケン・ブランチャード+ジェシー・ストーナー ダイヤモンド社 1400円
 「1分間マネジャー」などの著作で知られる著者と、組織開発専門コンサルタントが書いた組織風土開発ストーリー。ビジョンによって組織を活性化させる方法について、離婚して子供を引き取った女性と、その女性が生活のために入社した会社の社長が、密会(いやらしい意味ではない!)を重ねる中で見つけ出していくストーリー仕立てのノウハウ本。最近こうした物語仕立てのビジネス本が増えているが、単なる文章や図表では伝えにくい微妙なニュアンスや雰囲気が大切な世の中になった証拠かもしれない。ストーリーの設定がどうも不自然で、あまり興味を引く展開もなかったが、理論理屈だけが書いてあるよりも分かりやすいのは間違いないだろう。ビジョンには、有意義な目的と明確な価値観、そして未来のイメージが必要だと説く。経営者、幹部にはおすすめです。
先見力と決断力
田辺次良 ダイヤモンド社 1600円
 タナベ経営の二代目社長が書いた社長論。副題は「社長業の極意」。社長交代から5年ほど経過し、経営者としての自信がついたのだろうか、これまでの著作よりも力強さを感じる内容であった。これまでのものは、どちらかと言うと、ありきたりのあるべき論のように感じられたが、本書は自らの経験や考えをストレートに表現しているように感じた。中小企業の社長には参考になる本だろう。しかしある程度の規模を越えた企業にとっては、ちょっと物足りないかもしれない。二代目社長として、言いにくいこともあるだろうが、思い切って同族経営にも触れている点は評価できる。中小企業の経営は同族との関係を無視しては語れない。良著。
人間が幸福になる経済とは何か
ジョセフ・E・スティグリッツ 徳間書店 1800円
 クリントン政権の経済諮問委員長を務めたコロンビア大学教授が書いた、米国の90年代の経済運営についての振り返り。自分がやってきたことを自画自賛しているようでもあり、反省しているようでもある。米国の政権内部にいた人の話だけにリアリティは満点。どうも日本人は日本は駄目で米国は良い、と暗黙の内に思い込み、何でも米国がうまくいっているように言う人も多いが、米国もかなり失敗しているんだな、と実感できる一冊。その点で日本人にはおすすめである。なんでもかんでも「アメリカではこうですよ」なんて物知り顔に言う批評家、親米家には是非読んでもらいたい。但し、邦題の「人間が幸福になる経済」についてはあまり触れられていない。そんな経済を作り出すのはアメリカには無理だなと確信できる内容ではある。
ゴー・パブリック 起業公開物語
市川一郎 東洋経済新報社 1600円
 監査法人のパートナーが書いた起業物語。大手企業からスピンアウトし、株式を公開するまでのストーリーをまとめている。途中、社員の不正があったり、資金ショートしそうになったり、とそれらしい波乱があるが、全体としては、そんなにうまい具合に事が進むかいな、という感じであった。しかし起業から上場への流れについては臨場感を持って理解させてくれる分かりやすい本である。丁寧に起業家への手ほどきをしようという意志を感じられる一冊。個人的には監査法人や主幹事証券などとの泥臭い話をもっと書いて欲しかった。実際には、親切で思い入れを持って手助けしてくれる人たちばかりではない。
人と人のつながりに投資する企業
ドン・コーエン+ローレンス・プルサック ダイヤモンド社 2000円
 人間同士のつながりに対する投資がリターンを生み出すという「ソーシャル・キャピタル」について解説した本。一般的な資産でもなく、また人そのものでもなく、人と人のつながり、すなわち信頼や相互理解、共通の価値観、協働体験などが重要であると説く。これからの組織は、価値の源泉を個人に置き、そのネットワークによって価値を増幅していくものでなければならないが、その点について示唆に富む指摘が満載。ネットを活用したバーチャルな関係についても言及しており興味深い。21世紀の企業は、お金や契約に縛られた労使の関係ではなく、個々の自発的な働きかけによって相互作用を活発にするネットワークへと変貌することになるだろう。これを私はNI経営と呼んでいるが、本書はその概念を裏付けてくれるものである。おすすめの一冊。
 

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